第8頁 帰って来た雑魚?怪人Ⅱ世部隊

再生怪人軍団File.8
登場作品『仮面ライダー(スカイライダー)』第27話・第28話
構成メンバーキノコジン、ゴキブリジン、ヤモリジン、コゴエンスキー、クラゲロン、サイダンプ、ドクガンバ、マダラカジン、ゾウガメロン、ムササベーター(弟)、シビレイジン、オオカミジン、ジャガーバン
指揮官ヒルビラン→グランバザーミー
再生手段設計図を基にした簡易製造
手強さ
作中行動 怪人Ⅱ世部隊は第27話にてヒルビランが任じられていた日本大壊滅作戦の従事するため編成された。
 ネオショッカーの大幹部・魔神提督(中庸助)は二面作戦を取ることが多く、片方の作戦がスカイライダーに妨害されても、その間に他の作戦を遂行することを図る訳で、その目の付け所は悪くない。ただ、個々の作戦に従事する怪人同士の仲が劣悪だったり(過去作「悪の組織のコンビネーション―組み合わせを考えんかい!―」参照)、客演ライダーが乱入したり、で双方とも潰れる運命になる(苦笑)。

 ともあれ、魔神提督は日本大壊滅作戦に対しては一方で新型爆弾・バリチウム弾を搭載したネオショッカー戦車による直接破壊と、地下3万mの穴から爆弾にてマグマを噴出させて日本を壊滅させるマグマ噴出作戦を並行せんとした。
 前者である直接破壊は戦車一両で行う故、完全にヒルビランの独行となり、逆に深い穴を掘る故に人手を必要とした後者は大量の人員を拉致する関係で怪人Ⅱ世部隊はほぼこちらに従事した。

 一応、編成当初怪人Ⅱ世部隊はヒルビランの指揮下にあったが、バリチウム弾を開発した泉田博士(佐々木一哲)が発射装置を壊して逃走すると云うアクシデントがあったため、ヒルビランは泉田の連れ戻しと修理強要の必要上、殆んどネオショッカー戦車に掛かり切りとなった。
 加えて閲兵式にてキリマンジャロ支部から駆け付けた、「地球最高の改造人間」を自負するグランバザーミー(←実際にネオショッカーにて三本の指に入ると云える程の強豪である)が自分こそ怪人Ⅱ世部隊を指揮するに相応しいと魔神提督に直談判したことで(程なくヒルビランが戦死したこともあって)その指揮下に入った。

 部隊としての本格始動は第28話からで、グランバザーミー指揮の下、穴掘りに必要な人員及びマグマ噴出に従事させる吉田博士(柄沢英二)の拉致に従事。当然スカイライダー及び前話にて世界各地から帰国していた7人ライダーが阻止せんとしたのだが、グランバザーミーがライダー達を迎撃し、驚異的なスピードでライダー達を翻弄し、スカイライダーを負傷させる程の尽力をしたことでその隙に目的人員の拉致に成功した。まあ、殆んどグランバザーミー一人の活躍と云って良かったが(苦笑)

 人員を集め終わった後はマグマ噴出作戦を阻止する為に駆け付けてきた8人ライダーの迎撃が任務となった。最終的に8人ライダーVS怪人Ⅱ世部隊の、謂わば集団戦闘になった訳だが、グランバザーミーに敗れたスカイライダーは7人ライダーのリンチに等しい猛特訓を受けてリベンジに臨み、集団戦闘そっちのけの一騎打ちとなったため、怪人Ⅱ世部隊は7人ライダーと相対した。
 勿論、怪人Ⅱ世部隊はこれに敗れて全滅。以後、ネオショッカーが再生怪人を起用することは無かった(魔神提督に猛省を促す為の幻影として現れはしたが)。



生前比較 本作を制作する為に調べ直して知ったのだが、この怪人Ⅱ世部隊、厳密に「再生怪人」とするには疑問が残る。本来再生怪人とは、ライダーに敗れて戦死した怪人の破損個所を修復して再活動可能たらしめた修理品(←嫌な表現だが)か、ネクロマンシー(死霊術)やシャーマニズムを駆使してあの世から召喚されたアンデッドである。
 だが、この怪人Ⅱ世部隊は設定によると上述した様に、改造人間製造時にネオショッカーが設計した図面を基に同じタイプの怪人を製造したロボットとも、簡易改造人間ともつかない存在という事になる。
 一例を挙げるとゼネラル・モンスター(堀田真三)の正体であるヤモリジンも、ゼネラル・モンスターと何の関係もない者が彼と同じ改造手術を施されたか、アリコマンドの上位互換に過ぎない存在である可能性もある。、一応「新品」ではあるのだが、褒め言葉になるかどうか微妙だな(苦笑)。

