6.ブラックサタン(仮面ライダーストロンガー)

6−1.バズーカ部隊
登場話
第13話「一ツ目タイタン! 最後の逆襲!!」


有効性
 戦闘員が奇械人エレキイカを倒した、というのがバズーカ部隊の有効性である。
 勿論、ブラックサタンの、引いては一つ目タイタン(浜田晃)の作戦的には本来の打倒対象である仮面ライダーストロンガーの砲撃には失敗しているので大した存在には思えないバズーカ部隊だが、ストロンガーが純粋にブラックサタンによって改造された存在で、本来なら奇械人スパークとなっていたことを鑑みれば、一つ目タイタン率いる戦闘員三名で構成されたバズーカ部隊は充分にストロンガーを倒し得る破壊力を有しており、その後あっさり蹴散らしたとはいえ、ストロンガーにとって決して油断ならない存在だった筈である。


 余談だが、道場主は昭和ライダーの中でライダーマンに次いでストロンガーが最も苦戦し易いライダーと捉えている。
 右腕のみの改造人間であるライダーマンを別格とすれば、ライダー達の改造手術執刀者を見ると、1号は恩師・緑川博士(野々村潔)、 V31号2号 Xライダーは父・神敬太郎(田崎潤)、アマゾンライダーはインカの長老・バゴー(明石潮)が担当しているが、彼等(緑川・本郷一文字・神・バゴー)の科学者としての才が悪の組織に所属する博士達のそれを大きく上回れば、誕生したライダーが個々に敵対組織の改造人間をスペック的に上回れることは想像に難くない。

 そこを行くと、ライダー2号ストロンガーは執刀時に、純粋に悪の組織の手で改造されている。そんな彼等が同条件で改造された改造人間達の戦闘能力を凌駕する為には、後付けの再改造や、特訓によるスペック向上が必要とされる。
 一文字隼人は改造前より本郷猛に匹敵する身体能力・戦闘能力を(『新仮面ライダーSPIRITS』によると)死神博士に見込まれており、城茂(荒木茂)の場合は、奇械人素体(通電)テストで最高の素質を示していることから、元々の素質は敵対組織の改造人間をそれなりに上回れたのだろうけれど、数々の特訓を積み重ねたり、再改造を施されたり、初改造の段階で悪の組織を上回る要因(執刀者)が加味されていないにしては、ストロンガーは奇械人に対しては危な気なく戦い続けた方だと思っている(確かに第31話で再改造が施されているが、それはブラックサタン壊滅後の話である)。


 話を戻すが、上記のストロンガーの改造過程を鑑みると、ストロンガーの格闘能力や実戦経験値が奇械人達を凌駕していたと考えたとしても、ストロンガーの肉体的な耐久力が奇械人達を大幅に上回っていたとは考え難い。電気特性を生かした防御力ならともかく、物体的衝撃度では奇械人ゴロンガメ奇械人メカゴリラの方が堅そうである。

 従って、繰り返しになるが、バズーカ部隊によるバズーカ砲三門による砲撃は奇械人スパーク仮面ライダーストロンガーの肉体を破壊するのに充分な力を持っており、奇械人エレキイカ爆殺直後に、ストロンガーが連射性に劣るバズーカ部隊を急襲し、蹴散らしたのもその破壊力を恐れればこそであるのは想像に難くない。シルバータイタンがストロンガーの立場でも次弾装填前にバズーカ部隊を攻撃したであろうし、逆に一つ目タイタンの立場だったら次弾装填までの間、身を挺してでもストロンガーの攻撃からバズーカ部隊を守ったであろう(ん?本末転倒か?(苦笑))。

 バズーカ部隊の有能性を語れば、部隊よりもバズーカ砲そのものが優れ物であることが云える。
 砲手を務めた戦闘員達は只の戦闘員で、肉弾戦ではストロンガーに全く叶わなかった(笑)。となるとバズーカ砲は他の戦闘員に砲手を務めさせることも可能で、第13話でストロンガー砲撃に失敗したにしても、ブラックサタンとしてはバズーカ三門と戦闘員三人で何度もストロンガーを脅威に曝すことが可能だった訳で、後の話にバズーカ部隊が再登場しなかったことには大いなる疑問が残るのである。


何故再利用されなかったか?
 理由は3つ考えられる。
 1つは敵方に渡った時の奇械人に対する脅威である。
 もう1つは砲弾の稀少性である。
 最後の1つはタイタンのプライドである。
 順に検証すると、バズーカ部隊の有効性がバズーカや砲弾にあるなら、多用することで正義の組織(機動隊・自衛隊・特殊部隊等)に渡れば人海戦術で奇械人の数体など簡単に撃滅出来る部隊を組織されかねない。
 また、奇械人の体を簡単に破砕出来る能力が砲弾にあり、その材質が稀少な物であれば、コストや常備性からバズーカ部隊の多用は見送られるだろう。
 最後にバズーカ部隊タイタンの直属だった場合、タイタンストロンガー打倒に失敗した部隊の再利用を自尊心から許さなかったり、自らに続く(ブラックサタン直系とは限らない)大幹部に有能な部隊を盗られることを認めなかったり、したであろうことも想像に難くない。

 ふむ、在り来たりだが、長年シルバータイタンとして、一つ目タイタン並びに百目タイタンのことを何度も考察していたためか、あっさりと結論が出てしまった(苦笑)。


ブラックサタンへの雑感
 はっきり云って、ブラックサタンの幹部模様は面白い。
 組織直属のタイタン、雇われ幹部のジェネラル・シャドゥ、最高幹部(にしては戦闘力も存在感も弱い)デッドライオンにそれぞれの思惑とこだわりとプライドがあり、そのやり取りに巻き込まれる奇械人並びに戦闘員達は本当に可哀想である(←と云いつつ目が笑っている)。

 そんなブラックサタンにあって、組織に属する改造人間であるところの奇械人達は、奇械人オオカミーンが改造ガス人間で、クラゲ奇械人が改造液体人間で、奇械人スパーク仮面ライダーストロンガーが改造電気人間で、タイタンが改造火の玉人間であることを考えれば、歴代悪の組織の改造人間にあって、デストロンの機械合成改造人間並にメカニカルな部分が多用されている奇械人は、存在自体が兵器としての要素が強い。
 故にブラックサタンの見所は、奇械人の特性及び作戦が毛色の異なる幹部達の間でどう展開するかにある。
 となると一つの兵器の存在感は極端に薄くなるので、一つ目タイタン時代に頻出したブッラクオートバイ部隊はそれなりにステータスを得ていたと思うし、バズーカ部隊のように真に有能なものが上手く活用されていればブラックサタンの恐ろしさは増大し、番組は大いに盛り上がったものと惜しまれる。  まあ、タイタンシャドゥの仁義なき戦いが見事に見せ場を為しているところにそこまで要求するのが酷なのは百も承知なのだが。



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令和三(2021)年六月一一日 最終更新