第11頁 大亀怪獣キングトータス………家族ぐるみの王族振り
怪獣名 キングトータス 肩書 大亀怪獣 出身地 地球・オロン島 初登場 『ウルトラマンタロウ』第4話「大亀怪獣東京を襲う!」 キング度 8 キング要素 体を張って家族を守る家族愛
概要 ストーリーの重さもあって、色々想う所の有る怪獣である。
大亀怪獣キングトータスは、誤解を恐れず云えば「怪獣級にでかくなり過ぎた海亀」である。勿論、空を飛んだり、光線を発して子供を急成長させたり、卵が爆弾や道具にもなったり、といった実在の海亀にはあり得ない怪獣的要素は持っている。
ただ、それ等の能力も敵と戦う為の物で、何事も無ければ生物の本能である「食う・寝る・子孫を増やす」に従って生きる存在で、それ以上でもそれ以下でもない。
日本近海のオロン島に住む巨大海亀で、妻であるクイントータスとともに平和に暮らしていたが、クイントータスが産卵直後にこれを見世物にせんとした興行師・黒崎(草薙幸二郎)によって卵共々捕らえられた。クイントータス自身は脱出に成功したが、卵は捕らわれたままで大半が卵スープにされてしまった。
我が子を殺されたキングトータス夫婦の復讐心は凄まじく、卵にあたって蕁麻疹に苦しむ黒崎やその部下達を次々と殺害し、迎撃に出たウルトラマンタロウをも撃破した。だが復讐を終えると元の大人しい性格に戻り、生き残った卵を連れ、妻と共にオロン島に帰った。
だが、ZATの上部組織である地球警備隊はキングトータスを危険視し、ZATにその討滅を命令。朝比奈勇太郎隊長(名古屋章)はキングトータスの温厚さを重んじ、ZAT隊員共々オロン島で平和を享受する亀達の映像を前に命令をやんわり拒否した。
スミス長官(ピエロ・カラメロ)はその後に起きる事態の責任はZATにあると明言し、そのまま引き返したように見えたが、結局はキングトータス達への攻撃を敢行。この攻撃でオロン島自体が沈められてしまい、口腔内に卵を加えてることで守っていたクイントータスは頭部に攻撃を受けたことで狂乱状態に陥り、遂にはタロウに倒される羽目となった。
その最中に孵化し、目の前で母親を殺され、必死にその亡骸に呼び掛けるミニトータスに居た堪れず項垂れるタロウだったが、そこへ報復の念に燃えるキングトータスが襲い掛かって来た。
キングトータスは口腔よりミニトータスに成長光線を発し、数メートルから42メートルの大きさに急成長し、親子で太郎に挑んだ。
親子に苦戦するタロウは、結局正当防衛とはいえ、自らが死に至らしめたクイントータスへの罪悪感もあってクイントータスの亡骸を抱いて宇宙空間へ飛んだ。復讐対象を見失って茫然とするキングトータスとミニトータスも程なく現れたウルトラセブンの助力を得て宇宙空間に脱し、ウルトラの星(カプセル怪獣アギラの故郷・アニマル星とする裏設定もある)にて蘇生したクイントータスと共に親子仲良く安住の地を得たのだった。
怪獣としての立場 サイズと特殊能力故に「怪獣」とされるキングトータス一家だが、それを除けば普通の亀である。「概要」でも触れたが、動物としての本能に従って生きており、特に「子孫を残す。」ということに掛けて邁進しており、その点が些か動物離れ(?)していた。
というのは、我が子への想いがどこか人間臭いのである。
動物の種類も千差万別だが、キングトータスを実在の亀、つまりは爬虫類として判断した場合、爬虫類の多くは産みっ放しである。ワニやコブラの中には孵化するまで守る種もいるが、カメ類は基本産みっ放しである。
また、野生動物の多くは我が子を守る為に体は張っても、いざ殺されたとなると執着せず、次の出産に移るケースが多い。ヒグマやトラなどは幼獣時最大の敵は同種の雄である。雄は自分の子孫を残したいために雌が子連れでは発情しないため、その子を殺害する。そして雌はそれに対して必死に我が子を守るが、殺されたら仇討ちなど考えず、発情するのである。
