5.ZAT VS再生改造ベムスター&再生改造ベロクロン?世……積年の無念を連発解消!

番組名『ウルトラマンタロウ』第30話「逆襲!怪獣軍団!」
放映年月日1973年10月26日
勝利者荒垣修平副隊長、北島哲也隊員、南原忠夫隊員
勝利手段搭載兵器・スカイホエールレーザー砲&新兵器・エネルギー爆弾AB
勝利形態外敵抹殺
ストーリー概略 この第30話は第29話の続編である。ウルトラマンAに敗れた筈の異次元超人巨大ヤプールが秘かに復活し、宇宙怪獣ベムスターを地球に飛来させていた。
 ヤプールによって強化改造されていたベムスターは先代同様に月の軌道を周回するZATステーションNo1を呑みこむ(勿論内勤者は全員殉職)わ、ガスタンクのガスを吸いまくるわ、と横暴の限りを尽くしていた。帰ってきたウルトラマンと同様の能力を持つ(筈)だったZATの真っ二つ作戦も通じず、ウルトラマンタロウも一敗地に塗れた。

 だが、ベムスターに対してタロウも、ZATも、寺子屋の教師・海野八郎 (大和田獏)も強い戦意を燃やしていた。
 「どんな生物にも一か所ぐらいウィークポイントがある筈…。」と考える荒垣修平副隊長 (東野孝彦)はベムスターの生態を調べさせ、北島哲也隊員 (木村秀祐)はベムスターが腹からエネルギーを吸収するのを利用した攻撃方法を考案した。

 殺された大勢の同胞に報いんとするZAT、自らの教育信念を貫いて教え子との約束を守る為に独力でベムスターに挑む海野、職務へのプライドから重傷の身を顧みず駈け出した東光太郎 (篠田三郎)は個々に参戦した。

 ZATの新兵器と、頭部に張り付いた海野のナイフ攻撃にベムスターは青色吐息状態に陥った。形勢不利と見たヤプールはベムスターに加勢させんとしてサボテン超獣サボテンダーを急派。だがそのサボテンダーは遅れて参戦したタロウが迎撃した。
 ヤプールは更に「最後の手段」としてミサイル超獣ベロクロンⅡ世 (以下、「ベロクロン」)を放ったが、これにはZATが挑み、三つ巴の戦いが展開されたのだった……。


勝利 3対3の戦いは、ウルトラマンタロウが必殺技ストリウム光線でサボテンダーを倒した所から次々と決着した。

 前述した様に、この時点で既にベムスターは青色吐息だった訳だが、それは腹中に爆弾を抱えていたから、と云うのが大きかった。前話で、ベムスターは海野が口から放り込んだダイナマイトを吐き出したり、ガスタンクに腹這いにへばりついてガスを吸引したりしていたことに注目した北島は濃縮したエネルギー爆弾を製造していた。
 戦いの始まりでZATは戦闘機スカイホエールよりエネルギーA爆弾をベムスターの腹中に打ち込んでおり、そこに差してロープでもって頭部に乗り掛った海野もナイフでもって何度もベムスターの眼を刺し、このダブルパンチにさしものベムスターも青色吐息に陥っていたのである。

 最後の力を振り絞って海野を放擲したベムスターだったが、海野はタロウに救出され、その間にベロクロンはZATのスカイホエールが放ったレーザー砲によって討ち取られていた。
 海野を救ったタロウはスカイホエールを見上げるとベムスターを指差した。それがとどめを促すものであることを察した荒垣副隊長は最後の攻撃を下知。それに呼応した隣席の北島はエネルギーB爆弾を発射し、放たれたエネルギーB爆弾はベムスターの腹中に潜り込み、先に撃ち込まれていたエネルギーA爆弾を誘爆させてベムスターを木端微塵に粉砕した!

