孤高のライダーマン

 昭和61(1986)年4月6日、一人の俳優が41歳の若さで肝臓癌のためにこの世を去った。当時、世の中は76年ぶりに地球に接近したハレー彗星が再び地球から遠ざかろうとし、二日後に人気絶頂の女性歌手が18の若さで非業の死を遂げ、世の中を騒然とさせた事を考えると、あたかも故石原裕次郎の死の少し前にひっそりと世を去ったトニー谷の如く影の薄い死だった。
 その俳優の名は山口豪久(やまぐちたけひさ) 、本名・山口智之(やまぐちともゆき) 。デビュー当時の芸名は山口暁(やまぐちあきら) だった。勿論シルバータイタンはライダーマン結城丈二を演じた俳優として接し、取り上げている。
 故山口氏は2021年5月5日現在、仮面ライダーを演じた俳優の中ではただ二人鬼籍に入られた方の一人である(もう一人は仮面ライダーストロンガー・城茂を演じた荒木しげる氏)。ただ単に仮面ライダーに関わった方々で鬼籍に入られた方を挙げると50年の歴史の中で、原作者の石ノ森章太郎氏を初め、二人のおやっさん、小林昭二氏に塚本信夫氏、悪役を演じた宮口二郎氏・天本英世氏・潮健児氏・郷B治氏・汐路章氏、声優では峰恵研氏、八代駿氏、スーツアクターでは中村文弥氏、富士乃幸夫氏、更に野々村潔氏、田畑孝氏、田崎潤氏、明石潮氏、菅貫太郎氏といった、一回限りでも重要人物を演じた方、脇役やチョイ役を含むと枚挙に暇がない。
 しかし、準主役レベルでは山口氏と故岡田京子氏しかなく、まして「仮面ライダー」の名を関する人物の故人は山口氏と荒木氏のみである。
 このコーナーでは故人への敬意と、ライダーマンという様々な意味で特殊性を持つ存在への注目と、それらが特撮の世界を通して現実の世界に残してくれたものを考察することで一人の孤高の俳優並びに英雄にクローズアップいしたい。
 
山口豪久Profile(道場主が把握している事のみ書いています。分かった事があり次第追加します。)
1945(昭和20)年1月25日愛知県に生まれ、神奈川県に育つ。
1963(昭和38)年3月東京実業高卒業
1972(昭和47)年女優・山口千枝夫人と結婚。
1973(昭和48)年12月8日「仮面ライダーV3」第43話にてライダーマン結城丈二として出演。
1974(昭和49)年2月2日「仮面ライダーV3」第51話の結城丈二戦死にて同番組を降板。
1974(昭和49)年長女・貴子誕生。
1975(昭和50)年12月13日「仮面ライダーストロンガー」第37話に客演。
1975(昭和50)年12月27日「仮面ライダーストロンガー」最終話に客演。
1976(昭和51)年1月3日「全員集合!7人の仮面ライダー」に客演。
1979(昭和54)年5月16日「仮面ライダー(スカイライダー)」第33話に客演。
1984(昭和59)年1月3日「10号誕生! 仮面ライダー全員集合」に客演。これが遺作となる。
1986(昭和61)年4月6日肝臓癌のため急逝。享年41歳。



1.ライダーマンの例外性
2.奮闘!ライダーマン
3.一個人・山口智之としての存在
4.死後に残したもの


次頁へ
特撮房へ戻る

令和三(2021)年五月五日 最終更新