宇宙刑事ギャバン全話解説
第18話 乙姫様コンテスト ハチャメチャ竜宮城
脚本:上原正三
監督:奥中惇夫
アオガメダブラー登場
冒頭は浜名湖で始まった。そこに当山と小次郎が遊びに来ており、小次郎は当山に云われる様に「UFOよりいい。」として、浜辺で見ずに戯れる水着姿の女性達を次々とカメラに収め……………一歩間違えれば変態行為だな(笑)。実際、女性の一人には悲鳴を挙げられていたし(苦笑)。
だが、本当に悲鳴を上げたのは、遊泳中に突如水中に引き摺り込まれた若い女性達だった。
当山・小次郎の通報を受けて烈は月子と共にリステル2浜名湖にやってきたのだが、途中、ミミーが烈と月子の組み合わせに軽いやきもちを見せたかと思いきや、「怖いのはいや。」としてインコに化けて飛び去ったり、月子は月子で「(事件を)面白そう。」としていたり、どうも緊張感に欠ける。
ともあれ、ホテルに着いた烈は小次郎が撮影した襲われている女性達の背後に怪物―青ガメダブラーが映っているのを見て、マクーの仕業とした。ちなみに当山は「ジョーズ」としていたのだが………どこがやねん(苦笑)。
そしてその様子を物陰から伺っていた水着姿のダブルガール………なかなか良い体をしていた(嬉々)。
そのマクーサイドでは些か異様な展開が為されていた。
攫われた女性達がある和風とも中華風ともつかない一室にいたのだが、そこで軽い催眠状態にあった彼女達は初老の男(梅津栄)に促されるまま、派手な靴を履かされていた。男が云うには、靴とサイズが合えば乙姫様とのことで、『浦島太郎』も『シンデレラ』もごっちゃである(苦笑)。
靴を履くまでは女性達に恭しく接していた男は、サイズが合わないと分かるや途端に不機嫌になり、不合格と見做した女性に、「(乙姫様ではなく)侍女だ!」と吐き捨てていた。そんなやりとりにハンターキラーも呆れ返っていたが、男に云わせると乙姫探しは趣味ではなく、生き甲斐とのことだった。
ともあれ、ハンターキラーは男の言を無視する様に、早くタイムマシンを完成させ、竜宮城に云って財宝を取って来いというドン・ホラーの命令を伝えた。どうやらこの世界では『浦島太郎』が実話になっているようだが、タイムマシンが本当に出来たら、財宝獲得よりもっと有効な使い道が有るだろうに(苦笑)。
男が「未完成」と云ったにもかかわらず、ハンターキラーは男と共にタイムマシンに乗り込み、タイムスリップに成功すると海底には黄金の瓦が葺かれた竜宮城が存し、周囲の珊瑚には宝石が散りばめられていた。だが、宮内に乙姫の姿はなく、それを訝しがった途端にタイムマシンは不具合を起こし、二人は現代に戻された。
事態の変遷を難詰するハンターキラーに男は未完成故と反論。乙姫さえいればすぐに完成させると嘯いていたところから男に追っては乙姫が第一なのだろう。だが、そこへダブルガールが入って来て、ギャバンの来訪を告げると、ハンターキラーは男―アオガメダブラーにチャンスと告げ、二人はギャバン迎撃を優先することとした。
モーターボートで湖上を探索する烈と月子を襲撃したアオガメダブラー。即座に烈を湖中に叩き込んだが、月子を見るや「乙姫様。」と云い出す始末。明らかにハンターキラーとは優先順位が違った(苦笑)。当然の様に湖中からは蒸着済みのギャバンが反撃に出て、カメ型の怪人らしく打撃に対しては甲羅で受ける頑丈さを見せたが、それ以外は大したことなく、簡単に湖底に引き摺り込まれ、動きでは明らかにギャバンに劣り、レーザーZビームを受けてあっさり退散した。
