宇宙刑事ギャバン全話解説
第25話 怪しくゆらめく水中花 わかばが危ない
脚本:阿部和江
監督:田中秀夫
ゴシキダブラー登場
冒頭、一人の少女(というには水着姿が良い体をしていた(嬉々))がプールの水面に浮かぶ巨大は花に促されるままにプールに飛び込んだ。プールサイドに現れたコーチ(または保護者)と思われる女性が少女・ユカの名を連呼すると、ユカは半気絶状態で水面に浮かび上がった。その手に不気味な花の入った瓶を持って………。
そしてそのユカだが、犬を連れて散歩中の烈・わかば・陽一と河川敷で遭遇したのだが、丸で三人の存在を意に介さず自転車で直進し、ぶつかった烈に対して「気を付け!馬鹿野郎!」と(無表情で)悪態を突いていた。
わかばは彼女を「ユカ姉ちゃん」と呼んでいたので、それなりに親しい様で、普段のユカと違うと証言していた。
帰宅したユカは瓶を前に恍惚状態。プールでもそうだったが、花からは煙が放たれ、ユカはそれを吸引していた訳だが…………花が無ければ丸でシン●ー遊びだった。描写的にチョット危ないぞ、制作陣……。
ともあれ、幻惑の世界に取り込まれたユカは純白のドレスで鏡台の前に座し、『白雪姫』の母親状態で、自分が美しく、水中花に祈ることで増々美しくなるという鏡―実際には花に潜むゴシキダブラー―の声を聞いて悦に入っていた。
場面は替わって魔空城内。魔空城に帰還したゴシキダブラーはユカに対する実験の成功を自慢げにドン・ホラーに報告した。水中花の香りで気立ての良かった娘が親にも反抗する様になったとのことで、ハンターキラーも「美しくなりたい。」と云う地球女性の願望に突くけ込めば今回の作戦は容易に成功するとした。
ハンターキラーによると。美しい顔と獣の心を持った女からは「素晴らしい知能を持った獣星人」が生まれるとのことで、多くの女性を性悪女に変えて獣星帝国に送り込み、ダブルマンを産ませんとの気の長過ぎる計画だった。さすがにドン・ホラーも、2週間前の、クモダブラーの作戦失敗を引き合いに出して懸念していたが(笑)。
ともあれ、ドン・ホラーの号令を受け、ゴシキダブラーは水中花を大量生産し、人間体(高橋みどり)になると水泳教室だけではなく、バレエ教室やコーラス教室など少女が大勢集まる場にコーチらしき人物として現れると「美しくなるため」と称して次々に水中花の匂いを嗅がせた。そしてその中にはわかばもいた………。
わかばの異変にいち早く気付いたのは陽一だった。口紅まで着け出すわかばに、「気持ち悪い。」と云われたわかばは馬乗りになって陽一を殴りつけ、制止する烈に対しても口紅を付けた理由を問われ、逆ギレ的に「きれいになりたいから。」として、烈にも反抗的な態度を取ってその場を走り去った。
陽一は姉がスイミングクラブに行ってからおかしくなったと証言し、烈はユカのケースと同様であることを察した。
これを受けてスイミングクラブに向かう烈。
扉が閉まっているのを見て屋上から得意のロープワークで下り、窓から侵入するとそこにはゴシキダブラーの人間態である例の女コーチがいた。烈はわかばやユカがスイミングクラブに通い出してからおかしくなったことを告げ、彼女をマクーであろう、と詰め寄った。
正面からそう難詰されて簡単に認める者は早々はおらず、ゴシキダブラーも飛んだ云い掛かりと笑って惚けたが、どうも真剣に隠す気はなさそうだった。本気で惚けるなら、戸締りした室内に若い女性が一人でいるところに屈強な男が無断で入って来たのだから、感情以前に相手を不審者として応対するだろう。
実際、ゴシキダブラーはすぐに正体を現し、ガスを噴出した。
ガスを吸って動きが緩慢になった烈に対して二人組の着物を着て般若面を付けた者が糸や日本刀で飛び掛かってきた。その二人組はすぐに消え、次いでゴシキダブラーが襲撃。
取っ組み合いの中、二度に渡ってプールに放り込まれた烈はギャバンに蒸着し、スパイラルキックをかますや、蹴飛ばされたゴシキダブラーは水面上の大花に着地するやガスを煙幕に姿を消したのだった。
Bパートに入ると烈は嫌がる若菜を部屋に連行してスイミングクラブ行きのみならず、外出を禁じ、口紅も没収した。わかばは応じなかったが、烈は許さず、さすがに屈強な男を前にしてはわかばも口先以外の抵抗は出来なかった。
烈は没収した口紅に何か細工をすると月子にこれをこっそりわかばの元に戻す様託した。
そして場面は替わってマクー基地。そこではゴシキダブラーがギャバンに踏み込まれたことを悔しがっていたが、バレたことをまずいと思うのなら余りにあっさり正体を現し過ぎだった(笑)。まあ、自信家タイプの様だったので、正体を見せてもその場でギャバンを返り討ちに出来ると踏んでいたのかも知れないが。
ともあれハンターキラーが獣星帝国に連れて行く候補者(適応能力の有る者)の数を聞くと、スイミングクラブから24名、コーラスグループから15名、バレエ教室に至っては30名を選出済みと答えていたので、成功すればかなりの大手柄となっていただろう。まあこれを聞けば多少自信過剰なのも無理ないのかも知れない。ちなみに候補者の総勢は69名という事になるが、この数字に意味があるのだろうか…………多分、偶然だな、道場主じゃあるまいし(笑)……ぐぇええええぇぇぇぇえええぇぇぇぇ(←道場主の亡羊捕牢固めを食らっている)。
