18.火野映司&泉比奈&&少年&現代人&江戸時代人&ベル……綺麗事?いいえ、純粋過ぎる欲望です!

番組名劇場版『仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』
公開年月日2011年8月6日
勝利者火野映司&泉比奈&&少年&現代人&江戸時代人
勝利手段とんでもなく大きな欲望
勝利形態世界滅亡阻止
ストーリー概略 ドイツはチューリンゲン州にて鴻上会長 (宇梶剛士)は遺跡を発掘していた(←勿論自分では何もしない(笑))。そこにはそこにはかつて、オーメダルを生み出した800年前の錬金術師・ガラ (酒井美紀)が「失われたメダル」とともに眠っていた。

 研究チームが遺跡の封印を解いた途端、3つの巨大な円が現れ、その部分が、メダルの様に裏返った。裏返った先は日本だった。これにより、火野映司 (渡部秀)・アンク (三浦涼介)・伊達明 (岩永洋昭)・後藤慎太郎達 (君嶋麻耶)も現地に引き込まれた。
 更に遺跡内部からのメダルでかたどられた巨大な手と大量のナイト兵が現れ、前者は鴻上会長里中エリカ (有末麻祐子)を遺跡内に引き込み、後者は研究者の一団を襲撃した。
その一団に映司仮面ライダーOOOに、伊達仮面ライダーバースに変身して立ち向かった。

 勿論すべてはガラの仕業で、姿を現したガラは謎の力でOOOからコアメダルを次々と奪うと、「この世界を終わらせて自分が新しいオーズ(=世界の王)になる。」と宣言した。OOO達を弾き飛ばしたガラはバリアに守られた尖塔に籠った。そしてその中には捕えた鴻上会長里中がいた。

 一先ず根城にしている多国籍料理店・クスクシエに引き上げた映司達は騒動の渦中で合流した、母親をガラに乗っ取られて途方に暮れていた少年・若葉駿 (根岸泰樹)を介抱していたが、そこにやってきた伊達後藤からガラの正体を知らされた。

 その頃、ガラは3体のベル (荻野可鈴)を召喚し、地上に放った。
 街中に現れたベルは、「お客様の欲望を満たすチャンスタイム」との案内を行い、自分の質問に「イエスかノー」で答えるよう要請して来た。
 その質問とは、「現金500万円を受け取る代わりに、一生丁髷頭(←帽子・かつら等はすべて無効)で過ごすか?」というもので、実際に「イエス」と答えると、ベルが説明した通りになるのだった。
 一人のロッカー(唐橋充)が応じて500万円を受け取ったのを皮切りに、何人もの人間(←ちなみに男ばっかり)が丁髷頭の恥ずかしさより500万円獲得を喜んだが、その裏で、ガラの居城では人々が「イエス」と答える=欲望が解放される度に「人間どもの欲望をはかる天秤」に膨大な数のメダルが投入されていった。
 勿論、メダルが増えるごとにガラの力は増していくことになり、力が溜まった所で再び大地が裏返った。

 この裏返りに映司泉比奈 (高田里穂)・アンク駿が巻き込まれたが、裏返った行き先はなんと江戸時代。そこには映司達以外にも多くの名もなき市民達がいて、彼等と同時に送り先の住人である江戸町民達もパニックとなった。
 訳の分からないまま、双方混乱―特に未来に対する知識の無い江戸町民達の方が大きかった−対立するのを映司がなだめに入った。だがそこへ映司のメダルを奪わんとしてガラの放った鵺ヤミーが出現した。

 事前にガラにコアメダルを奪われていた映司OOOに変身できずにいたが、比奈が一緒にタイムスリップしていたバースベルトに気付き、彼女の機転で映司仮面ライダーバースに変身して何とかこれを追い払った。
 異形のバースに益々警戒心を強める江戸町民達だったが、戦闘の渦中にバース映司が彼等を守って避けられる攻撃を避けなかったのを見ていた貧乏旗本の三男坊・徳田新之介 (松平健)が仲裁して、疑念を解いた。
 更には駿が泣き叫ぶ女の子に飴をあげてなだめたことで、険悪なムードは収まった。

