第4頁 D作戦再生怪人軍団

再生怪人軍団File.4
登場作品『仮面ライダーV3』第52話
構成メンバー鬼火セイウチ、バショウガン、死人コウモリ
指揮官不明
再生手段不明
手強さ


作中行動 デストロン最後の作戦、D作戦に従事した者達である。
 最終回直前の第51話にて、デストロンは満を持してプルトンロケットによる東京壊滅、その間隙を縫っての日本制圧を企んでいた。だが、プルトンロケットは仮面ライダー4号・ライダーマンがその身を挺して破壊したことで頓挫。
 これを受けてデストロン首領が発令した作戦なのだが、要は再生怪人軍団を擁した破壊活動にして、報復行動である。

 デストロンアジトにて首領の通信を盗聴した風見志郎(宮内洋)は、D作戦発動を知り、その一環として少年ライダー隊への報復に出て来たことを知ったのだが、その報復活動に従事していたのが再生怪人軍団だった。
 その構成は、鬼火セイウチ(キバ一族)、バショウガン(ツバサ一族)、死人コウモリ(ツバサ一族)で、正直、軍団と呼ぶにはおこがましい少人数構成である(苦笑)。まあ、これが「少数精鋭」と呼べるほどに精強ならまだしも、当然そんなことは無かった(苦笑)

 詰まる所、やったことは小学生数名相手の襲撃・拉致と、それを追って来た仮面ライダーV3・風見の迎撃である。ただ、活躍・能力以前の問題として、可哀想なほど重任されていなかった。云ってしまえば、「任務に最後まで従事させて貰えなかった。」という事が挙げられる。

 一般に「強くない。」とされる再生怪人だが、さすがに女子供に後れを取ることは無かった(苦笑)。珠茂(川口英樹)を初めとする数名の隊員を屋外で、そしてセントラルスポーツの地下指令室で珠純子(小野ひずる)を拉致することに成功したのが唯一の戦果だったが、少年ライダー隊員達が極端に格闘に優れている訳でもないし、純子もデストロンに何度も襲われ、捕らえられたが、その際に殆ど抵抗しなかった。
 しかも純子襲撃時はザリガーナ=ヨロイ元帥(中村文弥)が主導していたので、拉致成功と云ってもまあ自慢にはならない(苦笑)

 最終的に再生怪人軍団はアジトに乗り込んで来た風見を迎撃したのが最後の出番となったが、V3の反撃を少し受けただけで姿を消しており、生死すら描かれなかった
 直後、V3はヨロイ元帥が用意していた落とし穴に落とされ、特殊金属の粉末に埋められた。V3を罠に誘引するのが任務だとしたら、辛うじて任務に成功したと云えなくないが、ヨロイ元帥はこれでV3を倒せたと楽観視し、珠純子と少年ライダー隊員の処刑場(←海岸で逆さ吊りにして溺死させんとするもの)に向かった。
 これにより、再生怪人軍団はV3抹殺面でも、少年ライダー隊報復面でも任務に最後まで従事させてもらえず、原因不明瞭な退場を遂げたのだった。



生前比較 まあ、どう贔屓目に見ても生前より強化されたとは云えなかった。
 活動時間も活動内容も大したことなかったので、仮に生前より強化した再生を遂げていたとしても、それが発揮出来たかどうかは極めて怪しかった。ただ、画面を見る限り生前の特殊能力(火炎・毒・飛翔等)は一切発揮されず、それどころか喋ることすら殆んどなかった。

 殊にたった3体しかいない再生怪人軍団の面子に死人コウモリが含まれていることに眉を顰めた視聴者は少なくなかったと思われる。勿論これは人選を非難したものではない。ツバサ大僧正の正体にして、一度はV3を戦意喪失に追い込むほど心身にダメージを与えた死人コウモリが戦闘員並みの活動・能力発揮しか行っていなかったことに対してである。
 まあ、V3を贔屓目に考えれば、死人コウモリに対して一度は完敗してもその後特訓を積んだリベンジ戦ではほぼ危なげなく勝利を収めたし、その後の戦いで戦闘能力を向上させていたとすれば必ずしも死人コウモリに苦戦するとは限らない。ただ、生前と同じ能力を保持していたとすれば、V3を2度破ったツバサ軍団であれば誰もが空中戦に持ち込むことを試みるだろう。戦った場所が屋内だったと云う点も考慮する必要もあるとは思うが、死人コウモリも、バショウガンもそんな戦術的工夫は全く見られなかった。