場面は替わって藤邸。自室の引き出しを開けて(月子が戻した)口紅が戻っているのを見つけたわかばは意を決した様に水中花の芳香を嗅ぐと椅子で窓ガラスをぶち破って屋外に脱出するという暴挙に出た。
これを覗き見ていた陽一(←あのね(苦笑))は、姉の暴挙に驚き、これを月子に報せるとともに、姉を変貌させた(と見られる)水中花の小瓶に憎しみを抱き、河川敷に投げ捨てるとこれが偶然河原で昼寝していた小次郎に命中。まあ、狙ってやった訳でもないので、いかる小次郎に陽一が謝罪したことでその場は収まったが、結果、小次郎が水中花の芳香を嗅いでしまう事となった。
一方、月子からわかばが家を飛び出したと聞いて驚いた烈。ある程度予想していたものか、月子と共にスイミングクラブに向かった。わかなが向かうとしたらそこになるのは誰でも予測がつくが、スイミングクラブはもぬけの殻だった。
するとそこへ陽一が現れ、水中花の匂いを嗅いだ小次郎がおかしくなったこと、わかばも匂いを嗅いでいたことを証言した。次いでその水中花の影響を受けてしまった小次郎が現れたのだが…………女物のビキニ水着を纏い、おネェキャラと化していた(☠)………(おえぇぇぇぇ……)。
そんな小次郎からではあったが、わかばを初めとする少女達が連行済みであることが分かり、烈達は女性化して烈に抱き着こうとして体を躱されて水没した小次郎捨て置き(笑)、ドルギランに戻るとミミーが水中花を分析した。
結果、それが強いガスを発し、吸引を続けると脳神経をも犯してしまうことが判明した。烈が最初にスイミングクラブを訪れた際に、般若面の二人組に襲われたのも、ガスによる幻覚とのことだった。何より男性をも女性化させる効能は、女性の女性としてのこだわりを更に強くすることにあった。獣星帝国がダブルマンの母体として求めたのもそこにあったのだろう。
そしてそこへわかばの口紅に仕込んだ追跡装置機からの電波がキャッチされた。
烈の追跡するバスにはわかば、ユカを初め、ガスを吸わされた少女達を満載し、ゴシキダブラーとダブルガールが先導した。バスは山中の湖畔に辿り着き、そこからマクーの宇宙船に乗り換えんとしたのだが、それまで何の疑いも抱いていなかったわかば達が宇宙船を見るや同道を拒否し始めた。
どうもガスの効き目が切れたとのことで、一回の吸引による時間は然程長くない様だった(だからわかばも、烈に逆らいはしても強い抵抗を示さなかったのだろう)。これを受けてゴシキダブラーは、不平を口にしたわかば・ユカを含む六名を前に出させると「不適格者」と断じて死刑を宣告した………いきなり候補者の1割も切り捨てるとは、杜撰である(苦笑)。もう一度吸わせるという考えはなかったのだろうか(苦笑)。
ともあれ、二人のクラッシャーがわかば達を銃殺しようとしたが、そこに烈が乱入。クラッシャー二人を蹴り倒し、少女達を背後に庇った烈はわかばにみんなを連れて逃げるよう命じた。普通の少女であるわかばに随分にの重いことをさせるように映ったが、やはりこういうときは能力に関係なく普段からよく知る人物を頼るものなのだろうか?
忽ち烈は正体を現したゴシキダブラー、ダブルガール、クラッシャー達と大立ち回りを展開。格闘ではほぼ互角に立ち回る烈だったが、毒ガスを放たれると不利に転じ、山腹を転げ落とされた。
途中、烈はギャバンに蒸着。蒸着前から互角だったこともあってか、蒸着済みのギャバン相手にゴシキダブラーは電火走りを放つ杖を用いて尚、格闘では推され気味で、例によってドン・ホラーが魔空空間を発動した。勿論、この後の展開も「例によって」である(笑)。
まあ、今回のゴシキダブラーは、サイバリアンから着地したギャバンを空間内に設置した大花で拘束する等していたから、まだホームレンジを活かしていた方ではあった(ギャバン・フルパワーであっさり脱してはいたが)。だが、やはりゴシキダブラーの持ち味は毒ガスで、これを食らったギャバンは再度般若面2人組に襲撃される幻覚に捉われた。
だが、幻覚は所詮幻覚に過ぎず、シルバービームが放たれると二人組はゴシキダブラーとなった。剣を抜いたギャバンとしばし撃剣を展開したゴシキダブラーは円盤群に乗り込み、円盤3機で襲撃したが、これをギャバンはレーザーZビームで撃墜した。
円盤群から叩き出されたゴシキダブラーは巨大化し、ハンドガンを駆使して襲い掛かり、ギャバンは電子星獣ドルを召喚した。そしてドルファイヤーでゴシキダブラーが怯んだと見るとレーザーブレードを発動し、ドルの頭上から飛び立つと空中回転からの寸の格差をものともしないギャバン・ダイナミックでゴシキダブラーを粉砕したのだった。
かくして正気に戻った少女達(及び小次郎)が水泳に励み、烈とミミーが軽い痴話喧嘩(?)を展開して第25話は終結した。未遂に終わったから良いようなものの、マクーの目論見通りに行っていれば、少女達は若い身空で家族と離れ離れにされた上、モンスターを産まされるという屈辱に塗れるところだったので、コミカルな展開に見えて、内包していたのはハードなストーリーだったと云えよう。
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令和六(2024)年四月一七日 最終更新