2.にせウルトラセブン…恐怖の能力完コピ
名前 にせウルトラセブン 肩書 ロボット超人 出身地 伊良湖岬近辺の海底工場 初登場 1968年8月18日放映『ウルトラセブン』第46話「ダン対セブンの決闘」 偽装手段 本物の機密を暴いた上で同スペックのロボット製造 偽装対象 ウルトラセブン、後にはゾフィー、ウルトラマン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンA 偽装目的 本物の信用失墜、似た容姿を利しての動揺誘発、同スペックを操っての侵略 偽装完成度 チョット注意すれば分かるレベル 本物との外観上の相違 ごてごてとしたプロテクター 看破者 看破の必要なし 登場作品 『ウルトラセブン』、『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロ対ダークロプスゼロ』
概略 宇宙にごまんといる地球侵略を目論む宇宙人である、侵略宇宙人サロメ星人によって製造された。
サロメ星人の容姿は地球人と全く変わらない。老若男女が存在するのも地球人等同様で、何故か青色の服装が多い。特に科学力と謀略に優れている。
伊良湖岬の灯台近くの海底にアジトと工場を持ち、そこへモロボシ・ダン(森次晃嗣)を誘き寄せて、階段の手すりに仕掛けたショック光線を浴びせて気絶させた。
その後ダンの体を拘束し、トークマシンなる自白装置を用いてウルトラセブンが持つビームの秘密を聞き出し、そのデータをもとににせウルトラセブンを開発・製造した。
完全に科学力で勝負するタイプで、必要に迫られて武器を利用する以外では、自らが体を張って積極的に戦うことはまずない。
にせウルトラセブンは純粋な戦力として駆使した。勿論その過程には「地球人の味方」であるセブンを「悪魔の代名詞」に変じさせ、地球人とセブンの仲を裂いた上で、自分達の侵略のカモフラージュとする意図もあった。
にせウルトラセブンの破壊活動を見届けると、アジトに時限爆弾をセットし、ダンを海の藻屑にせんとして自分達は高速艇(←飛行能力もある)で基地を離れた。
科学力には相当自信があったようだったが、モロボシ・ダンの脱出を許し、抹殺し損ねたことでにせウルトラセブンは本物に敗れ、その本物によって自分達も滅ぼされた。
偽物としての暗躍 前述した様に、サロメ星人の最終目的は地球侵略である。その障害となるのはウルトラセブンとウルトラ警備隊だった。そしてにせウルトラセブン製造完了時に本物のモロボシ・ダンは拘束していたから、最初の目的はにせウルトラセブンを「本物」として、破壊に走らせ、ウルトラ警備隊を初めとする地球人の憎悪を煽ることだった。
まずは黒潮丸なる船舶が、開発されたばかりのウルトラビーム(エメリウム光線)の餌食となり、爆発・炎上させられた。
眼前の事態が信じられないウルトラ警備隊の面々だったが、理由はどうあれ指を咥えて見ている訳にはいかなかった。何せ「ウルトラセブン」が暴れている以上、生半可なことでは止められないと考えるのは理の当然で、サロメ星人も直前に皮肉交じりに「ウルトラセブンが相手ではウルトラ警備隊も相手に不足は有るまい。」としていた。
にせウルトラセブンは海中から船を何隻か沈めると、今度は上陸して建造物を破壊し、ウルトラ警備隊にもエメリウム光線を向けた(地上での徒歩状態を襲ったのと、ウルトラホーク1号がサロメ星人の高速艇と打ち合った時の加勢の2回)。
但し、カプセル怪獣アギラの迎撃を受け、間もなく本物も現れたため、暗躍期間は短く、「本物」として騙せた相手も多くはなかった。
まあ、そのアギラが主人にそっくりな容姿に戦意喪失していたので、本物に似せた意味が少しは見られたが(苦笑)。
正体暴露 ズバリ、本物の脱出を許したことにある。
にせウルトラセブンの外観は、腰、膝、肘に本物にはないプロテクターがあり、近くで見れば本物との差異は一目瞭然なのだが、にせウルトラセブンの動きは海中に、上空にと活発で、体半分が隠れていた状態や上空の遠目ではなかなか判別し難いものがあった(←作った本人達も最後は間違えていた(笑))。
