仮面ライダーX全話解説

第1話 X、X、Xライダー誕生!!

監督:長坂秀佳
脚本:折田至
ネプチューン登場
 冒頭、人っ子一人いない海岸を歩いていた昭和中期に出て来る映画のスパイを絵に描いたような男が砂浜から南米の古代文明で飾られていそうな人形型の置物を掘り出した。置物からは「余」を一人称として、GOD総司令 (声:阪修)の声が発せられた。
 命令内容は具体性を伴わず、計画開始とネプチューンなるその男に「海の大王となるのだ!」と呼び掛けた。それに応じて男はGOD神話怪人の一人ネプチューンにその姿を変じ、置物は証拠を残さないかの如く、爆発して消えた。

 ギリシャ神話をモチーフにしたキャラクターが前半のメインとなるGOD神話怪人軍団にあって、第1号が海の神ポセイドンに相当する存在であるネプチューンとは畏れ入るが、ネプチューンって、ローマ神話の神様なんだよなぁ…………(苦笑)。
 令和の世に在っては、彼の名前を聞けば覆面狩りの完璧超人や「電光石火の三重殺」を謳い文句としたお笑いトリオを連想する人も多いと思うが(笑)、『仮面ライダーX』放映時はどれほどのインパクトがあったのだろうか?
 ともあれ、ネプチューンはそのまま海中にその姿を消したのだった。


 その頃、沖縄から奄美大島経由東京着のフェリー・新さくら丸で東京にやって来た乗客の中に本作の主人公・神敬介(速水亮)がいた。一応、沖縄の水産大学に通う大学生とのことだが…………いくら昭和40年代とはいえ、大学生が普段着で学ランを着ているものだろうか?(苦笑)
 道場主も大学生時分に学ランを着たことが無い訳ではないが、部活(体育会)の正装(ブレザー)が間に合うまでの繋ぎ的に着ていたもので、帰郷時は普段着と思うのだが(実際、敬介が学ランを着ていたシーンはこれが最初で最後である)。

 ともあれ、半年ぶりの東京に笑顔で下船した敬介は人気の無い道に差し掛かったところで前後を黒尽くめの怪しい男達四人によって挟まれた。男達は敬介が神啓太郎教授の一人息子と知っていて、彼に同道を強要した。
 拳銃を突き付けられ、いきなりな展開に驚きを隠せない敬介だったが、勿論大人しく捕まろうとはせず、取り押さえんとした二人の男を振り払い、空手と思しき格闘術で抵抗。それを見た男の一人が、「俺達に一人で立ち向かうとは良い度胸だ。しかも人間の分際でな!」と云い放った。
 その台詞を受けて、「お前達は人間じゃないのか?」と問う敬介。不敵に笑いながら帽子を脱ぐと四人の姿はGODの戦闘員であるGOD戦闘工作員の姿に変じていた。全身黒タイツにゴーグルで目を覆い、裏地が赤の黒いショートマントを纏った装束は歴代戦闘員に比べてやや派手目である(紫タイツのゲルショッカー戦闘員には及ばないが(苦笑))。

 とは云え、戦闘員は所詮戦闘員な格闘能力レベルで(苦笑)、敬介は四人掛かりでも互角以上に渡り合った。ただ、その中の一人が拳銃を使い出し、さすがにこの時点で一般ピープルに過ぎない敬介が不利に転じるのは止むを得なかった。敬介は辛うじて銃撃を躱し、逃走に掛かったが程なく土手際に追い詰められ、海中に転落した。
 銃を撃った戦闘工作員は尚も海中の敬介を狙ったが、別の戦闘工作員が「ネプチューンの生贄になるのだ!」として止めた。その言葉通り海中ではネプチューンが待ち構えており、口腔より大量の泡を吐いて敬介に浴びせかけた。
 ネプチューン曰く、その泡が触れたが最後、触れた者は白骨化して死ぬとのことで、敬介は必死に沖に向かって泳ぎ出すのだった。


