Page4.名を上げんとして返り討ち………マグマ星人BB&BR

登場 『ウルトラマンメビウス』第16話
行動目的宇宙剣豪ザムシャーを倒しての名上げ
戦闘手段マグマサーベル、鉤爪鎖
力量 一応、剣豪を目指す程の力量は有ると思われる。
性格狡猾だが身内想い。時代劇口調で話す趣味(?)を持つ。
決着兄弟共々討死
作中行動 やったことは宇宙剣豪ザムシャーとの果し合いである。
 そして作中における役割は、ザムシャーの強さを際立たせる為の、所謂「噛ませ犬」だった。

 宇宙剣豪ザムシャーは出身地も不明で、宇宙をまたに掛ける肩書通りの剣豪で、より強い相手と戦うことに生き甲斐を感じる好戦的宇宙人だった。作中に登場した目的は健啖家宇宙人ファントン星人から聞いたハンターナイトツルギ(ウルトラマンヒカリ)と戦う為だった。
 だが、強敵を倒し続けて剣豪として名を馳せることは、同時に自らも名を上げる為の標的とされることを意味し、地球近くまで来たところでマグマ星人BB(ブラザーブルー)・マグマ星人BR(ブラザーレッド)の挑戦・襲撃を受けた。

 同話が始まった時点で既にマグマ星人BBとザムシャーは干戈を交えており、互いに相手を斬り殺すことに集中する両者に会話は無いかに思われた。だが、目的の為に手段を択ばない性格のマグマ星人BBは、弟のマグマ星人BRとの二人掛かり、加えて兄の体の陰に隠れて弟が攻撃を仕掛けるという姑息な戦術を展開したが、攻撃はあっさり躱されてまず兄のBBが真っ二つに斬られ、程なく弟のBRも斬り殺されて両者は目的を達せられなかっただけでなく、その命まで落としてしまったのだった。

性格・技量 単純にザムシャーと比較するならその力量は格段に劣っていた。
 前述した様に、兄弟二人掛かりで姑息な手段をもってしてもザムシャーには全く通じず、策が破れた途端に相次いで秒殺されたのだから(しかもザムシャーは直後に襲ってきた宇宙海人バルキー星人をあっさり返り討ちにしていたので、マグマ星人BB&マグマ星人BRとの戦いで全く消耗していなかった)。

 だが、対ザムシャーの対戦成績だけを持ってマグマ星人BB&マグマ星人BRの強弱を図るのは早計である。何せ、ザムシャーはべらぼーに強かった
 マグマ星人BB&マグマ星人BRを斬り伏せた直後にバルキー星人を返り討ちにしたのは前述したが、ウルトラマンメビウスに対してもメビュームブレードを折るという快挙を達成した。

 最終的にはメビウスの何かを守りたい想いから発する力に愛刀・星斬丸を折られて撤退したが、純粋に戦闘するだけならこの時点でまだルーキー色の抜けないメビウスを圧倒していた可能性は充分にあった。
 そして最終回三部作にて再登場した際には、無双鉄神インペライザーを一刀の下に真っ二つにすると云う剣技の冴えを見せつけた(インペライザーはロボット系としてはあの宇宙ロボットキングジョーより強いと見られている)。

 何かマグマ星人よりもザムシャーの強さを分析している気がするが(苦笑)、そのザムシャー相手に短時間とはいえ、数合に渡って斬り結べただけでマグマ星人BBにはかなりの技量が有ると見れなくもない(実際、バルキー星人やインペライザーは殆ど斬り結べていない)。

 後、これは少々飛躍したものの考え方だが、マグマ星人に限らず、ある程度力量に自信がないとザムシャーに挑めないと思われる。力量不足だとザムシャーに返り討ちに遭うのは勿論だが(←実際そうなった)、首尾よくザムシャーを倒した暁には、今度は自身がザムシャー同様に賞金首・チャンピオンベルト的に宇宙中の剣術家宇宙人からその首を狙われる日々が始まるのである。
 となると、マグマ星人BB&マグマ星人BRは姑息な手段を用いてでも高名を欲する一方で、剣豪として命のやり取りを繰り返す日々に身を投じることを辞さない、ある意味ザムシャーと似た性格をしていたのかも知れない。



存在感  如何せん、噛ませ犬として登場させられたのが痛い。
 Wikipediaの記述によると本来『ウルトラマンメビウス』第16話にマグマ星人が登場する予定はなかった。ただ、剣豪であるザムシャーの剣技の冴えを見せる為、剣術を駆使しそうな宇宙人を登場させる必要に迫られ、衣装倉庫を探したところ、マグマ星人とバルキー星人の起用が決定した。

 もし、倉庫の中に火炎宇宙人ファイヤー星人や極悪宇宙人テロリスト星人や奇怪宇宙人ツルク星人の着ぐるみがあれば、マグマ星人が登場したかどうかは微妙だった。

 ただ、「剣術」にこだわるのなら、バルキー星人を外したとしても、「サーベル暴君」であるマグマ星人は充分起用されたことだろう。
 ストーリー的に勝てぬまでも、ザムシャーに対して善戦すれば「サーベル暴君」の面目躍如となっていただけに、対戦が組まれただけでも重要だった気がするし、姑息な手段を用いて尚あっさり敗れた様はウルトラシリーズに悪い意味での足跡を残したともいえる。

 別の視点に立てば、初めて喋ったことや、「兄弟」として描かれたことが独特の存在感を残していると云える。
 ただでさえ地球侵略にやって来る宇宙人の多くは単体で、集団宇宙人フック星人や幽霊宇宙人ゴース星人の様にある程度の人数で襲来したケースもあるにはあるが、それらの宇宙人同士の対人関係の多くは詳らかではなかった(稀に誰がリーダーかが辛うじて分かる程度だった)。
 その点、同話におけるマグマ星人BB&マグマ星人BRは兄弟であることがはっきり描写されていたことも稀有なら、BBが討たれた際にBRがショックの表情と台詞を示していたのも稀有だった。
 マグマ星人は口腔部が露出しているので、表情や感情を露わにするのに性的なキャラだが、この話まで喋ることもなく、僅かに『ウルトラマンレオ』第1話でやぶ睨みの表情がアップになっただけだった(同作第30話でローランを追いかけ回し、逆恨みした時もボディーアクションのみで、顔で感情は示さなかった)。

 あっさり討たれ、地球に降り立たず、ウルトラマンメビウスとも地球人とも絡まなかった故、作中での存在感は決して大きくないが、他の宇宙人には滅多に見られない情や対人関係を見せた独特の存在感をマグマ星人BB&マグマ星人BRは持っていると云えよう。



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令和二(2020)年一二月二二日 最終更新