仮面ライダーアマゾン全話解説

第19話 出動、ガランダー少年部隊!!

監督:塚田正煕
脚本:鈴木生朗
フクロウ獣人登場
 冒頭、とある河川の地下と思しき場所から始まった。そこでは年端も行かない少年少女達が黒ジューシャの装束・黄色い疑似的な目を装着して掘削工事に従事させられていた。彼等は班単位で作業しているらしく、黒ジューシャとの会話から、第5班まで編成されていて、班には作業後の獣人センターへの出頭を命じられていた班長・副班長が存在することが確認出来た。
 1班の人数が何人かは分からないが、5〜10人で編成されているとすれば、既に25〜50人もの少年少女達が拉致され、強制労働に従事させられていることになる。表沙汰にならない内にこれだけの奴隷人員を確保していたとすれば、やはりガランダー帝国の組織力はゲドンのそれを大きく上回る。

 そして夜中、アマゾンが黒ジューシャに率いられた少年少女達を目撃した。「こんな夜中に……。」という呟きを聞く限り、既に何十人もの子供達がガランダーに攫われていたことをアマゾンはまだ知らなかったと見える。
 怪訝に思うアマゾンに気付いた少年少女達は忽ちアマゾンを取り囲んだが、当然アマゾンに彼等を攻撃出来る筈もない。結局少年少女達は四方八方立ち去り、アマゾンはこれを追うことも出来なかった。

 場面は替わってガランダー帝国アジト内の獣人センター。そこでは10人の班長・副班長に対してフクロウ獣人が現在の作業を後三日で追えるので、作戦詳細を伝えるとしていた。
 その作戦は「地下鉄大洪水作戦」と云い、隅田川の水を地下鉄各線の合流地点に流し込み、東京を地下から水没させると云うものだった。特に最後の仕上げには子供しか潜り込めない狭所に地盤の緩みを作らせると云う難作業が控えており、それゆえに子供達に強制労働させていたことが語られていた。
 説明を終えた班長と副班長はねぐら(要は牢獄)に戻り、黒ジューシャが疑似目を取ると子供達は盲目状態に陥ったのだった。

 場面は替わってゼロ大帝の御前。
 得意満面に進捗を報告するモグラ獣人だったが、ゼロ大帝は不機嫌だった。というのも、第5班とアマゾンが遭遇したとの情報を掴んでおり、早晩妨害が入る可能性を考えると3日後の準備完了では遅く、もっと人員を集めて明日一日で完了させるように厳命した。
尚、フクロウ獣人はアマゾンと第5班の遭遇を知らなかった。前話の終盤からこのフクロウ獣人全能の支配者から送られたものであることが類推されるので、ゼロ大帝は別途に直属の者達を動かしていたという事だろうか?

 場面は替わってとある郊外。そこでは藤兵衛がアマゾンに、遭遇した少年少女達は攫われて行方不明になっていた者達に違いない、と話していた。さすがに数十人も行方不明になっていてはアマゾンや藤兵衛が動ていない筈なかったか(苦笑)。
 アマゾンに対する反応から藤兵衛は、少年少女達が催眠術で操られていると推測し、そんな者達とは戦えないとこぼすアマゾン。勿論それは藤兵衛も同感で、まずは子供達との接触を避けつつ、ガランダーの目的を探ることが先決とした。

 場面は替わってとある郊外。そこでは小学生達が写生をしていて、その中にはマサヒコもいた。そして子供達の頭上から羽毛の様な物が降り注いだかと思うと忽ち子供達は催眠状態に陥った。
 その催眠状態は対象者を盲目にするとともに、フクロウ獣人の命令に従うようにするもので、モグラ獣人は引率の井上先生(田川恒夫)を、大人に用は無い的に絞め落とすとマサヒコ達を連れ去ってしまった。
 ただ、一連の出来事はモグラ獣人が目撃しており、モグラ獣人は井上先生を岡村邸に連れて行ってりつ子に医者の手配を頼むと、良いタイミングで帰宅したアマゾンと藤兵衛に一連の出来事と、相手がフクロウ獣人であることを告げた。

 拉致現場に駆け付けたアマゾンは、残された羽毛を拾いつつ手掛かりを探索した。拉致した小学生が残した者をそのままにし、羽毛まで落としている様子から、爪の甘い獣人かと思われたフクロウ獣人だったが、これは誘引だった。
 アマゾンが遺留品に気を取られている隙を突く様に襲い掛かるフクロウ獣人は、変身前のアマゾン相手に強いとも弱いとも云えなかったが、黒い羽根をアマゾンの目に張り付けるとこれを失明状態に陥れた。
 さしものアマゾンも目が見えなくては格闘も追跡もままならず、フクロウ獣人はアマゾン打倒よりも任務遂行を優先してその場を立ち去った。相手が盲目状態にも関わらず勝負しなかったことが正しいか否かは俄かには断じ難い。ただ、後一日での完工を優先するなら、一時的に行動不能状態に陥れたアマゾンを放置するのは決して間違いとは云えないだろう。任務的にも。