だがそこに本物が現れ、偽物と対峙してしまうと、誰の目にも「少なくともどちらか一方は偽物」というシチュエーションになってしまうのは当然のことだった。
この状態で、「両方とも本物かも………。」と考える方には病院に行くことをお勧めしたい(笑)。
サロメ星人の、「本物拘束」→「機密聞き出し」→「本物爆殺」の流れ自体は悪いものではなかった。だが、モロボシ・ダンの体を拘束した金具はライターの炎で焼き切れるという信じられないほどの耐久性の無さ(笑)で、まんまとダンは脱出に成功した。
海岸に泳ぎ着いたダンは、車に置いたウルトラアイを取りに戻るまでの間、カプセル怪獣アギラを放ち、これはアギラが主人・ウルトラセブンにそっくりなにせウルトラセブンに対して勝手に戦意喪失してくれたから問題なかったが、程なく本物のウルトラセブンが現れ、こうなるとサロメ星人にとっては、本物と同等の能力を持たせたにせウルトラセブンの戦闘能力が頼りだった。
結局戦いは本物の勝利に終わり、偽物は海中に没し(死に様の詳細は不明)、サロメ星人達も本物のウルトラセブンによって高速艇ごと潰されて最期を遂げた訳だが、チョット分からなかったのは、勝利したウルトラセブンが海中から頭を出した際であった。
頭部のみを出した海坊主状態では、本物と偽物の外観上の相違であるプロテクターは見えなかった訳だが、何故かサロメ星人もウルトラ警備隊も「にせウルトラセブンの勝利」と見ていた。一体どこに根拠があったのだろうか?
いずれにせよ、にせウルトラセブンは謂わば、工業製品(アギラをからかうような人間臭い面もあったが)なのだから、自分達が作ったもののがどんな状態にあるか把握出来るシステムぐらい作っていなかったのが文字通り命取りだった。
身体能力や技では、本物を完コピ出来る科学力を持つ割にはどこか抜けていた宇宙人だった。シルバータイタン的には、本物と偽物の勝敗を決した要因は「戦い慣れ」にあると見ている。
後世譚 ウルトラセブンに敗れ、地球にいたサロメ星人の部隊は全滅したが、セブンを調べたデータが母星に渡ったのか、それともウルトラ兄弟の偽物造りへの執念が国是ならぬ、母星是だったのか、同族達が『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロ対ダークロプスゼロ』にて大攻勢に出た。
惑星チェイニーで、ヘロディアなる女性リーダー(宮下ともみ)の指揮下にて、ゾフィー(SR)、ウルトラマン(SR)、ウルトラセブン(SR)、ウルトラマンジャック(SR)、ウルトラマンA(SR)を率いて、地球はおろか、全宇宙の制圧を企んだ。
これは宇宙を彷徨っていたダークロプスゼロを発見し、そのディメンジョンコアを利用したもので、にせウルトラ兄弟を大量に用意していた。
ウルトラマン(SR)、ウルトラセブン(SR)、ウルトラマンジャック(SR)、ウルトラマンA(SR)の四身一体攻撃は、2体(ウルトラマンジャック(SR)、ウルトラマンA(SR))を失ったものの、ウルトラマンゼロが「これまでか……」と追い込ませるほど強力だったが、ゼロの師匠・ウルトラマンレオが駆け付けたことでタッグマッチの果てにウルトラマン(SR)とウルトラセブン(SR)も討ち取られた。
容姿ゆえか、本物に成り済ました振る舞いは見られず、ゼロも父とそっくりなウルトラセブン(SR)に然して遠慮する様子を見せず、それはレオも同様だった。
結局、アジトをレイ(南翔太)とヒュウガ(小西博之)に強襲され、制御出来なくなったダークロプスゼロに基地もニセウルトラ兄弟も破壊され、サロメ星人達はダークロプスゼロのために命を落とし、全滅した。
だが、戦力として強力だったのは間違いなく、大量のにせウルトラ兄弟を軍隊として率いることが後少しで叶っていれば、サロメ星人達の野望は決して誇大妄想ではなかっただろう。
特撮界に偽ヒーローは数多くあれど、「本物の大量生産」という恐怖を見せた例は決して多くない。
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令和五(2023)年九月二一日 最終更新