 場面は変わって城北大学。前々作以来お馴染みの架空の大学である。「城北大学」だったり、「城南大学」だったり、するのを何とかして欲しいと常々思うのだが(苦笑)、本作では「城北大学」で統一されている。
 その大学構内を歩いていた一人の女性(美山尚子)がある一室に入室すると、そこには難を逃れて着替え中の敬介がいた。敬介を見て驚く女性は水城涼子で、再会を喜ぶ二人だったが、どうやら涼子は敬介が帰郷してくるのを知らなかった様だった。
 水産大学が休暇になったので、東京でアルバイトでもしようと思って帰郷してきたとのことだったが、この時点で初めて涼子は半裸状態の敬介が異様であることに言及。それに対して「寒中水泳」と惚ける敬介だったが、即座に「服を着たままで?」と突っ込まれていたので、異変を誤魔化せていないのは明らかだった。
 ともあれ、部屋の主である父の居所を訪ねる敬介だったが、涼子から帰ってきた答えは「隠れ家」と云う何とも物騒なキーワードだった。

 そして場面は変わるのだが、「隠れ家」が似合う海岸沿いの断崖地帯にある洞窟で、「如何にも」な場所だった。だが、その背後にはネプチューンが潜んでいた。隠れられてないな(苦笑)

 ただ、隠れ家の中身は科学者の潜伏場所らしく、それなりの規模の機械類・計器類が並んでいた。中には人体改造の研究に使っていると思しきマネキンの上半身もあり、これらは後々の改造手術への伏線と思われる。
 ともあれ、その隠れ家にも父の姿が見えないと思っていたら、突如敬介は背後から木刀で襲われた。不意打ちにも辛うじて適切に対処し、手刀で木刀を叩き折ると、その木刀を意外そうに見つめる作務衣姿の男・神啓太郎(田崎潤)がいた。
 いきなり殴りかかると云う乱暴な出迎えに対して、「相変わらず」と敬介が述べていたから何ともな親子だが(苦笑)、敬介の護身に対して啓太郎は「まだまだ」とし、これからの科学者は腕っぷしも強くないと駄目だと告げた。

 それに対して、「科学者になると云った覚えはない。」と呟く敬介。それを聞いた啓太郎の反応が一本背負いなのだから、神親子のことを全く知らない人物が見たら、乱暴者の横暴親父にしか見えんぞ(苦笑)。
 さすがにいきなり投げ飛ばされては敬介も我慢ならんとばかりに父に掴みかかり、啓太郎も応じんとしたが、涼子がそれを仲裁した。彼女に云わせると、「会う度にいつもこう。」とのことで、それが本当は仲の良い父子の本意ではない筈とのことだった。
 結局、親子喧嘩は「お前の未来のお嫁さんの顔を立ててやる。」とした啓太郎が渋々折れたことで収まったのだが、これらの会話から敬介と涼子が父も認めた、将来を誓い合った仲であることが自然と視聴者に展開されていたのだから、大したものである。これが少年漫画だと物凄くわざとらしい説明が多いもんなあ(笑)。

 ともあれ、啓太郎はロッカーから赤いベストを取り出し、敬介に着用を命じた。赤い色を指してか、「女の子みたいな。」として渋る敬介に啓太郎は沖縄から帰ってきた直後にどんな目に遭ったかを思い出せ、として着用拒否を許さないとした。そう、啓太郎は敬介の身の上に起きたことを知っていたのである(この時点で敬介は襲われたことを誰にも話していない)。
 その夜、レストランのような場所で涼子と食事をしていた敬介は渋々ベストを着ながらも、父が何を考えているのかさっぱり分からないとこぼしていた。涼子は啓太郎が敬介とともに仕事をしたがっていることを告げたが、敬介は「真っ平だ!」とした。
 敬介は狭い研究室で人間工学の研究に勤しむ父のスタイルに反発していたようで、自分の夢は七つの海を駆け巡る世界一の船乗りになることだと述べた。まあ、子供と云うのは親の姿を見て憧れて同じ道を歩みたがるのと、その姿を辛い・惨めと捉えて正反対の道を歩みたがるのとが両極端になり易いのは世の常かも知れない。そしてその後の敬介の父への想いを見ると、敬介には父と行動を共にしたい気持ちと、父とは正反対の道を歩みたい気持ちとが矛盾なく併存しているのだろう。
 何せ、敬介の辞書にも啓太郎の辞書にも「素直さ」と云う言葉が無いようで、再会がいがみ合い・罵り合い的なものになるのも互いに素直になれないからだろう。直後の涼子の、啓太郎が敬介に自分の仕事を手伝って欲しくて、何度も手紙を書いてはそれを捨てる姿を見て、寂しそうにしていることを言及したのだが、それを聞いた敬介は父が「寂しそう」と云う言葉にかなり意外そうにしていた。恐らく啓太郎は敬介の前では弱音を見せないのだろう。
 ともあれ、偏屈に近い頑固な性格が祟ってか、大学内でキチ●イ扱いされて孤立し、涼子しか味方がいないと云う父の近況を聞かされては敬介も反発一辺倒と云う訳にはいかない表情を浮かべた。

