第14頁 星獣キングパラダイ………報復感情の強さを見よ
怪獣名 キングパラダイ 肩書 星獣 出身地 パラダイ星 初登場 『ウルトラマンレオ』第28話「日本名作民話シリーズ! 帰ってきたひげ船長」 キング度 5 キング要素 報復感情の強さ
概要 2体の海棲人パラダイ星人が合体して怪獣の姿となったのが星獣キングパラダイである。
パラダイ星人は等身大の身の登場で、合体してキングパラダイとなったことからも単体では巨大化しないと思われる。とある海岸に只現れただけの宇宙人で、星人側から地球を侵略したり、地球人に危害を加えたりするという意図はなかった。
ただ、とある波止場で子供のパラダイ星人(神谷信弘)が暴徒に襲われたことから事件は始まった。
暴徒の正体は地元の漁師で、パラダイ星人の子供が必死に、泣いて許しを乞うのに丸で耳を貸さず、を容赦なく角材などで袋叩きにしていた。暴徒達はパラダイ星人の子供を「化け物」とし、魚が取れなくなったのは彼の仕業として叩き殺さんとした。
中には彼を憐れむ者もいたが、殆んどの者は効く耳持たずの完全狂乱状態だった。
幸い、子供は取り縋りの船長(岡田英次)によって救われたのだが、漁師達の殺意が消えた訳では無かった。船長と偶然知り合っていた梅田トオル(新井つねひろ)がおゝとりゲン(真夏竜)に報せたが、ゲンをも警戒した船長は密かに子供を海に逃がした。
パラダイ星人は船長には感謝し、その後、手厚いもてなしで恩義に報いたが、仇にもしっかり報い、大人のパラダイ星人が報復に来た。まず副リーダー格(阿藤快)を襲い、子供を見逃す代償に船長から受け取ったバロック真珠を巡って仲違いする漁師のリーダー格(上田忠好)と副リーダー格を襲った。
ただ、根は好戦的な訳では無く、駆け付けたゲンがMACガンを抜いて立ちはだかると緑の煙幕を張って姿を消した。それでも種族としての報復感情は根強く、もてなしていた船長に対しても子供を殺そうとした者は断固許さないとの意を示していた。
船長の、多くの人間は善良であるとの主張を聴きつつも、結局パラダイ星人達は報復に出た。二人の漁師の前に子供が姿を現し、これを囮とした。まあ、二人の漁師も即座に銛を振りかざして危害を加えんとしていたから、懲りない輩ではあった。
結局この騒動をもって、子供のパラダイ星人はパラダイ星人の女王に地球人は悪であると報告し、女王は二人のパラダイ星人に漁村襲撃を命じた。
襲撃から逃れた若い方の漁師は待機していたゲン・梶田(朝倉隆)・白土(松坂雅治)に助けを求め、駆け付けたゲン達が二人のパラダイ星人に追われていた初老漁師を済んでのところで助けた。
そして初老漁師からパラダイ星人達が村を襲おうとしていることを告げ、自分の子供がいる村を助けて欲しいとゲンに懇願した。ゲンは承諾する前に漁師の方こそパラダイ星人の子供を殺そうとしたことの非を告げ、事ここに至って漁師も自分の非を全面的に認めた。
漁師の反省を見届けたゲンはMACガンを発砲しながらパラダイ星人に向かって行った。ゲンの抵抗に二人のパラダイ星人は顔を見合わせて空中に飛び上ると合体して身長60メートルのキングパラダイに変身した。
キングパラダイは巨体と尻尾を駆使して暴れ、空からゲンに加勢したマッキー2号・3号に対して口から吐く緑色ガスと耳から放つ光線を駆使してこれらを撃墜し、沿岸の家屋を次々と破壊した。
ゲンはレオに変身して。キングパラダイとの格闘に挑んだ。殴り合いは互角だったが、投げ技を交えて駆使した分、レオの方が若干優勢だった。これに対してキングパラダイは緑色ガスで身を隠したり、耳光線を放ったりもしたが、優勢に立てず、耳を千切られた上に投げつけられ、球体になって逃れんとするも、額のビームランプから放つレオクロスビームに敗れたのだった。
怪獣としての立場 キングパラダイを怪獣とするのには逡巡するものがある。肩書も「星獣」だし、何より2人の者が合体して変身した姿で、ヒューマノイドと云えなくもない。
ただ、珍しいタイプではある。数あるウルトラ怪獣の中には複数の者が合体して怪獣化する者(例:くのいち超獣ユニタング)もいるにはいるが、決して多くない。何より、「2人で1人の巨人に合体」となると、多くの特撮ファンにとってはウルトラマンAかバロム1であろう(笑)。そう意味意味においてキングパラダイはインパクトも個性もあるが、如何せんマイナーである(苦笑)。
