4.TAC VSファイヤーモンス……歴史を超えて受け継がれた武器

番組名『ウルトラマンA』第39話「セブンの命!エースの命!」
放映年月日1972年12月29日
勝利者山中一郎隊員
勝利手段新兵器・シルバーシャーク
勝利形態外敵抹殺
ストーリー概略 北斗星司 (高峰圭二)の知人・梅津ダン(梅津昭典)が、死んだと思っていた伯父・三郎(片岡五郎)が帰って来るのを心待ちにする中、マンションにて一人の男の子が宙吊りになる、という事件が起きた。
 力尽きて転落した男児はすんでのところで北斗と一人の男性によって救われたが、その男性こそが三郎だった。

その頃、TACでは対超獣新兵器・シルバーシャークが開発中で、その特別警戒中に山中一郎隊員 (沖田駿介)・美川のり子隊員 (西恵子)が敵に襲われた。北斗今野勉隊員 (山本正明)ともに応戦し、敵を負傷させて、撃退した。
敵が現場に残した腕輪が、三郎の者と同じだったため、北斗は三郎を張り込んだ。

足を引きずる三郎を、疑惑的中とばかりに迫る北斗。三郎=火炎人ファイヤー星人は怪異な容貌を露わにして火炎超獣ファィヤーモンスを召喚。
応戦するも、炎に包まれた北斗ウルトラマンA に変身。両者は白兵戦を開始した。

しばらくしてファイヤー星人ファイヤーモンスに燃え盛る剣を与えるや形勢は一気に超獣有利となった。A必殺のメタリウム光線も吸収され、Aは炎の剣に胸を貫かれ、もんどり打って大地に倒れた。
 カラータイマーが途切れ途切れになる中、薄れゆくAの意識の中に現れたのはウルトラセブンだった…………。


勝利 ウルトラセブンの激励を受けたウルトラマンA 北斗は、剣で左胸を刺し貫かれた筈なのに、気が付いたらベッドの上、と云う脈絡無き復活を遂げた。

 対超獣兵器シルバーシャークの破壊にこだわるファイヤー星人ファイヤーモンスにこれを襲撃・破壊させんとした。シルバーシャークも守る為、駆けつけた北斗は再度Aに変身。だが、再度炎の剣を振るうファイヤーモンスAは再度劣勢を強いられた。

 そんなAの危機を救ったのは、Aに守られる側だったシルバーシャークだった。竜五郎隊長 (瑳川哲朗)の号令一下、シルバーシャークからは二条の光線が放たれ、ファイヤーモンスの胸板を直撃するや、瞬時にこれを木端微塵に粉砕した!

 ファイヤーモンスの敗北に怒ったファイヤー星人は巨大化して正体を現すと自らも炎の剣を取ってAと戦い、剣術を持ってそこそこ善戦したが、最後にはその剣を奪われて頭部を刺された上にメタリウム光線に散ったのだった。


勝利の肝 単純に語れば、「TACの新兵器が超獣を倒した」という勝利である。ただ、この勝利は様々な意味でウルトラシリーズ史に目立たずとも、確かな足跡を残した。

 この時のTACの勝利は、「作中初めて超獣を地球人の手で討ち取るのに成功した。」、と云うものだった(等身大宇宙人をTACガンで討ち取った例はこれ以前にもある)。
 作品の構成上、「怪獣より強い超獣」を相手に、歴代正義のチーム以上に咬ませ犬の役を振られ、「脱出TAC」とすら揶揄されたTACが如何に悲惨であるか、またそのTACの初めてにして、数少ない自力勝利をもたらしたシルバーシャークの存在感に就いては拙作『もっと使えよ!!―もったいな過ぎる秘密兵器―』にも詳しく記述させて頂いている。

 単純に、一戦闘で見ても、Aを一度は倒し、再戦でも苦戦させたファイヤーモンスを一撃で粉砕した功績はゼットンを倒した無重力弾、キングジョーを倒したライトンR30爆弾に匹敵すると云っても過言ではなく、34年後の『ウルトラマンメビウス』ではクルーGUYSジャパンがTACにならって開発したシルバーシャークGという武器が、キングジョー以上の難敵ロボットである無双鉄神インペライザーを破壊するという戦果を挙げた(シルバーシャークG自体も破壊されたが)。

 前掲の拙作でも触れているが、TACが対超獣戦用に開発した兵器の数々は決して弱いものではない、とシルバータイタンは捉えている。
 ロケットミサイルの設計を丸暗記し、マイナス宇宙や異次元に人を送り込む科学力を持つ梶洋一主任 (中山克己)の開発力を持ってしても、超獣退治は困難な挑戦だったが、ファイヤー星人が最初からその存在を恐れ、実際にファイヤーモンスが返り討ちにあったシルバーシャークの開発は偉大な成功例と言えよう。

 全くの余談だが、この話は『ウルトラマンA』の第39話で、同じ第39話が『ウルトラマン』だとウルトラマンゼットンに敗れ、科学特捜隊=地球人の手でゼットンが討ち取られた話になっている。ともに「第39話」なのは偶然だろうか?それとも制作陣に意識が有ったのだろうか?

 ともあれ、この勝利を皮切りとしたものか、歴代正義のチームの中でも可哀想なぐらい咬ませ犬度の高かったTACが、作品終盤ながら、この後ガス超獣ガスゲゴン宇宙電気クラゲユニバーラゲスを仕留めるのに成功したのだった。その端緒となった意味でもこの第39話の勝利の意義は大きいと言えよう。


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平成二七(2015)年四月一二日 最終更新