6.ウルトラマン

名前ウルトラマン
地球人名ハヤタ
出演黒部進
客演日2007年3月10日
客演時サブタイトル第47話「メフィラスの遊戯」
現れた場所某所
使用した技八つ裂き光輪、スペシウム光線
来星目的20年前にヤプールを閉じ込めてそのまま残留。
変身シーン
戦った相手悪質宇宙人メフィラス星人
スタイル空港長(※劇場版に準ずる)
テレパシーを送った相手ヒビノ・ミライ、クゼ・テッペイ、メフィラス星人
顔を合わせたGUYSメンバー
言動 束の間の平和の中、久々の休暇をとある公園で過ごしていたヒビノ・ミライは、その時既に悪質宇宙人メフィラス星人の術中にあった。
 メフィラス星人は宇宙船よりキリアン・リプレイサーと云う装置から発する波動で地球人達のウルトラマンメビウスの関する記憶を自らに置き換え、地球人達に「ウルトラマンメビウスは侵略者」との意識を植付け、メビウスにGUYSによって孤独の中に倒されると云う屈辱的な最期を遂げさせようとした(企んだだけでなくそうすることをミライに夢の中で告げた)。

波動によって突如、「メフィラス星人=地球の守護者」・「ウルトラマンメビウス=侵略者」として扱われる世界に叩きこまれたミライは困惑し、余りの悪辣さにハヤタはメフィラス星人にその非を詰るテレパシーをウルトラマンの姿の思念とともに送るが、メフィラスはそれが自身とメビウスとの人間の心を賭けたゲーム(遊戯)であり、それを許さないとの警告に対しても、自らがメビウスにも地球人にも直接的な手出しをしないことを約して、ウルトラマンの介入を牽制した。つまりメフィラスが思念上のルールを持ち出したことで、直接的な手出しを先にした方がルール違反を犯すことになると仄めかしたのである。

 直後に宇宙礫岩怪獣グロマイトが出現。メフィラスは変身したメビウスを尻目に、迎撃に出たGUYSを制し、ベアハンド光線でグロマイトを瞬殺するや、GUYSにメビウスへの攻撃を命じた。
 メフィラスの命ずるままにメビウスを攻撃するGUYSクルーの面々。信じ難い仲間の行動に姿を消すしかないメビウスミライの姿になって仲間の元に駆け付けた。

 メフィラスの洗脳下にあったテッペイを初めとするGUYSクルーの仲間達を必死に説き、紆余曲折を経たものの、ミライへの攻撃に不快感と疑問を覚える仲間達をまずはテッペイ、続いてメビウスとして仲間達を守る為に体を張ることでリュウ、ジョージ、マリナ、コノミのミライに対する記憶を取り戻すことに成功した。

 仲間を討つように仕向けたメフィラスへの怒りに燃えたGUYSクルーはメフィラスの宇宙船を破壊。爆破炎上する宇宙船の中から巨大化し、何事もなかった様にメフィラス星人が降り立った。その時、ハヤタは1973年11月23日放映の『ウルトラマンタロウ』第34話、「ウルトラ6兄弟最後の日! 」以来、33年4ヵ月振りにベータカプセルを頭上にかざしてウルトラマンに変身した(スプーンを期待した皆様方は残念でした←道場主「誰に云ってんだ?シルバータイタン」)。

 空中飛行能力・光線技・防御力(八つ裂き光輪ニ連発を物ともしなかった)いずれも二人のウルトラマンに引けを取らない能力を発揮する一方でウルトラマンウルトラマンメビウス・GUYSの攻撃を受け、GUYSを危機に陥れるもそれを救わんとしたメビウスへの攻撃はメビウスの素早さとウルトラマンのスペシウム光線によって防がれた。
 八つ裂き光輪を弾き返して地上に降り立ち、ベアハンド光線を放つが、ウルトラマンは正面からノーガードで受け止め、更に右腕の一振りで振り払った。
 ウルトラマンに自ら提案したゲームが自らのルール違反で破綻したことを告げられ、しばしウルトラマンメビウス・GUYSと対峙したメフィラスはウルトラマンの云う通りであることを認め、40年前にウルトラマンと対峙した時のように、不必要な暴力を嫌って、再々度の挑戦を誓って地球を後にした(その後大気圏外に出たところで皇帝に粛清された)。

 ウルトラマンは間もなく自分達兄弟が地球が離れることメビウスに告げ、しかし、メビウスが地球人達に対して抱く愛情と自分が地球人達に対して抱く愛情が同じ物であることも告げ、弟の不安を解消させた。

 ようやく元の記憶を取り戻したテッペイと顔を合わせ、安堵の表情でともに歩むミライハヤタは少し離れた場所から、「君達ならば必ずやこの星を守り抜く。私はそう信じている。」と呟いた。
 そしてその言葉に唯一人気付いたかの様にテッペイが振り返った時、そこにハヤタの姿はなかった。


