仮面ライダーOOO全話解説

第48話 明日のメダルとパンツと掴む腕

監督:田崎竜太
脚本:小林靖子
 前回の「3つの出来事」は「1つ、自分の欲望に気付いた映司は、力を、そしてメダルを求める。2つ、一瞬でも欲望を忘れたアンクはメダルを失う。そして3つ、ウヴァが完全復活を果たす中、世界の終末が始まろうとしていた。」というものだった。

 前作『仮面ライダーW』同様、OP無しで始まった最終話。WバースVSウヴァで始まったが、「この昆虫野郎!」と激高しながら攻撃するも、伊達バースのクレーンアームも、後藤バースのショベルアームも軽くいなされ、「ゴミが…」として変身解除に追いやられる始末。
 「フン!今までこんな奴等に手こずっていたとはな…。」と呟きながら余裕をかまして腰掛に座すウヴァだったが、次の瞬間、鴻上ファウンデーションの地下から爆煙が上がった!
 爆炎の中から現れたのは勿論、火野映司。石畳を踏み砕く重量感を漂わせながら迫って来た。そしてその様子高層ビルの屋上から見守るDr.真木には、背後から鴻上会長が呼び掛けた。その鴻上会長にDr.真木が映司を差して、「あれは?」と尋ねると、鴻上会長は「本当のOOO」と答えた。
 だがコアメダルは今やすべて自分が所有しているのに?と訝しがるDr.真木に、鴻上会長は「君は忘れたかね?800年前、コアメダルはそれぞれ10枚ずつ作られたことを…そお見せしよう。これが800年前の王が初めての変身に使った10枚目、コンボだっ!」と告げるや、赤・黄・緑の3枚のメダルを映司に投げ降ろした。
 他のコンボはすべて一色での構成だったのに、唯一コンボだけがバラバラの三色にもかかわらず「コンボ」だったも、すべては800年前の王が初めて変身したOOOの形態だったから。それが最後の最後で明かされた。
 であったことを説明しながら、会長はそれを眼下の映司目掛けて放り投げた。

 三色のメダルを受け取り、「後藤さん、伊達さん…離れてて下さい。」と告げ、変身する映司に狂気の色はなかった。そして変身したOOO・コンボは右手でメダジャリバーを、左手でメダガブリューを振るい、完全対ウヴァに対して一方的に攻め立てた。
 そして、この間、屋上では欲望と世界の在り様を巡って鴻上会長とDr.真木の論戦が繰り広げられていた。
 「コアメダルの力で世界を終わらせる訳にはいかない。欲望のメダルは世界の再生の為にこそある!」(鴻上会長)
 「いいえ、世界は終わらせるべきです。」(Dr.真木)
 「違う。この飽和し、伸び悩む世界も、欲望で一変する。欲望は新たな文化、更なる高見へと導く。進化するのだ。見給え、あのOOOの力を。」(鴻上会長)
 「いいえ……何も存在しない究極の「無」、それこそ、人が到達しうる最高の高見です!」(Dr.真木)
 勿論、両者の目指すところが正反対なのだから、コイツ等の主張が平行線なのは当然だが(苦笑)、両者互いに言うべきは言い切ったという感じだった。

 そして地上では両手の武器を投げ捨てたOOOがスキャニングチャージすると、両足ではなく、右足の身でのキックを決め、ウヴァは爆破・炎上した。が、そう思った次の瞬間Dr.真木が恐竜グリードと化して、5枚のコアメダルを投げ込むとウヴァの体は復元された。これにはさすがにウヴァも感謝の意を伝え、OOOに向き直ったが、これがグリードの好意によるものでないのは今更言うに及ばず(笑)。
 恐竜グリード「手段は美しいとは言えませんが、もたらす終末はきっと美しい。」と言うや、更に7枚のコアメダルをウヴァに投げ込んだ。だがこれはもはや秘薬・膨漢丹を2粒以上飲むに等しい行為(←道場主「『魁!男塾』マニアにしか分からないネタを使ってんじゃない!」)。
 暴走を恐れ、これ以上のメダルは必要ないと訴えるウヴァだったが、ウヴァを最後の「メダルの器」候補と見る恐竜グリードが聞き容れる筈なく、「『志』と言う点ではOOOを見習って下さい。」と言い放ち、殆ど脅えて背中を向けるウヴァに、もう止めろと言わんばかりに突っかかるウヴァに、その都度何枚ものコアメダルを投げ込んだ。

