ウルトラマンA全話解説

第43話 冬の怪奇シリーズ 怪談 雪男の叫び!

監督:上野英隆
脚本:石堂淑朗
吹雪超獣フブギララ登場
 「冬の怪奇シリーズ」の第3弾にして、最後である。さては梃入れに失敗したか?(苦笑)
 前話に続き、舞台はまたもスキー場だったのだが、妙高高原ホテルから上越国際スキー場に場を移していた。久々の休暇を満喫するのは良いし、妙高市と上越市は隣同士で決して遠くもないが、スキー場を梯子にするとは、随分贅沢な休暇である(笑)。
 そんな贅沢休暇を満喫する北斗達のところに数人の村人達がスキーで駆け付け……否、滑り付けて来て、乞食を見なかったか?と問うてきた。
 彼等の言によると、その乞食は近くの山中に20年以上も住み、冬になると下山して来て村中で悪さばかりをして、そいつを懲らしめる為に村人達が追っているとのことだった。何て分かり易い伏線だ(笑)。

 場面は替わって山中の別場所。案の定、件の乞食=通称・乞食仙人(大泉滉)が超獣と関係を持たされていた。村人に追われる乞食仙人は彼等を深く恨み、彼等に呪いを掛ける様に訳の分からない祈りを捧げていたが、そのアクション並びに文句は丸でキチピー、別の言い方をすれば人心を惑わす怪しい新興宗教の信者だった(苦笑)。
 その怪しげな祈りに応えたのではないだろうけれど、次の瞬間、土中から猛吹雪が噴出し、乞食仙人はそれに呑まれた。その後も吹雪は勢いを増し、村を襲い、北斗達も山小屋に避難。そこには最前の地元民達もいたが、ここまでの吹雪は初めてとのことだった。
 しかもラジオの情報によると彼等がいる筈の塩沢地区は「無風・快晴」とのこと、更に村人の1人が屋外にゴリラの様な大男を見たと言い出し、北斗はTAC基地に異常情報が無いかを問い合わせた。だが、お約束の様にTACレーダーには異常は見られず(苦笑)、通信を終えた頃には嵐も治まっていた。北斗も取り合わず注意を払うよう要請するしか出来なかった。

 嘘のような快晴に安堵を取り戻した村人達だったが、次の瞬間再度彼等は恐怖に叩き落された。雪中には巨大な足跡が残され、雪男が現れたかのようなパニックになりかけたが、一部村人達は乞食仙人の悪戯では?と疑った。北斗は猛吹雪の中わざわざ悪戯を仕掛けるのも変だと考えたが、いずれにせよ村人達は恐怖よりも興味を抱いたようだった。
 その中で2人の若者が雪男狩りのノリで北斗が止めるのも聞かず山中に入り、残る村人は乞食仙人の悪戯に付き合っていられないとばかりに下山した。勿論北斗達もこれを捨て置けず、北斗は巨大足跡を撮影した香代子に現像を託してダンと共に山中に入って行った。

 巨大足跡を追う2人組は、足跡が思いの外山中長く続いていることに、悪戯ではなくUMA(未確認動物)の存在を感じて大発見への期待にほくそ笑んでいたが、足跡がぷっつり消えたことに驚愕した。するとそこへ間欠泉の様な吹雪を伴って吹雪超獣フブギララというそのまんまな名前の超獣が出現。2人組はフブギララの吐く吹雪に巻かれ、山中に倒れ伏した。

 完全な余談だが、もし山中で巨大動物の足跡を見つけ、それが途中で途切れた際は背後に細心の注意を払いながら別ルートで下山しよう。
 それが羆・ツキノワグマの足跡である場合は「止め足」である可能性が濃厚である。

 クマ類は山中を進み、途中でその足跡をまっすぐに辿りながら後退して脇道に身を隠し、足跡が途切れたことに戸惑う(人間を含む)獲物を襲うという戦法を持っている。
 つまり現実の世界で、日本の山中で、眼前の巨大な足跡が途切れるということは、背後をクマに取られている可能性が濃厚なのである。

