復讐を捨てるとき
復讐・仕返し・報復・リベンジ……………決して耳に心地いい言葉ではない。
要するに何らかの被害を受けた際に、その加害者に自分や自分の大切な存在が受けた痛みに相当する、或いは何倍にも及ぶ痛みを与え返すことで留飲を下げたがる気持ちを指す訳だが、そもそも復讐心を抱くこと自体、既に尋常ならざる被害を被っており、相手に対する憎悪を抱いている訳だから、背景は極めて不幸である。
だが、戦い………それも命が奪われるようなそれにおいて、自分の大切な存在の命が奪われることもしばしば起こる。当然深い悲しみと激しい怒りが伴い、強い報復感情が生まれる。
命が失われる程の被害が伴わずとも、傷害・虐待・侮辱に対しても人間は普通に報復感情が抱く。「先に手を出した方が悪い。」という考えから、復讐は感情的に容認され易い。十数年程前に某ドラマにおける「倍返しだ!」という台詞が流行語と化したことなどその最たるものだろう。
だが、それ程頻発する「復讐」だが、特撮番組におけるヒーローの行動要因としては否定される傾向にある、最終的には。それは復讐という概念が、それを抱くこと自体は自然感情としては容認されつつも、実際に行動することが美しくないものとされるからだろう。
当然、暴力や殺害に対して個人が私的に報復することは現実の法律でも容認されておらず、所謂、私刑を認めている国はまずない。まあ、官憲が見て見ぬ振りをしたり、実際に起きた私刑がその背景によっては情状酌量されて裁きが甘くなったりするのはよくある話ではあるのだが。
要するに、ヒーローは正義や愛や友情と云った正の感情や大義の為に戦うべきであって、我欲・私怨・その他の下心でもって戦うのは「ヒーローにあるまじき行為」と見做されるのだろう。
実際、現実であれ、フィクションであれ、復讐心を露わにしている時の人間の表情は決して美しくない。否、醜いと断言して良い。
だが、ヒーローだって人間であり、人間でないヒーローだって感情がある。大切な肉親や仲間が害されれば深い悲しみと激しい怒りは湧くし、加害者張本人を前にすれば普段以上の戦意を抱く。実際、復讐をきっかけとして悪の組織や侵略的宇宙人との戦いに身を投じた例は決して少なくない。
素の性格にもよるが、ヒーローが復讐心を滾らせたケースも千差万別なら、その対象や抱き続けた長短もまた千差万別である。そして最終的に彼等は復讐を捨てることになる。
決して美しくないが、自然な感情でもある復讐心………本作ではヒーローがどんな復讐心を抱き、如何にしてそれを克服したのかを現実への参考の為にも検証してみたい。
第1頁 郷秀樹………復讐心を逆手に取られ
第2頁 風見志郎………父よ、母よ、妹よ
第3頁 結城丈二………私怨より人類の平和
第4頁 ウルトラマンレオ………最後には見下していた?
第5頁 城茂………改造手術の苦痛に耐えたが
第6頁 明日香健二………最後の一人だけ止められてもねぇ?
第7頁 村雨良………故人は何を望むのか?
第8頁 ウルトラマンヒカリ………純粋過ぎた故に
第9頁 照井竜………一度は復讐に捉われたからこそ(工事中)
第10頁 美剣サキ………自らに重ねた兄弟愛(工事中)
最終頁 復讐心は消えるのか?(工事中)
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令和七(2025)年二月一四日 最終更新