8.シビレイジン コミカルさと恐ろしさの併せ持ち
怪人Profile
登場作品 『仮面ライダー(スカイライダー)』第18話「魔神提督の電気ジゴク大作戦」/td> 怪人所属 ネオショッカー(魔神提督傘下) 任務 発電所に高圧電流を流し込んでの大火災発生による東京壊滅 性格・特徴 ごく一般的な残忍性。中途半端だが割りと考えて行動している。
ストーリー概要 前17話で戦死(と云い切るには若干の疑問があるが)したゼネラル・モンスターに替わって日本支部に着任した魔神提督はプロフェッサー・ドク(高杉玄)を裁きに掛けていた。
ゼネラル・モンスターのお抱え博士であったドクはゼネラル・モンスター敗北の責任を取らされた訳だが、こういう場合判決は死刑が定石で、判決を問われた裁判官達は全員が「死刑」と回答した。回答に逡巡して魔神提督に斬られた一人を除いて(苦笑)。
かくして確定したプロフェッサー・ドクの死刑執行を命じられたのがシビレイジンだった。容姿の通りシビレエイの改造人間で100万ボルトの電圧を発するシビレイジンは人間電気椅子となってドクを感電死させたのだった。
電気生物型改造人間ならではの能力を発揮したシビレイジンはその能力を駆使して発電所に強力な電気を流すことで東京中を火の海にすると宣し、100万ボルトの超高電圧の前にはヒューズもブレーカーも無力として魔神提督も戦果を期待する旨を述べた。
東京一帯に高圧電流を効果的に流す為、シビレイジンは電線に侵入し、それを伝って電気の通っている家庭に侵入出来るという何ともチートな能力を発揮して発電所技師・三田(長沢大)の家に侵入した。
三田家の金庫には設計図があり、シビレイジンはそれをまんまと入手。シビレイジンの侵入は防ぎようの無いものだったが、かなり強引な侵入の影響下三田家の家電品は次々と暴走し、それが元で三田は程なく設計図が盗まれていることに気付いた。
発電所及びその安全に大きな責任感を持つ三田は即座にその危険を察知し、家を飛び出したところに偶然通りかかった筑波洋もこれに協力した。
ちなみにシビレイジンが設計図を盗んだところは誰も見ていなかったのだが、洋が谷源次郎に連絡を取った際には既にネオショッカー及び電気を操る改造人間の仕業であることが断定されていた(笑)。
まあ、この時代の特撮番組は少しでも非日常的なことが起きると即座に悪の組織の仕業にしていたからなぁ(苦笑)。
洋は三田がネオショッカーと相対するのは危険だとして一人で発電所に行くとしたが、責任感の強い三田は譲らず、2人して発電所に向かったのだが、その途中で高圧電線を赤い数個の光りが異動しているのを目撃した。
電線からは右腕にコイルを巻いた数体のアリコマンドが現れ、洋に襲い掛かってきた。特殊武器の効果もあってか、意外にアリコマンドは健闘。勿論洋を倒すには至らないのだが、洋もなかなかアリコマンドを蹴散らせず、逆に取り押さえられた頃合いを見計らってシビレイジンも現れた。
自らも条の様なものを駆使して洋を感電させ、スカイラダーへの変身をさせないままにヒロシをいたぶるシビレイジンだったが、そこにジープに乗った谷が乱入し、拘束を逃れた洋はジープの荷台上でスカイライダーへの変身を遂げた。
だが、シビレイジンは強敵だった。何せ電力が強力な防御壁となっており、通常攻撃はおろか必殺のスカイキックまで弾き返してしまった。そして一時撤退に上手く欺かれた洋は再度シビレイジンの不意打ちを受け、気絶に追いやられ、古井戸に叩き込まれ、古井戸には大量の岩が投げ落とされたのだった。
邪魔者を排除したシビレイジンは電線を伝って発電所に侵入。突然の闖入者に脅える所員や警備員達を次々蹴散らし、盗んだ設計図を頼りに発電所の重要部分に向かった。
ただ、放電ポイントは厳重に施錠されており、扉を強引に壊せば使用不能に陥る恐れがあった。タイミング悪くそこに駆け付けた三田(←洋がシビレイジン達と争っている隙にその場を脱していた)がシビレイジンと鉢合わせてしまい、シビレイジンは開錠を強要した。
勿論それに応じる三田ではなく、「殺すぞ!」との脅迫にも「殺せば鍵の在り処は分からなくなるぞ。」と返すなど、なかなか胆力のある人物だったが、シビレイジンの感電攻撃は殺害だけではなく、拷問にも使えるものだった。