掛かる体たらくを受け、さすがにハンターキラーも怒り心頭。ダブルガールにまで「娘に目を奪われるからよ。」と叱責されていた。そしてそこまで云われて尚、アオガメダブラーには乙姫探しが重要なようで、怪しげなポンチョ姿で「セニョリータ」や「ベサメムーチョ」を口走りながら、月子を拉致した。
腕を掴むや黄色い光線に身を包まれた途端に催眠状態となり、月子はアオガメダブラーに云われるが儘となったのだから、能力自体は決して低くないと思われるが、月子を連れて行くところを当山と小次郎に見つかり、月子が小次郎を振り払ったのを良いことに男二人に対して何も手を打たなかったのだから、アオガメダブラーは用心深さの欠片もなく、結局このことは浜名湖周辺で浦島太郎伝説を手掛かりに探索していた烈に通報された。
とはいえ、烈には手掛かりが無かった。「乙姫」と云うキーワードを元に『浦島太郎』の伝説を追う烈は、「亀に教えてもらうしかない。」と云うミミーの軽口を真に受けて、浦島太郎にコスプレして湖岸で待ち構えた。阿呆みないな試みと思っていたら、『浦島太郎』の伝説に相当酔い、ストーリーを踏襲したがっているとしか思えないアオガメダブラーはのこのこ現れ、丸で烈を怪しまず竜宮城(と称するアジト)に烈を案内し、(月子を含む)侍女達に歓待させた。
催眠状態の月子に気付いた烈は先にマクーの陰謀を探らんとして歓待を受けていたが、そこにアオガメダブラーの体たらくに呆れていたハンターキラーとダブルガールが現れ、さすがにハンターキラーは即座に烈の変装に気付いた。
烈は催眠状態にあった月子達を(猫だまし一発で)目覚めさせ、避難を促すと自らはアオガメダブラー&クラッシャー達と殺陣を展開した。途中、タイムマシンに仕掛けられた罠のショック光線を浴びたり、長槍を射出する大砲に射すくめられたり、と云った危機にも陥ったが、こんな状態でもアオガメダブラーは乙姫にコスプレしたミミーが現れるや我を忘れ(←ミミーの足が靴とサイズがあったから余計に)、その間にあっさり烈の蒸着を許した。
アオガメダブラーは水中での戦いではそこそこギャバンに対しても押し気味だったが地上戦では明らかに劣勢だった。件の大砲もシルバービームで破壊され、これと云った優勢を見出せなないことに苛立ったドン・ホラーは魔空空間の発動を命じた。
魔空空間に移ってもアオガメダブラーが然程強化されたようには見えなかったが、それでも亀特有の頑丈さと、重さを利用した攻撃(←プロレスで云うところのセントーン)を駆使していたので、制作陣も「らしさ」はそれなりに考えていたと思われる。
そこに円盤群も加勢したが、例によってこれは電子星獣ドルに迎撃された。だが、終盤になると意外にアオガメダブラーは善戦した。周囲の大貝にギャバンを襲わせ、甲羅を飛ばして、ギャバンの目を塞ぎ、青ガメブーメランなる飛び道具も駆使した。だが、エレクトロソナーで攻撃は読まれ、両眼を塞いでいた甲羅もエレクトロスプラッシュで剥された。
それでも苦痛をもたらす怪音波を発する法螺貝を吹いてギャバンを苦しめる等して苦戦させたが、反撃もここまで(←プロ野球ニュースっぽく云っている)。レーザーZビームで法螺貝を破壊されるや戦斧やテトラポッドを得物に抵抗したが、レーザーブレードの攻撃を防ぐを能わず、ギャバン・ダイナミックの斬撃に果てた。今際の際に叫んだのは乙姫の名で、最期の最後まで乙姫に執着した奴だった。
そして嫌な思い出を払拭する様に、一同は改めて浜名湖にて水遊びに興じて第18話は終結したのだった。どうせなら、ミミー役の叶和貴子さんにも水着姿を披露させろよな、制作陣(愚痴)。
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令和六(2024)年四月一七日 最終更新