 そんな恐竜グリードに突進したOOOだったが、その攻撃を受け止めた恐竜グリードは「やはり君は危険過ぎます。」として、苦しむウヴァを尻目に攻撃を仕掛けんとした。
 だが、その攻撃を防ぎながら颯爽とアンクが登場。前回訣別したアンクがOOOサイドとして再来したことに、「君の属性はコウモリですか?」と揶揄する恐竜グリードだったが、この隙に「もう嫌だ!」とトンズラしようとしたウヴァを追って行った。

 そして再会を驚くOOOにアンクが言ったのは、「今日の分の、アイス寄越せ。」で、ある意味、これほどパートナーシップの復活を証明する台詞はなかったと言えよう(笑)。その台詞を心から喜び、アンクも彼に似つかわしくない笑顔で応じたが、次の瞬間、OOOは苦しみ出し、プトティラコンボスタイルに戻り、メダルは3枚とも砕け散ってしまった!
 更に変身が解除され苦しむ映司に、アンクが述べたのは「力がデカ過ぎたんだ。」とのこと。決して楽観視できない事態だが、「お前、また馬鹿な無茶をしたらしいな?」ととうアンクに、「チョットだけね…。」(←どこがや)と答える映司の会話に、失われた日常が戻った様な微笑ましさを感じたのはシルバータイタンだけだろうか?

 その夜、映司、アンク、比奈はアイスを手にしたひと時を過ごした。
 突然の帰還に何かあったのか?と尋ねる映司。事情を知る比奈は顔色を変えるが、映司とアンクが万全の協力体制を取る為にもコアメダルのは損を喋るなと釘を刺されていたため、沈黙するしかなかった。
 代わりに、アンクがDr.真木との提携が崩れたことを説明し、もはや泉刑事の体が必要ないことも告げた。比奈からもアンクがもう少ししたら泉刑事の体を返す意思でることを知らされ、手放しで喜ぶ映司。
 更にはアンクと戦う必要のなくなったことにも喜びを示した。「決着がつけられなくて残念だったな。」とするアンクに、「これ以上の決着はない。」とするのが如何にも映司らしい。  だが満足気な映司を見て、比奈は彼が遠くに行ってしまう様な予感に囚われた。ここでBGMは「Anything Goes!"BALLAD"」になった。

 余談だが、この「Anything Goes!"BALLAD"」は、「Anything Goes!」リリース直後から無期限活動休止に入った摩季ネェが、「『仮面ライダーOOO』の最終回に花を添えたい。」という願いを持って、バラード音源を元にごく少数のスタッフでレコーディングしたもので、歌詞は全く元と同じでも、アーティストとして記念すべき作品に病床から見守るしか出来ない摩季ネェが思いの丈を込めたものだった(←実際、この1年後に会った摩季ネェはファンの前で元気良く振る舞いつつも、歌うのは1曲でも辛い様子だった)。
 この曲のプロモーションDVDでは、オーケストラの演奏に対してOOOが大画面で過去の戦いを振る変える映像が収録されているのだが、登場人物達もこれまでの時間を振り返り、噛み締めるように動いた。
 アンクの為、映司の為、今沈黙するしか出来ない比奈だったが、「せめて…。」と言う思いを込め、アンク・エイジそれぞれと手を繋いだ。
 そして鴻上会長は会長室から夜空を見上げ、「欲望ある限り、何かが変わり、生まれる。「今日」と言う日を「明日」にすることさえ、欲望だ。」と黙考し、最後は「ハッピー・バースデイ!」と叫んで手にしたワインを夜明けに献杯していた。
 そして今日も営業開始、と準備にいそしむ知世子さんはDr.真木と同じ格好をした例の人形が置かれているのに気付いた。これはDr.真木が人間としての日々を終焉させたという表れで、姉と同じ容姿の知世子さんの元に置いたということだろうか?