 一方、残された現代ではベルによるチャンスタイムに多くの人々が応じ、500万円を得る一方で、その欲望はどんどんガラに力を与えていた。そんなガラに対し、鴻上会長は一つの賭けに出た。ガラにアドバイスする振りをして、映司欲望を吸収することを唆したのである。

 鵺ヤミーナイト兵の襲撃に、アンクは自らのメダルを映司に託し、映司OOOに変身して戦った。だが鵺ヤミー自体がかなり強い上、弱卒でも数の多いナイト兵の加勢もあってOOOはたちまち劣勢に立たされた。
 これを見かねた比奈は自らも棒切れを持ってOOOを庇いに出た。だがそこに白馬を駆って徳田新之介 (←説明するまでもないがあぼれん坊将軍・徳川吉宗)が駆け付けた。
 太刀を抜いた吉宗は、わざわざ峰撃ちに構えて(笑) ナイト兵を次々に叩き伏せていった。ナイト兵は戦闘員並みの戦闘力しかなかったので、多勢でもOOO吉宗の敵ではなかった。が、如何せん数が多過ぎ、比奈駿が危機に陥った。
 容姿に似つかわしくない怪力を持つ比奈は棒切れを振るって、駿を庇いながら応戦していたが、棒切れでは完全武装で数もいるナイト兵相手では分が悪かった。だがその時、叫び声とともに多くの投石がナイト兵を襲ったのだった………。


勝利 比奈達の危機を救ったのは、一緒にタイムスリップして来た名もなき市民達並びに、江戸町民達だった!屋根の上から石を投げる人達に加え、岡っ引き達を先頭に、箒・物干し竿・棒切れ等を得物にした江戸町民現代人達が男女の別なく一致団結して一斉にナイト兵を襲撃した。

 勿論彼等は岡っ引き達を別にすれば普段の生業では戦うことのない人達である。だがナイト兵一体一体は強くないので、何がしかの得物を持って数人掛かりで戦えば充分に相手出来た。更に吉宗の「皆、味方だ。存分に戦え!」の檄に力を得たOOOナイト兵を全滅させ、吉宗と共に鵺ヤミーを追撃した。

 吉宗は更にOOOに1枚のメダル―過去に徳川家に献上された物―を渡した。そのメダルでブラカワニコンボ(コブラ・カメ・ワニのコンボ)に変身したOOO鵺ヤミーをスライディングキック・ワーニングライドで撃ち果たすのに成功。その勝利に沸き返る人々に現代人江戸時代人もなかった………。

 だが、欲望を巡る試練はここからが本番だった。吉宗が去った直後、映司を探し求めるベルが現れ、チャンスタイムを投げ掛けた。
 それは「あなただけ元の時代に戻ることができます。ただし、それ以外の方はこの町の方たちも全員消えていただきます。」という質問に、例によって「イエスかノーか」で答えよ、と云うものだった。

 勿論この質問に「イエス」と答えるのは、「自分だけが助かりたいが為に他の多くの人々を見捨てる」という非情行為となる。しかも犠牲になるのは「皆、僕達を助けてくれた(若葉駿談)」という人達なのである。そんな犠牲を強いたなら「人でなし」、「恩知らず」と罵られても弁明出来ないことだろう。

 悩む映司を居城内のモニターから観ていたガラは、映司がイエスを選べば世界が滅びることとなり、「OOO欲望が世界を滅ぼす!」とほくそ笑んでいた。
 だが、この難問に対し、映司は意外にあっさりと結論を出した。映司の答えは「イエス」だった。ただそこには一つの付帯条件があった。


 映司の出した条件とは、

 彼女たちだけでも一緒に帰れるなら」

 というものだった。

 にんまり笑いながらご家族ですか?」と尋ねるベル

 それに対し、

 「そんなようなものかな」

 と答える映司

 得心したベル

 「ではご家族だけは一緒に」

 として、承諾した。

 非情としか思えない映司の決断にその場にいた全員が動揺した。
 消え去る運命を強いられた現代人江戸町民は勿論、助かろうとしている比奈駿も、自分達を助けてくれた人々を犠牲にするとしか思えない決断に猛反対した。