 直後、ボーイが涼子宛に電話が入ったことを告げ、彼女が席を外すと突如敬介の名を呼ぶGOD総司令の声が足下から聞こえて来た。声は黒い招き猫から発せられたもので、神教授に味方するよう伝えよ、拒否すれば殺す、と云う脅迫まがいのものだった。
 声が終わると招き猫は爆発して消え、GODのロゴ入りカセットテープが現れたが、それも消えた(以後、GOD総司令の伝達はこのパターンが踏襲され続けた)。そしてそれを見計らったかのように涼子が戻り、ボーイが密かにネプチューンの姿を見せていた。

 そのネプチューンだが、夜中に船舶を襲い、船長とその側近と思しき部下の船員を、最前敬介を仕留め損なった発泡攻撃で殺害し、船を沈めて悦に入っていた。そのナレーションでGODが東西の大国同士が改造人間を使って日本を滅ぼすことを目的に手を組んで密かに編成された組織とのことで、「大国」の名が明かされることは最後までなかったが(まあ、明かせる訳もないだろうが)、れっきとした国家が裏で糸引いていると云う設定は、ある意味ショッカー、ゲルショッカー、デストロンとは違った怖さを仄めかしていた。

 そして翌朝。海岸では昨夜のネプチューンの襲撃で無残な白骨遺体と化した船員の亡骸に啓太郎が哀悼の意を表していた。どうやら啓太郎にはこれがGODの仕業であることは先刻承知のようで、手掛かりを求めて海岸でネプチューンの泡を採集しようとしたのだが、危うく滑落しそうになった。
 滑落を免れたのは敬介が助けたからで、父の代わりにビーカーで泡を採集した敬介はそれを渡しながら、「手伝っている訳じゃないぜ。やられた船の仇討ちがしたいだけだ。」と如何にも船乗り志望者的な言を発していたが、照れ隠しは明らかだった(笑)。本当に素直じゃないな(苦笑)。
 そんな敬介に啓太郎は礼を云うでもなく、自分達のところにやって来た涼子に上機嫌な敬介に突如拳銃を突き付けた(←こういう物を所持していたことからも神教授が単純な善人ではないことが伺える)。
 驚く敬介に無言で発砲した啓太郎だったが、ここで赤いジャケットが防弾チョッキであることが明かされた。勿論敬介の身を守る為に啓太郎が発明したもので、三千度の炎にも耐える優れものとのことだった。まあ、実在の防弾チョッキが弾丸の体内侵入を阻止することで内臓損傷による落命を防げても、銃撃の衝撃までは止めれずに肋骨が折れることがしばしばあることを思えば、撃たれてケロッとしていられる防弾ベストはかなりの高性能と云える。
 ただ、そんな有難いものを理由も告げずに着用を強要していたのだから、敬介の「初めっからそう云えば良いのに…。」のぼやきはもっともで、こんなタイミングでこんな形で伝える啓太郎も変なら、その展開を啓太郎と一緒になって笑っていた涼子も充分変だと云える。まあ、だからこそ啓太郎の助手が務まり、敬介の婚約者たり得たのかもしれないが………。

