第2頁 宇宙怪獣エレキング………大切な盟友故に

怪獣名エレキング
肩書宇宙怪獣
出身地ピット星
初登場『ウルトラセブン』第3話「湖の秘密」 
キング度6
キング要素電撃代表選手


概要 変身怪人ピット星人の操る宇宙怪獣で、『ウルトラセブン』は勿論、全ウルトラ怪獣にあっても抜群の知名度を誇る超有名怪獣で、平成19(2007)年に同作品の放送40周年を記念して行われた『ウルトラセブン大賞』では、「最も印象に残ったセブンの敵」として最優秀怪獣賞を受賞した。
 黄色地に黒いまだら模様の体色、胴体より長大な尾、そして目の部分の回転するレーダー状の三日月形の角が特徴。
 体色の色彩の設定は本来「白地に黒」であるが、個体・成長過程によって微妙に差異があり、ウルトラセブンとの対決時の「黄色地に黒」として一般的には認知されている。

 ピット星人によって品種改良された淡水魚と草食動物の合成生物であり、幼体が前者の、成体が後者の特徴を色濃く受け継いでいる。地球に現れたエレキングは侵略行為に利用される生物兵器であるため凶暴化しているが、本来の姿は宇宙の微生物や植物を主食とするおとなしい動物という設定である。

 身長は幼生時20cm、成体時は53mで、体重は幼生時が500g、成体時が2万5000tとされている(書籍・個体によって差異有り)。
 初登場となる『ウルトラセブン』第3話にて、木曽谷の吾妻湖にて灰色の皮膚の幼体が放流され、ピット星人に育てられて短期間で成長。ピット星人の指令電波で操られるが、自律的行動も可能である。
 体表から50万ボルトの電気ショックを放ち、口部分の半透明の発光体から三日月状の高電圧の放電光線や炭酸ガスを発射出来る。

 幼体時は非力で、釣り人に魚と間違われて釣られそうになり、少女に変身したピット星人に助けられたが、その後危機に際して赤い閃光と共に巨大化。カプセル怪獣ミクラスと戦い、パワーでは馬鹿力を誇るミクラスに投げ飛ばされもしたが、尻尾を巻き付けての電気ショックで勝利した。
 その後ウルトラセブンとの戦いでも、同様に尻尾による放電攻撃を浴びせるが、致命的なダメージを与えるには至らず、エメリウム光線で両方のアンテナ角を破壊されて動きを止めたところをアイスラッガーで尻尾と胴体、首を切断され、爆散した。
 後年、『ウルトラマンタロウ』にて月の光をエネルギーとして吸収し、激昂怪獣として復活したが、その他の作品に登場した者は別個体である。


怪獣としての立場 エレキング『ウルトラセブン』に登場した怪獣を代表する怪獣であるとともに、「電気を武器として操る怪獣」を代表する怪獣でもある。

『ウルトラセブン』は前作の『ウルトラマン』と比して、「地球は異星の宇宙人に狙われている。」という背景色が強く、登場した怪獣の多くは宇宙人に操られていた。
 その中にあって、エレキングは第3話にして(カプセル怪獣を別にして)初めて登場した「宇宙人に使役される怪獣」で、第1話、第2話に登場した宇宙狩人クール星人も、生物Xワイアール星人も自分で戦い、怪獣を使役しなかった。
 また、両者とも白兵戦においてセブンに比較的あっさり敗れている。それとは対称的に、エレキングは得意の電撃攻撃でミクラスを破り、セブンも苦戦させた。つまり、エレキングは「作中初めて強敵感を醸し出した存在」と云える。

