人造人間キカイダー全話解説

第43話 ジローの最期か ダーク全滅か!?

監督:畠山豊彦
脚本:長坂秀佳
白骨ムササビ登場
 話は勿論前話の直後に始まる。
 ナレーションが前話の展開を簡単に語るが、ほぼラスト部分で、光明寺博士の脳を戻す手術を行わんとしたところにハカイダーをも簡単に倒した強敵・白骨ムササビが襲来し、キカイダーへのチェンジもままならないジローにとって大ピンチであることがおさらいされた。
 ミツ子達に「後は頼む!」と短く告げたジローは何とか白骨ムササビとともに屋外に飛び出したジローはサイドマシーンを駆って、自らを追わせることで何とか白骨ムササビを光明寺博士達と引き離さんとした。

 これを機に、光明寺博士の手術を行うべき、とするマサルだったが、ミツ子は変身出来ないジローの方が案じられてならなかった。
 だが、追う術の無い相手を心配するよりは眼前の光明寺博士を救うのを優先するのは理に適っており、半平も「ミスター・ジローにはミスター・ジローの考えがある。」として、手術開始を促し、尚も狼狽えるミツ子をマサルが涙しながら平手を打ったことでようやく彼女は執刀を決意した。
 しかし、フィクションとはいえ、チョット考えただけでも凄まじいプレッシャーである
 以前に『仮面ライダーOOO』の全話解説で触れたことがあるが、現実の医学の世界でも患者の肉親が執刀しないのは常識である。歴史的な名医・緒方洪庵でも自分の子の治療には狼狽えたのである。ましてや現代医学でもいまだ例の無い大脳の移植である。
 他にも、時間的な予断は許さないわ、ダーク基地内でいつ敵に襲われるか分からないわ、で不安だらけなのである。
 そして案の定、プロフェッサー・ギルもミツ子達はまだ基地内にいる筈だと推測して、アンドロイドマン達に光明寺一家の捜索を下知していた。

 その頃、ジローは引き続き白骨ムササビを光明寺一家から引き離さんとして必死にサイドマシーンを駆っていた。疾走しながらジローは、キカイダーに変身できない現状で白骨ムササビに追い付かれれば命はないと考えており、それなら少しでも遠くへ逃げれれば、その間に光明寺博士の蘇生が成り、光明寺一家は逃げられるとの希望を抱いていた。
 だが、光明寺一家にはアンドロイドマン達による探索の魔の手が伸びていた。アンドロイドマン達は必死にベッドを押して逃げるミツ子・マサル・半平を追って来た。
 やがてジローは白骨ムササビに追い付かれ、イチかバチかでチェンジを試みるもやはりチェンジ出来ない。ここでハカイダーならフェアでないことを好ましいとしないのだが、白骨ムササビはチェンジ出来ないジローに対して、「これは面白い。」と下卑た笑い声を上げながら迫って来た。「ゆっくり遊び相手になってもらおう。」と告げながらにじり寄るのだから、恐らくは素の性格なのだろう。まさに最終話に相応しい憎まれ役である。肋骨型の爆弾を飛ばす「肋火の玉」を連発して攻撃する様は嬲り殺しの意満々だった。

 一方、光明寺博士達にも危機が迫っていた。アンドロイドマン達は執拗に追いすがり、三人はベッドを残して逃げた。だがアンドロイドマン達がシーツをめくり上げるとそこにいたのはアンドロイドマン達の残骸。「騙したな!」と激昂するアンドロイドマン達。確かに騙しだし、姑息な手段なのだが、武器を持って集団で命を奪いに来る相手から丸腰の者が逃れるのに「騙し」もへったくれも無いものである。
 ベッドに横たわる光明寺博士のみならず、ミツ子とマサルまでもがアンドロイドマンの残骸で、それを抱えていた半平だけが本物だった。
 少し離れていた半平は「これぞ伊賀流忍法・身代わりの術」と言い放ち、「ざまあ見ろ!」とせせら笑ってダミーをアンドロイドマン達に投げつけた。技術的には大したことをしていないかも知れないが、アンドロイドマン達の目を逸らすという一番大切な目的は果たしており、追い付かれるまで完全に欺いていたのだから、半平の作戦は見事に成功し、立派な貢献を果たしていたと言える。
 伊賀忍者の末裔たる面目躍如と言えただろう。