 ライダー作品を通して考察するに、改造人間を作り出すには資材も資金もそれなりに高くつくようで、それゆえか多くの場合、悪の組織は改造対象とする人員を厳選する。
 特にネオショッカーは地球の人口を三分の一に減らす為に散々テロ行為を続けていたが、それも「環境破壊に曝された地球を救う為に優れた人間のみによる世界を再生する。」というネオショッカーなりの大義に基づくものだった。
 殊に魔神提督は無能者が嫌いな一方で有能な者は自分に尊大に振舞う者(例:グランバザーミー)、自分の指揮になかなか従わない者(例:アブンガー)でもそれなりに厚遇する。
 少し話が逸れたが、そんな人材を重視するネオショッカーにあって、この怪人Ⅱ世部隊は明らかに「質より量」に走っている。全員が黄色いマフラーを着用し、完全に「駒」と化していた。
 それ故か、ライダー達との戦いにおいても、生前(と云うか元々のオリジナル)が駆使していた特殊能力の発揮も無かった。何か書いていて、生前比較が可哀想になって来た(苦笑)。実際、怪人Ⅱ世部隊に「生前」は無いのかもしれないのだから。



対ライダー戦 少し私見を交えるが、幼少時の道場主に、「再生怪人、弱い!」という認識を最初に持たせたのがこの怪人Ⅱ世部隊である。まあリアルタイムで見たライダー作品がこの『仮面ライダー(スカイライダー)』だったから、と云えばそれまでなのだが。

 まず戦闘開始から1分も経たない段階でキノコジンが仮面ライダーアマゾンの大切断に首ちょんぱされた。
 チョット数が多いので、ライダーとの戦いを(戦死した順に)箇条書きにしたい。

オオカミジン → 閲兵式で隊長就任を申し出たクランバーザーミーに食って掛かり、首ちょんぱにされる…………確か、コイツ、首を飛ばせた筈なのだが………。
キノコジン → 仮面ライダーアマゾンの大切断で首ちょんぱ。
サイダンプ → 仮面ラダー1号のライダーキックを受けて戦死。スカイキックを弾き返せる頑健さが生前の売りだったのだが………。
ゾウガメロン → 詳細不明。どのライダーかに投げ飛ばされたところへライダーキックを受けてぶっ飛ばされてきたサイダンプと鉢合わせて爆死。
ゴキブリジン → 仮面ライダーXのXキックを受けて爆死。生前愛用のマントはどうした?
コゴエンスキー → Xキックを受けたゴキブリジンの所へ1号ライダーに投げ込まれて爆死。
マダラカジン → 仮面ライダーストロンガーに投げ落とされ、クラゲロンと鉢合わせで爆死。
クラゲロン → 仮面ライダーV3に投げ落とされ、マダラカジンと鉢合わせで爆死。
ジャガーバン → 仮面ライダーV3のV3キックで他の怪人達がダウンしているところに蹴り込まれ、爆死。
ムササベーター(弟) → シビレイジンと共に仮面ライダーストロンガーの電キックで他の怪人達がダウンしているところに蹴り込まれ、爆死。
シビレイジン → ムササベーター(弟)と共に仮面ライダーストロンガーの電キックで他の怪人達がダウンしているところに蹴り込まれ、爆死。電気を武器とする怪人が改造電気人間に敗れて形無し………。
ヤモリジン → 1号ライダーのライダーキックで他の怪人達がダウンしているところに蹴り込まれ、爆死。
ドクガンバ → 戦死したシーンすら描かれず………

 何せ、ゼネラル・モンスターの正体であるヤモリジンまでもが単なる一兵卒に過ぎない戦力に終始していたのが泣けた。最後に8人ライダーのリーダーである仮面ライダー1号によって倒されたのがまだせめてもの救いだっただろうか?
 まあ、何度も上述している様にこの怪人Ⅱ世部隊再生怪人軍団とは云えないかも知れないので、余りゼネラル・モンスターにこだわっては可哀想かも知れないが。

 改めて振り返ってみるに、生前(?)の長所及び特殊能力は一切発揮されていない。グランバザーミーが強いだけに余計に弱く見える。そしてそのグランバザーミーも同話でパワーアップを果たした後のスカイライダーに手も足も出ず敗れていたのを見ると、「ライダーの敵じゃない」感が半端ない………。
 スカイライダーパワーアップの陰に隠れがちな7人ライダーの見せ場の為に怪人Ⅱ世部隊が噛ませ犬の役を振られたのは分かるが、マスターの噛ませならともかく、サブの噛ませとあっては何とも浮かばれない話である。となると、設定通り、怪人Ⅱ世部隊再生怪人軍団とは思いたくないところである。


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令和六(2024)年六月一四日 最終更新