 Bパートに入り、場面は牢獄。そこに連行されたマサヒコは目が見えない状態ながら、牢内に知人のナオキがいること察知した。他にも知り合いの女の子もいて、どうやらフクロウ獣人は城南小学校の児童を標的としていたようだが、そうなるとコイツも賢明とは云えないだろう。
 ただでさえ、何十人もの児童が次々と姿を消せば、如何に秘密結社が巧妙に事を運んでも官憲の動くところとならない筈がない。ましてやアマゾンの「トモダチ」であるマサヒコお酔いその周囲の人々を標的とするのはアマゾンに「介入して下さい。」と云っているに等しい(笑)。
 まあ、そうなったならなったで、校内の児童が何十人も消えている状況下でのんびり校外写生をしていた井上先生の危機感皆無も激しく謎なのだが(苦笑)。

 ともあれ、現状ガランダーの作戦遂行は順調だった。
 マサヒコ達を攫ってきて人手を増やしたことで作業は捗った様で、第1班は完工し、隅田川の水を流し込まれた銀座線は壊滅した…………。
 つまり悪の組織の作戦が部分的とはいえ成功を収めた訳で、さすがにゼロ大帝も上機嫌でフクロウ獣人を褒め、引き続きの完工を目指して監視を怠らないよう命じた。そしてこれまで終盤に報告を受けて叱咤激励しかしていなかった全能の支配者もこの段階で声を掛けてきた。
 すべての破壊が終わるまで「おめでとうの言葉は控えておく。」としていたが、この段階の進捗としてはかなり褒められていると云えた。

 この間、アマゾンサイドでも何もしていない訳ではなかった。
 アマゾンの証言から地下道を懸命に捜索していたモグラ獣人は黒ジューシャ達の少年少女達を指揮する声からガランダー帝国の狙いをほぼ完全に把握し、アマゾンにこれを知らせていた。
 御手製の薬を目に塗っていたアマゾンも、どの程度回復したかは不明だったが、こうしてはいられないとばかりにモグラ獣人の案内に追随していた。そして地下鉄全滅の要となる第5班の掘削が完工する直前、ついにアマゾンライダーはフクロウ獣人の眼前に乱入した。

 既に地下鉄の振動で水や岩盤が落ちてくるまでに工事は進んでおり、アマゾンライダーとフクロウ獣人が対峙する中、落盤が起こり、マサヒコ達はその下敷きとなってしまった。
 その間隙を縫って逃げるフクロウ獣人より、マサヒコ達の救出を優先するアマゾンライダーだったが、そこにモグラ獣人が駆け付けてきた。
 モグラ獣人は済んでのところで敵の作戦を阻止したアマゾンライダーを労うと子供達は自分に任せてフクロウ獣人を追うよう促し、アマゾンライダーはこれに従った。

 フクロウ獣人に追いついたアマゾンライダーは忽ち黒ジューシャ達を蹴散らし、最終決戦となった。格闘が始まると例によって、ガランダー獣人と云えども変身後のアマゾンライダーには劣り、フクロウ獣人も例外ではなかった。だが、それでもフクロウ獣人は腕を切り離して飛ばすと云う奇襲攻撃でアマゾンの眼球に毒液を流し込むことで再度アマゾンライダーを失明状態に陥れた(←複眼は黄色く変色した)。
 さしものアマゾンライダーも盲目状態では劣勢を否めなかった。

 だが、ここで前話に引き続きギギの腕輪の持つチート性が発揮された。
 アマゾンライダーがギギの腕輪に全神経を集中させると、ナレーションが云うところの「謎の力」が発揮され、失明状態は瞬時に解消された(複眼も赤色に戻った)。
 こうなるもはや勝負ありである。反則に近いご都合主義の発動に戦意喪失したものか(笑)、その後フクロウ獣人はアマゾンライダーに一太刀を浴びせることも能わず、強烈な肘打ちを受けてグロッキーになったところで上空に投げ飛ばされ、跳んで追って来たアマゾンライダーの大切断に首ちょんぱされて討ち死にしたのだった。
 かくして地下鉄大洪水作戦も瓦解。さすがに今回ばかりはゼロ大帝も悔しそうだった。

 そしてラストシーン。河川敷にてアマゾンはモグラ獣人に今回の尽力を心の底から感謝し、労っていた。今までに例のなかったお褒めに照れくさそうなモグラ獣人は、助けられた子供達に気付いて、子供達に呼び掛けようとしたのだが、獣人である自分の姿が子供達を驚かせてはいけないとして思い留まり、少し寂しげにアマゾンに別れを告げてその場を立ち去ったのだった。次話におけるモグラ獣人の運命を知る者としては思うところの強いワンシーンだよなあ………。

 ともあれ、歓喜の声を上げて集まってきた子供達の前で「みんなアマゾンのお陰よ。」というりつ子に「今度ばかりはモグラのお陰だ。」と断言し、それを承認するかのように藤兵衛も満足気に頷き、地下鉄も翌日には復旧することを伝えた。
 ただ、今回の大殊勲者であるモグラ獣人はその場になく、マサヒコは感謝の意を示すかのようにアマゾンの胴上げを子供達に呼び掛け、ささやかな胴上げの中、第19話は終結したのだった。


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令和六(2024)年二月三日 最終更新