 ただ、そんな中、もしかしたら生前よりパワーアップしたかも知れないと見られる再生怪人が1体だけいる。

 それは鬼火セイウチである。

 珠茂が鬼火セイウチを含む再生怪人軍団から襲撃を受けたとき、立花藤兵衛と珠純子はライダー隊本部にてリアルタイムでその通報を受けた。そしてその直後、本部にザリガーナと鬼火セイウチが乱入してきた。
 茂が襲われていた場所とライダー隊本部との距離は不明だが、ほんの少し前に茂を襲っていた鬼火セイウチがライダー隊本部に現れたのだから、恐るべき早業であった(笑)



対ライダー戦 はっきり云って、話にならんかった。決着を含め、勝負らしい勝負が為されなかったのだから(苦笑)。
 上述した様に、再生怪人軍団は誰一人生前持っていた特殊能力を発揮せず、その決着・生死も描かれなかった。作戦に対する従事度合いから云ってヨロイ元帥から期待されていた風も無かった。

 ここからは推測だが、プルトンロケットを失った段階でデストロンには殆んど余力が無かったのでは?とシルバータイタンは見ている。前作『仮面ライダー』の最終回で、デストロン首領の全身であったゲルショッカー首領はブラック将軍を捨て石にしつつも、再生怪人軍団による日本への大攻勢を真剣に考えていた。まあ、それを為すには余りにも戦力不足だったのは前頁に記した通りだが(苦笑)、それと比較してもこの『仮面ライダーV3』最終回における再生怪人軍団は陣容と云い、与えた任務と云い、非常に中途半端である。

 再生怪人が如何にして再生されたかも不明だが、もしシルバータイタンが本気でヨロイ元帥指揮の元、再生怪人軍団による最後の大攻勢をかけるなら、もっと人数を擁するか、それが不可能なら再生怪人の構成員にヨロイ一族を選ぶ。
 第39話でシルエットを見せたヨロイ元帥に、ツバサ大僧正は、「誰だ、お前は?」と云っていたことから、ヨロイ元帥に他の結託部族との面識があったとは思えない。そう考えるとヨロイ元帥はヨロイ一族程にはキバ一族・ツバサ一族を指揮出来たとは思えないし、指揮を受ける側も生前の族長から受ける程には真価を発揮出来なかったことだろう。
 最終回冒頭で首領がプルトンロケット喪失を惜しんでいたり、保身の塊であるヨロイ元帥がV3との最終決戦に再生怪人軍団を加勢させていなかったりしたことを鑑みると、再生怪人軍団は端から戦力として期待されておらず、イタチの最後っ屁的に損壊した改造人間の中から比較的蘇生が可能だった者がなし崩し的に選ばれたのではなかろうか?
 もしそれほどデストロンが最終的な戦力を保持出来ていなかったとなると、再生怪人軍団が充分な戦闘能力を持って再生されるのは困難だっただろうし、女子供の襲撃や、罠に嵌めるまでの誘因的な任務しか与えられなかったのも無理はないし、進退窮まったヨロイ元帥が情けない痴態で首領に助けを求めたり、それを却下、即処刑したりした首領の対応にも腑に落ちるのである。

 制作陣に対しては酷評になるが、最終回を盛り上げるためとはいえ、無理に再生怪人軍団を出す必要はなかったと思われる。要するに再生怪人軍団の起用は蛇足で、ストーリーの重みはライダーマン・結城丈二(山口暁)の華々しい戦死で充分だっただろう。


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令和六(2024)年四月九日 最終更新