4.V3脱出パンチ…(仮面ライダーV3VSカマクビガメ)

番組『仮面ライダーV3』
サブタイトル第44話「V3対ライダーマン」
技名 V3脱出パンチ
使い手仮面ライダーV3
被験者カマクビガメ(デストロン・ヨロイ一族所属)
実践結果脱出&決着(V3生還・カマクビガメ死亡)
ストーリー概要 前週である第43話にてデストロン大幹部ヨロイ元帥(中村文弥)は自らの地位を守る為に科学者グループのリーダーである結城丈二(山口暁)に裏切り者のを汚名を着せ、硫酸のプールにて処刑しようとしたが、結城は助手達の救助で右腕を失いながらも九死に一生を得て、延命と失われた右腕の代わりに人造アームが移植され、復讐鬼・ライダーマンが誕生した。

 殺される筈だった自分を救い、手術を行い、庇った為にデストロン・ヨロイ一族のカマクビガメに殺された助手の仇打ちの為、自らの復讐の為にヨロイ元帥のアジトに乗り込んだライダーマンだったが、右腕のみの改造ゆえの非力さ・初めての実践・ヨロイ元帥カマクビガメの二人掛かり、といった不利な要因の為にライダーマンはたちまち窮地に陥り、カマクビガメが放った子亀の放つデストロンガスの前にあわやの状態に陥ったが、そこに仮面ライダーV3が乱入した。

 間一髪を逃れたライダーマンだったが、カマクビガメは追跡してきた。自分が戦う間に逃げることを勧めるV3だが、復讐心に燃えるライダーマンはこれを拒否し、ロープアームでもってカマクビガメと戦おうとするV3に対し、(文字通り)足を引っ張った。
 結局共闘どころか、まともな戦いにすらならず、逃亡することとなった。

 思わぬ敵対行為に風見志郎(宮内洋)のみならず、立花藤兵衛・珠純子(小野ひずる)もライダーマンの行為を訝しがり、珠茂(川口英樹)に至っては「敵も同然。」と云い出す始末だった。
 そんな疑念が渦巻く少年ライダー隊本部にとある団地の住民が原因不明の全滅を遂げたとの通報が入った。

 早速風見が現地に急行したが、復讐の為にデストロンの情報を得んとして風見を張っていた結城がこれを尾行した。
 住民が皆殺しにされた惨状の中、赤ん坊の声を聞き付けた結城はこれを見つけ出し、病院に連れて行こうと背負うが、そこにデストロン戦闘員達が襲いかかった。幾ら右腕だけの改造人間とはいえ、そこは戦闘員ごときにひけを取らない筈だったが、背中の赤ん坊の異常な重さが結城の戦闘を著し妨害した。
 果たして背中の赤ん坊は1t近い体重を持つカマクビガメが化けたもので、ライダーマンカマクビガメの第2ラウンドが始まろうとしたが、またもV3ホッパーで索敵していたV3が乱入した。

 「罪の無い人達を何人殺せば気が済むんだ!?」と詰問するV3に「地上の人間すべてだ!!」と啖呵を切るカマクビガメ。うーん、という事はデストロンが世界を征服した暁には、善良な一般市民は皆殺しにされている訳だから、戦闘員は永久に下っ端、という報われない話を心配してみたりするシルバータイタンだったが、啖呵を切った割にカマクビガメはあっさりとV3ホッパーの追跡が及ばない水中に逃亡した。

 その後、結城は、殺された助手達の墓前を訪れる。墓前にてヨロイ元帥への復讐と悲しみに暮れる結城の前に風見が現れた。人造アームを取り外し、風見の眼前に自らの悲しみの姿として突きつける結城デストロンの悪を否定した。
そんな復讐心の虜となっている結城に対し風見は自分の家族がデストロンに皆殺しにされたことを明かし、V3に変身して見せる。自らもまた改造人間であり、その悲しみを知るからこそ個人の復讐は捨てることを諭す(かつて Wライダーに諭された事やね)。