 そして完全に夜が明けたとき、そこにバイクの廃工場を逃げ惑うウヴァの姿があった。だがついに彼はメダルの暴走に取り込まれ、その体は周囲に五色の魔方陣を持つ八面体=メダルの器暴走形態となり、空中に浮揚すると周囲のハイバイクやビルディングをセルメダルに変えて吸収・拡大し、逆に地上に対しては膨大な数の屑ヤミーを放った。
 それを見届けた恐竜グリードは「良き終末を。」と呟いて、「世界の終末」を実現させに掛かった。

 街中の異常事態に駆け付けた映司、アンク、比奈。あんなのとどう戦うのか?と問う比奈に映司が答えたのは、「方法は一つ、とにかく倒す!」で、アンクもそれに同意した。おい、映司、それって「方法」じゃなく、「意志」だろ?丸でジャッキー・チュンに打つ手を失くしたクリリンに、「勝て!勝つしかない!」と言った孫悟空みたいだ(笑)。
 とまれ映司はプトティラコンボで屑ヤミーを蹴散らし始め、アンクもグリード体でそれに続いた。それをメダルの器暴走形態の真下で睥睨する恐竜グリードも不気味だったが、窓の外で起きる異常に部屋の窓ガラスが割れ、書類が飛び散っても平然とケーキを作り続ける鴻上会長はもっと不気味だった(苦笑)

 屑ヤミーは雑魚キャラなのだが、とにかく今回はその数が雲霞の如し。そこへWバースが現れ、屑ヤミー迎撃を引き受けてくれたので、OOOとアンクはそれぞれの翼を広げ、すれ違いざまに後藤バースから掛けられた「絶対戻れよ。」の台詞を受けて飛翔した。
 それから少し遅れて赤いレザースーツに身を包んだ里中も参戦。あっけらかんと「お疲れさまでーす。」と登場する彼女に伊達バースが「こんな状況でよく来たね?」と問う。
 それに対する里中の回答は「ビジネスですから。」というもの。彼女の割り切り過ぎる物の考え方は苛つくことも多かったが、最終話のかかる場面で迷いなく参戦する姿は長所に映り、後藤バースの「流石は俺の上司だ!」という台詞も皮肉に聞こえなかった。

 そして上空では空前絶後の空中戦が繰り広げられた。OOO・アンクの連携攻撃と互角以上に戦う恐竜グリード。やがて三者はもつれ合って落下し、地面に激突した。
 起き上がった恐竜グリードは「この終末を見て、まだ邪魔するんですか?」とほざく。終末を望むのは勝手だが、誰もそれに共感しないのを本気で疑問に思っているのがこの手の人物(?)の痛い所。
 だがそれでもやはりラスボス・恐竜グリードは強く、アンクは大ダメージを食らって人間体に戻され、OOOもメダル頂き!とばかりにドテッ腹に手を突っ込まれた。
 だがOOOは氷結能力を発動。恐竜グリードの動きを封じ、何をする気か?と問う相手にOOOは「今俺の中には…あなたを絶対に倒せるだけの力がある!」と叫ぶや、保管庫で手に入れたと思しき膨大量のセルメダルを放出。画面を埋め尽くさんばかりのその量を次はメダガブリューに収めた。
 ここに至って、アンクは映司が大量のセルメダルを取り込んだ理由を悟り、そんなことしたらただでは済まんぞ、と言いかけた恐竜グリードはエネルギー最大充填状態のメダガブリューによる真一文字の斬撃、グランド・オブ・レイジを食らった。

