人造人間キカイダー全話解説
放映データ
- 製作/NET、東映
- 全43話
- 1972年7月8日〜1973年5月5日
スタッフ
- プロデューサー/宮崎慎一
- 監督/北村秀敏、永野靖忠、畠山豊彦
- 脚本/伊上勝、長坂秀佳 他
キャスト
ジロー/キカイダー(伴大介)、光明寺ミツ子(水の江じゅん)、光明寺マサル(神谷政浩)、光明寺博士(伊豆肇)、プロフェッサー・ギル(安藤三男)、服部半平(植田峻)、サブロー(真山譲次)、ハカイダー(声:飯塚昭三。但しノンクレジット)、ナレーター(岡部政明)
主題歌 オープニング エンディング 作詞 石森章太郎 八手三郎 作曲 渡辺宙明 渡辺宙明 編曲 渡辺宙明 渡辺宙明 歌 秀夕木、コロムビアゆりかご会 秀夕木、コロムビアゆりかご会
人造人間キカイダーについて
空前の「変身ブーム」と特撮変身ヒーロードラマ『仮面ライダー』の成功を背景に、同じ原作者(石森章太郎)と制作会社が『仮面ライダー』との差別化を図って、世に送り出した作品。土曜日20時の放映で、裏番組に当時のお化け番組『8時だョ全員集合』があったことを考えれば視聴率にかなりの健闘をしたことで続編『キカイダー01』の制作に繋がった。
人体模型をモチーフとし、体色の青は「正義の心」、赤は「悪の心」を象徴しており、「不完全な良心」を表現している。
不完全な良心回路を持つロボット(人造人間)が人間になる(近づく)ことをめざすSF作品となっている。「不完全な良心回路を持ち、善と悪の狭間で苦悩する人造人間の戦い」をテーマとして、一話完結を基本として、「悪の組織ダークの送り込む怪物ロボットに立ち向かう正義の人造人間キカイダーの活躍」という路線が概ね貫かれた。
背景として、人造人間のジロー=キカイダーと、ミツ子・マサルの姉弟、そしてハンペン(服部半平)が行方不明になった(記憶を失って各地を彷徨っている)光明寺博士を探す旅を続ける展開となっている。
光明寺博士はミツ子・マサルにとっては実の父で、ジローにとっては製造者だが、光明寺自身が亡き息子・タローをモデルとしており、やはり父に等しい存在となっている。
『人造人間キカイダー』主な登場人物
ジロー/キカイダー(伴大介)
本作の主人公。光明寺博士が亡き長男・タローをモデルに製造した人造人間で、人間態がジローで、ロボット体がキカイダー。常にギターを背負い、ダークに対峙する際には高所からギターをかき鳴らして登場する。
不完全な「良心回路」を持つため、プロフェッサー・ギルの笛の音が鳴ると、良心と指令の板挟みになり苦しみ出す。笛の音に耐え切れなくなるとギルに操られることになる。
そんな重大な弱点だが、同時にジローは「完全な機械にはなりたくない」という思いから、「良心回路」が完全なものになることを望んでいない。
両肩のスイッチをONにして戦闘モードにチェンジすることでキカイダーとなる。キカイダーは左右でデザインとカラーリングが異なり、内部メカの露出した左頭部は透明のカバーで覆われている。左右非対称の姿は良心回路が不完全であるために生じるものとされている。
キカイダーの姿になると良心回路が完全に作動するため、ギルの悪魔の笛は通用しなくなる。
光明寺ミツ子(水の江じゅん)
本作のヒロイン。光明寺博士の娘。ダークでは父の助手としてアンドロイド開発にも携わっており、その経験から故障したジローを修理する技術を持つ(但し、父には及ばない)。
当初はジローをさして意識していなかったが、やがて激しい恋愛感情を持つようになり、ジローが優しくした女性に嫉妬したり、敵の目を欺くためにジローと結婚式を挙げようとしたりした。
光明寺マサル(神谷政浩)
ミツ子の弟。姉とともに父の行方を捜す。ジローを兄のように慕っている。
光明寺博士(伊豆肇)
下の名前は光明寺信彦。ロボット工学の世界的権威。ジローを初め、多くの人造人間を作った。その才能を見込んだダークによって人造人間の製造を強要されていたが、キカイダー製造を契機としてダーク基地から脱出した。
しかしその際に記憶を失い、次々に職業を変えながら全国各地を放浪。記憶喪失となりながらも工学者としての記憶と技術は潜在的に残っており、行く先々で地元の人々に重宝されていた。
