5.ウルトラセブン

名前ウルトラセブン
地球人名モロボシ・ダン
出演森次晃嗣
客演日2007年3月3日
客演時サブタイトル第46話「不死身のグローザム」
現れた場所タカクラ市にあるダム付近
使用した技アイ・スラッガー、エメリウム光線
来星目的20年前にヤプールを閉じ込めてそのまま残留。
変身シーン
戦った相手冷凍宇宙人グローザム
スタイル牧場主(※劇場版に準ずる)
テレパシーを送った相手ヒビノ・ミライ、アマガイ・コノミ
顔を合わせたGUYSメンバーアマガイ・コノミ
言動 策謀宇宙人デスレムの為に、GUYSクルーの面々はサコミズ隊長、アイハラ・リュウ、イカルガ・ジョージが入院を余儀なくされ、カタクラ市で発生した異常気温低下事件にGUYSはヒビノ・ミライ、カザマ・マリナ、クゼ・テッペイ、アマガイ・コノミの4名でカタクラ市ダムに駆け付けた。
 しかし瞬時にしてダムを凍結させ、ファイアウィンダムのMAXパワーでの火炎放射も通じず、メビュームシュートやメビュームバーストが命中してもすぐに傷口を塞いでしまう、等と攻守に恐るべき威力を発揮する冷気を発する冷凍宇宙人グローザムの為にテッペイは高熱を発して倒れ、ウルトラマンメビウスに変身したミライもダムに磔にされる形で凍結されてしまった!
 それは、さながら39年前に『ウルトラセブン』の第39話・第40話の「ウルトラセブン暗殺計画」(前編・後編)でガッツ星人によって十字架に磔の形で拘束されたウルトラセブンの様でもあった。
 重病に倒れたテッペイを病院に搬送する為にマリナも現場を去り、凍死したとしか思えないメビウスを前に一人悲嘆の涙に暮れ、絶望せんとするコノミの前に馬を駆って一人の男−モロボシ・ダンが現れた!(←まぁ〜ったく、森次のとっつぁんはうら若き女性に優しく接する役を演じたら、天下一品なんだから−笑)

 焚き火を囲んでコノミを励ましつつ、メビウスの心の声を聴く事を促し、ウルトラ兄弟が過去において怪獣や宇宙人達に敗北を喫しても地球人が危機に陥ったウルトラ兄弟を救った事、そしてそんな地球人がいたからこそウルトラ兄弟も強敵・難敵相手に頑張れたことを話し、諭した。

 ダンの言葉に、メビウスミライの心の声に、彼の生存と救出の急務を悟ったしたコノミはGUYSに戻り、ミサキ総監代行・マリナとともに39年前のウルトラ警備隊によってガッツ星人に囚われたウルトラセブンを助けた作戦を参考にメテオール・マグネリュ−ム・メディカライザーを利用したメビウス救出作戦を練った。
 メビウス救出自体は理論上充分可能と計算されたが、蘇生後のメビウスミライに不死身を誇示するグローザムとの勝ち目のない戦いを強いることをマリナは憂えたが、ダンよりウルトラ兄弟も地球人も仲間と供に頑張る事で如何に大いなる力を発揮するかを教えられたコノミはメビウスの勝利を力説した(この時点では勝利への科学的根拠無し)。
 そこにフジサワ・アサミ博士(石橋けい)も合流し、彼女はアライソ整備長(綿引勝彦)に新メテオールを搭載済みである事と、メビウスの正体を知っている事とを告げ、コノミの台詞を追認する様に仲間と供に戦う事の大切さを説き、具体的作戦の打ち合わせを始めた。
 そんな彼女達の尽力を形では知らずとも、心で確信しつつ、ダンメビウスに仲間を信じて待つことを呼びかけた(そこに地球人と宇宙人の垣根を越えた仲間意識がある事とともに)。

 女性のみの力で敢行されることとなった作戦は「プライド・オブ・ガールズ」と名付けられた。ガンウィンガ−にはマリナが、ガンローダーにはコノミが搭乗し、出撃した。
 メテオール・マグネリュ−ム・メディカライザーを氷漬けにされたメビウスに照射しようとしたマリナの前にグローザムが妨害に現れた。
 1分間しか持たないメテオールの制限時間の為、焦るマリナ。そこに1994年10月10日放映「地球星人の大地」以来、12年5ヶ月ぶりにモロボシ・ダンからウルトラ・アイでもって変身したウルトラセブンが現れた!