 ともあれ、啓太郎はGODとの戦いが本格化することを告げ、多忙となる明日以降に備えて今夜はゆっくり休め、としたのだが、その「今夜」こそが神親子にとって最悪の一夜となったのだった。
 その夜、GODは遂に実力行使に出た。
ネプチューンが啓太郎を襲い、敬介の寝室には全身黒タイツの人物が忍び込んで防弾ジャケットに酸の様な物を振りかけて無効化させた。
 啓太郎は果敢にも鉄パイプ一本で立ち向かうも、さすがに相手にならなかった。一方の敬介は異様な気配を感じて目を覚まし、その影を追い、剥ぎ取った覆面の下から現れたのは何と涼子!
 婚約者の敵対的行為に呆然とする敬介に、神親子が邪魔だとする声と共に人形から矢が放たれた。そしてそれに気を取られている隙に涼子に逃げられた敬介は父の身を案じてその隠れ家に駆け付けたが、見かけたのは隠れ家の前に倒れ伏す啓太郎の姿だった。
 必死に父の名を呼び、「しっかりしろ!」と叫ぶ敬介に、辛うじて息のあった啓太郎は「馬鹿息子………お前こそ後ろを……。」と呟くと意識を失った。その言葉につられて周囲を見ると親子には三人の戦闘工作員が迫っており、敬介も三人掛かりで胸部腹部に拳銃を放たれて絶命したのだった…………。

 戦闘工作員達が引き上げると、自身も瀕死の重傷を負っていた啓太郎は立ち上がると敬介の体を隠れ家に運び、息子・敬介を死なせない為のやむを得ない手段として敬介の体に改造手術を施した。
 直接の言及は無かったが、この改造手術が啓太郎自身の研究によって生み出されたものであり、同時に初めて行われる手術であったことは想像に難くない。加えて蘇生・延命の為に止むを得ない措置とはいえ、手術を施すことを敬介に詫びてもいたから、この手術がマスカーワールドにおける数々の改造手術同様、元の肉体に戻すことが叶わないものであることも類推された。

 そして夜が明けた。
 小舟の中に横たわっている自身に気づいた敬介は、自分が生きていることを不思議に思った。するとそこへ機械を通して発せられた啓太郎の声が、敬介が生身の体ではない、改造人間=カイゾーグとなったことを告げた。
 啓太郎はいつかこんな日が来るのを見越しており、敬介の命を救うにはその方法しかなかったことを詫びながら、その体は1万メートルの海中でも活動可能な、仮面ライダーXとなったことが告げられた。
 つまりここで初めて作中にて「仮面ライダー」の名が出た訳だが、敬介はその名を知っている風でもなければ、聞いて驚いた風も無かった。果たして世間一般に認知されていない「仮面ライダー」の名を神啓太郎は何処で知ったのか?
 まあ、城北大学の博士なら、本郷猛の恩師緑川博士と知遇があって、その辺りからその存在を知らされていたかもしれないが、その辺りの事情や対人関係は最後まで明らかにされなかった。

 ともあれ、敬介を載せた小舟は啓太郎が「私自身」として作った、「全体が大コンピュータールームとなっている」という人工島に向かっていた。その説明が終わらない内に敬介は島内のコンピュータールームについていたのだが、啓太郎はそのコンピューターに自らの全人格・全知識をインプットすることで敬介のアドバイザーとなるべくコンピューターとして生きていた。当然のことだが、こんなことは令和の世の最新鋭コンピューターでも不可能である。そもそもすべての人格と知識のインプットが尋常じゃなく困難そうだもんなあ(苦笑)

 勿論、人としての神啓太郎はネプチューンの襲撃が致命傷となって落命しており、敬介への改造手術後に力尽き、その遺体は赤いカプセルの中に収められていた。改めて父の遺体に驚く敬介だが、啓太郎は科学者としての自分はJINステーションとなって生きていると宣し、それに呼応するようにアポロ11号の着陸船のような形をしたJINステーションがそのボディを覆っていた岩肌を払いのけて海底に座した。
 啓太郎は海底にあっていつでもそこにあり、生前収めた知識と人格で敬介をサポートすると宣し、啓太郎の資料を奪ったことで益々強大な悪の組織と化したGODと戦うべく、専用マシンとなるクルーザー、敬介の武器となるライドル、Xライダーにset up(=変身)する為のアイテムであるレッドアイザー、パーフェクターと云った重要アイテムを次々に披露し、敬介に纏わせた。

