ウルトラマンA全話解説

第46話 タイムマシンを乗り越えろ!

監督:古川卓己
脚本:石堂淑朗
タイム超獣ダイダラホーシ登場
 冒頭、何の脈絡もなく突如上空よりタイム超獣ダイダラホーシが垂直に降下して来て、AQ地点と呼ばれる郊外に降り立つと周囲の建物を次々と破壊し、TACの出動と相成った。
 しばらくはいつもの、「少々の苦痛は与えられるが、致命傷には程遠い機銃掃射」が続いたのだが、その後意外にもダイダラホーシは逃走体勢に入った。そして山間部で手招きしたかと思うと現れたときと同様、垂直に浮き上がり、頭部から淡紅色の光に呑まれる様にその姿を消した。

 訝しがるTACの面々だったが、そこへ今度はAZ地点に超獣が出現したとの報が寄せられた。ダイダラホーシの不可思議な消え方から、AZ地点に現れた超獣が同じ超獣ではないか?と訝しがる北斗。だがAQ地点とAZ地点は、100�劼藁イ譴討い拭�
 ともあれAZ地点に飛んでくるとやはりそこにはダイダラホーシがいて暴れていた。そしてダイダラホーシはTAC機に気付くや今度は即座に逃走に入り、最前同様、淡紅色の光の中に姿を消した。
ますます怪訝に思うTACの面々だったが、2点の奇妙なことに気付いた。1つはそこが最前ダイダラホーシの姿を消した地点と同一であること(←100�劼眥匹辰�けっこしとったんかい!?)。もう1つは吉村と美川の搭乗するTACスペースが姿を消したことだった。
竜隊長以下、TACの面々は足窪村に着陸して捜査したが、どこにもTACスペースが不時着した形跡はなく、吉村・美川の姿も見当たらなかった。一同が訝しがっていると竜隊長のレシーバーに吉村からの通信が入った。
 声はすれど姿の見えない吉村からの通信によると、2人は何百年もの昔にいるという。そして超獣が過去から現代にやって来て、暴れ終わると再び過去に戻っているのだとした。何とも俄かには信じ難い話だが、周り一面ススキの原で、建造物が一切見当たらない環境を見ただけで「過去の世界」との判断を降す吉村の洞察力は鋭いというより、不可解だった(笑)。
 そして吉村と美川の元に山賊風体の十人程の男達が現れ、2人を「ダイダラホーシの味方」として問答無用に襲い掛かって来た。吉村と美川は1人で2、3人と戦う苦戦を強いられた。しかも相手が刀や槍で容赦なく襲い掛かって来るのに対し、人間相手にTACガンも使えず丸腰で戦わなければならなかったが、それでもしばし善戦していたからTAC隊員は何だかんだ言って常人より遥かに強いのがよく分かる。
 だが、多勢に無勢で2人は取り押さえられ、その声を聞きながら竜隊長はどうすることも出来なかった。

 ともあれ、ここ1ヶ月ほどすっかり人の証言を(合理的且つ証拠と分析を重んじて)信用する様になったTACは、ダイダラホーシの名前から日本古来の巨人伝説を思い出し、自分達が今立つ足窪村がダイダラホーシの残した足跡に因んでいる事を村人から教えられ、吉村・美川が過去にいるのを間違いないとして、何としても2人を救わんとした。
 だが、過去にいる2人をどうやって?という当然の疑問が湧くのだが、竜隊長はタイムマシンが極秘に開発中で、しかももうすぐ試作タイプが出来る筈、という恐るべき御都合主義を持ち出した(笑)。

場面は替わって春木宇宙科学研究所。研究所のオーナーである春木博士(五島雅博)の説明によると、兎を5年前に送る実験を行っている段階で、何百年前に送るとなると数々の未解決問題を抱えているとのことだった。
 勿論美川と吉村を捨て置けないTACの面々はタイムマシンの発動を依頼するのだが、春木博士は遠回しにタイムパラドックスを懸念してこれを拒んだ。論自体は正論だったが、背景的にはかなり矛盾に満ちていた。
タイムパラドックスを懸念する者が時の行き来を研究しているのも変だが、まあこれはまだ「研究したからこそ、実践に対して拒否的な考えに移行した。」と言えなくもない。だが既に吉村・美川が過去に飛ばされ、現代・未来にどんな影響を与えるか分かったものではなく、現状過去と現代を行き来するダイダラホーシが暴れている現状に非協力的な姿勢がどうにもおかしかった。

 勿論、竜隊長以下、隊員達がそれで納得する訳がなく、過去に影響を与えないことを確約して(←根拠は?(苦笑))食い下がったが、春木博士の意志は変わらず、TACの面々は研究所を辞さざるを得なかった。北斗は強引にでも借り受けるべきと主張し続けたが、竜隊長はTACスペースに新装備を搭載すると告げ、基地に戻った。

 Bパートに入り、相も変わらずダイダラホーシは過去からやって来て暴れ続けていた(今度はOP地点で)。そこへ新装備を搭載したTACスペース2機が駆け付けた。タイムマシンの研究家でさえ数年レベルの実験でしかない現状を打破するのに、どんな効果を持つ新装備なのか怪訝に思いつつも期待していたシルバータイタンだったが、何てことはなく、ダイダラホーシにワイヤー付きの銛を打ち込んで、そのまま奈良時代までついて行くという単純なものだった(笑)。
 よく言えば、「Simple is best」と言ったところだろうか?(笑)

