7−1.電キック返し(仮称)
登場話
第27話「改造魔人!!デルザー軍団現る!!」〜第33話「ストロンガー満月に死す!?」
有効性
仮面ライダーストロンガーのメイン必殺技である、ストロンガー電キックがデルザー軍団の改造魔人に命中したその刹那、そのパワーはたちまち逆流し、ストロンガー自身に跳ね返る(その流れに合わせて映像もポジフィルムからネガフィルムで逆送りされる)…………鋼鉄参謀が示したのを皮切りに、荒ワシ師団長、岩石男爵、狼長官がこの電キック返し(←呼称がなかったので仮称)である。
ストロンガー電キックはブラックサタンの奇械人19体とブラックサタン大首領を葬り、2度に渡ってこれを破った鋼鉄参謀もドクター・ケイトの毒ガスを食らって弱体化した後に電キックの前に落命している。まさに仮面ライダーストロンガーを代表する必殺技で、これをあっさり破ったことはデルザー軍団の恐ろしさを充分に見せつけてくれた。
ウルトラマンで云えばスペシウム光線を跳ね返したケムラー、ウルトラブレスレットを跳ね返したブラックキング並のインパクトを持つ防御システムをデルザー軍団は常備していることになる。
「常備」としたのは、この電キック返しが明らかに後付けの防御システムだからである。第27話のデルザー軍団成立直後、自分達にとって邪魔者となる仮面ライダーストロンガーの存在をジェネラル・シャドゥから告げられた改造魔人達は、その脅威を鼻で笑った。
その際に荒ワシ師団長は自分達がストロンガーの電気エネルギーを研究済みであることを言及し、最初に電キック返しを披露した鋼鉄参謀は電キックが放たれればそのエネルギーはたちまち逆流してストロンガー自身に跳ね返る、という前述の説明まで披露した。
更には2度目の対戦でも、ストロンガーが通常の奇械人との戦闘通りに好機と見て電キックを放った際にも同様にして電キック返しを発動し、戦機など関係なく働くシステムであることをほのめかし、荒ワシ師団長が同様に電キック返しを発動した際にも、「云っておくがなストロンガー、我々デルザー軍団の者に電気キックは効かん!」と云い放って、電キック返しがデルザーの常識のように告げた。
電キック返しが身体能力ではなく、装備と云える理由はまだ2つある。
1つは超電子ダイナモ内蔵手術を受けて改造超電子人間となり、基礎体力も向上したとされるストロンガーでも、電キックは岩石男爵・狼長官によって電キック返しの前に弾き返されている。
もう1つは磁石団長が電キックを食らった際には、大したダメージこそ与えていないものの、電キック返しによって電キックが弾き返されはせず、通常の飛び蹴り並の痛手は与えていた。ここから推察するに、どうやら電キック返しのシステムは結成式に参加した隊長ブランクまでの8人の改造魔人には装備されたものの、後から駆け付けたヘビ女・マシーン大元帥・磁石団長・ヨロイ騎士には装備されていない模様である。
もっとも、後発の4名の内、ストロンガー電キックを食らったのは磁石団長だけで、マシーン大元帥等は1号のライダーキック、 V3のV3キックの直撃にも耐える程の頑健さを持っていたので何とも云えないが(余談だが、マシーン大元帥は最後にチャージアップしていないストロンガーの電パンチ1発で最期を遂げたことを指して彼を弱い、と見る説があるがシルバータイタンは絶望からストロンガー道連れを図って、体内の自爆システムを解除したマシーン大元帥が殴り飛ばされた先で発動させてしまって一人爆死したと見ている)。
ともあれ、チャージアップの有無に関係なく、電キック返しは臨戦体勢のデルザー改造魔人の肉体を完全にストロンガー電キックから守り切り、勝負を有利に展開し、逆に電キック返しシステムを常備していなかった改造間人達に対しては、電キックは致命傷や深手は与えずとも、牽制ぐらいの効力は発揮していた。
では何故後発の改造間人達は電キック返しを装備していなかったのだろうか?
何故再利用されなかったか?
