声優・八代駿の怪人10面相

 仮面ライダー作品に携わる人々で、欠かせない存在として「声優」と呼ばれる人達がいる。
 『仮面ライダー』でショッカー首領の声を担当した納谷悟朗氏を初め、沢りつお、市川治、山下啓介、峰恵研、槐柳二、西崎章治、池水洋通、辻村真人、仁内達之氏、といった声優達が怪人に個性と存在感を吹き込んでくれた。

 勿論、人の声はそれこそ十人十色で、声優さんの中にも仮面ライダーシリーズに頻繁に声を当てた方もいれば、『仮面ライダー(スカイライダー)』の黄金ジャガー役での玄田哲章氏の様に、単発でも際立つ存在感を与えてくれた方もいた。
 沢りつお氏や山下啓介氏や辻村真人氏の様に怪奇色を漂わせる声色が得意な方もいれば、市川治氏や池水洋通氏の様にライダーに負けないカッコ良さや、峰恵研氏や西崎章治氏の様に重厚感のある声を発した方もいれば、槐柳二氏の様に含むコミカルさに優れた方もいた。
 勿論、この見方は極めて一面的なものである。槐氏も蜘蛛男(『仮面ライダー』)の様な不気味役をやっていれば、一般にカッコいい声の多い市川氏も獣人吸血コウモリ(『仮面ライダーアマゾン』)の様な情けない役を違和感なくこなしていた。
 悪の組織の初出怪人役で残忍だが、雑魚っぽい怪人の声の多い沢氏が十面鬼ゴルゴス(『仮面ライダーアマゾン』)という首領の声をやっていたのは忘れられないし、『仮面ライダーストロンガー』の終盤で、全員が幹部クラスの能力を持つデルザー軍団の改造魔神の声を当てた俳優諸氏は、(一部例外はあるが)一様に強敵感を醸し出し、普段の怪人の声とは一線を画していた。

 かように、声優分析への興味は尽きないが、今作でシルバータイタンが取り上げたのは表題にある様に、八代駿(やしろ しゅん)氏である。
 残念ながら平成15(2003)年6月25日、脳梗塞のために享年70歳でこの世を去られ、既に故人だが、『仮面ライダー』から『仮面ライダースーパー1』まで怪人の声を当てた代表的声優であることに異論のある方はいないと思う。
 前述した様に、市川・池水氏がカッコ良い系・渋い系、沢・辻村・山下氏が残忍系・不気味系、峰・西崎氏が重厚系をメインとしたのに対し、八代氏は槐氏と並んでコミカル系が多く、中にはドジな役どころで視聴者の笑いを誘うことも多かった。

 だが、そんな基本路線を概ね踏襲しつつも、個々の怪人が持つ役割・個性を殺すことなく、ライダー史にあって忘れられない存在感ある怪人にしてくれた八代氏の功績を称え、10体の怪人を選んだので、八代氏が命を吹き込んだ怪人の個性と魅力に注目したい。
本名 鈴木基弘
生年 昭和8(1933)年2月19日 岡山県津山市出身
没年 平成15(2003)年6月25日 東京都墨田区の病院

略歴 明治大学政治経済学部在学中に「やまびこ会」に参加し、卒業後にやまびこ会を発展させた劇団テアトル・エコー創設メンバーの一人として活躍。

特撮ファンには仮面ライダーシリーズの怪人の声を当てた声優として名高いが、代表作は『くまのプーさん』で、2代目ながらプーさんの専属声優であり、アニメだけではなく、東京ディズニーランドにおけるプーさんのナレーションなども担当、長年に渡って演じ続けた。
本人的には特に印象に残った役に『いなかっぺ大将』の西一役を挙げている。

声域は高く、ニュアンスを変えることによってさまざまな役を演じ分けた(Wikipedhiaより)。


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2.アブゴメス 人間体の声も担当
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8.シビレイジン コミカルさと恐ろしさの併せ持ち
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11.昭和ライダー声優陣に思う


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令和三(2021)年一一月三日 最終更新