File6.村田源次 死刑にならなきゃ何だってするぜ
名前 村田源次(演:中原正之) 登場作品 『仮面ライダーアマゾン』第12話 改造体 トゲアリ獣人 職業 不明 前科 10犯(詳細不明) 悪性分 強い保身傾向
本人紹介 村田源次は強盗殺人で、詳細は不明ながら既に前科10犯の身で、次に逮捕されれば死刑は免れないと目されていたことから、前科の中には殺人も含まれていたと思われる。
幼女を人質に小脇に抱え、拳銃を放ちながら警察官に抵抗していたのが初登場シーンで、恐らくは銃を用いての犯罪(強盗と思われる)の最中に警官に追われ、偶然遭遇した親子連れから幼女を拉致したと思われる。
逃走中の村田は酷く興奮しており、「罪を重ねるな。」という警察官や立花藤兵衛の説得にも、娘を返して欲しいとする両親の哀訴にも耳を貸さなかった。とにかくその場を逃れんとの意志に凝り固まっていたようで、怒号と発砲と逃走を繰り返すのみだった。
結局騒ぎを察知して追って来たアマゾン(岡崎徹)に格闘の末捕らえられ、パトカーにて護送される途中、ゲドンにその身柄を拘束され、トゲアリ獣人として生まれ変わるのだった。
組織への勧誘 純粋にその悪人としての資質を見込まれてのゲドン入りである。
歴代悪の組織に在ってゲドンは放映話数の短さもあって規模の小さい組織で、組織が擁する改造人間である獣人も13体しか登場しなかった。
それを意識してか知らずか、首領である十面鬼ゴルゴス(声・沢りつ夫)は新たな獣人として村田源次に白羽の矢を立て、赤ジューシャ達に彼の拉致を命じた。
命令を受けた赤ジューシャ達は村田を護送するパトカーを催眠ガスで襲い、村田を拉致して来て十面鬼の前に据えた。十面鬼は村田に対して死刑になるか、ゲドンの獣人になるかの二者択一を迫った。
催眠ガスから目覚めた当初は眼前の異様の者達や薄暗いアジト内という状況に、「俺は夢を見ているのか?」と呟き、自分の置かれた状況も、眼前の怪しい連中が何者なのかも、獣人となることがどういうことなのかも分かっていない村田だったが、彼の一念は「死刑だけは絶対嫌」で、「死刑になるよりはマシ」として獣人への改造手術を受け入れた。
もっとも、拉致されて来た時の村田は手錠を掛けられた状態で、彼が何と云おうとそれを意に介さず改造手術を施すことはゲドンにとって容易だった。つまり二者択一を迫る意味は殆んどなかったのだが、それを敢えて訪ねていたことに十面鬼の「惚れ込み」が伺える。
というのも、失敗者や裏切り者に非情な十面鬼は部下への優しさなど皆無で、「相手の意志を問う」という事自体が非常に稀有である。一方で、「十面鬼」の名が示す様に自身、10人の悪人の集合体であることから、自分と気脈を通じ得る「悪人」を重視してもおかしくない。
このことから十面鬼は村田を単なる「獣人の素体」としてだけでなく、「ゲドンの一員」としての組織参入を純粋に期待していたと思われる。
悪質性 作中「前科10犯」と触れられていた村田源次だが、その罪歴詳細は不明である。ただ、「次捕まれば死刑間違いなし」とされていたことから、恐らく前科の中には殺人も含まれると思われる(現実の世界においても、殺人罪に対し、初犯だったり、「常習性なし」と判断されたりすると死刑にならない傾向が強い)。
画面上確認出来るのは、銃砲刀剣類不法所持、未成年者略取、廃屋への不法侵入、公務執行妨害等である。2人の警察官、人質にされた少女の両親の他に若干名の野次馬が村田を追っていたことから、白昼堂々の窃盗か強盗(恐らく後者)を仕出かし、警察官に追われたと思われる。
登場からアマゾンに気絶させられるまで、村田から伺うことが出来たのは「とにかく捕まって堪るか!」の一念である。そしてこの第12話を通じて見てみるに、どうも村田の行動に「深い考え」というものは見られない。
逮捕され、護送される最中、ゲドンの襲撃を受けた訳だが、赤ジューシャ達は襲撃に催眠ガスを使った。ガスにより自分を拘束している警官が次々に倒れるのを見て、これ幸いと逃げ出した村田だったが、赤色のはっきり目に見えるガスが漂い、警察官がバタバタと倒れたのだから、普通はガスを警戒する(結果として催眠ガスだったが、致死性の毒ガスであることも考えられない訳じゃない)。
だが、村田は嬉々として逃げようとし、そこにガスに対する危機感は丸で見られなかった。それに普通逃げるなら警官の懐からカギを奪って手錠を外すのが定石だが、村田は逃げることしか考えていなかった。
ゲドンアジトで意識を取り戻した際も、自分が夢を見ているのか?と疑っていたが、普通異形の怪人や、怪しい装束をした何人もの人間に包囲されていれば命の危機を覚えると思うが、村田に十面鬼達を恐れている様子は無かった。
良く云えば「度胸が据わっている。」と取れなくもないが、まあ状況の良く分かっていない阿呆である可能性が高い。「獣人になるか?」の問いに「何だかよく分からんが」としており(←まあ、分かっていたらびっくりだが(苦笑))、改造手術を施される重大性も恐怖も不可逆性も丸で知らないまま「死刑よりまし」としていたから、とにかく「死刑を免れる」の一念だったのだろう。
実際、警官に追われている時もとにかく逃げの一手で、一切の説得に耳を貸さなかった。恐らく端から聞いておらず、ただただ「今この場をどう逃げようか?」しか頭になかったのだろう。
ただ、まあ、自己の置かれた状況を、「次捕まれば死刑間違いなし」と自認していれば逃げの一手になるのも無理はない。そしてその状況を顧みれば前科がかなり悪質であることも充分考えられる。
罪状の大きさと、考えの浅い直情性……………つまり似た者同士………成程、十面鬼に好まれる人材と云えよう(笑)。
最期 トゲアリ獣人として生まれ変わった村田源次の最期は他の獣人同様戦死である。何せゲドン獣人の任務は基本、「仮面ライダーアマゾンを抹殺し、ギギの腕輪を奪ってくる。」である。
十面鬼ゴルゴス自身、手段が目的と化しており、恐らく首尾よくギギの腕輪が奪えるまで、その後に関する深い考えは無かったと思われる(笑)。
勿論トゲアリ獣人の任務も「アマゾン抹殺・ギギの腕輪強奪」で+アルファとして、自身の拉致に際してアマゾンに捕らえられた赤ジューシャの救出があった。
結局わざと逃がした赤ジューシャをアマゾンが追跡してきたのを迎撃し、戦闘に入ったことでトゲアリ獣人は戦死した。
市川治氏があてた声のイメージと、村田の在り様は微妙にマッチしておらず、恐らくは改造手術によって人間が如何に変えられてしまうかという事を制作陣はアピールしたかったと思われる。が、ゲドン唯一の人体改造が描かれたこの第12話、ゴルゴスの見込んだ人材の持つ性格が殆ど反映されていないのは些か残念である。
まあ、改造後の指示が「アマゾンライダーを倒し、ギギの腕輪を奪え。」一択であることが殆んどだったので無理もないかもしれないが。
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令和六(2024)年一〇月三日 最終更新