ドラマの終盤では脳をハカイダーに移植され、残った身体がダーク基地に保存された状態にあったが、ミツ子の手術によって元の身体に戻り同時に記憶も回復した。
服部半平(植田峻)
第2話から登場。伊賀忍者服部半蔵の16代目を自称する私立探偵。忍者の子孫を期待させるような身体能力には乏しく(少しは忍術も使える)、低く臆病そうにも見える(初期は保身や金のためにジロー達を裏切ろうとしたこともあった)が、意外な活躍や行動力を見せ、キカイダーや姉弟の危機を救うことも多い。終盤に近付くにつれ、様々な能力を発揮し、役に立つ仲間となって行った。
一人称は「吾輩」で、古風に見えて、一方でジローを「ミスター・ジロー」と呼ぶなどその口調はかなり怪しい雰囲気を漂わせる。
愛車はスバル360。通称「ハンペン」。
プロフェッサー・ギル(安藤三男)
ダークの首領にしてを率いるロボット工学者。痩身蓬髪の怪老人で、「ダークに生まれし者はダークに還れ」と唱えながら杖に内蔵した悪魔笛を鳴らしてアンドロイドを凶暴化させ、支配する。
悪の組織の例に漏れず、冷酷で、裏切り者や失敗した者には容赦しない。戦いの激化とともに狂気の域に踏み込んでいき、最終話でキカイダーに追い詰められ、基地とともに自爆した。
サブロー(真山譲次)
38話から登場したハカイダーの人間態。黒のライダースーツに身を包み、黄色いマフラーを着用。口笛を吹きながら現れてジローの弟を名乗り、ジローを疑うマサルを利用して彼を追い詰める。
ハカイダー(声:飯塚昭三)
第37話から登場。ダークがキカイダー打倒のために光明寺博士をマインドコントロールして造ったダーク最強のサイボーグロボット。全身黒ずくめで、随所に黄色い稲妻の意匠がある。
キカイダー対策も兼ね、頭部に光明寺の脳を移植し回路の1つとしていて、この脳がキカイダーを牽制するための盾になっているが、一定時間内に血液交換をしないと脳が死んでしまい、戦闘力が激減するという弱点にもなっていた。
良心回路と正反対の機能を持つ「悪魔回路」を内蔵しており、キカイダーを凌駕する戦闘力を誇る。キカイダー打倒のためにはいかなる手段も選ばず、自分の目的を妨害するダークロボットを攻撃したり、ジローが父を殺したと誤解したマサルを利用したりしたが、その一方で卑怯なやり方を嫌う。
最終回で白骨ムササビに倒されるが、生き残り、後番組『キカイダー01』にてハカイダー部隊を率いてキカイダー01と死闘を繰り広げたり、新組織シャドゥと連携したりしたことで特撮界屈指のライバルキャラクターとして高名。
敵対した組織・アンドロイド・「人造人間キカイダー」編
敵組織ダークとは
世界各国に武器や兵器を販売する「死の商人」の組織。アンドロイドも商品の一つとして作られ、各国に売られている。しかし真の目的は世界征服で、「死の商人」は資金集めの手段に過ぎなかった。
基本的に首領のプロフェッサー・ギルが人類を憎悪していたため、その命令の下、大規模なテロや殺人を繰り返す一方で、組織から逃走した光明寺博士の技術に相当執着していた様に、技術に対するこだわりの強い悪の組織でもあった。
ダーク破壊部隊とは
文字通りダークによる世界征服の為に様々な破壊活動に従事するアンドロイド部隊。
動物型のアンドロイドで、色と動物の名前を合わせた名を持つ(白骨ムササビのみ例外)。光明寺博士によって13体が作られたが、すべてキカイダーに倒された。第14話からギル自ら製作した新破壊部隊が結成された。
雑兵として、アンドロイドマンと呼ばれる戦闘員が存在。薙刀を武器として、大群で襲い掛かる。掛け声は初期が「ダーク!」だったが、のちに「ギル!」へと変更された。
放映リスト及び解説
