第5頁 命の炎復活軍団
再生怪人軍団File.5
登場作品 『仮面ライダーX』第21話 構成メンバー ヘラクレス、メドゥサ、アキレス、プロメテス、ユリシーズ、クロノス 指揮官 アポロガイスト 再生手段 命の炎授与 手強さ 弱
作中行動 GOD秘密警察第一室長・アポロガイスト(打田康比古)から、「命の炎」なるものを与えられて、ヘラクレス、メドゥサ、アキレス、プロメテス、ユリシーズ、クロノス、ケルベロスの7体が甦った。
再生怪人軍団の主任務は仮面ライダーX・神敬介の抹殺と、その敬介を誘き寄せる為の立花コーヒーショップ・COLの襲撃である。
まずアキレス、プロメテス、ユリシーズがCOLにてチコ(小板チサ子)とマコ(早田みゆき)を襲って拉致し、その後、2人の身を案じて戻ってきた敬介と藤兵衛を、店で襲われて倒れた客の振りをして不意打ちしたが、「不意打ち&3体掛かり」でも全くXライダーには適わず、ユリシーズとプロメテスが戦死し、アキレスに至っては生け捕られた上におだてに乗って敬介達に加勢する始末だった(苦笑)。
そのアキレスと共にGODアポロン第二宮殿に乗り込んだ敬介をヘラクレス、クロノス、ケルベロスが迎撃したが、これまた次々とXライダーに打倒されたのだった。
直後、Xライダーと対峙したアポロガイストは、2人の女子大生に加えて藤兵衛も人質に取っていることを宣告し、その藤兵衛はメドゥサによってギロチンに掛けられていたのだが、Xライダーの機転ですぐに藤兵衛も救い出された(詳細後述)。
結局、そのままXライダーとアポロガイストとの最終決戦が成され、再生怪人軍団による人質奪取及び迎撃には殆ど意味が無かったのであった。
生前比較 結論から云えば、生前より弱かったとシルバータイタンは見ている。その根拠として注目しているのはクロノスとケルベロスである。
生前クロノスは大鎌を武器としてXライダーと互角に打ち合い、Xキックに敗れるも、同時にXライダーの右肩に斬撃を食らわせ、しばらく変身が出来なくなるほどの重傷を負わせた。しかしこの第21話におけるクロノスは、負傷はおろか、ほぼ一太刀も浴びせられれず、ライダーハンマーシュートを受けて戦死した。
また生前のケルベロスは全体表に高圧電流を流すことでXライダーの攻撃を受け付けず、直接触れる事の出来ない相手にXライダーはライドルロングポールを駆使して川中に叩き落してショートさせることで辛うじて倒していた。つまり接近戦では圧倒的なアドバンテージを持っていただが、この第21話では「そんな設定は忘れた。」と云わんばかりにアドバンテージを発揮せず(苦笑)、しこたま殴られるや口から泡を吹いて絶命したのだった。
これらの例から見ても、再生怪人軍団が生前の特殊能力を失っていたのは明らかである。
ここで少し考えたいのが、神話怪人達を蘇生させた、「命の炎」である。
如何にも太陽神の化身であるアポロガイストが駆使したらしいアイテム名だが、どれほどの力があるか、如何なるメカニズムを持つかは不明である。ただ、この第21話におけるアポロガイストは余命幾ばくもない切羽詰まった状態(←第14話で敗れ、第16話で受けた再生改造手術による寿命は1ヶ月しかなかった!)で、生命力に余力があったとは考え難い。しかもアポロガイストは基本、怪人達の能力を信用していなかった。
恐らく、タイムリミットギリギリで、何としても神敬介(速水亮)を倒し、パーフェクターを奪わなくてはならないという状況下ではアポロガイストは形振り構っておられず、まずはどんな手を使ってでもXライダーを決戦の場に招き入れる必要があった。
実際、Xライダーはアポロガイストの余命を知らなかったが、もし知っていれば、戦闘を回避してアポロガイストの寿命が尽きる方策を取る可能性もあった(←何せ一日稼げれば不戦勝なのである)。
そう考えると、アポロガイストにしてみれば、再生怪人軍団とは、「取り敢えず戦闘工作員よりは戦力になり、神敬介を第二アポロン宮殿まで連れてこさせればそれで良い。」程度の戦力だったのかもしれない。であれば、「命の炎」による蘇生術に格別大きな効果を持たせる必要はない。しかも自身の生命力に余力がない状態とあっては尚更である。
