第3頁 首領最後の砦?大攻勢担当再生怪人軍団

再生怪人軍団File.3
登場作品『仮面ライダー』第97話・第98話
構成メンバーガニコウモル、イノカブトン、ムカデタイガー、ハエトリバチ、エイドクガー、サボテンバット
指揮官ヒルカメレオン
再生手段人血投与からの再生術
手強さ


作中行動 ゲルショッカーによる日本征服の為の大攻勢に従事すべく、ヒルカメレオンによって人血をエネルギー源に再生された怪人達である。
 当然、主要任務は仮面ライダー及び、少年仮面ライダー隊の面々を抹殺し、ゲルショッカーの日本攻撃を達成することにあった。

 第97話序盤ではガニコウモルが再生されたが、こいつは偽情報に誘き出された本郷猛と滝和也を迎撃するも、ゲルショッカー怪人第1号としてライダー1号を大苦戦させたときほどの能力を発揮することなく戦死した。ただ、この時の戦闘データが本郷を変身不能に追い込む装置を生み出すことに貢献したので、全くの犬死では無かった。
 そして同話終盤、脱走した囚人(東隆明)による誘引にてアジト内にやってきた本郷猛をヒルカメレオンはベルト凍結装置にかけることで行動不能に陥れ、一方で立花藤兵衛・滝和也・ライダーガールズ(沖わか子・中田喜子・ミミ萩原)・ミツル(山田芳一)・ナオキ(矢崎知紀)も捕らえられており、ヒルカメレオンは彼等から吸い取った血でゲルショッカー怪人達を蘇らせると宣言した。

 謂わば、宿敵抹殺と最終軍団の創設を一挙に成し遂げようとの作戦だが、最終回冒頭にて何の脈絡もなく乱入してきた2号ライダーによって(笑)、前者は完全に妨害された。
 Wライダーの前に人質に逃げられただけでなく、ヒルカメレオンも取り押さえられ、それに対してブラック将軍(丹羽又三郎)の声がアジト内に響き、ヒルカメレオンと人体実験用囚人との人質交換が申し出された。

 本郷と一文字隼人(佐々木剛)が応じた人質交換の場所はパルパル公園の怪人展示場で、翌早朝ヒルカメレオンを連行した二人がその場所に到着すると、展示場には何体ものゲルショッカー怪人が経っていた。
 それを見た一文字は、「よく出来た作り物だ…。」と呟いていたが、勿論立っていたのは本物である(笑&お約束)。同時にヒルカメレオンの正体がブラック将軍であることも明かされ、総攻撃に移るかと思われたが、前進組織であるショッカー大幹部達の正体が常に怪人であったことからヒルカメレオン=ブラック将軍であることが予測済みであったと告げられたブラック将軍はあっさり再生怪人軍団を撤収させた。

 Wライダーはブラック将軍を追い、程なくヒルカメレオンはその追撃を受けて戦死した。一方、トラックにて逃走する再生怪人軍団は滝和也が尾行。ただ、この展開は死を覚悟したブラック将軍による計画の内にあったもので、Wライダーを惹きつけている間に再生怪人軍団はトラック荷台に乗り込んで来た滝を捕らえ、ハエトリバチムカデタイガー達が少年ライダー隊本部を襲い、藤兵衛達を生け捕りにした。

 ゲルショッカーのコンピューターが合成した滝の声に導かれた本郷と一文字は浜名湖畔にやって来てそれを再生怪人軍団が迎撃。つまりはゲルショッカー首領最後の砦として立ち塞がった訳だが、ムカデタイガーが若干の抵抗を見せた以外は情けない程の雑魚っぷりを露呈したのだった(詳細後述)。



生前比較 この第97話と最終話に登場した再生怪人軍団は生前より強化されていたのか?正直、微妙である。
 まず、ガニコウモルに関しては明らかに生前より弱かった。ガニコウモルはゲルショッカー怪人第1号として、ショッカー怪人との格の違いを見せる役割もあった様で、生前の戦いではライダーとの相打ちに等しい戦死を遂げる程ライダーを苦戦させた。
 だが第97話で再生したガニコウモルは「あっさり倒された。」と滝に云われる程弱かった。仮にゲルショッカー登場時と、最終回とでライダー1号が大幅にパワーアップを遂げていたとしても、生前のガニコウモルが飛翔能力を活かしてライダーきりもみシュートすら躱したのに対し、再生したガニコウモルはロープウェイから叩き落されると云う最期を遂げている。これはもう完全に生前の特殊能力を保持していなかったとしか思えなかった。

 そして最終決戦での雑魚っ振りを見ても、再生改造人間軍団が生前より強いとは到底思えなかった。特殊能力に関しても、ムカデタイガーが火を吐いていた以外はこれと云った能力の発露も無かったから、普通に考えるなら「粗悪な修理品」と見るべきだろう。