注目点 まずはメフィラス星人。かつて初代ウルトラマンと互角以上の勝負を繰り広げる実力者で、謎の皇帝直属の四天王最後の一人でありながら暴力でもって暴れるシーンが他の三人に比べても少ない。
 それは『ウルトラマン』第33話「禁じられた言葉」に登場した時の、ウルトラマンのアンチテーゼ的な存在として登場したメフィラス星人そのもので、どちらかというと『ウルトラマンタロウ』の第27話「出た!メフィラス星人だ!」に登場したメフィラス星人(一説によると初代の弟らしい)の方が、粗野で下品な評判の悪さからも別人の様である(笑)。
 そんなメフィラスは初代に忠実な点も、四天王最後の一人としての風格も、メビウスが約1ヶ月に渡って地球人との信頼問題に終止符を打つ意味合いにおいても見事にその役割を果たしてくれたと云えるだろう。残忍さを示す為とは云え、皇帝=暗黒宇宙大皇帝エンペラー星人によって粛清されたのが残念な気がする(できるなら皇帝の軍門を離れ、独自の存在として未来のウルトラマンに挑んで欲しかった)。

 次はクゼ・テッペイである。既にマリナ・ジョージ・コノミが(この順番に)客演したウルトラ兄弟とともに見せ場が与えられていたわけで、ローテーション的にも(笑)テッペイの出番が回ってきた。
 メフィラスに記憶操作されたGUYSのメンバーの中でテッペイが最初にミライと顔を合わせたわけだが、ミライの言葉を全く信用しないテッペイでありながら、怪我したミライを放って置けない所に、メフィラスの陰謀に負けないテッペイの弱者への優しさと医師の卵としての使命感が覗えて興味深く、また微笑ましい。
 その後、ミライに促されるままにメフィラスの宇宙船を調べ、自分達がメフィラスの影響下にある事を信じた訳だが、成る程、ミライの人選は正しい。これがリュウなら話を聞く前に銃をぶっ放しかねん(苦笑)。
 最終的には体を張って自分達を守るメビウスの姿に、かつてあった同様のシーンを思い出した全員がメフィラスの呪縛を弾き飛ばしたわけだが、それがテッペイから始まったストーリー展開は見事だった。

 最後はウルトラマンである。はっきり云って、メフィラスの提案したゲームのルールに乗ってやらなきゃならない筋合いなどないのだが、敢えてそれに乗り、自らが助力せずともミライが仲間との絆を信じ、単独でその記憶を取り戻した所でルール違反に出たメフィラスの前に立ちはだかった動きは、不必要な暴力を嫌いながらしっかり悪事を為すメフィラスと見事に張り合っていた。
 そしてそれはグロマイトを一撃で瞬殺したメフィラスのベアハンド光線をあっさり弾き飛ばした雄姿とともにウルトラ兄弟次兄の貫禄を示して余りあるものだった。
 失礼ながら、既に高齢の黒部進氏を初めとするかつてのウルトラマンで主役を張った俳優諸氏に当時のようなアクションは期待し難く、それは時とともに益々期待し難いものとなる。だからこそ必要以上にでしゃばらず要所要所を占める貫禄のウルトラマンは自らも年を重ねることを自覚する故に嬉しくもある。


惜しむべき点 他の兄弟と同じ事を云うようだが、ウルトラマンが現役を過ごした過去についての言及・演出が皆無であったことが挙げられる。
 ウルトラマンは『ウルトラマン』の最終回でゼットンに敗れた直後に駆け付けたゾフィーに助けられて地球を去る際にハヤタの肉体を彼に返しているので、科学特捜隊時代の面々が出て来なくても何の不思議もない、との意見もあると思われるが、「胸に付けてるマークは流星」と主題歌冒頭にも歌われたバッジをハヤタが装着していることに納得のいく説明が欲しいものである(笑)。

 もう一つ挙げるなら、メフィラスとの知対知の頭脳戦に余りにも行動がなさ過ぎたことがある。ウルトラマン・メフィラス星人双方の「不必要な暴力を忌む」との姿勢に裏打ちされた背景を批判する気は全くないが、暴力を用いずとも何らかの行動で示して欲しかった気はする(←かなり難しい注文であることは認める)。
 後はハヤタミライが互いの素顔で顔を合わすシーンが描かれなかったことだな(映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』では顔を合わせ、その時に「ハヤタ」の名で自己紹介もしている)。


統括 ウルトラ兄弟の順番巡りの客演はこのハヤタ=ウルトラマンで終り、次週の第48話より最終回三部作に入る。いわばウルトラ兄弟の客演は最終回への伏線であり、かつてのウルトラ兄弟がその活躍の中で苦労し、悩み、傷つき、それでも戦ってきた中で得た地球人と宇宙人の垣根を越えた物を弟であり、ルーキーであるウルトラマンメビウスに託すものであった。
 40年の時を経て、それぞれのウルトラマンが根底に共通するものを持ちながら、個別に得て来た物があることを示されているのが見事だった。そしてそれは最終回にも重ねて示され、メビウスだけではなく、GUYSクルーの面々にも託されるのだが、その詳細は事項に譲る。



次頁へ
前頁へ戻る
冒頭へ戻る
特撮房へ戻る

令和三(2021)年六月一〇日 最終更新