 かくして半平は完全にアンドロイドマン達を光明寺一家から引き離し、アンドロイドマン達を撒き、その間にミツ子はハカイダーから脳を父の体に戻し終えていた。
 ただ、移植を終えても目を覚まさないと意味はない。姉弟は必死に呼び掛けるも父は目を覚まさない。変わらない状況にミツ子は自分の手で父を殺してしまったと自分を責め出す始末。勿論、何もしなくても父は助からなかったのだから、手術失敗だったとしてもミツ子に非や罪は無いのは分かるのだが、肉親の死と言う耐え難い事柄には通常の病死でも自分を責めてしまうことがあるのが情である。自分の手で執刀していたとなると尚更だろう。
 だが、打つべき手はすべて打ち、もう何も出来ないと嘆き流したミツ子の涙が顔面に滴り落ちたことで光明寺博士は目を覚ました。ベタな展開ではあるが(笑)
 驚き、父の名を叫ぶミツ子とマサルに、光明寺博士は生き別れになって以来初めて我が子を前にその名を口にした。ここに光明寺博士は完全に記憶を取り戻し、感極まった姉弟は父の体に縋りついて感泣したのだった。

 自分が何故こんなところにいるのかを訝しがった光明寺博士だったが、程なくそこがダーク基地であることを把握し、子供達に完全に元の自分に戻ったことを告げ、父子はようやくにして為された再会を喜び合った。
 だが、その喜びを打ち破る様にプロフェッサー・ギルがアンドロイドマン達を引き連れて手術室に入って来た。
 光明寺博士にわざとらしく「久しぶりだな。」と告げるプロフェッサー・ギル。勿論、直後に彼自身が告げた様に記憶喪失時の光明寺博士には何度も会っているから、「久しぶりだな。」の台詞は皮肉でしかない。
 一方、間の記憶はどうあれ、状況やプロフェッサー・ギルが如何なる人物かを知ることから否が応でも危機感に襲われた光明寺博士は姉弟を背後に庇い、自分への怨みがどうあろうと子供達には手を出すなと告げた。
 だが悪の組織の首領がそんな申し出を受け入れる筈がない。松葉杖を突きながら(←ハカイダーに負傷させられたのだろう)、プロフェッサー・ギルは光明寺一家を今まで殺さなかった自分を「馬鹿だった。」まで言い放って三人とも死刑にすると宣言した。
 一家そろっての絶体絶命のピンチだったが、そこにギターの音色が鳴り響いた。一体、ジローがどうやって白骨ムササビの魔手から逃れたのか?と思っていたら、ギターの弾き手は服部半平(笑)。
 首領・プロフェッサー・ギルを前にして、

 「お待たせしました。ギターの服部半平ちゃん、チェンジ!ではなかった、堂々、三度目の登場!」

 との人を食った半平の台詞がこの時ばかりは心地良い(笑)。最終回にあって、服部半平、物凄く活躍している(笑)
 勿論プロフェッサー・ギルは怒り心頭で、号令一下、アンドロイドマン達が半平に襲い掛かることになるのだが、数々の危機を何だかんだ言って逃げおおせてきた上に、最終回ならではの活躍を見せる半平が簡単に捕まる筈もなく、光明寺一家にもその場を逃れる間隙が生じることとなったのだった。

 その頃、ジローは白骨ムササビの猛攻を必死に逃げ惑っていた。
 白骨ムササビはここらでとどめとばかりに、ジローの喉笛を食い千切ると宣言し、ジローの喉笛に食らいついた。前話でシルエットのみで表されていたハカイダーへの攻撃も恐らくは同様のものだろう。
 ただでさえ膂力で抗し得ない上にこの猛攻。ジローは狼狽えるしかなかった。そこへ追い打ちをかけるようにプロフェッサー・ギルから白骨ムササビにキカイダーを倒し次第光明寺一家を追って殺せとの命令が下された。
 命令によって一旦攻撃が止まったが、それも束の間、白骨ムササビは相手が苦しむのを見るのが大好きというSっ気全開でジローに迫るとその体を崖下に蹴り落したのだった。