話数 サブタイトル ON AIR メインの対戦・決着アンドロイド 第1話 恐怖のグレイサイキングは地獄の使者 1972/07/08 グレイキング 第2話 怪奇 グリーンマンティスは殺人鬼 1972/07/15 グリーンマンティス 第3話 呪い オレンジアントの死の挑戦 1972/07/29 オレンジアント 第4話 悪魔のブルーバッファローが罠をはる 1972/08/05 ブルーバッファロー 第5話 イエロージャガーの魔の手が迫る 1972/08/12 イエロージャガー 第6話 ブラックホースが死刑場でまつ 1972/08/19 ブラックホース 第7話 怪物ブルスコングが大暴れ 1972/08/26 ブルスコング 第8話 カーマインスパイダーが無気味に笑う 1972/09/02 カーマインスパイダー 第9話 断末魔!妖鳥レッドコンドル 1972/09/09 レッドコンドル 第10話 サソリブラウン 人間爆発に狂う 1972/09/16 サソリブラウン 第11話 ゴールドウルフが地獄に吠える 1972/09/23 ゴールドウルフ 第12話 残酷 魔女シルバーキャット 1972/09/30 シルバーキャット 第13話 ピンクタイガーの遊園地襲撃 1972/10/07 ピンクタイガー 第14話 大魔神ギンガメが三怪物を呼ぶ 1972/10/14 ギンガメ、再生ダーク破壊部隊13人衆 第15話 キンイロコウモリ 呪いの陰 1972/10/21 キンイロコウモリ、テスト用キカイダー 第16話 女ベニクラゲが三途の川へ招く 1972/10/28 女ベニクラゲ 第17話 アカクマバチ 恐怖の人質計画 1972/11/04 アカクマバチ 第18話 クロカメレオン 幻の大強奪作戦 1972/11/11 クロカメレオン 第19話 死神獣 カブトガニエンジ参上! 1972/11/18 カブトガニエンジ 第20話 冷酷アオタガメのドクロ計画!! 1972/11/25 アオタガメ 第21話 残虐!ムラサキネズミの毒牙 1972/12/02 ムラサキネズミ 第22話 シロノコギリザメ 悪夢の12時間 1972/12/09 シロノコギリザメ 第23話 キイロアリジゴク三兄弟見参! 1972/12/16 キイロアリジゴク三兄弟 第24話 魔性の女?? モモイロアルマジロ 1972/12/23 モモイロアルマジロ 第25話 ダイダイカタツムリ 殺しの口笛 1972/12/30 ダイダイカタツムリ、再生アンドロイド部隊、ミドリマンモス 第26話 ミドリマンモス 地球冷凍作戦!! 1973/01/06 ミドリマンモス 第27話 バイオレットサザエの悪魔の恋 1973/01/13 バイオレットサザエ、アカオニオコゼ、カイメングリーン 第28話 赤子を泣かすアカオニオコゼ! 1973/01/20 アカオニオコゼ 第29話 カイメングリーンは三度甦える 1973/01/27 カイメングリーン 第30話 アカネイカ 美人女子大生を狙う 1973/02/03 アカネイカ 第31話 ジローの死を呼ぶタコヤマブキ 1973/02/10 タコヤマブキ、アオデンキウナギ 第32話 アオデンキウナギ 魔の腕が光る 1973/02/17 アオデンキウナギ 第33話 兇悪キメンガニレッド 呪いの掟 1973/02/24 キメンガニレッド、カブトガニエンジ(再生) 第34話 子連れ怪物 ブラックハリモグラ 1973/03/03 ブラックハリモグラ、子ハリモグラ 第35話 ジロー デンジエンドの最期! 1973/03/10 クロガラス 第36話 狂ったジローが光明寺をおそう 1973/03/17 クワガタブルー、ヒトデムラサキ 第37話 ジローの弟 強敵ハカイダー! 1973/03/24 ヒトデムラサキ 第38話 ハカイダーがジローを殺す! 1973/03/31 第39話 父の仇ジロー 全国指名手配 1973/04/07 アンコウブラウン 第40話 危しジロー!機能完全停止!! 1973/04/14 キリギリスグレイ 第41話 壮絶 ジロー空中分解! 1973/04/21 アカ地雷ガマ 第42話 変身不能!? ハカイダー大反逆! 1973/04/28 アカ地雷ガマ、白骨ムササビ 第43話 ジローの最期か ダーク全滅か!? 1973/05/05 白骨ムササビ
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最終更新 令和元(2019)年一二月四日