第7頁 大蟹超獣キングクラブ………キングなのはサイズぐらい?

怪獣名キングクラブ
肩書大蟹超獣
出身地異次元・岡山県
初登場『ウルトラマンA』第15話「夏の怪奇シリーズ 黒い蟹の呪い」 
キング度4
キング要素体のでかさ(特に尻尾の長さ)


概要 例によって、ヤプールによって宇宙怪獣とカブトガニが合成されて生まれた超獣である。海を汚染されたことに対して人類を怨み、人を食って成長し、火炎と溶解泡を吐いて海岸を暴れ回った。

 TACの攻撃を受けて逃走し、鷲尾山ハイランドに姿を消して身を潜めていたが、不思議な少年の証言によってTACに発見され、窒素爆弾を受けてその姿を表した。
 ウルトラマンAとの戦いでは当初は殴り合いを展開したが、Aが柏手を打ち、四股を踏むと何故かキングクラブもこれに応じて四股を踏んだ。程なく通常の殴り合いに戻り、Aはその巨体を寝かせてグランドで戦闘を有利に運んでいたが、キングクラブは長大な尻尾をAの首に巻き付けて締め上げた。
 だがAは重ねた両手に装着するように渦を巻いた光線・ドリル光線でもって尻尾をバラバラにして危地を脱出。キングクラブはリフトアップされて投げ飛ばされたところにTACの機銃掃射を浴びせられた。
 これに火炎を吐いて抵抗したキングクラブだったが、Aのアタックビームに爆殺された。


超獣としての立場 う〜ん………ここまでメジャー怪獣が続いて来たが、ここで一気にマイナー化したな(苦笑)。まずキングクラブが持つ特別な立場としては、「夏の怪奇シリーズ」のトップバッターを担ったということだろうか?
 正直、『ウルトラマンA』の作風的に、キングクラブを初め多くの超獣がマイナー化するのは止むを得ない面があった。

 まず、『ウルトラマンA』は第2期ウルトラシリーズ第2作目だが、ウルトラシリーズとしては『ウルトラQ』から数えて5作目で、登場した怪獣・宇宙人・超獣の総数も増え続ける中、余程有名な作に登場したものでないとマイナーな存在として埋没するのは避けようがなかった。
 キングクラブが登場したのは第15話だが、第1話のベロクロン、ゾフィーが初めて戦った第5話に登場した大蟻超獣アリブンタ、第7話・第8話の2話登場で、巨大魚怪獣ムルチを引き裂いて超獣の格を見せつけた蛾超獣ドラゴリー、直前の第13話・第14話に登場し、ウルトラ5兄弟が十字架に架けられるというインパクトある話に絡んだ殺し屋超獣バラバに比べると他の超獣の存在感が薄れるのも無理はない。

 また「夏の怪奇シリーズ」ということでストーリーの不気味さが優先されたためかは詳らかではないが、キングクラブは決して強くなかった。
何せカニのくせに打たれ弱かった。カニ、或いはカブトガニをモチーフとした怪獣、改造人間、怪物であれば、硬い甲羅による防御力を売りにしそうだが、このキングクラブ、TACスペースからの火炎爆弾攻撃に体を揺らして七色に発光させると空間に溶け込むようにしてその姿を消した。命を落とさなかったとはいえ、カニがモデルにしては意外であった。
 また窒素爆弾を投下された際も酸素不足に苦しみ、隠していた姿を表してしまったのだから、見た目に反して全く打たれ強くなかった。
 左右非対称の大顎、長い尻尾、七色に発光して姿を消す能力、火炎と溶解泡、とかなり技も多彩なのだが、そのどれもがA相手に有効打となり得ず、Aはほぼ危なげなくキングクラブを撃破した。

 敢えて特別な立場を挙げれば、「ヤプールの命令を受けていなかった」、「ナレーションに同情されていた。」が挙げられる。まあ、「命令」については単にそのシーンが無かっただけで、沿岸襲撃が既に命令に則した行動かも知れない。それよりはやはりナレーションに同情されていたことの方が稀有で、それは取りも直さず、キングクラブがカブトガニの超獣で、天然記念物であるカブトガニが環境破壊で個体数を減らしていることをナレーションは同情的に触れていた。
 食人という生態を持つキングクラブは充分に恐ろしい存在で、人類としては否も応もない駆除対象なのだが、犠牲者の中に密漁者が含まれることもどこか同情を誘っていた様だった。
 惜しむらくは「夏の怪奇シリーズ」は3話で終わった。梃入れが功を奏し、シリーズが一夏丸々続くようだったら、その先駆けとしてキングクラブの存在感はもう売輿大きかったかもしれない。


注目の「キング」要素 実はキングクラブの身長88mは、『ウルトラマンA』に登場する全超獣の中で最大で、サイズは間違いなく「キング」だった……………………逆を云えば、これぐらいしか威張れるものが無かったりする(苦笑)。

 これはキングクラブに限った話ではないが、実在する動物の世界にオウサマペンギンという種がいて、ペンギンの中で2番目に大きいことで「キング」の名が冠せられている様に、「大きい」という意味で「キング」と付くものが怪獣・超獣の中にも見受けられる(1番大きいペンギンは「コウテイペンギン」であり、分かり易い(笑))。
 身も蓋もない云い方をすると、単にデカいだけで「キング」と名付けられている訳だが、冷静に考えるとこのキングクラブのデカさはかなり脅威である。その昔、『空想科学読本』シリーズで柳田理科雄氏は初代ウルトラマンの身長40mに対して、ゼットンアボラスの60mは「小学校1年生が高校3年生と相対するようなもの」と例え、「コイツラは真剣に怖い!」としていた。イラストでもランドセルを背負った小学生風のウルトラマンが、1.5倍の身長の学ランを着て煙草を持ったアボラスを前に怖がるものが描かれていた。
 そこを行くと、ウルトラマンAの身長40mに対するキングクラブの88mは2.2倍!身長172pのシルバータイタンが378.4cmの直立したホッキョクグマと相対するようなものである。ちなみに記録に残る最もデカいホッキョクグマはアラスカで撃ち取られた個体で、直立12フィート=365.76cmで、Aから見たキングクラブは、シルバータイタンから見たホッキョクグマより更に12cm高いことになる………………まあ、ここまで来たら10cm高かろうと、低かろうとそんな相違以前の恐怖だとは思う。
 もし、成人男性が直立したホッキョクグマと対峙して怖くなかったとしたら…………………それは勇敢なのではなく、阿呆だろう。

 ただ、残念なことにウルトラ兄弟の1.5〜2.2倍と云った怪獣・超獣の体躯が持つ脅威は画面上には現れない。よっぽど特別な設定が無い限りウルトラ兄弟とほぼ同体格である。実際に1.5倍以上も上背がある相手との戦いでは好勝負を展開するにはかなりバランスが悪いことだろうから、これは仕方ないというのも理解は出来る。
 ただ、キングクラブにデカさ以外の「キング」要素が無く、せっかく登場超獣の中で一番デカいのであれば、それに対する言及は何処かで欲しかったと思う。本来巨大な体躯は充分自慢材料なのだから。




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令和七(2025)年一一月二三日 最終更新