 そして改めての抹殺標的とされた光明寺一家はアンドロイドマン達に追われていた。挟み撃ちに遭い、包囲された一家だったが、ここでも半平が一家の危機を救った。
 大量の葉で覆われた愛車で乱入した半平はアンドロイドマン群に割って入り、自分に任せてこの場を逃れるように促す半平に礼を述べてその場から走り去る光明寺一家。普段半ば見下していた半平ではあるが、さすがにこの時ばかりは心から礼を言っていたな(笑)。
 ま、光明寺博士にしてみれば事実上この時が初対面だったのだから、良い印象しかないだろう(笑)。

 「お前等如きに負けて堪るか!」と挑発したことで半平はアンドロイドマン達のみならず、白骨ムササビの視線をも引き付けた。
 その頃、崖下に転落していたジローは辛うじて意識を取り戻していた。何とかサイドマシーンを呼び寄せてミツ子達を助けに向かわんとしたが、まともに騎乗出来ず、気絶するようにマシーンに倒れ込んだ。
 だが倒れたジローを抱えて疾走するサイドマシーンは逃げて来た光明寺一家と遭遇。これによってジローは生みの親による修復を受けることが出来た。ジローの体を開いた光明寺博士は変身回路が外れていたのを即座に見つけ、相変わらず自分のせいでこうなったと自責する娘にも、ジローは治ると断言した。

 直後、追って来たアンドロイドマン達に光明寺一家は捕らえられてしまったが、いち早く気配を察知した三人が素早くジローの体を隠したことで、ジローは回復への時間を得ることが出来た。
 一方の半平は白骨ムササビに追われて土手に激突して停車。口から血を流し、ハンドルに突っ伏す半平を無視して、車内に光明寺博士がいないのを見て、怒り心頭になりつつその場を去った白骨ムササビ
 半平の乱入後にやってきたとはいえ、車内に光明寺博士がいると思っていたとなると、この白骨ムササビ、最終強敵に相応しい強さと、残忍性は申し分なくても、オツムの方は従来のダーク破壊ロボットと大差無い様だったな(苦笑)。
 勿論忍者の末裔である半平にとって擬死はお手の物で、文字通り舌を出す半平だったが、馬鹿にされても仕方がない気がするな、白骨ムササビよ(笑)。

 Bパートに入り、光明寺一家は一人一人柱に縛られ、処刑されんとしていた。
 これまでダークの悪巧みが光明寺一家によって妨害されてきたことを恨むプロフェッサー・ギルはじっくり恐怖を与えた上で、嬲り殺しにすると宣言。「一思いに殺せ!」と告げる光明寺博士にプロフェッサー・ギルが応えたのは、「ま、そう慌てるな。ゆっくり痛めつけてやる。」……………悪の組織必敗の黄金パターンやね(苦笑)
 ともあれ、一家の危機を救うようにいつもの、そして最後のギターの音が鳴り響いた。高所からプロフェッサー・ギルに彼の最期を告げるジローに、プロフェッサー・ギルは「ほざくな!」と叫び、顎をしゃくってアンドロイドマン達にジローへの攻撃を命じた……………最後の最後まで人質の有効活用を知らないダークであった(苦笑)

 薙刀を投げつけてジローを攻撃するアンドロイドマン達だったが、勿論功を奏する筈もなく、ジローは薙刀を次々と投げ返してアンドロイドマン達を倒し、プロフェッサー・ギルの悪魔の笛も破壊された。
 こうなるともはやプロフェッサー・ギルに攻撃手段は無い。ジローが光明寺一家を戒めていた鎖を断ち切って次々と解放する間にも為す術なく、アンドロイドマン達に守られてその場を逃れるのが精一杯だった。
 そして光明寺一家が解放され、ギルが処刑場を去ったタイミングで白骨ムササビが乱入して来た。ここまで来るともはや白骨ムササビが事実上のラスボスである。ジローは無事にキカイダーにチェンジし、最終決戦が為された。