その点、キングトータス・クイントータス夫妻は卵を食害した興行師達を殺害し、ただ一頭生き残ったミニトータスには惜しみない愛情を注ぎ、クイントータスが(一時的に)死亡した際には父子で仇討ちに挑んだ。
だが、仇討ちそのものにめちゃくちゃ執着していた訳でもない。タロウがクイントータスを運んだ後は後を追わんとしたかどうかも定かではなく、ただただ急成長させ過ぎたミニトータスをキングトータスが上手く背負えずに四苦八苦しているところにウルトラセブンが現れるやあっさりその身を委ねた。
云い出せばキリがないが、悪徳興行者がいないか、分からず屋な地球警備隊による攻撃が無ければ、「怪獣」と云うより、「巨大亀一家」で過ごせたことだろう。勿論、それじゃあストーリーにならないは承知しているのだが(苦笑)。
注目の「キング」要素 キングトータスの体長は60mで、ウルトラマンの40m、ウルトラマンタロウの53mよりも高いが、数多く存在する怪獣達の中にあっては平均的である。また、タロウ自身、キングトータスと戦うことに消極的だったことからその戦闘能力は詳らかではないのだが、4m小さいだけのクイントータスが地球人による通常兵器攻撃で狂わされる程のダメージを受けていたことから、キングトータスが怪獣達の中に在って群を抜いた強さを持っているとも見込めない。
それ故、キングトータスはサイズや強さで「キング」という訳では無い。
これはもう、単純に「お父さん」を「キング」、「お母さん」を「クイン」としたものと云えよう。別の云い方をすれば、「一家の長」故の「キング」と云えようか?
群れをつくる動物、特にライオンやオットセイの様に一頭の雄が多数の雌を従える、ハレムを形成する動物の場合、ただ一頭の雄は「キング」に見えなくもない。ただ、キングトータスの社会(?)は一夫一妻制(?)である。
別の生物で似たネーミングを挙げるなら、シロアリがいる。シロアリは多数の子を産む女王(クイン)蟻がいて、存在感は薄いが種付け役の雄である王(キング)蟻がいる。ただ、云うまでもないが、夫妻に対して子が多過ぎる上に、多くの子を奴隷同然として扱き使うシロアリの生態はトータス一家と大きく様相が異なる。
フィクションの「怪獣」を動物と並べて考察すること自体に無理があるのを承知の上で考察してみた(苦笑)が、妻子の為に体を張ったことによる、一家の長としての立ち居振る舞いと、他の怪獣同様実在動物離れした体躯以外にキングトータスに「キング」としての要素は見当たらない。
ただ、キングトータス (及びクイントータス・ミニトータス)に関しては、生態よりも後味の悪さを含むストーリー自体への注目が高いだろう。直接関係ないが、第38話ではキングトータス達の東京襲撃の巻き添えで両親を失った少女・青山ひとみ(天野美保子)が登場し、ひとみが両親を失った経緯を聞いた際に東光太郎は非常に気まずそうにしていた。
第5話と第38話の間には何体もの怪獣が東京を襲っており、ひとみ以外にも怪獣禍で家族を失った者は何百何千と存在するだろう(例:第24話の岩森一家)。そんな例にキングトータスが出て来るのも、人間であれ、怪獣であれ、宇宙人であれ、命を失われることが如何に重いことであるか示す好例だからと云えよう。
この命題の重さこそ、キングトータスを「キング」たらしめる最大要因かも知れない。我ながら無理にまとめた感はあるが(苦笑)。
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令和八(2026)年三月一七日 最終更新