 一通りの武装を伝えた啓太郎は「最後の頼み」としてCスイッチを押すよう懇願した。敬介がそれを押すと啓太郎の遺体を収めたカプセルは凄まじい噴射力で海中に投擲され、爆発四散した…………。
 如何に人格と知識がコンピューターに収められているとはいえ、生前の姿を留めていた遺体が突然海の藻屑となっては敬介でなくても愕然としただろう。敬介は幼き日に笑顔で武術の手ほどきをしてくれた父の姿を思い浮かべて悲嘆にくれたが、コンピューター内の啓太郎はそれを戒め、改めてJINステーションとして自分がいることを告げ、GODの野望を叩き潰すべく戦うことを促した。

 悲しみを振り切るように、「見ててくれ、親父!」と小さく叫んだ敬介は右手を斜に挙げて「セタップ!」と叫ぶと両腕を交差させて腰の両サイドにあるレッドアイザーとパーフェクターを掴んだ。
 レッドアイザーは掌中から離れると敬介の頭部を左右から覆い、パーフェクターが口腔部を下から覆うことでセットアップは完了し、パーフェクターからオレンジと白の混じった光が螺旋状に放出され、神敬介は仮面ライダーXとなり、初変身を遂げたのだった。

 そしてクルーザーにて海上に飛び出し、海岸に着岸するとそこで10人ほどの戦闘工作員達と遭遇。悪の定番である「貴様、何者だ?!」の誰何にライドルホイップでX字型に空を切ると、Xライダーの名を名乗り、カイゾーグとしての初殺陣が展開された。
 名乗り終わるとライドルはすぐにベルトに納められ、当然のことながら徒手空拳でもXライダーは戦闘工作員に後れを取ることは無かった(単純な格闘能力なら改造前でも敬介は戦闘工作員達に勝っていた)。
 程なく、ライドルを今度はライドルスティックとして抜くと忽ち残る戦闘工作員達を打ち倒し、直後、それを見計らったように雷鳴と共にネプチューンが現れた。

 Xライダーはライドルスティックを、ネプチューンはトライデント(三叉槍)を得物にしばし互角に打ち合う両者だったが、その最中、Xライダーは上空に弾き飛ばされたライドルスティックを空中で掴むとそれを支柱に大車輪を見せると云う離れ業を展開した(←いちいち突っ込むまでも無いとは思うのだが、物理的に絶対に不可能である(苦笑))。
 後々はこの回転で遠心力をつけてXキックを放つのが定番となるのだが、この時は何もせず着地したところでネプチューンが投げつけたトライデントに左大腿部を刺された。ま、初戦じゃ致し方なしと云ったところだろうか?
 ただ、刺突は確かに左脚の動きを辛いものとしていたが、戦闘そのものに大きく影響した様子は無く、Xライダーは負傷していない右足を駆使してネプチューンを巴投げで投擲するとライドルスティックを投げ付けて怯んだところに空中回転蹴りによるXキックを炸裂させて勝負を決めたのだった。

 空中で爆発四散したネプチューンだったが、首だけが残ってXライダーの足元に落ちて来た。頭部は「首爆弾」なる爆弾となっており、それを炸裂させることでXライダーを地獄への道連れにせんと図ったと思われるが、首爆弾であることをわざわざ口にした上、その爆発力は明らかにしょぼいもので、直後に変身を解いた敬介は明らかに刺し傷の方に苦しんでいた。最後の手段にしては威力の小さい武器だったな(苦笑)。

 ともあれ、初勝利への感慨も示さず、傷の痛みに顔をしかめる敬介だったが、そこに包帯代わりに白いスカーフを差し出す女性がいた。その女性は最前自分を裏切った恋人涼子に瓜二つで、丸で美山尚子さんが二役を演じているみたいだった(笑)。
 驚く敬介の疑問に先に答えるかのように、女性は、自分は涼子ではなく、霧子であると名乗った。そしてネッカチーフを用いれば半日で傷は良くなるとしてそのまま立ち去ったのだった。

 そしてラストシーン。
 「ライダー賛歌」をBGMに海岸を疾走する敬介。そこへナレーションがGODとの戦いが始まったばかりで、恋人に裏切られ、父を殺された敬介の心の傷が深いことを述べ、涼子の裏切りと霧子の正体に疑問を呈して、第1話は終結したのだった。



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令和五(2023)年六月一四日 最終更新