仮面ライダーアマゾン全話解説

第6話 インカ縄文字の謎!!

監督:内田一作
脚本:鈴木生朗
獣人ヤマアラシ登場
 冒頭はゲドンアジトから始まった。
 第5話を視聴した人には見え見えの展開だったが、前話でアマゾンに敗れて逃げ帰ったモグラ獣人が裁かれようとしていた。十面鬼の面前で数人の赤ジューシャからフォイルを突き付けられる形で拘束されていたモグラ獣人クモ獣人獣人吸血コウモリ同様処刑を待つ身であるのは誰の目にも明らかだった。
 しかも十面鬼の怒りはアマゾンライダーに敗れたことだけにあったのではなかった。前話にて「ギギの腕輪を寄越せ!」と口走ったことで、ゲドンがアマゾンを狙う目的がギギの腕輪であることをアマゾンに知らしめた機密漏洩が十面鬼の怒りを更に増幅させていた。

 怒り心頭の十面鬼モグラ獣人を「ひと思いに殺したのでは腹の虫が収まらん。」として、モグラの改造人間であるモグラ獣人が最も苦しむ方法として、天日干しによる処刑を宣告。とある原っぱにバイクで引き摺って連行されたモグラ獣人は仰向け状態で四肢を鎖で拘束され、直射日光下に曝された。
 モグラを土から出すと死んでしまうのは何も日光に弱いからではないのだが(※モグラは一日に体重と同じ量の食事を必要とし、数時間の絶食で餓死するので、捕獲数時間で死亡するのを日光に弱いと誤解された)、このモグラ獣人十面鬼の狙い過たず、天日干しに悶絶し、赤ジューシャを初め誰かれなく助けを求める有様だった。

 勿論、赤ジューシャはモグラ獣人の懇願を聞き入れないどころか、命令違反者が後悔して苦しみながら死ぬべきであることを冷たく告げて立ち去った(←見張らんでいいのか?)。
 尚も苦しむモグラ獣人は天日に苦しみ、水を求めたのだが、それに応えたのはモグラ獣人が連行されるのを目撃していたアマゾンだった。
 思わぬ恵みの水に欣喜雀躍しかけたモグラ獣人だったが、水をくれたのがアマゾンであることを知ると、敵の情けなど無用との態度を取った。だが、アマゾンは「黙れ!水、飲む!」と云ってそのままモグラ獣人の口に水を流し込んだのだった。

 その様子を遠巻きに見ていた赤ジューシャから報告を受けた十面鬼獣人ヤマアラシを召喚すると、アマゾンとモグラ獣人の双方を殺害し、ギギの腕輪を奪取するよう命じた。その際に顔の一つが「裏切者モグラ獣人」としていたが、この時点では単に「任務不成功者」という名の戦犯なだけで、裏切者ではなかった筈…………ストーリーを先走った発言やったみたいやね(苦笑)。

 ともあれ、場面は処刑場に戻ったのだが、その時にはモグラ獣人の姿は消えていた。アマゾンが拘束を解いたのか、それとも水を得て力を取り戻したモグラ獣人が自力で引き千切ったのかは不明だが、直後のシーンでモノレール高架下にてアマゾンが治療を施していたところを見ると、アマゾンが解放したと見るのが妥当だろう。
 尚も、「俺は(救助や治療を)頼んでいない!」と意地を張り、その後現れたマサヒコ(←前話で拉致されたこともあって、敵意満載だった)にゲドンがギギの腕輪を狙う目的を尋問されても「喋るものか!」と吐き捨て、しまいには「礼は云わん!」との捨て台詞を残して地中に潜ってその姿を消したのだった。

 直後、モグラ獣人と入れ替わりに獣人ヤマアラシが襲ってきた。ヤマアラシ型改造人間・ハリネズミ型改造人間のお約束で全身に生えた棘を得物とし、全身を丸めた棘付き玉転がしと化して襲い来る獣人ヤマアラシにさしものアマゾンも攻めあぐねた。
 何せ格闘に入らんとする度に棘だらけの背中を向けられては組打つ訳にもいかなかった。結局、長竿を打ちながら加勢してきたマサヒコを守るべく逃げの一手となったアマゾンはマサヒコ共々海中に逃れることで戦線離脱した。

 場面は替わって岡村邸。
 難を逃れて寛ぐアマゾンを尋ねて立花藤兵衛がやって来た。城北大学の考古学研究室で古代インカ文明に関連する物が公開されているので調べに行かないかとの誘いに、藤兵衛の云っていることが理解出来なかったものか、バナナにしか興味の無かったアマゾンだったが、マサヒコからギギの腕輪に関する手掛かりが得られるかも知れないと仄めかされると俄然興味を湧かせ、アマゾン、藤兵衛、マサヒコ、りつ子の四人して城北大学に向かった。どうでも良いが、城北大学と城南大学の混在はどうにかならんものだろうか?(苦笑)

 城北大学で彼等を迎えた外村研究員(萩原信二)の言によると、研究室にあるもの自体は昔からあるもので大して珍しいものでは無いとのことだった。だが、展示されているインカ遺物の中にアマゾンの目を引いたものが在った。
 それはインカ文明において文字代わりに記録媒体とされた縄−キープだった。文字の無いインカでは様々な縄の色・結び目でもって文字代わりの記録手段としており、現実世界の研究でもキープが文章の代わりであったことは確定されている。
 外村は現代では誰にも解読出来ないもので、「永遠の謎」としていたのだが、何とこれがアマゾンには解読出来るものだったのである!実際に解読に掛るのはもう少し後だったが、アマゾンにその気があれば考古学の権威となるのは朝飯前なのであった!

