Page6.マグママスター・マグナ

登場 『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』
行動目的賞金稼ぎ
戦闘手段スティンガーサーベル、ライトニングクロー
力量未熟→高レベルに成長(詳細後述)
性格目立ちたがり屋。功名心強し
決着ラッシュハンターとして先輩に認められる成長を遂げる。
作中行動 正直、このマグママスター・マグナを歴代マグマ星人の中に加えるのにはかなりの躊躇いがあった。というのも、マグママスター・マグナが登場する『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』はウルトラシリーズに登場する怪獣を主な題材としたデータカードダスの一つで、そもそもシルバータイタンはデータカードダスと云うものが分かっていない (苦笑)。

 つまり語ること自体がおこがましいと云えるのだが、円谷プロダクション創立50周年新事業展開の一つで、『新ウルトラマン列伝』内でCGショートムービーにて平成25(2013)年9月18日から10月16日まで放送された際のインパクトが忘れられなかった。

 また、この『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』は一連のウルトラシリーズとはパラレルワールドで、そこにはウルトラ兄弟がいない。それゆえ数多くのマグマ星人の一人としてカウントすることに躊躇いがあった。
ただ、アナザーワールドであるプラズマギャラクシーなる宇宙を舞台に、ゴールドラッシュをモチーフとした大怪獣ラッシュというオリジナルストーリーは、ウルトラ兄弟も人類も登場しない世界で宇宙人達が個性豊かに様々な人間(?)模様を展開するもので、ここで主役に等しい立ち位置にあるマグママスター・マグナは外せなかった!

 と云う訳で、中途半端は百も承知の上でマグママスター・マグナの作中行動に触れるが、プラズマギャラクシーには等身大の宇宙人達が3人で1チームを組み、武器を用いて巨大なプラズマ怪獣をハントする。
 登場する宇宙人達は云わばハンターで、賞金稼ぎで、中には彼等武器を売る商人カネゴン・ア・キンドなるキャラクターもいる。
 そんな世界においてマグママスター・マグナは、ガッツガンナー・ガルム(ガッツ星人)・バルタンバトラー・バレルとチームを組んで様々なプラズマ怪獣をハントした。

 「若き熱血ハンター」の異名を取るマグママスター・マグナは、チームメイトのガルムやバレルより明らかに年少で、経験も乏しかった。彼は二人の先輩を「ガルムの旦那」や「バレルっち」と呼んで慕い(?)、当初ガルムからは「ひよっこ」と呼ばれていた。
当然、当初は『ウルトラマンレオ』における初期のレオの如く弱く、真っ先にプラズマ怪獣に突っ込んでいっては、裏拳で殴られ、光線で燃やされ、手酷い目を見て来た。
それでも非常に頑丈な体を持っていたことが幸いし、プラズマ怪獣の苛烈な攻撃を受けてもさして重傷を負うこともなく、深い愛着を持つサーベルでの剣技を向上させていった。

ベロクロン戦にて偶然自身の鎧の力を突発的に引き出したことでガルム・バレルからとどめを任され、新技バーサクの発動でベロクロンのミサイルを投げ返して自滅させた。
プラズマキラーザウルス戦では、プラズマキラーザウルスに取り込まれていた伝説の七星剣の一つ・妖刀ナナマスを一時的に手にし、エネルギーを集めて繰り出す斬撃・ボルカニックスラッシュでプラズマキラーザウルスに一太刀浴びせ、これを撤退せしめた(役目を終えたナナマスはプラズマキラーザウルスの撤退に呼応するように、宇宙へ飛び去って行った)。
ベロクロン戦を終えるころにはガルムからも「相棒」と呼ばれるようになり、かかる展開を経てマグママスター・マグナはウルトラシリーズ史上初めて宇宙人にしてその成長が描かれる稀有な存在となった。


参考@:主な登場宇宙人
マグマ星人・バルタン星人・ガッツ星人・メフィラス星人・ザムシャー・ダダ・チブル星人・デスレ星雲人・ナックル星人・ヒッポリト星人


参考A:主な登場プラズマ怪獣
レッドキング・ネロンガ・エレキング・アントラー・スーパーアースゴモラ・ガンダー・キングジョー・プラズマキラーザウルス



性格・技量 少し前述しているが、ストーリー自体がマグママスター・マグナの成長譚としての側面を持っていたので、初期のマグママスター・マグナは未熟だった。
 チームを組んでいたバルタンバトラー・バレルが「命知らずの宇宙忍者」、ガッツガンナー・ガルムが「智謀に長けた戦略家」と呼ばれていたのに対し、マグママスター・マグナは良い意味でも悪い意味でも「若き熱血ハンター」と呼ばれていたように直情的な性格で、それは行動にも表れていた。

