第10頁 最大妖術!不死身の霊界怪人軍団
再生怪人軍団File.10
登場作品 『仮面ライダーBLACK RX』第45話 構成メンバー ガイナカマキル、ガイナニンポー、ズノー陣、スカル魔スター、エレギトン、メタヘビー、キュルキュルテン、アントロント 指揮官 マリバロン 再生手段 怪魔妖術 手強さ 強
作中行動 前話となる第44話にてクライシス皇帝が送り込んできた破壊兵器である最強怪人グランザイラスは、第45話にて本格始動を開始し、10人ライダーを一度に相手にしても全く引けを取らないどころか、ライダー達を次々に圧倒する無敵振りを発揮した。
これに対して仮面ライダーBLACK RXがバイオライダーとして体内に入り込み、捨て身の攻撃を行ったことで爆死した。
勿論RXは死んでいないのだが(笑)、状況的にはRXとグランザイラスが相打ちになった様に見えた訳で、クライシス帝国側では残る敵で、RXに勝るとも劣らぬ10人ライダーをどう打倒するかが協議された。
そこで10人ライダー打倒を申し出たのが怪魔妖族大隊隊長兼諜報参謀マリバロン(高畑淳子)で、彼女は自身が持つ最大の妖術を発揮するとして、怪魔霊界から怪魔獣人・怪魔ロボット・怪魔異生獣・怪魔妖族をそれぞれ二体ずつ召喚した。
獣人からはガイナカマキル・ガイナニンポーが、ロボットからはエレギトン・メタヘビーが、異生獣からはキュルキュルテン・アントロントが、妖族からはスカル魔スター・ズノー陣が甦り、その際に全身の色が白一色となった。
甦った霊界怪人達はまずガイナニンポーが10人ライダー達の他作戦会議に潜入し、正体が見破られたのを機に総攻撃に出た。
任務は10人ライダーとその仲間の抹殺である。素の格闘では10人ライダー相手に然程有効打を与えるでもなく、一緒に闘っていた一般ピープル達を殺害するに至らなかった霊界怪人達だったが、「一度死んでいる故に、二度は殺せない。」という反則に等しい不死性が武器で、こいつらの動きを止めるにはマリバロンの妖術のキーアイテムである金の羽を貼り付けるしかなかった。
実際、霊界怪人達は幾ら打撃を受けてダウンしても即座に起き上がり、見た目に苦戦している様子の無い10人ライダー達も、マスクの下では相当な焦りの表情を浮かべていた筈である。
ただ、この絡繰りはグランザイラスと共に爆発四散したと見せかけて生きていたバイオライダーがマリバロン足下の水溜りに潜んでいてことで瓦解した。姿を現したバイオライダーはバイオブレードで斬り付けてマリバロンから金の羽を奪取…………おのれ、バイオライダー、美しい高畑さんの顔に傷をつけるとは………じゃなかった(苦笑)………バイオライダーが金の羽を霊界怪人達に張り付けるや彼等は忽ち活動を停止した。
一人難を逃れて暴れ続けるガイナニンポーだったが、それはこいつに張り付いていた金の羽を最初に吾郎が取っていたからで、吾郎は金の羽を1号ライダーに託すと1号ライダーは忽ちガイナニンポーを活動停止に追いやった。
直後、バイオライダーのバイオブレードが霊界怪人達の体を次々に一閃することで霊界怪人達は怪魔霊界に逆戻りしたのだった。
生前比較 これは微妙である。
というのも、生前の特殊能力を発揮したのはガイナニンポーだけだった。生前霞のジョー(小山力也)に化けて南光太郎達を罠に嵌めんとしたことがあったが、このときは大胆にも仮面ライダー1号に化けて何食わぬ顔で作戦会議に参加し、作戦資料を配布した時に人数と会わないことに吾郎(小野寺丈)が気付いたことで初めて発覚した。
仮面ライダー1号が2人いることに誰も気づかない間抜け振りは『怪獣VOW』でもネタにされていたが(苦笑)。本物の1号が詰め寄って投げ飛ばしたことで姿を現した。
このガイナニンポーを除けば他の霊界怪人達は手にした得物こそ生前と同じものを使用したが、その他には特殊能力を発揮することは無かった。アントロントの砂を操る能力も、ズノー陣の夢に忍び込む能力も(まあ誰も寝てなかったが……)、エレギトンの電気技も、駆使されることは無かった。
