第7頁 村雨良………故人は何を望むのか?
Revenger 7
名前 村雨良 変身するヒーロー 仮面ライダーZX 復讐取組期間 規定不能 復讐対象 バダン帝国 復讐達成 不明 復讐除去要因 先輩ライダーの説得
愛する者の死 村雨良が悪の組織バダン帝国のために失ったのは、たった一人の肉親だった姉の村雨しずか(ふくしまとしえ) だった。
ブラジルの大学に通う大学生だった村雨は新聞記者だった姉に頼まれてUFO目撃の情報を追ってアマゾン上空を調査する為に姉を乗せてセスナで飛んだ。だが、謎の発光体はバダンが放ったもので、村雨としずかはそれに捕らえられた。
二人の姉弟に対してバダンは身体頑健な村雨を使えるとして、改造人間ZXにし、その前にしずかを「口封じすべき目撃者」として電気椅子で処刑された。そしてその酷刑は村雨の眼前で行われ、拘束された村雨は為す術無く眼前で姉を惨殺され、その後長くその記憶も封じられたのだった。
復讐戦 「姉さんを殺し、オレをこんな身体にしたバダンを許せん。必ず復讐してやる」とは、村雨良が復讐の意を露わにした際の台詞である。
バダンに改造され、ZXにされた村雨はバダンの中に在ってタイガーロイド・三影英介(中屋敷鉄也)と並んで優秀なサイボーグとして大幹部・暗闇大使(潮健児)の覚えも目出度かったが、事故により自我と記憶を取り戻し、姉を殺して自分を改造人間にしたバダンへの復讐を決意し、日本に帰国した。
帰国した村雨に頼るべき存在は海堂肇(柄沢英二)博士唯一人だった。当初の村雨には頼る仲間も殆んどいなければ、改造人間にされた肉体とそれに内蔵された武器(十字手裏剣・電磁ナイフ・マイクロチェーン等)、愛用バイク・ヘルダイバー以外にこれと云って利用できる設備も組織も無かった。それでも、たった一人でも、勝算度外視でも、村雨は報復戦を挑まずにはいられなかった。
潜む醜さ 悪の組織によって改造された多くの仮面ライダーは組織内にいた味方によって脳改造と、それによる悪の尖兵化を免れたが、村雨良はその例に漏れ、脳改造を施された。
それ故、事故で自我を取り戻すまではバダン帝国の一員として悪事にも手を染めていたので、記憶が戻った際の反動は凄まじかった。姉・しずかを殺されたことへの怒りもさることながら、自分の体が人間のそれでは無くなっていたことを海堂博士に告げられた際の愕然とした姿は見てる方が辛い程だった。
当然、村雨の怒りは凄まじく、「バダンの巨大な組織にたった一人でどうやって戦うの?」と問いながら暗に無謀な戦いを止める一条ルミ(三宅友美子)の声も殆ど入っていなかった。
そんな状態だったから、村雨は怒りと復讐心で視野が狭い状態にあった。バダンが時空破断システムを動かす為のエネルギーとしてバダンニウム84を輸送したのを追った際も、情報収集能力は(単独行動だったので仕方なかったが)明らかに9人ライダーに劣っていて、バダンの輸送トラックを一台発見した時には仮面ライダーに襲撃され、バダンニウム84も始末された後だった。
このとき、村雨は自分以外にバダンを追っている者がいることを感じつつも、共闘者となり得るその存在を詮索したり、追ったりすることもなかった。そしていざライダーマンと仮面ライダースーパー1がバダン輸送隊を攻撃しているのに遭遇した際、バダンは自分の獲物故に邪魔するなとして割って入ったのはまだリベンジャーの気持ちとして分からなくは無かったが、味方であることを告げるライダーマンとスーパー1に対して、「バダンのその手には乗らん!」と返していたのだが……………たった今、二人がバダンと戦っていたのを見てたんじゃなかったのか?復讐心ゆえに冷静さを欠くのもここまで来ると不可解と云うより、分からず屋振りが腹立たしいだけでしかなかった。
復讐の終わり ロープアームを駆使するライダーマンと綱引き状態になり、それに加勢する仮面ライダースーパー1との2人掛かりに対しても遜色ない腕力と蛮勇を見せ(スーパー1よ、パワーハンドはどうした?)、丸で聞く耳を持たないZXだったが、そこに仮面ライダーV3が蹴りを(←しかも背後からの不意打ちで)入れたことで聞く耳を持つようになるという謎の反応を見せてからようやく冷静な話し合いが持たれた。
V3が、自分達を「悪の組織に改造された仮面ライダー」と称したことで、自分と同じ境遇に立たされた者が他にもいると知った瞬間が、村雨良が冷静さを取り戻した瞬間だった。まずは目の前の仮面ライダーを名乗る三人がバダンの敵だと知ったことで謝罪したZX(←だからライダーマンとスーパー1がコンバットロイド達と戦っていたのを見てなかったのか?)は次いで互いに素顔に戻ったところで風見志郎、結城丈二、沖一也(高杉俊介)から歴代ライダーのビデオを見せられ、自分と同じ境遇にされた者が9人もいることに驚き、彼等が「一度は復讐の為に戦った。」とし、「今は求められる限り叩き続けるだけ」とする風見の台詞に思うところがあった様だった。
さて、本頁の考察は特番『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』を本編としている。周知の様に仮面ライダーZXは雑誌掲載の作品に登場した仮面ライダーなのだが、恥ずかしながらシルバータイタンはその雑誌を見たことがなく、入手も出来ずにいる。
また漫画『仮面ライダーSPIRITS』・『新仮面ライダーSPIRITS』を真の本編と見る向きもあり、シルバータイタンも歴代ライダーの後日譚を同作に見出して例示しているが、本頁では『ライスピ』が令和7(2025)年1月現在まだ連載中で、村雨しずかの最終的な在り様、並びに村雨の復讐に対する想いの帰結がはっきりしていないことから、同作を本編としないことにした。
それゆえ、特番においての復讐の終わりを考察することになるが、シルバータイタンはライダーシンドロームの発動直前が「復讐を捨てたとき」と見ている。暗闇大使が体内のコントローラーで時空破断システムを作動し、10人ライダーは虚空の様な場所に閉じ込められ、足元で次々と小さな爆発が起きるというよく分からない攻撃に曝されたが、ZXは自分が突破口を開くと申し出た。
それに対してV3は「貴様、死ぬ気か?」と云って咎めたが、ZXは「俺のこの身体はこの時の為にあった、ありがとう!先輩!」と叫んで突進した。
怨敵ヨロイ元帥への攻撃よりプルトンロケット阻止を優先したライダーマンじゃないが、恐らくこの時ZXは暗闇大使を倒すことより、時空破断システムを止めることに改造人間にされた我が身を駆使するときと見たのだろう。
そんなZXを見殺しにするまいとして9人ライダーもそれに続き、結局はライダーシンドロームからZXキックで暗闇大使が倒されることで時空破断システムは制止された。
直後、バダン総統(声:納谷悟朗)が高笑いしながら10人ライダーに別れを告げて消え失せたので、この特番においてバダンが滅びたのかどうかははっきりしない。ただ、個人的感傷としては、復讐を捨てて、仲間の為に戦うことを優先したことで仮面ライダー10号となった仮面ライダーZX・村雨良の心根を尊重する意味で、この時点でバダンは壊滅していなかったと見たいところである。
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令和七(2025)年一月四日 最終更新