 これは冗談ではなく、本当の話で、過去にもベテランのマタギが何人もこの止め足戦法の前に命を落としている………。


 幸い、2人は大きな怪我もなくすぐに北斗とダンに発見され、介抱された。気付いた2人は雪男の名を口にし、北斗はこの様をTAC基地に通報した。
 普段のTACの言動からして「雪男」なんてキーワードを口にしてはとても通報は信用されそうになかった。案の定、TACのレーダーは超獣の反応を示していなかった。「今まで何回、レーダーに相違して超獣がいたりいなかったりしたんだよぉ………。」と思い掛けたシルバータイタンだったが、通報を聞いた竜隊長は美川にレーダーのデータ提出を命じ、吉村に分析させた。
 吉村はレーダーが捕捉した物を「雲」としたが、雲にしては測定されたエネルギーが大き過ぎる、とも証言し、TACはそこに超獣が潜んでいるかも知れない、として極めて論理的かつ合理的に出動を決定した。さては前回のことをかなり反省したな、制作陣よ(笑)!!

 2人の若者を連れ帰った北斗はダンにその介抱を託して、自身は再度山中に入った。そしてそこで一村が氷漬け状態になっているのを発見した。北斗はその状態を駆け付けた竜隊長達に話し、超獣の仕業に違いない、と断言。
 これに対して吉村は、異常な寒波が半径2�劼妨堕蠅気譴討い詆埃�然さから、超獣の仕業である可能性を指摘。すると今野は北斗が口にした乞食仙人の怨みのパワーではないか?との疑問を呈した。
 これに対して吉村は、異常事態が獅子座第3星という雪と氷のある世界にしか住めない宇宙生物に由来するものとの分析結果から今野の仮説を否定しながらも、その生物が乞食仙人の怨みのパワーを利用している可能性を示し、山中が明朝から行われる予定の調査に戦意を燃やし…………………どうしたと云うんだTACよ?物凄く人を信じているじゃないか(笑)!?しかも極めて論理的か合理的に………何か悪いものでも食べたのか?(苦笑)

 ともあれ、既に住人の避難を済ませている竜隊長はこちらからの先制攻撃を下知し、翌朝、TACは山狩りを敢行した。程なく、舞い上がる雪煙を怪しいと見たTAC隊員達は各々の得物でそれを一斉射撃した。推測は的中し、射撃はフブギララを捕らえたが、当然この攻撃でフブギララを倒すには至らず、ホテルに撤退した。

 TAC隊員達が撤退すると、ホテルでは住人達がTACに詰め寄った。超獣を倒せずに逃げ戻ったことを詰るものだったが、疑心暗鬼に囚われたか、自分達の地元に超獣がやって来たのは、「TAC隊員がスキー旅行に訪れたことで、TACに怨みを持つ超獣が報復にやって来た。超獣がここに現れたのはTACのせい。」というぶっ飛んだ邪推でTACに地域から出て行くよう強要した。
 戸惑いながら怒りを示そうとした山中を制し、竜隊長は超獣を引き付けながら村から離れる、と宣言した。双方の顔を潰さない妥当な提案である。竜隊長より遥かに人間が出来ていないシルバータイタンだったら、「分かりました、村から出て行きます。しかし我々が撤退した後に超獣が現れても我々は知りませんから。」と言い放っただろうな(苦笑)。

ともあれ、竜隊長の指示で一同はホテルの外に出た。これを追おうとしたダンを香代子や地元民達が止めたが、これに対して「僕はウルトラ6番目の弟だぞ。自分が助かりたいばっかりに他の人を外の追い出す人間じゃないんだ!」と言われ、彼等は一様に気まずそうにしていた。恐らく村人達のクレーマー振りも、(恐らくは初めて遇したであろう)超獣出現に対する周章狼狽から、その理由を何者かに求めたがる人間の集団心理によるもので、心の何処かでは辛さの余りTACに八つ当たりしていることを意識していたのだろう。

