Page3.侵略者からストーカーへのスケールダウン(苦笑)………マグマ星人(2代目)

登場 『ウルトラマンレオ』第30話
行動目的宇宙鶴ローラン篭絡(転じて殺害)
戦闘手段マグマサーベル、ニードル飛ばし
力量前よりチョットマシ?
性格狡猾・粘着質、そして変態(笑)
決着討死


作中行動 身も蓋もない云い方だが、『ウルトラマンレオ』第30話に登場したマグマ星人(以下、「2代目」と表記)のやったことはストーカーである。それも現実の人間社会に照合すれば、確実に刑事罰を受ける悪質ケースに相当する。

 第2話で双子怪獣を倒された後、マグマ星として地球侵略をどう考えていたかは不明だが、積極的でなかったのは間違いないだろう。
 この第30話においても2代目の標的はあくまで宇宙鶴ローランを我が物にすることで、ローランが地球に逃げなければ地球を訪れる予定すらなかったと思われる。

 地球に程近いとある星でローランへの求愛に勤しんでいた2代目は物の見事に振られ(笑)、力づくでローランを我が物にせんとしてニードル攻撃でこれを負傷させたが、近くをパトロール中だったおヽとりゲン(真夏竜)のマッキー3号による機銃掃射に邪魔された。

 結局ローランは地球に逃げ、負傷した自分を解放してくれた自転車屋の主人・大熊(黒部進)に恩返しすべく、地球人女性・星村(桜井浩子)に変身して押し掛け店員となり、自分の羽根を使用した風車で店を繁盛させたが、2代目はそこにローランの気配を感じ、ローランの風車を持つ多くの子供を襲い、風車を強奪した。

 直後、この蛮行を追って来たMAC隊員達に攻められ、一般隊員には格闘で圧倒したものの、ゲンには丸で抗し得ず、逃走。子供達への襲撃を悲しんだローランは宇宙に帰ることを決意し、そこにゲンの提案・作戦に誘き出されることとなった。

 宇宙に帰らんとするローランに対して、自分の物にならないなら殺してしまおうと決意した2代目は元の姿で荒野に立ち尽くしていたローランを襲撃。
 だが、これは完全な囮で、抵抗するローランを取り押さえんとしているところにウルトラマンレオが現れ、因縁の対決が展開。格闘の流れは両者互角に見えなくもなかったが、幾多の死闘と特訓で鍛えられたレオを相手にこれといった良いところも発揮出来ず、ローランの風車を心臓に受けて絶命・消滅した。


同個体か?別個体か? 思う処あって、「2代目」と表記したが、『ウルトラマンレオ』の第1話・第2話に登場したマグマ星人と、第30話に登場した2代目が同個体か、別個体かは作品・設定共に明らかにしていない。

 結論から云えばシルバータイタンは別個体説を採っている。理由として、

 一、使用武器の相違(初代・サーベルと鉤爪フック、2代目・サーベルとニードル飛ばし)
 二、怪獣への態度(初代・双子怪獣を完全に道具扱い、2代目・ローランを性の対象としている)
 三、技量(初代・実戦経験の乏しい未熟なレオに圧倒され通し、2代目・完敗したとはいえ、充分な実戦経験を積んだレオと互角の体術を見せた)
 四、レオの敵意(初代・怖い程の敵意を剥き出しにしていた、2代目・小馬鹿にした台詞をゲンが吐いており、殺害後にゲンは何の感慨も示さなかった)

 ただ、上記の要因は理由としては弱いと思っており、完全に同個体説を捨て切っている訳ではない。
 「一」の「武器の相違」だが、行動目的の違いから再登場時に以前使わなかった武器を用いただけと取れなくはない。
 「二」の「怪獣への態度」も、人間が異なる種の動物に対して使役・愛玩の異なる態度になる例はいくらでもある。
 「三」の「技量」も、いつかレオが報復に来ることを思えば、多少は鍛えることで以前よりは技量を上げていたと思えなくはない。
 「四」の「レオの敵意」だが、多くのヒーロー番組はヒーローが復讐に固執し続けることに否定的で、ゲン自身第2話で復讐に捉われないことをダンに諭されている。

 他にも、ゲンが「僕の両親の仇」と言及していたことからも初代と2代目を同個体と見るのは決して無理な見方ではない。
 結局は推測の域を出ないのだが、シルバータイタンは、ヒーローに復讐に捉われ過ぎた言動に走って欲しくなくても、理不尽な殺人を行った者はきっちりその報いを受けて欲しいと願う人間なので、性格・行動の変貌に加え、その死に様が一顧だにされなかったことからも10中6程度の確率で別個体説を採る次第である。

 いつか何らかの形でレオ兄弟がL77星人達の無念に報いた描写を観たいものである。例えそこにマグマ星人の生死が絡んでいなかったとしても。



性格・技量 まあ、異種宇宙人間の恋愛や性行為が厳密に設定されているとは思えんが、ぶっちゃけ、獣姦趣味のストーカーと化した2代目にはドン引きした(苦笑)。
 『ウルトラマンレオ』放映当時、「ストーカー」と云う言葉は無かったし(別の意味では存在したが)、子供番組で獣姦が描かれる訳は無いが、調べてみると恋する相手への叶わぬ想いが昂じて(程度は様々だが)猟奇的な悪行に走る者は有史以来枚挙に暇がなく、獣姦自体も遥か古代から記録がある。
 まあ、シルバータイタンにはその手の趣味は無いので、これ以上は真剣に考えたくない。ただ、ローランの怪獣形態時の容姿が殆ど恐竜に等しいことから、この容姿を「宇宙で一番美しい」としたマグマ星人を初めとする宇宙人的な美の価値観は不可解とだけ述べておきたい(ちなみにローランの人間形態を演じた桜井浩子氏は、同話が『鶴の恩返し』を基にした作品故、ローランに対して薄幸の美少女の様なイメージを抱いていたため、実際の容姿に憤慨されたらしい(苦笑))。

 一方の技量だが、恐らくは初代と大差はないと思われる。ただ、等身大でMAC隊員達と格闘した際は、タイマン勝負に三連勝したので同作に登場した多くの宇宙人に大幅に劣ることは無いと思われる。
 また、前述した様にこの時点で死闘・特訓で鍛えられていたレオとある程度互角に戦ったことから、初代よりは強いと思われる(初代と同個体だったとしても、戦闘能力をアップさせていたのは間違いなかろう)。



存在感 微妙である。
 満を持して再登場したマグマ星人としては格闘に取り立てて精通している訳でもなく、以前の様に強力な怪獣を率いた訳でもなく、L77星との因縁についても申し訳程度にしか触れられていなかった。
 その一方で、粘着質なストーカー気質と、意にならぬ相手を殺害せんとする歪んだ情、子供番組では詳細に触れられない獣姦趣味(苦笑)は長いウルトラシリーズに在っても極めて稀有な存在である。

 マグマ星人自体がウルトラシリーズの歴史で独特の存在感を持っているので、レオが打倒したこともある故、2代目の存在感が色褪せることは無いだろうけれど、恐らく当人にとっては本意とは程遠い事だろう(苦笑)。



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令和三(2021)年六月一一日 最終更新