8.サンショウウオ獣人…肝心な部分を落とすなよ……
名前 サンショウウオ獣人 肩書 ガランダー獣人 出身地 不明 初登場 1975年3月22日放映『仮面ライダーアマゾン』第23話「にせライダー対アマゾンライダー!!」 偽装手段 本人の変装 偽装対象 アマゾン、仮面ライダーアマゾン 偽装目的 敵陣営への潜入 偽装完成度 それなりに高い 本物との外観上の相違 ギギの腕輪がない 看破者 岡村マサヒコ 登場作品 『仮面ライダーアマゾン』
概略 ガランダー帝国最後の獣人で、オオサンショウウオが持つ保護色にするための体色変化能力が増幅された獣人。また生命力も強く、腕や尾は大切断で斬られても即時再生可能(限度はあるが)。
ガランダー帝国が企画した最後の作戦・ヘリウム爆弾による日本壊滅を実現するため、阻止しに来るであろう仮面ライダーアマゾンを迎撃する為、変身能力を駆使してアマゾン(岡崎徹)を謀略に嵌めたり、体内の毒液をもって岡村りつ子(松岡まり子)・マサヒコ(松田洋治)姉弟の容貌を変貌させたりしたが、正面切っての戦いではアマゾンライダーに抗し得ず、敗北後、アジトに戻り、事の顛末を報告後、潔く死刑を受け入れて、ゼロ大帝(中田博久)によって粛清された。
偽物としての暗躍 オオサンショウウオ獣人に与えられた任務は陽動である。ガランダー帝国にしてみればヘリウム爆弾によって東京壊滅を成功させるのが第一義だったため、新宿西口パインビル地下1Fにヘリウム爆弾を仕掛け、彼等がアジトのリモート・コントロールのスイッチを入れる時間である「ゼロ・アワー」まで機密が保たれればいい訳である。
となると、この作戦だけを考えるならオオサンショウウオ獣人は牽制役に徹すれば良かった。ただ、ガランダー帝国には世界征服と並行して「仮面ライダーアマゾンのギギの腕輪を奪う。」という目的があったのがコイツの悲劇だったのだが。
ともあれ、オオサンショウウオ獣人は岡村家を襲撃し、岡村姉弟に毒液を注入し、姉弟の体を半ばオオサンショウウオと化し(皮膚がメインだが、部位により覆われ度が異なる)、また立花藤兵衛の前ではアマゾン本人として現れ、オオサンショウウオ獣人に驚いて逃げて来た岡村姉弟を庇う藤兵衛の前で黒ジューシャ相手に大立ち回り(と書いて「じさくじえん」と読む)を展開した。
そして黒ジューシャを蹴散らした後、姉弟を安全な場所に避難させると提言し、隙を見て2人を拉致したのだった。
このために置いてけぼりを食らった藤兵衛は直後に現れたアマゾンも偽物ではと疑い、疑惑自体はすぐに解けたが、しばし時間を浪費した。
2人を追っていたアマゾンも、止められた車のドアを開くと車が爆発するという古典的な手(放映当時としてはメジャーだったが)で地中に埋没し、この間にヘリウム爆弾は何の妨害もなく設置された。
つまるところ、オオサンショウウオ獣人の、にせアマゾンに化けての陽動自体は成功したと云える。翌週の最終話でヘリウム爆弾のリモート・コントロールのスイッチを切られ、起爆装置を外された落ち度は完全にゼロ大帝の油断によるものなので、「作戦」と云う意味では変身能力も立派に駆使して、オオサンショウウオ獣人は己の任務を立派に果たしている。
一方の、「獣人の使命」=「打倒仮面ライダーアマゾン」と云う意味ではぱっとしない。そもそもにオオサンショウウオ獣人に限らず、獣人達は基本、ギギの腕輪の能力を駆使するアマゾンライダーに抗し得る存在ではなかった(特殊能力で一時的に苦戦させることは出来ても)。オオサンショウウオ獣人もまた戦闘ではアマゾンライダーに敵わず、得意の変身能力も意味ある活用をしていなかったが、その詳細は下記に譲りたい。
正体暴露 オオサンショウウオ獣人の変身能力の完成度は人によって評価が分かれるだろう。相対的な変身能力は決して低くなく、変身前のアマゾンにも、変身後の仮面ライダーアマゾンにもそっくりに化けていた。マフラーの色で即行バレるショッカーライダーよりも遥かに上手く化けている、という人も多いだろう。
だが、アマゾンライダーのキーパーツにして、命その物と云えるギギの腕輪を欠いていることを致命的落ち度 と見て、オオサンショウウオ獣人の変身能力を全面否定する人も多いことと思う。
実際、立花藤兵衛が本物のアマゾンを、またガランダーの獣人ではないか?と疑った際も、アマゾンライダーとにせアマゾンライダーが対峙した際も、偽物にはギギの腕輪が無かったことが看破に決め手となった。
普段からアマゾンに接しない者が遠目から見たり、激しいアクションを繰り広げたりしている分には看破される心配もないだろうけれど、『仮面ライダーアマゾン』の主題の1つに「ギギの腕輪争奪戦」がある以上、その「ギギの腕輪を欠いている」ということに、「マフラーの色の相違どころじゃない失態だ!」と考えるマニアも多いことだろう(ちなみににせアマゾンライダーと本物の相違をギギの腕輪にあることを指摘したのはマサヒコ)。
ただシルバータイタン的にはこの第23話は「細部において穴が多い回」と見ている。
藤兵衛に偽物と疑われた際のアマゾンが、自分の偽物を見てもいないのに「ギギの腕輪の有無」を問うた不自然さが1つ。にせアマゾンの物云いが態度悪く、藤兵衛が不審に思ったが、この回に限って本物のアマゾンも態度の悪い物云いだったことが1つ。「Xライダー対偽Xライダー(カメレオンファントマ)」同様、この「アマゾンライダー対にせアマゾンライダー(オオサンショウウオ獣人)」にも擬態に意味が無かったことが1つ。以上3つの点から、前述通りに考えるのである。
第23話のメインストーリーは面白く、第24話(最終回)との関連、オオサンショウウオ獣人の潔さは良かっただけに、当時恒例化した「偽物登場回」を無理矢理挿入したのだとすれば、些か残念に感じた。
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令和六(2024)年五月二三日 最終更新