 肉弾戦ではほぼ互角の戦いを演じるウルトラセブンとグローザム。その間隙を縫ってマリナはメテオール・マグネリュ−ム・メディカライザーでもってメビウスの蘇生に成功する。
 己の冷気を利用した再生能力に全幅の信頼を置くグローザムはメビウスセブンを前にしても、囮作戦が成功したぐらいに事態を捉え、余裕綽綽だった。メビウスセブンのツープラトン攻撃に、体術では遅れを取りながらも、ウルトラ兄弟が苦手とする冷気を発し、アイ・スラッガーを受けて胸部より両断されてもすぐに完治して見せ、不死身振りを誇示する有り様だった。
 だが、同じ四天王の一人、悪質宇宙人メフィラス星人の忠告を無視したところに彼の悲劇(自業自得?)があった。メビュームシュートとエメリウム光線の合体光線を受け、粉々になった体を(笑いながら)復元させようとした所をコノミが発射したマクスウェル・トルネードを受け、グローザムは灼熱の熱風の中、通常なら耐えられる筈のそれを質量の小ささの為に再生機能を発揮できず、最後には細胞そのものを破壊されて、「地獄の苦しみ」(フジサワ・アサミ談)の果てにその最期を遂げた。

 戦いを終え、ダンは馬上にてミライと別れの挨拶を交わしつつ、仲間を大切にすることを説き、自分が味わった仲間との別離の苦しみ(満身創痍で逃げる様にウルトラ警備隊の仲間の元を去った事や、MACの隊長として何人もの隊員を殉職させ、最後には全滅と云う形で死別した時のそれを指すのだろう)を弟には味わわせたくない意を告げた。

 蘇生したミライの元へマリナとともに駆けつける途中で眼鏡を取り落としたコノミは拾おうとして何某かの気配を感じたが、それは前週でジョージがジャックに感じたそれと告示したものだった(両名ともそれが何かは悟り得なかったが)。


注目点 第44話でウルトラマンエース北斗星司が、第45話でウルトラマンジャック郷秀樹が客演した事で、この第46話でウルトラセブンモロボシ・ダンが客演することを読んでいた人は多いと思う。
 そして弟から順々に客演するこの順位は、年齢に反比例してウルトラマンの行動量は少なくなり、具体的な行動開始も遅くなる。
 この回でもダンセブンメビウス蘇生後に初めてウルトラセブンに変身して、ウルトラマンとしての行動を起こした。
 そしてそこには、特番『ウルトラセブン』の「太陽エネルギー作戦」でフルハシ隊長(毒蝮三太夫)をして、「こいつは地球人以上に地球人が好きだから」と云わしめたセブンの地球人への信頼が大きく関与している。

 そこで注目されるべきは、ダンの励ましを受けて「仲間」という言葉を胸に戦い、急成長を遂げるアマガイ・コノミの姿だろう。
 現役の保育士であり、クルーの中で一番年が若い(設定である)コノミは涙脆く、格闘に長けているわけでもなく、その心優しさと、弱いものに対した時に我を忘れて発揮する勇気からマケット怪獣指揮やムードメーカーとしての役割が高い。
 その為、格闘シーンは皆無で、メビウスと怪獣・宇宙人・円盤生物との戦いの最中にもテッペイとともに基地内に待機してパイロット達の助言に徹することが少なくなく、パイロットとしての活躍はこの第46話が初めてになる。