 3体の怪獣軍団が全滅し、無言で逃走に掛ったヤプールの宇宙船はタロウのストリウム光線に撃たれ、ここに怪獣軍団の襲撃は完全撃退されたのだった。


勝利の肝 この話におけるZATの勝利は、長いウルトラシリーズの歴史に御手も意義深さにおいてシルバータイタンの一押しである。
 何と云っても注目すべき「肝」が二つあり、その双方が意義深い。

 一つはベムスターに対するZATの戦略で、非常に合理的な点にある。ベムスターは『帰ってきたウルトラマン』において帰ってきたウルトラマンのスペシウム光線を正面から吸収したインパクトもあってか、ウルトラ怪獣の中では今も強敵怪獣としての知名度を欲しい侭にしている。そんなベムスターと戦うにおいてZATは過去のデータからベムスターの戦歴・生態を殊の外重視していた。

 強大な敵を倒す為に、相手のウィークポイントを突くのは戦いの定石だが、正義のチームは意外とこれをやっておらず、何とかの一つ覚えの様な重火器による砲撃一辺倒が少なくない。
 その点、ZATがベムスターを倒すにおいて実践した二つの作戦は定石に従っていた。一度目の「真っ二つ作戦」は戦歴上のデータを、二度目の「エネルギー爆弾作戦」は生態上のデータを見据えていた。

 前者は帰ってきたウルトラマンのウルトラブレスレットと同じ威力を持つ(筈の)回転鋸をスカイホエールに搭載してベムスターを斬り裂かんとしたもので、形態の単純さや、強化改造されたベムスターに通じなかったことや、寺子屋の子供達に馬鹿にされていたことから評価が低作戦だが、誤爆の際に巨大なビルを一瞬で真っ二つにするという威力を発揮しており、本来なら決して弱い兵器ではない。宇宙空間でウルトラセブンが帰ってきたウルトラマンにウルトラブレスレットを渡すシーンまで映像で保持しているZATのデータ収集力は伊達ではないな(笑)。

 そして後者はベムスターの生態を突いて見事にこれを粉砕するのに成功した(詳細上述)。正義のチームが怪獣を討ち取った戦果の中でも、この話程、苦労を重ねた果てに定石通りの勝利を得た例も珍しいと云えよう。


 さて、もう一つの「肝」はZATがベロクロンとベムスターに連勝したことである。  両者ともに有名な超獣と怪獣だが、共通することとして、「正義のチームに『全滅』と云う屈辱を与えた」という過去がある。

 ベロクロンは『ウルトラマンA』第1話の序盤で地球防衛軍を全滅させ、ベムスターは『帰ってきたウルトラマン』第18話でMAT宇宙ステーションを、『ウルトラマンタロウ』第29話でZATステーションNo.1を飲み込み、大勢の隊員を殉職させた。
 ただの殉職ではない。宇宙空間で為す術のない無力感を痛感させられた果てに死体すら残らない死を強いられたもので、両例とも、殉職隊員の家族の嘆きが顕著に描かれていた。ベムスターの存在感が大きいのも、ベムスターによってもたらされた被害がウルトラシリーズの歴史の中でも屈指の甚大さを持っていることが深く関わっている。

 かような、人類に深い屈辱を与えた怪獣・超獣に対し、ZATは立て続けに勝利したのである(別個体ではあるが)。
 特にベムスターの対する勝利は我慢と考察を重ねた正統スタイルの勝利で、ベロクロンに対するそれは相手から一太刀を浴びることもなく、一方的に勝利したものだった。
 つまりこの時のZATの連勝は、「江戸の仇を長崎で討つ」もので、「人類の成長」を感じさせてくれたものとしても、シリーズ屈指のものと云っても過言ではあるまい、とシルバータイタンは考えるのである。


別視点 この戦いにおける別の勝者として、海野八郎青年がいる。
 海野はベムスターを苦しめはしたが、本来なら振り解かれた際に命を落としていた筈で(←ウルトラマンタロウに助けられた)、とどめを刺した訳ではなく、人によっては彼の戦果を認めない方もいるかも知れない。

 だが、シルバータイタンはやはり海野を「勝者」と見ている。失敗に終わったとはいえ、当初彼がダイナマイトを飲み込ませてベムスターを爆殺しようとしたことがZATのエネルギーAB爆弾のヒントになったし、彼の愚直なまでの信念が、「人間も全力を尽くせば怪獣に勝てる。」を現実に導いた影響力は無視できないと考えているので。

 結論、ベムスターは大勢の地球人を死に至らしめたからこそ、ベムスター打倒に尽力した人間達の努力と勝利は尚、一層尊いと云えよう。


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令和八(2026)年一〇月二日 最終更新