 さすがに最終決戦だけあって、互いに相譲らずの格闘が展開された。
 キカイダーが大車輪投げを駆使するも、白骨ムササビは体を回転させて地面激突を避け、肋火の玉で反撃して来た。それをすべて避けたキカイダーは、業を煮やした白骨ムササビが空中殺法を繰り出すのを慎重に躱し、タイミングを見切った様にデンジ・エンドを繰り出して一撃の元に白骨ムササビを討ち取ったのだった。贅沢を言えば、これほどの強敵を倒し得た要因への言及が欲しかったかな?

 最後のダーク破壊ロボットをも失い、たった二人の女性アンドロイドマンに庇われて逃げ惑うだけのプロフェッサー・ギルは(怪我もあって)まともに戦える状態になかった。
 辛うじて自室に逃げ込むも、すぐにキカイダーが追い付いて来た。だがこれはプロフェッサー・ギルによる最後の罠だった。プロフェッサー・ギルの座していた玉座には悪の組織アジト御用達の自爆装置のスイッチがついていた。
 「俺と一緒に死ね!」と言い放つプロフェッサー・ギルが玉座上部を捻るや、アジトの方々から小さな爆発が始まった。
 プロフェッサー・ギルは目を見開き、口から血を流しながらその身を玉座に沈めた。そして基地内を逃げ惑うアンドロイドマン達も崩壊する基地に飲み込まれて行った。
 程の無く、ダークアジトは爆破炎上し、ここにダークは全滅・滅亡した。
 場面は警察署に移り、(光明寺博士が生還したことで)ジローの容疑は晴れ、指名手配の写真が剥がされ、熊野刑事はジローと握手を交わして容疑を掛けたことを詫びた。
 人造人間=造られた物と見做して人権すら認めていた無かったジローに敬称付で呼び、非を全面的に認めた熊野刑事はかなり懐の深い人物である。
 それに対してジローも熊野刑事を責めず、自分が刑事でもあの場合は同じ判断をした、としてもう気にしていない旨を返した。

 話は逸れるが、この熊野刑事を演じた大前均氏は数多くの特撮・時代劇で活躍した俳優である。身長190cm、体重115kgの偉丈夫にして、柔道五段の豪傑振りから『仮面ライダーストロンガー』で元プロレスラー・大木高平、『ウルトラマンレオ』でドギューの人間体、『電磁戦隊デンジマン』でバンリキ魔王を演じ、『水戸黄門』シリーズでも何度も怪力を利して一行を襲う巨漢刺客を演じて主に柘植の飛び猿(野村将希)とためを張った。

 だが、生まれ持った体躯を初めとする容貌や膂力による威圧感に目を奪われがちだが、大前氏は体格を生かした演技が卓越していたのみならず、深みのある声やコミカルさや好々爺振りにも優れ、見た目以上に広く深い演技の出来る名優だった。

 勿論シルバータイタンにとっても好きな俳優の一人で、殊にこの『人造人間キカイダー』で演じた熊野刑事は、立場的にジロー=キカイダーと敵対しつつも、状況や展開から決して無理のない妥当な判断を為しており、ミツ子・マサルにも紳士的に接し、最後にはきっちり非を認めて和解するという実に様々な役を演じ分けているから、大前氏が演じた数多いキャラクターにあって一押しだと思っている。少なくとも通り一辺倒の演技しか出来ない俳優では絶対に演じこなせなかった役所であり、それを一切の違和感なく演じ切った。

 誠に惜しいことながら、平成二三(2011)年三月一日に75歳で逝去。この熊野刑事としての幅広い演技をクローズアップすることで生前の名演を讃え、御冥福をお祈りしたい次第である。