 拭えぬ悔しさ、悲しみ、復讐心に悶え、大地に膝を屈し、人造アームを叩き付けて慟哭する結城。それを見守る風見の元に茂から片桐幸江(井上真彩子)がタクシー運転手(中屋敷鉄也)に化けたデストロン戦闘員に攫われたという報告が入る。
 雪江は結城を庇って救出・手術・治療手配に尽力して最後にはカマクビガメに殺された助手・片桐二郎(平野康)の妹で、結城としては片桐の為にも捨て置く訳にはいかなかった。彼女の拉致を脇で察知した結城は幸江救出にデストロンアジトへ急行せんとする。風見ライダーマンとしての力ではカマクビガメに勝てない事を告げ、結城を思い留まらせようとするが、彼がそれを素直に聞き入れやしない頑固者である事はこういうサイトを見る方々に周知であろう(苦笑)。
 結局、風見は力づくで結城を止めることになり、右腕のみの改造人間であり、戦い慣れてもいない結城に抗し得る術は無かった。

 アジトでは幸江を囮に誘引した敵をデストロンガスで抹殺せんする策にほくそ笑むカマクビガメだったが、いつの間にやら戦闘員に化けて潜り込んだV3が幸江との間に割って入った。その際、戦闘員のタイツを脱いで下から風見が現れるのならまだしも、V3が現れたことに違和感を覚えるのはシルバータイタンだけか?(笑)
 更には叩きのめした筈の結城までものライダーマンの姿で何事もなかったこのように現れた (しかも高所から!)。

 「どっちからでも掛って来い!」と戦意を露わにするカマクビガメに「私が先だ!」と叫んだライダーマンだったが、言葉とは正反対にライダーマンが幸江救出に、V3カマクビガメとの戦闘に突入した。
 幸江を庇いながら群がる戦闘員を蹴散らすライダーマン。一方でV3と対するカマクビガメは難敵で、一瞬の隙を突いて名前の通り鎌首を伸ばして足に食らいつき、これを呑み込んだ。その展開に驚きながらもどう対処していいか分からずうろたえるライダーマンカマクビガメの体内で「このままでは溶かされる…。」と断じたV3V3脱出パンチで内部からカマクビガメの体を破壊して脱出と勝利を遂げた。
 勝利の瞬間、幸江と供に喜びの表情を見せたライダーマンだったが、生還したV3が求めた握手をスイングアームでゆっくり拒否するや、幸江の呼び掛けにも応えず独り去っていったのだった。


炸裂と決着 決着の瞬間は呆気ないものだった。カマクビガメに呑み込まれ、そのまま消化されようとしていた仮面ライダーV3はその体内から逃れんとして、正拳突き=V3脱出パンチを放ち、カマクビガメの体を内部から破壊することで技名通りに脱出を遂げるとともに、戦いに勝利した。
 危機を脱出したV3は羽化した虫が勢いよく繭を破って外界に姿を露わすか如くに絶命したカマクビガメの体を木端微塵に吹き飛ばしてその無事な雄姿を現した。甲羅・鱗・貝殻・角質・外骨格を強固な装甲とするヨロイ一族も内部からの攻撃には弱かったという訳だろうけれど、固さが自慢のヨロイ一族なのに敵を装甲の脆い体内に入れ込んだカメクビガメって、もしかして馬鹿??


ライダーパンチのレゾンデートル 決着となったV3脱出パンチだが、技として見た時、然程強烈な技とは云い難い。
 アクションは空手の正拳突きか、ボクシングのストレートパンチだが、突きでもパンチでも拳だけで強烈なパンチを放つのは難しい。肩・腰・体幹の動きが伴い、肩から拳にかけて充分に腕全体の力を振るえてこそ強烈なパンチが放てる。
 そこを考えると、敵の体に対して体内から至近距離で打てる以外にV3脱出パンチに有利な要素は無く、むしろ体の大部分を拘束された状態で、腕のみの力で放たなくてはならないのは相当に不利である。となるとV3脱出パンチの破壊力から類推するに、仮面ライダーV3の腕力は相当なものがあり、仮面ライダー2号から引き継いだ力以外の要素があることも充分考えられる。

 放映も終盤のこの時期になると初期に見られたV3・26の秘密に対する言及も殆ど見られず、Wタイフーンレッドランプボーンリングが幅を利かす事もなく、ヨロイ一族の固い装甲に対抗すべく、V3フル回転キックV3きりもみキックが主体となる。だが、言及がないだけで、パンチ技に対しても相当な破壊を為す物が仮面ライダーV3には備わっているのではないか?と考えるのもまたこの番組を見る楽しみと云えよう。


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令和三(2021)年五月二〇日 最終更新