だが、三田は苦悶に顔を歪ませながらも頑として口を割らず、そこへ何とか岩の下敷きから脱したスカイライダーが駆け付け、三田を救った。
ライダーは体を張って発電所とその安全を守り抜いた三田を心から労うとその場を脱したシビレイジンを追跡。相も変わらず電気の能力をフルに駆使して特殊仕様のアリコマンド共々スカイライダーを苦戦させたが、そこに鉄線の束を持った谷源次郎が駆け付けた。
「アースを使うんだ!」の助言ですべてを察したスカイライダーは受け取った鉄線をシビレイジンに巻き付け、戦端を近場の池に差し込むとシビレイジンの電力はすべて体外に放出された。
強力な武器を失った反動か、或いはすべてのエネルギーを失くした故か、シビレイジンは目に見えて弱体化し、今度はスカイキックに全く抗し得ず落命したのだった。
注目点 何と云っても電線内を自由に行き来出来ると云う反則なまでの移動能力だろう。この能力はチート過ぎて、建造物への侵入阻止はほぼ不可能である。
一応、電線内を移動していることが遠目にも判別出来ると云う欠点があるにはあるが、だからと云って公共物である電線を安直に切断する訳にはいかない(余談だが、内の道場主はケーブルTVの仕事をしており、誤切断の恐ろしさは物凄く認識している)。
また高圧電流を攻防両面で有効に活用しており、アースで放電されるまでは完璧にスカイライダーの攻撃を防ぎ切っていた。
特に優れているのはその電気能力でアリコマンドまで有効活用していたことだろう。
これは稀有だ。さすがにアリコマンドがスカイライダーを圧倒するのは無理だったが、右腕のコイル状アイテムでスカイライダーに苦痛を与え、一時的に取り押さえたのはかなりの善戦と云えたし、シビレイジンと一緒に電線内を移動出来る能力は戦闘能力の高低に関係なく使い勝手満載である。
過去にデンキナマズやシビレエイ、電気クラゲ(←実際には電気を発するクラゲはいないが)を素体とした電気攻撃を行う改造人間は何体もいたが、大抵は相手を感電させる攻撃を行うぐらいで、シビレイジンほどに電気の力を有効活用した例は見られない。
そういう意味ではシビレイジンは魔神提督が率いた怪人第一号として、新幹部に率いられた怪人群がゼネラル・モンスター傘下の怪人達より手強い存在であることを認識させるというストーリー上の大任も果たしている。
シルバータイタンが魔神提督だったら、シビレイジンの死と共に発電所襲撃作戦は放棄しても、その後の発電生物型改造人間にはシビレイジンの防御能力と移動能力は標準装備としていたことだろう。
シビレイジンと八代駿氏 既に何度か書いている様に八代駿氏の声色はコミカル色や喜怒哀楽の激しさを示す怪人の声が似合っているとシルバータイタンは捉えている。
悪く云えば強敵感が薄いのだが、このシビレイジンに関して云えば上述した様にかなりの強敵で、直前のゼネラル・モンスターの戦死、直後の歴代仮面ライダー帰国・客演ラッシュに挟まれていなければかなり知名度の高い怪人になっていたのではないか、と考えられて惜しまれる。
勿論八代氏が声を当てた怪人に強敵や豪傑タイプが他にいない訳ではない。ただ、八代氏の声質もあってか、氏が声を当てる強豪怪人にはマッハアキレスの様に自信過剰タイプが多い。だが、シビレイジンにはこれが当てはまらない。
シビレイジンも電気を活かした能力が高い故相当な自信家なのだが、放電ポイント襲撃時にはそれまでの力任せを戒める慎重さを見せ、ポイントの鍵を出すよう三田技師に強要する際も、三田が脅しに屈しないと見るや即座に拷問に切り替えたところを見ても、人を見る目もあるのだろう。
また拷問である以上、口を割るまで相手を殺しても意味はない。シビレイジンは三田の反応を見つつ徐々にボルトアップしていたところを見ても、特殊能力一辺倒でないところが見て取れて興味深かった。
かかる作品を作って初めて思ったのだが、シビレイジンはもっと注目されて欲しいネオショッカー怪人と云える。八代氏と共に。
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令和三(2021)年九月九日 最終更新