6.電パンチ…(仮面ライダーストロンガーVSマシーン大元帥)

番組『仮面ライダーストロンガー』
サブタイトル第39話「さようなら!栄光の7人ライダー!」
技名電パンチ ※技の呼称無し
使い手仮面ライダーストロンガー
被験者マシーン大元帥(デルザー軍団所属)
実践結果脱出(マシーン大元帥の押さえ込みより脱出。直後にマシーン大元帥自爆死)
ストーリー概要 仮面ライダー達とデルザー軍団改造魔人との最終決戦も遂にこの回が最後となった。仮面ライダーストロンガー磁石団長(声:沢りつ夫)と、仮面ライダー1号ヨロイ騎士(声:池水通洋)と、仮面ライダー2号マシーン大元帥(声:市川治)と、ここに三者三様の一騎打ちを演じていた。
 主役であるストロンガーと、全ライダーのリーダー格である1号ライダーは貫録で勝負を有利に進め、ストロンガー磁石団長超電逆落としでKOし、1号ライダーライダーキックヨロイ騎士を気絶させた。

 だが、デルザー軍団のリーダー格であるマシーン大元帥を相手にした2号ライダーは苦戦を強いられていた。ライフル銃でもって止めを刺そうとするマシーン大元帥の前に1号ライダーが現れ、「動けば仲間の命は無い!!」と一喝した(←いやあ〜何度も見ても笑えますな)。
 それを証明する如くストロンガーに連行されたお縄状態の磁石団長ヨロイ騎士の助けを請う声に両名を詰らずにはいられなかったマシーン大元帥。人質の両名も諦観を漂わせたが、次の瞬間マシーン大元帥は大笑し出した。

 笑うマシーン大元帥のライフル銃を奪い、降伏を促す2号ライダー仮面ライダーV3ライダーマンが人質になっている事を告げ、人質交換を申し出た。
 それを聞いて俄かに尊大な態度に出て「早く縄を解け!」と叫ぶ磁石団長ヨロイ騎士。ライフル銃を奪い返して二人の解放を迫るマシーン大元帥にしぶしぶ縄を解こうとする2号ライダーストロンガーだったが、そこに仮面ライダーX仮面ライダーアマゾンが現れ、その二人に寄ってデルザーの地下牢から救われたV3とライダーマンも現れた。

 人質を奪い返され、七人の敵が勢揃いし、三人の内二人が縛られた状態でもはやデルザー軍団もこれまでかと思われた刹那、奇岩山の人面岩の両目から怪光線が発射され、周囲の岩々が爆破され、七人ライダーが散っている隙に三人の改造魔人達も逃亡した。
 姿を消した改造魔人達は七人ライダーの育ての親である立花藤兵衛を人質に取ってある事を告げ、戦闘員に藤兵衛のジープを運転させ、先導するゆえに奇岩山まで来るよう要請した。

 その奇岩山の麓にて立樹に両腕を縛られた状態で拘束された状態の藤兵衛は改造魔人三人で七人ライダーには勝てない、と啖呵着るが、マシーン大元帥デルザー軍団が自分達だけではない事を宣した。
 訝しがる藤兵衛の前で人面岩が「デルザー復活!」と叫ぶや荒野に稲妻が落ち、爆煙の中から復活したサメ奇械人奇械人アリジゴク奇械人メカゴリラ奇械人ブブンガーカニ奇械人荒ワシ師団長が現れた。
 このシーンを捕まえて、奇械人ブブンガーの首から下が奇械人ドクガランであった事、カニ奇械人は本来奇械人ハサミガニで、明らかにゲドンカニ獣人カマキリ奇械人の大鎌を付けた物となっていたことや、荒ワシ師団長が斧を持っていなかった事を突っ込むのは野暮だろうか?

 ともあれ、七人ライダーが到着すると砲撃が襲いかかったのを合図に、復活した六人の怪人に磁石団長ヨロイ騎士を加えた八名が迎撃に出た。
 集団戦の中にストロンガーの姿が無い事を訝しがるマシーン大元帥だったが、ストロンガーは既に背後に忍び寄っていて、たちどころに藤兵衛を見張っていた二人の戦闘員を張り倒した。
 「いい所に来た、俺が相手だ。」と一騎打ちを申し出たマシーン大元帥だったが、ストロンガーデルザー軍団の最期を宣告。振り返るマシーン大元帥の目に映ったのは六人ライダーによって円の外に蹴り出されるや、次々と爆死していった仲間の最期だった。
 最早これまで、と最期を悟ったマシーン大元帥ストロンガーを道連れに死ぬことを宣言して組みついたが、即座に振り解かれ、電パンチ(技の呼称無し)によってぶっ飛ばされた。
 起き上ったマシーン大元帥デルザー軍団の不滅を宣して爆死した。

 意識を取り戻した藤兵衛を囲むように見降ろすのは城茂を始め、本郷猛一文字隼人風見志郎結城丈二神敬介(速水亮)、アマゾン(岡崎徹)達七人の教え子達だった。
 感極まり、一人一人と再会の握手を交わす藤兵衛。ふと気付いて勝負の行方を訪ね、本郷一文字デルザー軍団が一人残らず全滅した事を告げられたが、藤兵衛は奇岩山の人面岩が喋った事実を持って戦いが終わっていないことを断言した。
マシーン大元帥の最後の言葉からも藤兵衛の言葉を聞き捨てに出来ず、七人は奇岩山に向かった。

