名前 | ウルトラマン80 |
地球人名 | 矢的猛 |
出演 | 長谷川初範 |
客演日 | 2007年1月27日 |
客演時サブタイトル | 第41話「思い出の先生」 |
現れた場所 | 南洋の島、桜ケ丘中学校 |
使用した技 | ウルトラスパイラルビーム、ウルトラレイランス、サクシウム光線、バックルビーム |
来星目的 | 円盤生物ロベルガーU世とマイナスエネルギー関連を追って。 |
変身シーン | 無 |
戦った相手 | 円盤生物ロベルガーU世、硫酸怪獣ホー |
スタイル | 中学校教師 |
テレパシーを送った相手 | ヒビノ・ミライ |
顔を合わせたGUYSメンバー | 無 |
言動 円盤生物ロベルガーU世を追って、『ウルトラマン80』の最終回「あっ!キリンも象も氷になった!!」以来、25年9ヵ月3週間ぶりにウルトラマン80は地球にやってきた。
地球付近で円盤状のロベルガーU世にウルトラスパイラルビームを命中させ、南洋の島上空で怪獣形態となったロベルガーU世を迎え撃つ為に地上に降り立った80は現役時代に似つかわしくない苦戦を強いられたが、ウルトラマンメビウスの加勢を受け、形勢を逆転させた後にウルトラレイランスを放ってロベルガーU世をグロッキーに追い込み、最後にはメビュームシュートを放つメビウスに合わせてサクシウム光線を放ってロベルガーU世を討ち取った。
地球を守る怪獣退治としては、80の出番はここで終ったと云って良かった。だが、折悪しく(折良く?) 80が矢的猛の名で教師として赴任していた桜ケ丘中学校が少子化による統廃合の為、廃校されることとなり、中学校及び卒業生達がマイナスエネルギーを発し(というと語弊があるが…)、それを調査に来校したヒビノ・ミライと、猛の教え子にして、現桜ケ丘中学校の教師である塚本教諭(吉見一豊)が偶然顔を合せたことから猛との再会を待望する声が高まる。
塚本はかつて自分が教えた教え子に、元UGM隊員の子がいて、猛がUGMの隊員であり、その為に中途にして教職を辞したことを知っていて、桜ケ丘中学校廃校の話を聞いて偶然学校のグランドに立ち入っていた落語(金と銀)とスーパー(浅木信幸)と出会い、思い出話に花を咲かせた後に、廃校に際して桜ケ丘中学校1年E組の同窓会を開催し、そこに猛を呼ぼうと話し合っていたので、UGMの過去のデータを持つであろうGUYSの隊員であるミライが猛の現住所を知っているのではないか?と期待したのであった。
だが、80の正体をミライが話せる筈もなく、ミライは知らない、と云う他はなかった。
猛の所在を丸で掴めずにいるかつての教え子に達だったが、塚本の話から猛がウルトラマン80であることを確信し、落語が南の島でロベルガーU世と戦った80の姿が掲載されている新聞を見つけ、落語・スーパー・塚本は空に向かって猛に同窓会参加要請を呼びかけた。
ミライは猛が教師としても慕われていたことを知って、兄を誇らしく思い、80に矢的猛として同窓会に参加することを勧めたが、80は教職を半ばにして放棄した過去から教え子達に申し訳なく思い、同窓会参加辞退の旨をミライに託した。
猛が参加するのかしないのかはっきりしないまま同窓会は開催され、同窓生達は思い出話や卒業後の後日譚に花を咲かしているところに、硫酸怪獣ホーが出現。だが怪獣は暴れるでもなく、GUYSの攻撃もすり抜け、現場にいる一同が訝しがる中、再度ウルトラマン80がマイナスエネルギーに対する自らの使命に応ずるように登場し、バックルビームを放つや、ホーは殆ど抵抗らしい抵抗も見せず消滅した。
80に成長した自分達の姿を呼びかける教え子達。「仰げば尊し」の合唱を聴いた80は上空に姿を消したと見せたが、次の瞬間にはこれまた25年9ヵ月3週間ぶりに矢的猛の姿で校門に姿を現し、ミライに中途半端にして去った謝罪は自分の口と言葉でなすことを告げた。
屋上で猛の登場に驚く教え子達に左手を挙げて呼応した猛はそのまま同窓会に参加し、25年ぶりの再会に場は盛り上げりに盛り上がり、ミライ達は猛と教え子達の再会に人間の持つ心の問題に思いを馳せるのだった。
注目点 まずは『ウルトラマン80』放映時に第1クールにて打ち切られた教師編がどうなっていたかの謎が明らかにされた(UGM任務の為に中途にして教え子達に告げることなく教職を辞していた。しかし、いつ辞したかは不明)ことが挙げられる。