 キープを読めるとして見たがるアマゾンに、「まさか…。」と本気にしない外村だったが、キープを見せること自体には快く応じた。だが、アマゾンに渡そうとした瞬間、キープは突如壁をぶち破って乱入してきた獣人ヤマアラシによって奪われてしまった!
 アマゾン抹殺及びギギの腕輪強奪を主目的とするゲドンはアマゾン達が岡村邸を出た時から尾行していたのだが、このタイミングで乱入してきたのは(後で分かることだが)キープの内容がゲドンの重要機密を記録したものだったからである。

 勿論アマゾンは即座に獣人ヤマアラシを追ったが、この時の獣人ヤマアラシはあくまでキープをゲドンに持ち帰ることを優先しており、早々に赤ジューシャにキープを渡した後は赤ジューシャを追うアマゾンの迎撃に終始した。
 途中、モグラ獣人が「俺、お前、トモダチ」と云いながら乱入してきたことで獣人ヤマアラシは怒りの矛先をモグラ獣人に向けたが、そうなったらそうなったでアマゾンがモグラ獣人を庇ったため、二人して獣人ヤマアラシの鋭鋒を躱す形となり、キープはゲドンアジトに持ち去れてしまった。

 またしてもモグラ獣人のことで怒り心頭の十面鬼は次捕らえたら全身の血を抜いて嬲り殺しにすると息巻いていたが、任務に失敗した筈の獣人ヤマアラシに対してキープを持ち帰ったことを「大手柄」として、当初の任務を忘れたかのようだった。十面鬼には極めて珍しい傾向である。
 恐らくは優先順位として、アマゾン抹殺以上に重大だったのだろう。手元のキープにはゲドンの秘密がすべて記されているとのことだった。ただ、ゲドンはバゴーの弟子であったゴルゴス個人が十面鬼となって組織したものなので、何万年も前の記録にゲドンの組織としての実態が記録されているとは考え難い。恐らくはゴルゴスがと十面鬼なってゲドンを組織する肝となる科学力や秘術に関する機密が記されていると思われる。
 つまりはキープの内容はゲドンも後々必要としているものなのだろう。そうでなければ即座に焼却でもすれば安全なのだが、十面鬼は「大切にしまっておけ。」と云って赤ジューシャに渡していた。

 だが、宝物庫らしき場に収められたキープは赤ジューシャが立ち去った直後に侵入してきたモグラ獣人の入手するところとなった。
 モグラ獣人は河原で獣人ヤマアラシに食らった傷の治療をしていたアマゾンの元にキープを持参し、それを解読したアマゾンは一万二千年前に古代インカ超科学の粋を極めたギギの腕輪とガガの腕輪が作られたこと、両者を合わせれば世界をも征服し得る力が得られることを知り、ゲドンの目的を把握すると何としてもギギの腕輪を守らなくてはならないとの決意を固めた。

 直後、三度獣人ヤマアラシが襲ってきた。ゲドンの秘密を知ったアマゾンを生かしてはおけないと息巻く獣人ヤマアラシ。ま、結局端から殺す気だったことに変わりはないのだがね(苦笑)。
 ともあれ、最終決戦が行われた。元々野生児として優れた身体能力を持ち、バゴーによる改造手術を受け、ギギの腕輪の力をも得ている仮面ライダーアマゾンは、『仮面ライダーアマゾン』全話を通じても対獣人戦で格闘において苦戦することは殆んどなかった。苦戦するとすれば相手の特殊能力に曝された時ぐらいだったが、そんな中、獣人ヤマアラシは肉弾戦でそこそこアマゾンライダーを苦戦させた稀有な存在だった。まあ、全身棘だらけの体自体が特殊能力と云えなくもないのだが。
 ただ、仮面ライダーアマゾンに変身するとアームカッターやフットカッターがその体を捉えることを可能としたことで勝負は徐々にアマゾンライダー優位に転じ、最後には大切断を三回浴びて獣人ヤマアラシは青白い体液を噴出させて絶命したのだった。

 かくしてアマゾンライダーは自分とモグラ獣人を狙ってきた刺客を返り討ちにし、ゲドンの狙いをキープから完全に把握し、十面鬼は機密を知られたことに臍を噛み、アマゾンへの殺意を更に増幅させて第6話は終結したのだった。


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令和六(2024)年二月三日 最終更新