第4頁 何故、「短命」だったのか?

 前述した様に結託部族が登場したのは『仮面ライダーV3』の第31話から最終回までの輪数22話、月数にして6ヶ月間でしかなかった。
 個々に見ればキバ一族が5話、ツバサ一族も5話、ヨロイ一族が12話(1体で2週登場した者が4体いるので、期間は倍以上でも改造人間個体数でいえば3体多いだけ)という短期である。1年間の放映において、キバ一族・、ツバサ一族は1ヶ月チョットしか占めておらず、ヨロイ一族にしても3ヶ月で、これは半年の放映でしかなかった『仮面ライダーアマゾン』ゲドンガランダー帝国各々の暗躍した期間とほぼ同じである。

 何故にこれほどの短期間の出番でしかなかったのか?

 結託部族に魅力が無かったから?………と思う者などまずいるまい。一部、「看板に偽りあり」だったが(笑)。

 ストーリーが面白くなかったから?………このシリーズをそう考える者は特撮マニアにはなるまい。

 幹部を演じた俳優が大根だったから?………糞して寝ることをお勧めする。

 そもそも上記に当て嵌まるならシルバータイタンはこういう作品を作って注目しようとはしない。設定にも、役者にも、ストーリーにも魅力がありながら恐ろしいほど短期に終わったその要因を検証してみたい。
放映期間半分の無理
 前作『仮面ライダー』には4人の大幹部(ゾル大佐(宮口二朗)、死神博士(天本英世)、地獄大使(潮健児)、ブラック将軍(丹羽又三郎))が登場し、『仮面ライダーV3』にも4人の大幹部が登場した。そもそもここに無理があった、とシルバータイタンは断じている。
 前者が全98話に対して、後者は全52話である。単純計算ですべてが半減することになる。しかも両作品とも、初期は幹部不在だった。

○第1クールから幹部を日本支部に常駐させるべきだった。
○2年は無理でも1年半は放映するべきだった(その方が無理だったかもしれないが)。
○幹部数を多くても3人までにするべきだった。

 まあ、ここのところは後番組では反省されたと見え、1番組における悪の大幹部は2人までか、3人以上の場合でも期間的には2部構成までである。1年の放映で4人の大幹部を別々に登場させれば1人の幹部に就き1クールしか登場させられないことになる。前作に4人の大幹部が登場し、それぞれに魅力のある大敵としての演出に成功した手前、放映期間が半分だからと云って2人しか出さない………なんてことがし辛かったのは分からないでもない。

 確かに、ドクトルGを第1話から登場させ、後半にヨロイ元帥を据えればライダーマンの登場期間をもっと増やし、それに比例して活躍の場を増やし、単独勝利を特番『仮面ライダーZX』まで待つこともなかった等のメリットもあっただろうけれど、キバ男爵・ツバサ大僧正がいなくてよかったか?と問われれば「No」と答えるだろう。
 誠に難しい問題だったのは否めない。


インパクトの問題
 『仮面ライダーV3』を大幹部視点で分けると、「幹部不在期」(第1〜13話)→「ドクトルG期」(第14〜30話)→「キバ男爵期」(第31〜35話)→「ツバサ大僧正期」(第36〜第40話)→「ヨロイ元帥期」(第41〜52話)に分けられる。
 勿論それぞれに見せ場がある。簡単に、大雑把に列記すれば下記の通りになる。

時期見せ場備考
幹部不在期V3 26の秘密 改造による自らの能力を知らなかったV3が戦闘を通じて徐々に開眼。
ドクトルG幹部存在感増幅 大幹部の登場で組織との戦いであることがクローズアップ。ショッカーゲルショッカーの大幹部も登場。
キバ男爵 Wライダーの帰還 待ちに待った1号2号帰還で最高視聴率をマーク。
ツバサ大僧正飛行能力の駆使 純粋に部族の特技でV3を苦戦させた。
ヨロイ元帥ライダーマンの誕生と正義覚醒 組織の悪辣さと、復讐より人類愛を優先する仮面ライダーの存在意義がクローズアップされた。

 勿論、これらはストーリーを盛り上げるのに大きく寄与した重要なインパクトを見せた。だがインパクトは「ここぞ」と云うところで見せてこそのインパクトで、連発しては色褪せ、飽きも来る。
 結託部族の出番が短くなった要因で、惜しむべきことだが、短かったからこそ大きなインパクトを為したとも云える。
 誠にバランスとは難しい。


対象生物の限定
 機械合成改造人間と結託部族が存在したことで、改造ベースとなる動植物は通常作品1つにつき出番は1回のみなのが、2回以上出た物も存在した。

 猪(ジシャクイノシシドクロイノシシ)、コウモリ(バーナーコウモリ死人コウモリ)、アルマジロ(ナイフアルマジロガルマジロン)、亀(カメバズーカカマクビガメ)、ヒトデ(カミソリヒトデオニヒトデ)がそうだが、キバ、ツバサ、ヨロイに特化した生物を選ぶのは視聴者が想っている以上に難しかった様である。

 安直に考えれば、キバ一族は肉食動物、ツバサ一族は猛禽類、ヨロイ一族は外骨格生物を取り上げればアイディアは何ぼでも出せただろう。逆に部族カラーと個性の双方を重視すれば対象生物は限定され、ツバサ一族の様にかなり看板と乖離した選択も必要としたことだろう。
 そう考えると余り頭数が多いと部族カラーばかり前面に出て、個性に乏しいワンパタがだらだら続きかねない危惧もあった訳で、このことも結託部族個々の出番を短くしたかも知れない。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新