 眼前で氷漬けにされたメビウスの姿に最初は涙に暮れていたが、ダンとの邂逅から、「ミライ君をあんな目に逢わせるなんて、許せない。」という台詞に代表される彼女特有の強さ発揮する。
 それはグローザムの不死身振りに勝機を見出せずに困惑するマリナに仲間と供に戦うことの無敵性を説いたり、メビウスの為にパイロットともに出撃する意志を示したり、していたところに表れていた。
 そんな中、初めてのフライトに落ち着かないコノミがかつてミライに教えられた勇気の出るお呪い=眼鏡を用いて、「デュワッ!!」と唱えるのを思い出して実行したり、その勇気を祝する如く(ウルトラセブンと戦った怪獣がモデルとなっている)リムエレキングが登場したり、とウルトラセブンにちなんだ事柄が散見されるのも微笑ましかった。

 そしてそんな彼女達の尽力の裏でシルバータイタンが注目しているのはサコミズ隊長のささやかな出番である。メビウスミライが危機に陥っていると知って、重傷の身を押して出撃せんとするリュウ・ジョージ・テッペイにフジサワ博士は重傷の身では足手纏い、と告げる。
 結局コノミが名乗り出たことで出撃者は決定するのだが、尚も自らの役割を求める男性陣にサコミズ隊長は「病室に戻るぞ。」と隊長命令として命じた。何てことないシーンに見えるかもしれないが、仲間の危機を女性隊員二人だけを出撃させ、自分たちは何もせず治療に専念することには戦いとは別の勇気がいったことだろう(だから「隊長命令」と力説したのだろう)。同時に仲間への信頼なくして口にする事の出来る台詞ではない。
 ミサキ総監代行・フジサワ博士・マリナ・コノミに信頼を示しつつ、さりとてプレッシャーを与えず、彼女達が助け出すであろう仲間と供に戦う時の為に治療に専念することを命じたサコミズ隊長の決断は目立たずとも価値ある英断として記憶に留めたい。

 最後にそんな仲間達の信頼と尽力があって、最後にダンミライに云った仲間を大切にすることと、仲間を失う苦しみを味わわせたくない、との台詞が一段と重みを増すことに触れてこの項目を締め括りたい。


惜しむべき点 これほど仲間を大切にすることを説き、かつての仲間であるフルハシとの再会を描く別作が作られるウルトラマンでありながら、かつての仲間が再登場しなかったり、マケット怪獣とカプセル怪獣の共演が見られなかったこと、放映段階では既に周知だったMAC全滅時にウルトラの母に救出されたことについての言及がなかったことが惜しまれる(←全てシルバータイタンの個人的願望)。

 ウルトラセブンは『ウルトラマンレオ』の第1話で変身能力(正確には地球人体であるモロボシ・ダンに変身した姿から元に戻る力)を失ったことで、『レオ』放映時はウルトラ念力・MACの指揮・鬼コーチとしてのトレーニング・怪獣ボールでウルトラレオの後方支援に回る姿が板に突いていたから、メビウスの補佐に徹しても、変身して自ら戦いに加勢しても(実際にそうした)、ファンには嬉しい活躍だったので、ウルトラセブンの言動には不満な点は皆無。もう少し登場人物が多ければという事だけが惜しまれた。


統括 「仲間」という言葉をキーに兄として、地球人を信頼する英雄としてウルトラセブンとそれに奮起させられた地球人であるGUYS女性陣の活躍とが絶妙のバランスで構成された回である。
 穿った見方をすると男性陣の活躍が少ないことに不満は残りそうだが、前々週で北斗星司とマリナの交信、前週で(直接的意志疎通はなかったが)ジョージと郷秀樹がともにミライの心の支えとなったように、ダンとコノミの交流に主眼を置くなら、男性陣の一休みは良く出来た構成と云える。
 また、この回はグローザムのメビウス打倒宣言映像にうろたえるシーン以外に一般の地球人が出て来ない。『ウルトラマンメビウス』の後半はシリーズを通して、異星人であるウルトラマンと接する地球人の主としての成長が描かれている中で人一倍仲間想いだったウルトラセブンモロボシ・ダン (いや、別に他のウルトラ兄弟が仲間想いじゃないと云う訳じゃないんですけどね……)が客演するこの話で、GUYSに限った話として女性陣がクローズアップされているのもまた見事と云える。



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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新