『3年B組金八先生』の坂本金八先生(武田鉄也)や熱中時代の北野先生(水谷豊)といった学園物とその主人公の活躍がゴールデンの主流を占めていた1980年代初頭を時代背景に応えた、学校の先生が正義のチームの隊員であり、ウルトラマンでもあるという斬新な設定は今も強烈なイメージを残している(全体の4分の1、期間にして3ヶ月チョットにしか過ぎない教師編が注目されているのが何よりの証拠だろう)。
だが30分枠で教師と隊員の両立を描くのは甚だ困難な為か、第1クールにて教職が描かれなくなったのは致し方ないにしても、そこに明確な説明がなかったことは多くの80ファンをヤキモキさせてきた。
故にその謎に終止符が打たれた意義は大きい。
だがシルバータイタンの一押しは教え子役達の好演・熱演である。
チョイ役に過ぎなかった塚本や真一(『ウルトラマン80』放映時は斉藤康彦、『ウルトラマンメビウス』では紀伊修平)のエピソードが遺憾なく発揮され、特に塚本教諭役である吉見一豊氏の熱演を初め、彼等の熱演は『ウルトラマン80』放映時のキャスト達をこの話の為に召集したのではないか?と思ってしまった程だった。
特に猛との再会を懐かしみ、笑い、感激し、握手を交わし、抱き合い、中には涙を流す教え子達の姿はとても演技とは思えなかった(それほど俳優諸氏の演技は素晴らしかったのだ!)。それも1話限りの話でここまで演じたのだから、ホー出現時に「お前、また…(怪獣を呼び出したのか?)」と詰め寄られる真一のうろたえる様は見事であり、哀れでもあった(笑)。
一方では校門に矢的猛として姿を現すまでの80の考え方には首を傾げていた。(劇中に準じるなら)僅か3ヶ月チョットの師弟関係にも関わらず、あれほど自分を慕ってくれる教え子達の想いに応えようとせず、それが無断で去ったことに対する罪悪感からくるものでありながら自らの口で詫びようとせず、ミライに託したのも納得し難かった。
勿論最終的には教え子達の前に姿を現し、自らの言葉で詫びた(筈な)訳だから、シルバータイタンの疑念は解消されたのだが、オープニングで「矢的猛 長谷川初範」クレジットされていたとはいえ、回想シーンで現役時代の猛が出ていたことからも、「ひょっとして過去の映像だけで、長谷川初範は現れないのでは?」と別の意味でもヤキモキしたが、全ては杞憂だったことにホッとした。
惜しむべき点 かつて『ウルトラマン80』で矢的猛の教え子を演じた俳優達と、この話で猛の教え子を演じた俳優達が同一人物でなかった事以外に殆ど不満点などないのだが、強いてあげるなら矢的猛からウルトラマン80への変身シーンがなかったことと、UGM隊員に関することが殆どなかったことぐらいだが、過去のチームメンバーとの再会が描かれていないのは80に限ったことではなく、この程度は指定の再会の見事さが優先されたことを考えれば全然許容範囲内である。
まあ、UGMにはオオヤマキャップ(中山仁)、イトウチーフ(大門正明)といった、行動力・洞察力に優れた再会を描かれないのが惜しまれる人物がいたし、最終回で初期メンバーであるタジマ(無双大介)とハラダ(新田修平)を忘れず再登場させていた例からも、同番組がキャストを大切にしていた姿勢が高く評価できる分、UGM関係者の再登場がなかったことだけが惜しまれる。
統括 『ウルトラマン80』放映時の設定と、時系列的に相応の時間が過ぎた現代が舞台である『ウルトラマンメビウス』の時代背景が見事にマッチングしている。
『ウルトラマン80』は第1話までの5年間、怪獣の出現がなかった設定になっており、これは『ウルトラマンレオ』の最終回からの経過時間に等しい(故にオオヤマキャップのみが怪獣との交戦経験の持ち主だった)。一方で、『ウルトラマンメビウス』では25年間怪獣の出現がなかった設定になっていて、これまた『ウルトラマン80』の最終回からの経過時間に等しい。
そんな時間経過は数々の再会・再現を待ち望み続けて来たファン達の時間ともマッチングしていたと云えよう。
後にウルトラマン80は最終回「心からの言葉で」においてウルトラマンタロウとともに再登場し、サクシウム光線を放って太陽の黒点除去に務めていたが、タロウ・レオ・アストラ同様、最後の顔合わせ的勢揃いの域を出るものではなかったが、ここは後々の楽しみとするのが妥当だろう。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新