だが、霊界怪人の一番厄介な能力はその不死性にあった。逆を云えば、それさえあれば充分だった。実際、10人ライダーは格闘自体は全く霊界怪人に後れを取らなかったが、いくら攻撃を加えてもすぐに立ち上がってくる能力にはどうする事も出来ず、バイオライダーがマリバロンから金の羽を奪わなければいつかは疲労で力尽きて敗れ去っていたことだろう。
この不死性はマリバロンにとっても、霊界怪人達にとっても全幅の信頼がおけるものだったのだろう。というのも、10人ライダーと霊界怪人の団体戦には霞のジョーの他にも、白鳥玲子(高野槇じゅん)と的場響子(上野めぐみ)と吾郎も加わっていた。
玲子は空手の有段者らしく、僅かに見せた殺陣は「チャップの数人ぐらいならあしらえそう。」との腕前が見込めたが、怪魔獣人・怪魔妖族・怪魔ロボット・怪魔異生獣と抗し得る程では無かった。まして、吾郎は只のコックで、響子も水を操る超能力と洋弓術に秀でているとはいえども中学生で、両名とも特に格闘技に秀でている描写も設定も無かった。
要するに、霊界怪人達が早々に10人ライダー達を皆殺しにする勢いでかかって来ていれば、一般ピープルである玲子・響子・吾郎辺りは戦死していてもおかしくなかったと見られるのである。
恐らくマリバロン及び霊界怪人達は、攻撃力自体は10人ライダーに勝てる保証が持てないので、不死性に重きを置いてライダー達が力尽きるのを誘うべく、のらりくらりと戦っていたのだろう。
本来対戦相手を甘く見て、余裕をかます姿勢は戦いにおいて好ましいものではない。ただ、不死性を頼りに相手方の消耗を誘うのであれば、この戦略は間違っていない。勿論マリバロンも金の羽を奪われれば妖術が祟れるのを承知していたことだろうから(←実際、そうなった)、彼女は明らかに団体戦から間を置いた距離に身を置いていたし、もし10人ライダーが金の羽を奪いに掛かったら、霊界怪人達が全力を挙げて阻止するか、マリバロン自身が早々に遁走していただろう。
結論、霊界怪人達にとっては自らが再度この世にて暴れる媒介となったマリバロンの妖術による不死性がすべてで、その他の能力は二の次、三の次だったのだろう。
対ライダー戦 殆んど上述しているが、格闘能力こそ大したことなかったものの、「もう死んでいるから、どれだけ攻撃を加えても死なない。」という特性で10人ライダーに絶望的な戦いを強いた。
途中、苦し紛れ押し付けた金の羽(←ガイナニンポーから外したもの)がメタヘビーの動きを止めたことで吾郎がその弱点に気付きはしたが、一体だけ止めても残る7体が暴れ続ければいずれ10人ライダー達も力尽きたことだろう。
結局、マリバロンの妖術が保たれるか否かがすべてだった。
上述した様に、バイオライダーが生きて身近に潜んでいることを知らず、金の羽をべらべら口走ったことがマリバロンと霊界怪人達の敗因となった。逃げ帰ってきたマリバロンに「10人ライダーを倒すどころか、顔に傷を受けて戻って来るとはな!」と査察官ダスマダー(松井哲也)が痛罵していたが、これに対し彼女はバイオライダーさえ生きていなければ自分の作戦は完璧だったとしてグランザイラスがRXを打ち漏らしたせいとして、(グランザイラスの指揮者だった)ダスマダーこそ責任を取るべき、と反論した。
シルバータイタンは全面的にマリバロンを支持する………ん?何だって?高畑さんが好みのタイプだから、依怙贔屓している?………ハハハ、そんなことある訳あるじゃないですか(笑)。
ともあれ、従来の修理品化ゾンビに近かった再生怪人とは大きく様変わりした、前作の『仮面ライダーBLACK』に登場した亡霊怪人とこの霊界怪人達は、幽霊としての特色を大きく反映し、手強い集団として再生怪人のイメージを一新したと云えよう。
それでも、最後は一掃される悲しき存在ではある定めは逃れられなかったが。
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令和六(2024)年七月日 最終更新