 絶叫を挙げ、爆炎を上げる恐竜グリード。遂に勝負がついたかと、映司も変身を解除して倒れ伏したが、メダルの器暴走形態から謎の光を照射され、何と恐竜グリードはぴんぴんしている!
 「残念でしたね。いい作戦でしたが。しかしあれだけの力を使えば君はもう…」と呟きながら迫る恐竜グリードに対抗せんとして、目を紫に光らせ、紫煙を上げる暴走覚悟の映司だったが、アンクがそれを制し、赤のコンボを使え、と勧めた。
 タカクジャクコンドルの3枚が飛び出し、次いでアンクの右腕はセルメダルかして崩れると、そこには泉刑事の体だけが残された……。その様子を、そしてタカのメダルがひび割れているのを見て「どうして…」愕然とする映司。だがすぐに気を取り直すと、「分かってる…お前がやれって言うなら…お前がントにやりたいことなんだよな。アンク、行くよ。」と語り掛けながら赤コアメダルをセットした映司は仮面ライダーOOO・タジャドルコンボに変身!
 その際に上がった、「タカ! クジャク! コンドル!」の声はアンクの声だった。

 そして始まった真の最終決戦。攻撃を仕掛けるOOOの姿には時折アンクの姿が重なり、OOOは2人で戦っている感覚を受けた。その連続攻撃に一撃を受けた恐竜グリードは上昇してメダルの器暴走形態に突入。OOOは体から7枚の紫コアメダルをすべて放出するとそれをタジャスピナーに装填し、恐竜グリードを追って、メダルの器暴走形態内に突入した。
 そこで恐竜グリードメダルの器暴走形態のエネルギーを受けるようにしてOOOにエネルギー弾を放ったが、これはアンクが翼を広げて護った。
 そしてOOOはタジャスピナーから最初で最後のロストブレイズを、アンクは火炎弾を撃ち込み、恐竜グリードは最後にはなったエネルギー弾も弾かれ、そのドテッ腹に大穴を空けられた(ほぼ同時にWバースと里中は屑ヤミー群をまとめて掃射・撃滅)。
 大穴はさながらブラックホールで、恐竜グリードの四肢を引き込んで粉砕し、Dr.真木は「これが…私の終末…私が完成してしまう…。」との言葉残して最期を遂げた。

 ブラックホールは更にメダルの器暴走形態内のメダルを呑み込み、メダルの器暴走形態は見る見る内に収縮。そしてタジャスピナー内の紫コアメダルも引き寄せられ、吸収直前にすべて破裂し、映司が暴走する可能性は雲散霧消した……。
 だが、良い事ばかりではなく、ベルトに収まっていた赤コアメダルも吸い寄せられ、アンクの命であるタカメダルが真っ二つに……。直後、メダルの器暴走形態は大破し、映司は生身の体で上空に放り出された!

 殆ど気絶状態で落ち行く映司。勿論このままでは命はない。だがそこに右腕アンクが飛んできて、「おい映司、目ぇ覚ませ。死ぬぞ!」と言ってその頬をひねり、叩きつけた。
 「アンク…もういいよ無理だ。お前こそ…。」とした映司だったが、アンクの方が「俺はいい。欲しかったものは手に入った。」と告げた。「それって命だろ?死んだら……。」と返す映司に、「そうだ。お前達と居る間に、ただの『メダルの塊』が『死ぬ』とこまできた。こんな面白い…満足出来ることがあるか?お前を選んだのは俺にとって得だった。間違いなくな。」と告げた。
 グリードゆえに五感を持てず、「消える」とは言っても「死ぬ」とは言えず、行ってももらえなかった存在。その存在であったアンクは数々の戦いを共にしたことで、命を惜しみ、惜しまれるようになったことで、「作られたモノ」が「命ある存在」となり、グリードにはあり得ない「満足」を覚えた。そしてそのことを実感する故に、ここに至って映司との出会い、共闘した日々を「得だった」と言い切るアンク。
 そして満足を示すように去りゆくアンクに、映司がどこに行くかと問うと、「お前が掴む腕は、もう俺じゃないってことだ。」と告げて消え、映司の掌中には2つに割れたタカメダルの片割れが残されていた………。そして映司はアンクの名を絶叫しながら落ちて行った。

