6.カメレオンファントマ…化ける意味無し!

名前カメレオンファントマ
肩書 GOD悪人軍団
出身地フランス
初登場1974年8月31日『仮面ライダーX』第29話「死闘!!Xライダー対Xライダー!!」
偽装手段本人の変装
偽装対象仮面ライダーX
偽装目的意味不明
偽装完成度かなり高い(但し、鏡があると露見する)
本物との外観上の相違僅かに本物より太め
看破者看破の意味なし
登場作品『仮面ライダーX』
概略 GOD悪人軍団の7番手。カメレオンの能力を利した怪盗ファントマの化身怪人として、例によって極分子復元装置(RS装置)の設計図を狙って暗躍した。
 怪盗ファントマは変装術を利しての神出鬼没を特技とし、そこにカメレオンの体色変化能力を加え、様々な対象に変化出来るのがこのカメレオンファントマの特殊能力。

 RS装置の設計図6枚目を求めて、ラビック博士から設計図入り(とは知らず)ペンダントを受け取ったバレリーナ・菊池明子(島田幸子)を狙って、TV局の安藤局長(大東梁佶)に変身して接触したが、鏡に正体が映っていて失敗(笑)
 神敬介(速水亮)の妨害を受けたこともあり、次は立花藤兵衛に変身して敬介と明子に近づき、今度はまんまとペンダントを奪った。
 てしまうのだが、これは(本物の)藤兵衛と明子で仕組んだ策略で、本物の設計図は既に藤兵衛が抜き取った後だった(← RS装置設計図を巡る争奪戦において、GODは呆れるほど偽物を掴まされていた)。
 御多分に漏れなかったカメレオンファントマも、キングダーク(声:和田文夫)にどやされていた様が哀れであった。
 その後、カメレオンファントマは明子の公演の控え室に忍び込み、再度明子を襲撃し、これを人質にして、敬介に設計図を持って来いと迫った。だがこの取引の場にて仮面ライダーXとの一騎打ちとなり、その途中で偽Xライダーとなるも、然したる効果は上げられず、真空地獄車にて落命した。


偽物としての暗躍 現実の世界に存在するカメレオンは保護色で周囲の環境に潜む達人(?)である。人間が体の色を壁や岩と同じに塗りたくっても、体の凹凸でバレバレになるが、カメレオンは体の形状も上手く似せる。カメレオン自体がそんな生き物だから、死神カメレオン、ヒルカメレオン、吸血カメレオンといったカメレオン系怪人は擬態を得意としてライダー達を苦しめた。
 だが、カメレオンの擬態はあくまで周辺環境に同化し、溶け込むもので、生き物に擬態はしない。そこを行くとカメレオンファントマには怪盗ファントマの要素も色濃く活かされており、菊池明子・立花藤兵衛に変身したその容姿は本物瓜二つで、藤兵衛さんは「丸で小林昭二氏が演じているみたい」だった(笑)

 そして最終的に仮面ライダーXと対峙したとき、カメレオンファントマ偽Xライダーとなったのだが、他にギャラリーが全くいないので、2人きりで「俺がXライダーだ!」だと言い張るだけで、同じ容姿をしたことに何の意味もなかった(笑)
 仮面ライダーX =神敬介には、一部のマニアの間で、「自分の名前を書き間違えるほど頭が悪いのでは?」との疑惑(最終回参照)があるが、いくらそっくりでも、まさか自分と同じした相手を見て、本物と疑うことはないだろう(笑)。

 もしかして、これは『キン肉マン』の完璧超人始祖・玖式・カラスマンの台詞を借りると、「精神的な嫌がらせ」だったかも知れない。
 安藤局長や藤兵衛さんの姿に変身したことはともかく、Xライダーに変身したことに騙された者は皆無である(苦笑)。


正体暴露 まず致命的欠陥として、「鏡の前に立つと正体が露呈してしまう。」というものがあった。ただだからと言ってそれだけの理由で変身能力が即役立たずになるかというとそうとは限らない。
 変身能力や憑依能力を持つ存在が影や鏡で正体が露呈するのは、「ヴァンパイアは鏡に映らない。」以来の黄金パターンでもある。改造人間とて完璧な存在ではないし、外観上の姿を似せること自体は完璧に近いので、「鏡に正体が映ってしまう。」ということを承知の上で、事前に「鏡に映る位置に立たない。」、「事前にGOD戦闘工作員達に現場の鏡を破壊させておく。」等の処置を取れば、充分活かすことは出来た。
 ただ、バレエダンサーである菊池明子に接触した例を見ても、バレエ教室に当然存在する鏡及び、鏡に映る正体にカメレオンファントマが特別意識していた様子はなかった。「ダメだこりゃ。」の一言であった(苦笑)。

 とにかく早期に変身能力を持つ敵がいることを認識されたことで、カメレオンファントマは完全に警戒されてしまった(それゆえ偽設計図を掴まされた)。前述した様に1対1で相手と同じ姿をしたことに「偽物」としての意味がない以上、Xライダーサイドにも害が無ければ、看破する必要性もなく、真空地獄車で倒せばいいだけだった。

 もし、Xライダー偽Xライダーの戦いに第三者が関わっていたとしたら?
 かなりの確率で騙せたり、混乱させたりすることが出来たと思う。色や装備に差異はなく、厳密にはカメレオンファントマのずんぐりむっくりした体格が影響したのか、偽Xライダーの方が若干だけ本物より体格が太目だったように思われる。と言っても、戦闘員が大勢出て来た中でよく混じっていたデブっちょほどではなかったが(笑)


外観と性格 『仮面ライダーSPIRITS』にて山口県の秋吉台を舞台にSPIRITSとGOD悪人軍団の戦いが展開されたとき、SPIRITS第5分隊は既に全滅に近い被害を受けており、駆け付けた第10分隊もいきなり隊長・滝和也が捕らえられた。
 滝の身を案じて鍾乳洞に入った第10分隊の面々を出迎えたのは、カメレオンファントマが化けた滝だった。
 外観ではまずバレることのなかった変身能力を見破ったのは、意外にもこの時点で滝とも反りの合っていなかったゴードンだった。ゴードンが眼前の滝を偽物と見破ったのは、カメレオンファントマが戦死したSPIRITS第5分隊隊員の遺体を踏んづけ、それを意に介していなかったからだった。
 滝ならずとも、普通死体を踏んづけたりはしないし、逆に踏んづけるとしたらかなりの憎しみが伴うなどして意図的に行うことだろう。詰まる所、外観を似せることが出来ても、内面の性格が伴わなければボロはどこかで出ることと言える。

 本編でも、カメレオンファントマは能力で抗し得ない本物に化けたことは無効に過ぎなかったと云えよう。


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平成二七(2015)年一一月三〇日 最終更新