 それをシルバータイタンが「微妙」としたのは、ヒルカメレオンによる再生に、状況による度合いが見られるから、と考えている。
 第97話終盤で、本郷猛が仮面ライダー1号に変身するのに0.5秒間の無防備状態があるのを利用したヒルカメレオンは瞬間凍結装置でもって本郷猛を行動不能状態に陥らせた。身動き出来ない本郷に対し、ヒルカメレオンは彼の眼前で彼の仲間達から血を取り、ゲルショッカー怪人達を蘇らせると宣言した。
 怪人蘇生にどれほどの血を必要とするのかは不明だが、ヒルカメレオンは全員から血を取り、最後には本郷からも血を取るとしていたから、恐らくはすべての血を抜き取り、失血死させるつもりだったのだろう。

 上述した様に、この作戦はライダー2号によって阻止された。そしてここまでの展開を見れば、ヒルカメレオンの人血採集による再生怪人軍団編成は未達だったと思われるのだが、翌朝行われようとした人質交換の場には再生怪人軍団が待ち構えていた。
 となると、既に再生怪人軍団を編成していたヒルカメレオンが更なる人血を何故求めたのか?という疑問が残る。
 勿論「すべてのゲルショッカー怪人を蘇らせる為にまだまだ血が足りていなかった。」というのは充分に考えられるが、シルバータイタンが注目しているのは構成員の変遷である。
 滝が尾行している時、トラックの荷台に再生怪人軍団がいたのだが、彼等のうち何体かはWライダーとの最終決戦時にその姿を見せなかった。荷台に乗っていた面子の中からは、クラゲウルフウツボガメスガラオックスが消えていたが、その中でガラオックスは率先して滝を捕らえ、自らの死を覚悟して最後の作戦を展開したブラック将軍を「立派だった!」と讃えていたので、最終決戦に臨んでいなかった理由が分からない。

 ここでシルバータイタンの推測だが、ヒルカメレオンが死んだゲルショッカー怪人を蘇生させるだけなのと、充分な能力を持たせるのとでは、必要とする人血の量が大きく異なるのではないだろうか?
 数体掛かりとはいえ、再生怪人軍団は滝を捕らえることに成功しているので、少なくとも戦闘員並みという事はないのだろう(笑)。しかし、Wライダーとの戦いでは情けない程弱かった。「再生怪人の戦闘能力は戦闘員並み。」とのイメージはこの最終回における再生怪人軍団が生んだのでは?と思う程である。
 つまり、ヒルカメレオンは人体実験用囚人達からの吸血で、「取り敢えず再生する」レベルの人血は賄ったものの、「Wライダーと互角以上に戦わせる」レベルには及ばない程にしか人血を確保していなかったのではないか?と考えるのである。
 それゆえ、ガニコウモルコウモリの改造人間なのに飛行能力を持たない粗悪な再生しか果たせず、滝を捕らえたときに先陣を切っていたガラオックスが最終決戦時に姿を消していたのも、「エネルギー不足」として考えられ、最終大攻勢に足るだけの人血を得る為に第97話終盤で藤兵衛達の血を奪おうとしていたのも納得が出来るのである。ま、シルバータイタンの独断と偏見が当たっていたとしての話だが(苦笑)。



対ライダー戦 結果的にこの最終話における再生怪人軍団の戦闘能力は「情けな過ぎる。」の一言である。

 過去作でも何度か触れたことあるが、最終決戦に挑んだのはイノカブトンムカデタイガーハエトリバチエイドクガーサボテンバットの5体である。そして決戦開始直後、数秒でもうハエトリバチが殴り倒されてアスファルトの上でダウンしていた(一時的なものだったが)。
 そして秒殺に近い段階でまずサボテンバットが1号に投げ飛ばされたところを更に2号に投げられて爆死。イノカブトンは1号のライダーキックを受けて討死。ハエトリバチは浜名湖に叩き込まれてそのまま浮いてこず、エイドクガーは2号のパンチ連打を受けて土手下に叩き落された後に戦死した。
 唯一、ムカデタイガーが炎を吐いて1号ライダーを苦戦させたかに見えたが、2号ライダーが加勢すると為す術なくボコボコにされた挙句、二人が掛りで投げ飛ばされて最期を遂げたのだった。

 画面上確認する限り、Wライダーは再生怪人軍団から一太刀も浴びた様子はなく、戦い直前に一文字が「地獄の亡者どもめ!」と揶揄していた台詞を鑑みるに、このときの再生怪人軍団はファンタジーRPGのアンデッドに例えるなら、「使えないゾンビども。」でしかなかったのだろう。
 この後、首領との戦いが控えていたとはいえ、最後の手駒ならもう少し強くても良かっただろうに、と思うのはシルバータイタンだけでは無いと思われる。


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令和六(2024)年四九月日 最終更新