 その頃、地上では比奈がアンクの姿を発見。たが駆け寄ると、にやりと笑ったアンクの体は消え、地面には割れたタカメダルのもう片方が突き刺さっていた。そして映司同様にアンクに「ありがとう」を告げる比奈。一時の感慨に深った彼女だったが、次の瞬間空の気配に気付いた。
 滂沱に暮れる映司の頭上に「火野!捕まれ!早く!」と叫ぶのはカッターウィングで滑空するバース後藤!そして仲間達の救いの手は次々に映司に伸びて来た。
 バース後藤の、「もう何でも一人で背負い込むのは辞めろ!俺達がいる!俺達の手を掴め!」の叫びに映司が地上に目をやると、そこには比奈が、伊達が、里中が、知世子さんが集まり、空に手を伸ばしていた!
 「映司君!」(比奈)
 「映司君大丈夫だから!ドーンと来なさい!」 (知世子さん)
 「誰も頼らないってのは強いことじゃねえぞ!」 (伊達)
 「火野さん!ここですから!」(里中)
 そして集まる手を見ながら、「欲しかった力…どこまでも届く俺の手……それって。」と映司が思った瞬間、その左手はバースの手をしっかりと握っていた。
「こうすれば手に入ったんだ……。」と悟り、自分が独りで欲し過ぎていたことに気付いた。こうなると伊達の叫びは本当に的を得ていた。そして着地寸前、3人の女性が残る右腕を受け止め、伊達はバースを支えた。
 地面に無事下りた映司は仲間達から心配かけやがって口撃に遭っていたが、その中で今まで手を伸ばさなかった自分を反省しつつも、「でも、お前の手を掴んだのも絶対間違いじゃなかった。絶対……。」と振り返り、最後に大空に向かってアンクの名を呟いた。

 そしてOP曲「Anything Goes!」がスタート。
 明日のパンツを担いで世界放浪の旅に出た映司を初め、登場人物達のその後が触れられた。ようやくにして元に戻った泉刑事は復職。その車に送られて服飾専門学校に通う比奈。その横を通る次回作・『仮面ライダーフォーゼ』のレギュラー・歌星賢吾(高橋龍輝)と城島ユウキ(清水富美加)。さりげなく手にしたアストロスイッチがアップになるのがわざとらしい(笑)。ちなみにこれ以来、以後の仮面ライダー作品では最終回ラストで次回作の人物が登場するのがお約束になった(笑)。
 そして後藤は刑事に復帰。伊達は医者として世界を周り、会長は相変わらずのハイテンションでケーキを作り、その傍らには里中が。ちなみに声を出さなくても、読唇術が使えないシルバータイタンにも「ハッピー・バースデイ!」と叫んでいるのが分かる(笑)。というか、他の台詞は考えられんな(苦笑)。

 そしてクスクシエではターバンに着け髭で、アラビア人かシク教徒かよく分からないイベントスタイルで知世子さんが比奈、泉刑事、伊達、後藤、里中を迎えていた。
 仕事がら多忙と思われる彼らが一堂に会したのは、スカイプで映司と話す為。砂漠に座す映司とクスクシエの仲間達は互いに笑顔を交わし、映司は皆に別れを告げると、パンツを担ぎ、掌中の2つに割れたタカメダルを見つめ、「いつか…もう一度…。」と呟いて歩き出した。そしてその背後には異形の右腕が追随していた。

 かくして『仮面ライダーOOO』は終焉した。「欲望」と言う一般にはいいイメージではない単語をキーワードに、ある者は力を求め、ある者は体を求め、ある者はエネルギーであり攻撃手段であるメダルを求め、ある者は金銭を求め、時に戦い、時に謀略を巡らせ、時に恐怖し、時に暴走し、皆が皆それぞれの立場で必死に戦った一年。だが各々、プライドや独善に振り回されながら、本当の求めるものは身近にあり、最後には仲間同士互いに理解し合い、感謝し合い、笑顔になった……………。
 アンクのその後は後の劇場版に委ねられたが、道場主の摩季ネェびいきを差っ引いたとしても、この『仮面ライダーOOO』は平成ライダー各作品においても屈指に出来になったと断じて、同作に対する全話解説を締め括る次第である。


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平成二七(2015)年一一月二二日 最終更新