明らかに有効なシステムである電キック返しが後発の改造魔人達に装備されていなかった理由は3つ考えられる。
1つは時間的な問題、
もう1つは改造魔人達の過信、
最後の1つはジェネラル・シャドゥの陰謀、
である。
順に解説すると、最初の1つについては、後発の改造間人達の日本上陸を見たジェネラル・シャドゥがかなり驚いていたことから、彼等の日本上陸は予定外のことであり、かなり急なもので、装備が間に合わなかった可能性がある。
次の1つについては、前述のようにライダーキックの直撃や、超電ジェット投げとの鉢合わせにも耐える体を持つ改造魔人達が自らの頑健性を慢心し、端から電キックを馬鹿にして電キック返しシステムを装備しなかった可能性である。実際、先発の改造魔人の中でもドクター・ケイトやドクロ少佐は訳の分からない回避術で電キックを受け流している。
最後の1つは初っ端から改造魔人達の手柄争いを裏で糸引き、マシーン大元帥に指揮権を奪われたことを恨むジェネラル・シャドゥが先刻承知していた電キック返しシステムの装備についてわざと教えなかった可能性も充分に考えられる。
ま、戦いを重ねたストロンガーが基礎的な身体能力を向上させ、通常の電キックをも破壊力を向上させ、電キック返しシステムを破るようになっていた可能性も考慮の一端に入れたい所ではあるが。
7−2.ヘビ女のマント
登場話
第35話「帰って来た男!その名はV3!!」
有効性
デルザー軍団改造魔人同士の覇権争いの中、ただ一人尊敬するジェネラル・シャドゥに忠実だったヘビ女。同時にジェネラル・シャドゥが唯一その死を悼んだ存在でもある。
そのヘビ女は、相手をヘビ人間に変えて操る催眠術・右手の鞭・左手のヘビから発する火花攻撃・ヘビへの変身・自身が吸血を行った相手に毒液を注入する能力で仮面ライダーストロンガーを苦戦させ続けたが、そのヘビ女が最後の切り札として繰り出したのが、電気エネルギーを吸い取るマントによる絡め取りで、駆け付けた仮面ライダーV3によって剥ぎ取られるまでストロンガーに自力脱出は叶わなかった。
最後の切り札を失ったこともあってか、ヘビ女はそれから程無くチャージアップしたストロンガーの超電大車輪キックを受けて戦死したため、このマントの凄さが喧伝されることは少ないが、実際、このマントが持つ吸電能力は V3の助けが入るまでストロンガーを完全に無抵抗状態に至らしめしたし、電気で動くストロンガーにとって脅威的であるのは今更説明を待たない。
実際、デルザー軍団は魔人を素体とした強さに目が行きがちだが、初期の改造魔人達は敵を研究することも知っている。鋼鉄参謀はアースを利用してストロンガーのエネルギーを地下に流し、荒ワシ師団長は絶縁網でストロンガーの動きを封じ、狼長官はプラズマエネルギーが電気・超電子を超えることを計算してから行動を開始した(天候は計算に入れてなかったが−笑)。
勿論、ヘビ女のマントがストロンガーと長く戦って来たジェネラル・シャドゥの助言を受けて、吸電システムを備えたマントとして改造された可能性は充分にあるが、ストロンガーの電気エネルギーに対してそこまで手が打てるなら、ドクター・ケイト・岩石男爵・ヨロイ騎士、とマントを纏う連中が多い中、誰もヘビ女と同じシステムを有するマントは持っていなかった。
電キック返しを常備したのなら、吸電システムを備えたマントもまた常備されてもおかしくなかったのはないか?とシルバータイタンは考える。
何故再利用されなかったか?
だいたい電キック返しと被るが、一枚岩ならざるデルザー軍団にあって、ジェネラル・シャドゥが唯一人寵愛するヘビ女の最後の手段を他の改造魔人達に教えるとは思えない。
ジェネラル・シャドゥは卑怯な手段を嫌う姿勢が好評を得ている悪役だが、必要とあらば汚い手も使うし、好敵手相手には正々堂々と倒すことを好むが、覇権争いにおいては謀略を厭わない男である。だからヘビ女のマントが持つ吸電システムを他の改造魔人に教えなかったのは当然なのだが、それならそれで、何故彼自身のマントにその機能を持たせなかったのか?という疑問が残る。
そのことを踏まえて無理矢理考え出したのが、『マント単一機能説』である。ジェネラル・シャドゥのマントは「マント・フェイド」と称する姿隠し&テレポート機能、ドクター・ケイトのマントは見動きを封じた後にナイフで刺殺する為の捕縛機能、岩石男爵のマントは巨岩への変身機能、ヨロイ騎士のマントは超電ジェット投げやライダーキックにも耐え得る防御機能、があると見られ、科学よりも魔人としての素質に重きを置くデルザー軍団にあっては、マントに持たせる特殊能力は1つが限界と見てみたが、実際の所はどうだろう?
デルザー軍団への雑感
毎度毎度この軍団について言及する度に記述することだが、デルザー軍団は強い!
またマシーン大元帥のような例外を除けばヒエラルキーが存在せず、一人一人が組織の大幹部に匹敵する戦闘力と独断専行性を持つこともこれまでの組織には見られなかった話で、武器一つが、率いる戦闘員の個性が、特殊能力が、練り出す謀略が、その他全てが重要な個性となっていて、それがデルザー軍団の恐ろしさであり、脆さでもあった。
そんなデルザー軍団を考察すると、自分から降っておいて何だが、集団や武器を共有するケースはレアであることは明白である、共有するにしてもそれに臨んでは腹に一物あることもまた論を待たない所である。
そんな中で初期のデルザー軍団が対仮面ライダーストロンガー対策として、同じシステム装備を持ちながら、その他の武装や謀略に関して単発の独自路線にこだわったことが今更ながらにデルザー軍団のデルザー軍団たる所以を感じるのである。
『仮面ライダーSPIRITS』にて地獄大使が、デルザー軍団がその強力さゆえにショッカーの行動を阻害することを恐れるのも無理はない。
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特撮房へ戻る令和三(2021)年六月一一日 最終更新