5 ゴルゴム親衛隊………悪ガキどもが見せた改心
名前 ゴルゴム親衛隊 肩書 ゴルゴム親衛隊(自称) 登場作品 『仮面ライダーBLACK』第49話「激闘!ダロムの死」 出身 地球 悪辣度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 最期 無し。クジラ怪人の助けを受けて改心
概要 彼等が登場したのは『仮面ライダーBLACK』の第49話のみである。ただ、人間の弱さと改心を観察・考察するのに格好の題材である故に採り上げた。
彼等の言動を考察する為には2週ほど話を遡る必要がある。歴代悪の組織が世間に対してその存在を秘していたのとは対照的にゴルゴムは日本国に対して正面切って宣戦布告した。
つまりすべての国民がゴルゴムの存在を知り、大怪人達が大いに暴れたこともあって、人々は直接的にその脅威を感じていた。そして第47話で頼みの綱である仮面ライダーBLACKはシャドームーンに敗れ、その命を落としてしまい、第48話で日本はゴルゴムの軍門に下った。
具体的に日本政府がゴルゴムに降伏するシーンがあったり、ゴルゴムが何らかの政策を敷いたりする描写は無かったが、警察や自衛隊がゴルゴムに抵抗した様子はなく、一般ピープルも逃げの一手だった。
ある者達はひたすら神仏の加護を祈り、ある者達は日本国外へ逃走し、ある者達は混迷極める日本社会にて暴徒と化した。
そんな中、保身を目的に自らをゴルゴムの手先と称して悪辣な行動に出たのがゴルゴム親衛隊の面々だった。女リーダー(高城富士美)率いる数人の若者達で、一言で云えばチンピラである。「ゴルゴム親衛隊」の名は自称で、ゴルゴムから命じられた者ではなく、命を失いたくない一心でゴルゴムに従う者であることを示さんとしたもので、実際に大怪人ダロム・コウモリ怪人・クジラ怪人と対峙した時は完全に腰が引けていた(苦笑)。
詳細は後述するが、保身の為にゴルゴムに対しては完全恭順の姿勢を見せ、その意図を忖度したり、その指示に従ったりする行動を繰り返したが、助命の約束はあっさり反故にされ、自らが危害を加えんとした筈の南光太郎やクジラ怪人に助けられたことで改心し、ゴルゴムと戦うことを誓った。
悪辣振り まあ、このゴルゴム親衛隊、可哀想な程小物である(苦笑)。
うちの道場主も目先にちらつかされた暴力に脅えるような人間だから、こいつのら「命だけは助かりたい。」と云う気持ちは全く分からないでもない。
ただ、脅されて命じられたのならともかく、ゴルゴムとの接触もない内からゴルゴムに媚びる為に子供達を「餌」として誘拐せんとした非道は極めて悪辣な非難材料である。
それも「止む無く」やっていたのならまだしも、嬉々として取り組んでいる様にしか見えなかったのもけったくそ悪かった。
第49話冒頭でクジラ怪人のお陰で蘇生に成功した仮面ライダーBLACK=南光太郎は戻った地上で人々が絶望・失望し、ゴルゴムに媚びを売る様に愕然としていたが、そんな光太郎の眼前にゴルゴム親衛隊の連中はジープを乗り回し、大網を放って幼児達を捕らえんとした。
勿論これを指咥えて見ている光太郎ではなく、止めに入りつつ、何故そんなことをするのか?という難詰に女リーダーは丸で悪びれもせず、怪人の餌に捧げる為だと宣し、その目的が自分達だけは助けてもらう為であることも明らかにしていた。
勿論、この暴挙は光太郎によって阻止された訳だが、ゴルゴム親衛隊は直後に姿を現したダロムの命じられるままにクジラ怪人捕獲に尽力した。ゴルゴム怪人とは思えないほど心優し過ぎるクジラ怪人が無抵抗を示したため、彼等はクジラ怪人を捕縛出来たが、最初クジラ怪人が両手を差し出した際は抵抗すると勘違いして腰が引けていたのが見え見えだったので(苦笑)、そこでもこいつらは小物振りを露呈していた。
前述した様に、邂逅前からゴルゴムに忖度する意志を見せ、ダロムの要請通りにクジラ怪人を捕縛したゴルゴム親衛隊だったが、ダロムは助命の約束をあっさり反故にした。
ダロムは同じ大神官・大怪人のバラオム・ビシュムと比べても無慈悲で、格下に見た存在に対する見下し振りが酷かったから、ゴルゴム親衛隊との約束を反故にすることは容易に想像出来たのだが、ゴルゴム親衛隊の保身の為なら何でもする節操の無さをみれば、バラオム・ビシュムでも同じように助命を反故にしたのでは?とシルバータイタンには思われる。
垣間見せた良心 保身の為とは云え、子供を怪人の餌に差し出してまで悪魔に媚びを売らんとするゴルゴム親衛隊の悪辣振りは唾棄すべきものとしか云いようがない。
ただ、妙なところで本音を隠さないこいつら小物振りと、最後に改心したことから、シルバータイタンはこいつらを心底からの軽侮はしかねている。
何度も触れたが、ゴルゴム親衛隊の第一目的は保身である。逆を云えば、命が助かるなら悪事をする必要が無いのである。ダロムとの交渉時もあくまで助命を求めるだけで、それ以外の見返りは一切求めていなかったし、大人しく縛についたクジラ怪人に対して危害を加えることもなかった。
そして前述した様に、ダロムはあっさり約束を反故にし、用済みとばかりにコウモリ怪人にゴルゴム親衛隊メンバーの殺害を命じた訳だが、これを救ったのが他ならぬクジラ怪人で、これが彼等の改心を促した要因としてはかなり大きいと云えよう。
縛られ、逆さ吊りにされていたクジラ怪人だったが、口は自由だったために超音波を発することでコウモリ怪人の飛行及びゴルゴム親衛隊への攻撃を阻害した。直後、BLACKも乱入して場は混迷を極めたが、BLACKに解放されたクジラ怪人は尚もゴルゴム親衛隊を襲わんとするコウモリ怪人との間に割って入り、大怪人バラオムをも行動不能に陥らせた粘液を噴出してコウモリ怪人の動きを封じた(この後、コウモリ怪人は身動き出来ない状態で食らったBLACKの回し蹴りが致命傷となってアジト帰還後に落命した)。
かくしてゴルゴム親衛隊の面々は命拾いし、仮面ライダーBLAKが大怪人ダロムを倒したことで命の危機を完全に脱すると自分達を助けてくれたクジラ怪人の元に駆け寄り、介抱に務め、メンバーを代表する様に女リーダーはクジラ怪人に謝罪した。
この一幕に関しては過去作でも幾度か述べたことがあるが、これで改心しなければ本当の屑野郎どもな訳だが、当然と云おうか、幸いと云おうか、ゴルゴム親衛隊も性根まで腐ってはいなかった。
直後、女リーダーはBLACKに向かって、ライダーある限り自分達も勇気を持って戦うことを誓い、BLACKもこれを承認するように頷いた。
ゴルゴム親衛隊の改心には、
ライダーの帰還に勇気付けられて、悪に従う必要性がなくなった。
ダロムの言動からゴルゴムに忠誠を誓っても無駄と悟った。
自分達が捕えた筈のクジラ怪人が体を張って自分達を守ってくれたことに絆された。
等の理由が考えられ、その後彼等の出番が無かったことから安直な断言は出来ないが、少なくとも事後にクジラ怪人と仮面ライダーBLACKに相対していた真摯な目に嘘・偽りはないと信じたい次第である。
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令和四(2022)年四月一日 最終更新