 ともあれ、目出度く和解が成立し、熊野刑事は光明寺博士にロボット工学の研究を続けられるのか?と尋ねた。それに対して光明寺博士は今の世の中ではまだまだ優秀過ぎるロボットに対する悪用への恐れの方が大きいとして、しばらく外国でのんびり暮らすと告げた。
 光明寺博士が海外移住する気でいたのを知らされていなかったミツ子とマサルは驚きながらも嬉しそうな顔を見せた。博士は既にスイスに家を買っており、皆で暮らそうと考えていたことを子供達に告げた。
 伏せていたことながら、ミツ子とマサルはスイス行きを喜んだ。
 しかし不自然だなぁ………精密機械工業に優れたスイスに何かを学ぶ目標でもあればまだしも、単純に平和に暮らすだけならダークが滅びた今、外国でなければならない理由は無く、ましてや小学生にしか見えず、英語も喋れないと思われるマサルには不安の方が大きくは無いだろうか?(ちなみにスイスには英語、フランス語、ドイツ語、レート・ロマン語の4つが公用語として憲法に定められており、最低でも4つの言語のいずれかをマスターしていないと生活は不便極まりない)。
 日本に住み続けるには辛い思い出が多いという心境だったのだろうか?或いは家族で平和に暮らせる意味でも新しい何かを求める心境だったのだろうか?ま、結果としてミツ子とマサルがそれを喜んでいるのなら問題は無いが、ジローは一人浮かない顔をしていた。

 場面は替わって、光明寺邸。姉弟は手伝いに来た半平と共にスイスでの楽しい生活を夢想し、談笑していた。
 その話題の中にはジローもいたのだが、当のジローは光明寺博士に別れを告げていた。二人の様子から光明寺博士はジローの決意を先刻承知だったようで、ジローの良心回路を完全にしてあげられなかったことだけが心残りと告げた。
 だが、ジローはこれまで通り、今のままでいい旨を告げた。「欠点の多い人造人間のまま」の方が、「完全な機械」よりも良いとしたジローの想いと決意は最後まで揺るがなかった。勿論それこそが人造人間キカイダーのアイデンティティにして、愛すべき点であることが最終話のこの場面を受けて改めてクローズアップされていた。

 これまで世話になった礼を述べ、修行の旅に出るのか?尋ねる光明寺博士に、その問いを肯定したジローは、修行の目的を「不完全な良心回路に負けない精神力を身に着ける」とした。
 そして光明寺博士は、ジローが共にスイスに来ないことでミツ子とマサルが寂しがるだろうとしながらも、ジローの想いを尊重し、子供達には自分から上手く話しておくとして、その旅立ちを激励した。

 場面は替わって新東京国際空港。
 光明寺一家の見送りに花を持って現れた服部半平を光明寺博士は握手で出迎えた。うん、確かに光明寺博士は自分達の家族の為に見事な活躍をした半平しか見ていないから、満面の笑みで迎えていても何の不思議もない(笑)。ま、半平の尽力無くして光明寺一家の平和やキカイダーの勝利が無かったのも確かではあるが(笑)。
 半平はマサルとも「我が愛する助手よ!」と言って(←あの宣言を忘れていなかったのね(笑))笑顔で挨拶を交わし、程なく、一家は機上の人となった。
 この時点でミツ子はジローが自分達一家と行動を共にしないのを知っていたのかどうかは定かではないが、飛び立つ飛行機を密かに見送っていたジローはミツ子が自分を求めて悲しんでいる表情を夢想していた。
 ジロー自身、寂しさを隠せない表情をしていたがやがて意を決し、サイドマシーンを駆動させた。
 そしてラスト・ナレーション………。
プロフェッサー・ギルの率いる巨大な悪の組織・ダークはキカイダーによって全滅した。光明寺博士の体は元に戻り、ミツ子・マサルの兄弟とともに幸せな生活を送るべくスイスへ旅立った。そしてジローは今日から明日へ、そして未来へ向かって力強く自分の道を進む。頑張れキカイダー。さようならジロー。



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 最終更新令和元(2019)年一二月四日