 ともあれ、竜隊長の狙いは図に当たり、TACの面々はダイダラホーシを利用して奈良時代に飛ぶことに成功した。到着して程なく、吉村・美川同様に服装からTAC隊員を「赤鬼」にしてダイダラホーシの手下と断じた山賊風体の十数人に襲撃された竜隊長と北斗だったが、相手の得物(刀・槍)を奪い、殴打でもって彼等を叩きのめすと馬を奪ってその場を脱した(←勿論タイムパラドックスを懸念して火器を使わず、相手を殺すことを避けたのである)。
 やがて2人は奈良の大仏とその前で人柱にされんとしている吉村と美川を見つけたのだった。

 しかし、何だなあ………余り感心出来ん構成である。奈良の大仏が(2度の再建を経ているので)現在の物とスタイルもポーズも異なるのはまだ許せるとしても、吉村・美川を人柱に捧げんとしているシーンは頂けなかった。時代背景的に奈良時代に人柱を用いたことは充分考えられるが、通常人柱は工事前や天災発生時に神々の怒りを抑える為に捧げられたもので、開眼供養直前に行う意味は余り無い。
 しかも大仏建立は聖武天皇が強権を発動して行った国家プロジェクトで、当時既に国家による大工事では「生贄は残酷。」との概念があり、古墳時代には生きた人間ではなく、埴輪が供えられた。単純に私刑を描きたかっただけと思われるし、30分に満たない番組でそこまで考えなかったと思われるが、歴史マニアとしては異を唱えたい構成だった。
 また、北斗の立ち居振る舞いにも異を唱えたかった。吉村・美川を救わんとしてタイムトリップするまではあんなに真剣でムキになっていた北斗なのに、いざ奈良時代に到着するや「赤鬼」と見做されたことを笑ったり、刀で相手を叩きのめした後に「峰打ち」を高言して時代劇風に振る舞ったり、と実に軽かった。
 北斗のキャラクターに合ってはいたが、それまでの必死振りが失せた様な立ち居振る舞いにはシルバータイタン的には眉を顰めざるを得なかった。

 ともあれ、吉村と美川は危機的状況にあったのだが、意外にもダイダラホーシの出現が助け舟となった。奈良時代人達はダイダラホーシの前にして挙って逃げ出し、これを好機とばかりに竜隊長と北斗はTACガンを連射してダイダラホーシを迎撃した。
 そのダイダラホーシだが、正直逃げてばかりなのは弱いからじゃないのか?と思うぐらいTACガンによる攻撃程度で痛みを露わにし、怯んでいた。
 が、そこは腐っても超獣、火炎を吐いて応戦し、竜隊長は落馬して気絶した。次いで北斗も火炎攻撃の前に落馬したが、まあこの展開は北斗に変身のチャンスを与えるものだったな(笑)。

 いよいよAとダイダラホーシの最初で最後の決戦となった訳だが、予想通り逃げてばかりいたダイダラホーシの戦闘力は大したものではなかった。序盤戦を優位に勧めていたAだったが、次の瞬間極めて不可解な行動に出た。
 何と立ち木を2本抜いて片方を手にして、もう片方をダイダラホーシに渡して打ち合いを促したのである。おい!A!春木博士に「小枝1本、そこの状態を変更しないと誓います。」と言っていたんじゃなかったのか!?小枝どころか、大木ぶっこ抜いてどうすんねん?!?
 そして剣代わりの大木を受け取ったダイダラホーシが戦意満々になったのも不可解だったが、撃剣勝負にあってもAの有利は変わらず、胴打ちを食らったダイダラホーシはダウンした。
 直後、痙攣を繰り返して瀕死と見せかけたことでAの油断を突いてマウントポジションに持ち込んだ後はパンチとヒップドロップの連打で優勢に立ったが、それもしばしのことで、何の脈絡もなくマウント状態を弾き飛ばしたAはエネルギー光線でもってダイダラホーシを倒すと、気絶したままの竜、美川、吉村等を載せて瞬間移動能力をもって時間を越えて現代への帰途に就いたのだった。

 ちなみにこの全話解説は決して酷評を目的としたものではないのだが、この第46話にはかなりいい加減なものを感じる。瞬間移動能力でもって簡単にタイムスリップが出来るなら吉村と美川を救出に行くのに何も春木博士を訪ねることもなかっただろうし、単独で動く方が様々な視線を気にしない方が良かった。
 結局、Aが現代に帰った能力的根拠は作中においては曖昧なままで、ナレーションは「ウルトラマンAは勝った。歴史を混乱させることなく歴史を救った。しかし、あの時間の急流を抜けて再び20世紀の世界に帰り着けるだろうか?」と語っていたが、奈良時代人を大騒ぎに陥れ、小枝どころか大木をぶっこ抜き、現代に向かっているのに「再び20世紀の世界に帰り着けるだろうか?」とはおかしなナレーションと言わざるを得なかった。

 現代への帰還中、気絶状態にありながら竜隊長達はAに抱かれて飛んでいるのを認識していたが、意識を取り戻した直後に現代に戻っていたことを不思議に思いながらも、事件を完全に解決していると認識していたのもおかしな話だった。
 そもそも、奈良時代で討ち取られたということは、現代社会における人々のダイダラホーシへの認識はどうなっているのだろうか?(場合によっては最初から存在していなかったことになったとも取れる)。ウルトラシリーズ史上、数少ない時空を超えての舞台設定は面白かったのだから、もう少し前後編にしてでもまとまりのある話にして欲しかったものである。


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平成三〇(2018)年七月二八日 最終更新