 各々のライダーマシーンを駆って奇岩山に辿り着いた七人の前で人面岩が彼等の来訪を歓迎する旨を述べ、崩れる奇岩山の中から岩石大首領(声:納谷悟朗)がその巨体を現した。
 驚く七人に岩石大首領は自分の声に聴き覚えがないかを問いかける。ライダー達は自分達がかつて戦った悪の組織の首領の名を挙げ、岩石大首領の正体が歴代悪の組織首領と共通していることを示唆し、本人がそれを追認した。尚、この時、Xライダーは「誰だ?お前?」、アマゾンライダーは「ナレーター!」と云ったりはしていない(←何の話だ、それは?by道場主)。

 襲い掛かる岩石大首領に立ち向かうべく、1号ライダーの号令一下、ライダー達は攻撃を開始したが、岩石に覆われた巨体に有効なダメージを与える事は叶わなかった。一方で岩石大首領は巨体を利して殴り、蹴り、特殊能力として火球を吐き、目から怪光線を放つといった技も駆使した。七人の中でも特にXライダーが真っ先に蹴りを入れられたり、鷲掴みにされたり、と優先的に攻撃されていたようだったが、これはかつて巨大幹部キングダークXライダーに敗れた史実に対する用心だろうか?
 勝機が見えない戦いの中、七人ライダーは互いの手を握り、全員のエネルギーを結集してエネルギー体となると岩石大首領の口から体内に飛び込み、遂に単眼を持つ脳髄の様な正体に遭遇した。
 岩石大首領(本体)は地球での世界征服の野望を捨て、宇宙に還る事を宣言し、七人ライダーを自爆の道連れにしようとしたが、ライダー達はいち早く脱出した。

 大爆発後に上がるキノコ雲を見て長い長い戦いの終焉に万感の思いをはせる立花藤兵衛の背後で本郷猛一文字隼人風見志郎結城丈二神敬介アマゾン城茂も同じ想いでいた。そして七人はライダーマシーンを駆っていずこともなく去って行き、第一期仮面ライダーシリーズは終幕した。


炸裂と決着 歴代悪の組織の中で最強との呼び声も高いデルザー軍団。ヒエラルキーが存在しない筈の組織の中で圧倒的膂力をもってジェネラル・シャドゥから指揮権を奪い、末期の戦いを率いたマシーン大元帥岩石大首領を別にすれば彼こそが第一期ライダーシリーズの対戦相手であり、その彼に最後に放たれた技が電パンチだった。

 だが、この時、技名の呼称もなく、改造魔人軍団の首魁相手にチャージアップもせずに放たれた電パンチマシーン大元帥に致命傷を与えてとは極めて考えにくい。
 かつて拙サイトのBBSでもこの事は話題となり、「マシーン大元帥は弱いのでは?」との意見も出たが、シルバータイタンはこれを否定した。戦績上、2号ライダーを圧倒し、マシーン大元帥V3V3キック1号ライダーライダーキックの直撃に耐えているマシーン大元帥である(戦線離脱したり、戦闘力を失ったりはしていたが)。そんな彼が単純に放たれた電パンチ一発で致命傷を負ったとは云えまい。マシーン大元帥の死因は自爆によるものだろう。彼自身配下をすべて失った時点で敗北を悟り、ストロンガー道連れを宣言している。組み付いたのもストロンガーを逃がさない為であろう。
 そしてそれを知ってか知らずかストロンガーは振りほどいた直後にマシーン大元帥を地面に二度叩きつけて電パンチを一閃して、これを遠くまでぶっ飛ばしている。立ち上がったマシーン大元帥デルザー不滅を叫びつつも戦い自体は完全に諦めていた。リミットが間に合わない事を悟っていたのだろう。

 数々のライダーの技に耐えたマシーン大元帥の死に様としてはその呆気無さに批判の声もあるだろうし、シルバータイタンも彼の死に様に物足りなさを感じている。だがここは人間の攻撃力の基本であるパンチ技が最後の戦いを終わらせた、と肯定的に捉え、マシーン大元帥の死因は自爆にあり、弱者説には異を唱える次第である。


ライダーパンチのレゾンデートル 本作で何回か触れているが、ベアナックルによる殴打は人類が他者を攻撃する最も基本的な手段である。
 実際にマシーン大元帥を死に追いやったのは彼の体内にあると思われる自爆装置で、チャージアップもしていない、特別なアクションによる強化も図られていない電パンチが彼を倒したと考え難いのは前述通りである。
 そして前頁でも触れたように改造電気人間(または改造超電子人間)である仮面ライダーストロンガーの技はキック技と電気技が基本で、パンチ技の影は薄い。普通に考えたらクライマックスを締める技ではなかろう。

 だが、こうも考えられないだろうか?

 仮面ライダーは改造人間ゆえに常人には有り得ない戦闘能力を発揮するが、それは彼等が心底望んで得た力ではない(状況の変化から望んだ事はあるが、必要とすること自体は望んでなかった筈である)。だから『哀しき改造人間の戦いを締め括る手段は人間として基本技中の基本技であるパンチで絞められた。』と。
 深読みもいい所かも知れないが。


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令和三(2021)年五月二〇日 最終更新