キングパラダイがマイナーな存在に甘んじている要因は、身も蓋もない云い方をすれば『ウルトラマンレオ』において、様々な梃入れが行われた最中に埋没しているからとシルバータイタンは見ている。
『ウルトラマンレオ』自体が、放映開始前に第二ウルトラシリーズの最終作となることが決まっていて、オイルショックの余波を受けた予算不足からも端から前作・『ウルトラマンタロウ』を越えられないとの諦観に制作陣も取りつかれていた。既に7作目でもあり、余程のインパクトのある話に登場した怪獣か、かなりの強さを発揮した怪獣でないと知名度が低くなるのは無理もない話である。
とはいえ、隊長役にモロボシ・ダンを据えたり、M78星雲人ではないL77星人を主人公に据えたり、終末ブーム・カンフーブームを重んじたり、と制作陣は涙ぐましい努力を続けた。
この第28話の2話前となる第26話から「日本名作民話シリーズ」が始まった。このシリーズに対する批評はここでは行わないが、第26話で伝説の長老・ウルトラマンキングが初登場し、次話である第29話ではダンがアンヌ(ひし美ゆり子)(と云い切れないのだが)と再会する話があり、その間に挟まった第28話の影は薄い。
勿論、この第28話も宇宙人に対する偏見の怖さを描いたことによる、見るべき点はあるのだが、同じテーマを扱った『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」に比べて、(陰惨さを含めて)インパクトは弱い。
加えて、第28話では人的被害も軽微である。幾つもの家屋が破壊されたので中には大怪我をしたり、命を落としたりした者がいてもおかしくないが、パラダイ星人の報復感情の強さからも、危害を加えるなら、漁師2人がいの一番だろう。村自体を壊滅させることを決定したパラダイ星人の女王だったが、感情論で云うなら暴徒の主将・副将を務め、凝りにずに子供を殺そうとした2人への報復優先度は何物にも勝るだろう。
実際、襲撃に際しても2人のパラダイ星人は漁師2人をいの一番に狙い、そこにMACによる抵抗を受けてキングパラダイに変身した。変身したことでマッキーを撃墜し、家屋を幾つも破壊したが、これが当初の予定だったか否かは分からない。ただ、断言し難いだけで、パラダイ星人が恩義は重んじ、決して好戦的ではなかったことから、キングパラダイへの変身は自衛の為の非常手段(←メイツ星人ビオがゾアムルチを連れていた様なもの)とシルバータイタンは見ている。
となると、余程の強者でもない限り、キングパラダイが取り立てて目立った存在になり得なかったのも必然と云えよう。
注目の「キング」要素 恐らくは2人のパラダイ星人が合体変身したことで、「1+1」が「2」どころか、「5」も「10」も凌駕する巨躯を持つ星獣に変身したことをもって、「キング」としているのだろう。つまり、「デカい」故の「キング」であろう。
逆に云うと、他には「キング」的な要素は見当たらない。
作中、姿は現さなかったがパラダイ星人には「女王」と呼ばれる存在がいたことが明らかにされている。パラダイ星が絶対王政か、立憲君主制かは分からないが(苦笑)、「女王」を有している以上、先頭に立っていた2人のパラダイ星人は臣下だろう。そしてその臣下二人が合体したことで王権を得るようならパラダイ星の政治体制はめちゃくちゃである(苦笑)。
何度か上述しているが、パラダイ星人達は恩義を重んじるし、決して好戦的ではない(漁村襲撃時に武器すら携行していなかった)。偏に恩にも仇にも徹底的に報いる性分なのだろう。
ただ、そんな報復感情の持ち主であるパラダイ星人がキングパラダイの敗北を受けてあっさり報復活動が終わったことを見ると、キングパラダイの戦闘能力はパラダイ星における最強攻撃手段と思われる。少なくともパラダイ星人にあっては、戦闘力においてキングパラダイは「キング」級の存在だったのだろう。
惜しむらくはビッグゲスト登場回に挟まれず、報復感情に負けない強さを発揮していれば、キングパラダイの「キング」度・知名度はもっと大きなものになっていたと思われる。
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令和八(2026)年三月二四日 最終更新