 だが映司は彼女たちの反対を押し切って「イエス」と答えた。

 絶望・悲嘆に暮れる人々とは逆に満面の笑みで映司の決断を承認して金を鳴らしたベルは世界の終わりを告げた。
 居城では思惑通りに事を進めたことに満足したガラが高笑いしていた。OOOの身勝手な欲望で世界が終わり、自らが君臨する新たな世界が始まる……………と思ったその刹那、とんでもない大どんでん返しが彼女を襲った

 メダルを集めていた天秤が大破し、終わる筈の世界はシーンとしていた。
 世界が消えないことを訝しがるベル映司が言い放った。

 「言ったよな、家族だけは戻れるって。」

と。

 映司の言わんとすることを察して驚愕するベルに更なる映司の台詞が追い打ちを掛けた。

 映司曰く、

彼女たちみんな一緒にいて助け合ってる家族だよ。」

 その台詞にベルだけでなく、比奈駿江戸町民現代人達も皆が映司の真意を悟って歓喜の声を挙げた!

 事態の急転を信じられないベルは、それまでのにこやかな表情を完全に失って、

「そんなきれいごとが通るわけは…」

 と狼狽したのだったが、それに対し映司は、

きれいごとじゃない。これは欲望を満たす質問だろ。俺の欲望はこれぐらいでなきゃ満たされない!

 と言い放った。

 映司のとどめの台詞に完全勝利を確信した比奈駿江戸町民現代人達は誰からともなく、互いの隣にいる人と手を繋ぎ合い、更に喜びを露わにし、そんな彼らの姿が耐え切れないとばかりにベルは悲鳴をあげて消滅したのだった。

 この大逆転に鴻上会長映司の選択こそが欲望の本質で、すべてを欲しがる欲望こそが世界を救う!と言い放った。

 そして世界の危機を救った底無しの欲望の持ち主・火野映司は最後の決戦に挑むのだった……。


勝利の肝 そもそも『仮面ライダーOOO』と云う作品自体、「人間の欲望」をメインテーマとしており、ともすれば悪しきイメージで見られがちな「欲望」の、善き欲望や、悪しき手段を用いずして欲望を叶えんとして尽力する姿の尊さ、欲望が成す創造等を幾度となく、説いており、その要素をこれでもか、とばかりに訴えた作品がこの『仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』である。

 松平健氏が主役を務める『暴れん坊将軍』とのコラボ映画は、双方の異質さから当初どんな映画になるか想像もつかなかったが、現代人江戸時代人が互いに力を合わせ戦い、そんな仲間を丸ごと家族以上に大切に思い、全員を救わなくては納得しない底無しの欲望がこの作品を見事にまとめあげた。

 前述した様に、映司欲望に対してベルは「きれいごと」として信じようとしなかったが、きれいごと」だの「欲望」だのと言った言葉尻を遥かに超越した映司の想いの強さは誠に天晴れで、映司にそこまで思わせたすべての人々こそがガラにも、ヤミーにも、グリードにも決して負けることのない「偉大な勝利者」と言えるだろう。

 以上の考察を経ると、普通に考えるなら極めて危険な賭けとしか思えなかった映司の決断に、後からアンクが「上手くいくと思ったのか?」と問うたのに対し、「お前は危なかったかもな。」と映司が答えていたこともまた面白く、秀逸でもあった(笑)。

 色々書いたが、端的に書けば「勝利の肝」は映司の底無しの欲望である。だがそれがただの「エゴ」だったら、それこそベルが否定しようとした「きれいごと」で終わり、世界の滅亡は避けられなかっただろう。
 映司欲望が、底無し且つ純粋且つ何処までも仲間を想う心地良いものであったことこそが最大の要因だった。映司の決断が見事な勝利を収めたのを見た人々は前述した様に誰からともなく手を握り合ったが、この映画のエンディングソングは松平健氏が歌う「手をつなごう〜マツケン×仮面ライダーサンバ?」だったこととも見事に調和していたと云えよう。

 最後に「欲望」がテーマになったこの映画だから、シルバータイタンも個人的な「欲望」を叫びたい。

 「この映画の挿入歌、『仮面ライダーOOO』の主題歌、『Anything Goes!』を歌った大黒摩季さんも出演させて欲しかったよぉ〜!!!」

 と。

 当時、摩季ネェが無期限活動休止中だったのは勿論承知していますがね……。


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平成二七(2015)年五月九日 最終更新