目・腰辺りまで伸びた髪・マントが真っ赤で、そのカラーの如く血の気が多く、右腕に装着するスティンガーサーベルを引っ提げ、事あるごとに「俺の見せ場」と称して真っ先にプラズマ怪獣に突っ込んでいく目立ちたがり屋である。
初期はその未熟者故にプラズマ怪獣から手酷い反撃を受け続けたが、非常に頑丈で、前述の裏拳・光線に平気で、避雷針代わりになってもほぼ無傷だった。

 例え弱くても、死なずに戦闘経験を積み得たことは重要で、当初はガルムから「ひよっこ」と呼ばれていたマグママスター・マグナもベロクロン戦では偶然自身の鎧の力を突発的に引き出したことに成功した。
その戦闘に際してとどめを刺すのに戸惑いを見せるも、ガルムの「頭なんて使わずマグマ魂で見つけてみろ。」というアドバイスを受け、自力で鎧の力を引き出して新技バーサクの発動に成功するなど、精神的な成長も遂げた。

 作風やストーリー展開からマグママスター・マグナに限らず、登場キャラクターとしての宇宙人達の性格が赤裸々になるのは必然だったが、かかる人間臭さ・青臭さを振られたキャラクターは誠に稀有と云えよう。



存在感 何せウルトラ兄弟でもないのに主役待遇を受けたのは『大怪獣バトルギャラクシー』のレイ(南翔太)とこのマグママスター・マグナぐらいである。

 まあ、『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』にはウルトラ兄弟も人類も登場せず、実写ならぬCG映像と云う異色過ぎる作品で、本来はデータカードダス限定で、シルバータイタン自身『新ウルトラマン列伝』にて放映されなければ殆ど知ることは無かっただろうし、ウルトラ作品においてその存在感が大きいかどうかは微妙だ。

 ただ、極めて独特の存在であることは間違いなかろう。
 私見になるが、ウルトラシリーズにて数多くの宇宙人が存在する中、何故にマグマ星人が、それも熱血漢の役を振られたのかをシルバータイタンなりに考えてみた。
 それは恐らく、以下の二点ではなかろうか?

マグマ星人が滅ぼしたL77星の王子・ウルトラマンレオとの対比。
●「冷酷で姑息で粘着質な侵略者」と云うイメージとのギャップ。

 まず前者だが、マグマ星人がウルトラマンレオの故郷L77星を滅亡に追いやった履歴を持ち、憎むべき敵役として登場したのは全くの周知である。レオにとっても視聴者にとっても歴史的に忘れようのない存在なのだが、そんなウルトラマンレオとマグママスター・マグナはどこか似ている。
 感情の向くまま、考えるより先に出撃し、卓越した素質を持ちながら経験不足が祟って返り討ち的に負傷・撤退する。
 制作陣はレオとマグママスター・マグナと云う不倶戴天の仇敵を敢えて似た行動パターンに置くことで趣を深めたのではなかろうか?

 次いで後者だが、『ウルトラマンレオ』におけるマグマ星人のイメージは、「冷酷で姑息で粘着質な侵略者」と云うカラーが強かったが、このマグママスター・マグナは真逆である。
 特に初代は双子怪獣がウルトラセブンに対して優位になってから姿を現し、レオの乱入後形勢が不利に転ずるや即座に撤収していた。そこを行くとマグママスター・マグナは好んで危険に飛び込んでいる様にすら映る。
 従来と真逆のマグマ星人を描くことで、制作陣は宇宙人ウォッチングに深みを与えてくれたようにシルバータイタンには思われた。

 逆の見方をすると、ラッシュハンターと云う賞金稼ぎ的にプラズマ怪獣に等身大で挑む熱血狩人を描かんとして、主人公の性格を設定し、そのキャラとは逆のイメージを持つ者を敢えて据えようと考えたところ、マグマ星人に白羽の矢が立てられ、マグママスター・マグナが生まれたのではなかろうか?

 かように、様々な意味で独特の存在感を持つマグママスター・マグナだが、一方でサーベルや鉤爪を愛用し、目立たないながら技量以上に頑丈さ(経験的に戦闘能力未熟だったのレオに圧倒されていたマグマ星人も、結構まともに食らったレオキックに耐えている)を持つ点が従来のサーベル暴君マグマ星人のイメージをしっかり踏襲しているところも興味深い。

 いずれにせよ、マグママスター・マグナ『ウルトラマンSTORY0』マグマ星人総統と並んでマグマ星人の多様性に一石を投じたことに疑いの余地は無いだろう。


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令和三(2021)年一月二日 最終更新