上述した様に、アポロガイストは再生怪人軍団に殆ど期待しておらず、Xライダーに捕らえられて、おだてられたアキレスが「神敬介を捕らえた。」として帰還した際はこれを即行で射殺していた。しかも、射殺されたアキレスがパーフェクターを取り落としたのを見て、「しまった!パーフェクターはアキレスが持っていたのか……!」と口走っていたから、丸でアキレスを信じていなかったのだろう。
また、アポロン第二宮殿内でXライダーを迎撃したヘラクレス、ケルベロス、クロノスが次々に敗れ、まだ立花藤兵衛を人質として拘束していたメドゥサが生きていた段階で、「役立たずの能無しどもは死んだ!」と口走っていた。思うに、Xライダーが自身と対峙してくれた段階で再生怪人軍団は用済みだったのだろう。
これらのことから、「命の炎」による再生復活は「取り敢えず」的なものだったのだろう。そしてはっきり云えることは、性格に関しては生前そのまんまという事が挙げられる。
もし、シルバータイタンがアポロガイストの立場で、再生怪人軍団を本気で活かそうと考えるなら、絶対にアキレスは選ばない(笑)。
何せアキレスは生前さんざっぱらその性格や立ち居振る舞いをアポロガイストから酷評され、第10話ではアポロガイストによって処刑されている(←散々神話怪人達に処刑をチラつかせたアポロガイストだったが、実際に処刑したのはアキレスだけである)。そのアキレスが捕らえられた際に、「お前ほどの男がいつまでもアポロガイストに使われているのは惜しいと思う。」という見え見えのおだてに乗って、「お前達に加勢するぞー!!」となっていたのだから、完全な人選ミスである(苦笑)。
実際、アキレスがあっさり敬介側に寝返ったのも、生前からの短期直情的でおだてに乗りやすい性格もあっただろうし、「一度アポロガイストに殺されている。」という記憶も影響したことは充分に考えられる。
それを思えば、生前接点の無かったヘラクレス、メドゥサ、クロノス、ケルベロス、一時協力体制を持ったユリシーズを選んでいたのは良い選択だったと思う。まあ、シルバータイタンが人選するなら、アキレスとプロメテスは選ばず、代わりにイカルス、アトラス辺りを選んでいたと思う。ま、ストーリーの面白さとしては、アキレスが選ばれていたのは正解だったと云えるが(笑)。
対ライダー戦 まあ、これまた一方的に敗れて勝負になっていなかった。殊にCOLでの戦いでは複数で一斉にかかって一方的に敗れていたのだからお話にならない。
既に戦果は上述しているので、簡単に落命した順に箇条書きにしておきたい。
・ユリシーズ………ライドルホイップでの刺突からライダー電気ショックを受けて感電死。
・プロメテス………ライダー脳天割りで真っ二つにされて戦死。
・アキレス………ライドルロープに生け捕られ、おだてに乗って敬介に加勢するも即行でアポロガイストに射殺された。
・ケルベロス………パンチ2発と飛び蹴り1発を食らい、泡を吹いて絶命。
・ヘラクレス………Xキックの前に戦死。
・クロノス………ライダーハンマーシュート(一本背負い)で投げ飛ばされて戦死。
・メドゥサ………立花藤兵衛をギロチンに掛けていたところに遠隔操作されたクルーザーの追突を受け、自分がギロチンに掛かり首ちょんぱ。
うーん………普通にXキックに倒されたヘラクレスがまだマシに見える(苦笑)。メドゥサ以外はXライダーと実際に戦っていたから、Xライダー抹殺(及びパーフェクター奪取)も任務の一環だったとは思われるが、上述した様に、アポロガイストは神話怪人達がXライダーを倒せるとはこれっぽっちも思っていなかった(キマイラが「倒した。」と云った時に半信半疑だった以外は、怪人が「倒した。」と云っても頭から信用していなかった)。
ただ、余命幾ばくも無い体で恐らくは生命力を分け与えると云う程の最終手段を断行するなら、もう少し自身への援護射撃となる戦力陣容を整えるか、逆に再生怪人軍団など編成せずにすべてのエネルギーをXライダー打倒に傾注すべきだったと思う次第である。
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令和六(2024)年四月一九日 最終更新