 だが、竜隊長の折衷案は裏目に出た。フブギララは正にTAC一行が退出した直後のホテルを襲った。気配に気付いた一行の中で竜隊長は「何と言われようとも踏み止まり、護るべきだった…。」と臍を噛んだが、ダンと香代子が残るホテルということもあり、一行は即座にホテルに戻った。
 果たして、ホテル内は前日に北斗が見た山中の村の如く凍り付き、ダンと香代子も冷凍状態で発見された。狼狽える北斗と、凍える隊員達の中、悔しさと怒りに燃える竜隊長はTACファルコンとTACスペースによる空中からの攻撃でフブギララに再度挑むことを告げた。

 TACファルコンには竜隊長・山中・今野・美川が、TACスペースには北斗・吉村が搭乗してフブギララとの再戦が始まった。しかしと言おうか、やはりと言おうかフブギララに効果的なダメージを与えることは出来なかった。
 そうこうする内にTAC機はフブギララの反撃で凍結したらしく、「脱出!」となった。だがいつもと少し異なり、機体をフブギララにぶつける様にして、激突寸前に脱出する、というものだった。残念ながら効果のほどは眼を見張るものではなかったが、同じ機を捨てての脱出なら、敵にぶつけてダメージとする考えは悪くない。
 そしてTACスペースにいた北斗は同乗の吉村に先に脱出するのを勧め、自身は体当たりを為すと同時にAに変身した。

 両者の格闘はほぼ互角に進んだ。肉弾戦はどちらが優勢ともつかず、フブギララは鈍重そうな体格にしてはフットワークが良く、ドロップキックまでかました。
Aがこれまで幾度か駆使したアロー光線を放つとフブギララはこれによく耐え、報復とばかりに目から赤色破壊光線を発して対抗した。その後しばし取っ組み合いとなったが、カラータイマーが赤に変じたAはパンチレーザーを放った。しかし、ベロクロン・レッドジャックをグロッキーにしたこの技にフブギララは平然と耐え、報復に放たれた胸からのショック光波、赤色破壊光線の二段攻撃にAの方が痛手を受けた。
追い打ちを掛ける様に冷凍ガスによる攻撃がAを半凍結状態に陥れるフブギララ。こうして見ると長いウルトラシリーズの中でその名前が埋没しているものの、隠れた強豪超獣と言えるかも知れない。だが、行動不能に見えたAは「貯め」の状態にあった様で、しばしの膠着状態後、突如その身をストライプ模様に発光させて凍結状態を脱するとメトロン星人Jr.、キングカッパー、バッドバアロンを倒したヴァーチカル・ギロチンを発動。
牽制技や中堅技に耐えたフブギララもこれには耐え切れず真っ二つにされ、その体からは乞食仙人が飛び出した。そして特撮界のお約束(笑)で、凍結されていた人々も元に戻ったのだった。

 その後、乞食仙人と村人達は和解したらしく、髪を切り、髭も沿って山岳遭難救助隊員となった。胡散臭い髭を生やしたコミカルな役所の多い大泉滉氏だが、こうしてみるとなかなかに良い男である。ともあれ、話自体はハッピーエンドに終わったが、経緯が充分に描かれなかったのが珠に瑕だったかな?
 ただそれよりも個人的に不服だったのは、この第43話を最後に梅津ダン・香代子の姉弟は作中一切の説明もないまま降板したことだった。
 俳優の降板自体は理由が様々で、誰が悪いという訳でもないが、レギュラーメンバーの(作中における)理由なき降板は当時よく見られたことだったが、多くの村人を罪悪感で黙り込ませたシーンがダンの最後の活躍だとしたら、やはり些か寂しいものがあった。


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平成三〇(2018)年七月二五日 最終更新