 そして電撃を武器にする怪獣という意味においては、先達である『ウルトラマン』に登場した透明怪獣ネロンガがいるが、ネロンガは肩書通り、透明化能力の方が特殊能力としてはメインで、電撃による攻撃能力もあったにはあったが、エレキング程にはウルトラマンを苦しめていない。
 詰まる所、エレキングは登場回が第3話ということもあって、様々な意味で「初めての怪獣」という足跡を残した。放映から27年を経て、特番『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』が放映され、『ウルトラマンレオ』第40話以来生死不明だったウルトラセブンの生存が確認され、フルハシ(毒蝮三太夫)、友里アンヌ(ひし美ゆり子)といった懐かしのメンバーが再登場する記念的な作品において、敵役としてエレキングが選ばれたことに多くの視聴者が納得したことだろう(他の怪獣推しの方であっも、エレキング選択を全面的に否定する人はまずいないと思われる)。

 別途特筆すべき点として、使役怪獣の多くが侵略的宇宙人から攻撃兵器、言葉悪く云えば「武器」・「道具」としての存在でしかなく、その命を重視されなかったことが多かったのに対し、ピット星人エレキングを比較的大切にし、第3話冒頭で釣り人に釣られそうになったときは自ら助けていたし、『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』でウルトラホークからの攻撃で負傷したエレキングをカプセル内にで治療していた際も、「地球人って、野蛮よねぇ。」と呟いていた。「自分達が侵略していたのを思い切り棚に上げて何を云ってやがる?」と罵りたくなる台詞だが、ここは「使役しつつも、エレキングを可愛がっている。」と好意的に受け止めてあげたい。

 とにかく、「立場」で物云えば、エレキングは「『ウルトラセブン』を代表する怪獣」と云っても過言ではなく、同作の先駆け的な怪獣とも言えよう。


注目の「キング」要素 前項の「怪獣としての立場」とほぼ被る。つまりは、エレキングは「代表選手」という意味で「キング」としての色合いが強い。
 実際、前言を翻す訳では無いが、ウルトラセブンとの戦いでも、電撃攻撃で苦戦させたが、同じ攻撃を受けたミクラスが全身から火を噴いてノックダウンしたのに比して、セブンはダメージを受けたのは間違いなかったが、ノックダウンには至らず、セブンはエメリウム光線を放つ余力を残していた。
 後に第48話にてそれまでの連戦でセブンがすっかり疲弊し切っていたのは有名だが、この時セブンが双頭怪獣パンドンに放ったエメリウム光線は人間大で例えれば1mも飛んでいない距離で停止しており、充分な体力が無いと放てない技であることが分かる。
 それ故エレキングが電撃攻撃でセブンに与えたダメージは、痛みこそ大きいものの、身体能力や特殊能力に大きく影響するほどではなかったと思われる。もっとも、同じ第48話でセブンがダメージを蓄積してきたことを物語る過去の回想シーンではエレキングによる電撃攻撃のシーンもあったので、セブンの体にダメージを蓄積させる程には有効な攻撃であったとも云えるし、「最初にセブンを苦戦させた怪獣だから回想シーンに出て来た。」とも云える。

 そして27年後の『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』にて、ウルトラ警備隊隊長に就任していたフルハシはエレキングの弱点が角であることを思い出し、ウルトラホーク1号からの攻撃を受けたエレキングは敗走した。この展開からしても、エレキングは「弱い」とまでは云わないが、「強豪怪獣」と呼ぶには逡巡するものがある。

 やはり、エレキングも前頁のレッドキング同様、「そこそこの強さを持ち、作品を代表する怪獣となっている」という意味での「キング」と云えよう。


余談 『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』にてエレキングが再登場したのに伴い、当然の様にピット星人も再登場した。『ウルトラセブン』第3話で、エレキングがセブンに敗れたものの、いつの日か地球を侵略する為の調査は為せたとしていたピット星人は、地球人のことを調べ得たことの一つとして、「地球人の男性は可愛い子に弱いことが判明した。」としていた。それ故、再登場に際しても、二人のピット星人が地球人女性の姿に変身し、そのスーツアクトを梛野素子さん、吉尾亜希子さんが担い、人間体を実桂さんが初代同様一人二役で演じたのだが、実桂さんが牧瀬里穂さんに見えて仕方無かったのはうちの道場主だけだろうか?




次頁へ
前頁へ戻る
冒頭へ戻る
特撮房へ戻る

令和七(2025)年一一月一五日 最終更新