宇宙刑事ギャバン全話解説
第3話 大変だ!黒星博士のベム計画を阻止せよ
監督:上原正三
監督:小林義明
コンドルモンスター登場
冒頭、林の中を豪介の孫娘・わかば(中島早苗)が羊のメイを、その弟・陽一が犬を散歩させていたのだが、そこに捕虫網を持った怪しげな老人が現れ、捕虫網を一閃するとメイの姿がかき消すようになくなった。
視聴者的には老人の仕業であることが分かるのだが、消失はわかばがメイから目を離した一瞬の出来事で、一頭の羊が丸々消え失せると云う不可思議な出来事に驚くわかばには眼前の老人の仕業と露ほども気づき得なかった。
その頃、アバロン乗馬クラブで馬の世話をしていた烈とミミーはとある湖畔に馬を走らせていた。人気の無い静かな湖畔でミミーは二人きりになれたと喜ぶが、烈は地球で行方を絶った父親に思いを馳せ、ミミーの呼びかけにも気付かない状態だった。
するとそこへわかばと陽一がやって来た。2人は突如姿を消したメイを追い続けていて、このときには犬のサブが吠えたことから老人が怪しいと睨み、そのことを烈に告げた。烈は馬を駆るやわかば達が差し示した方向へ急行し、程なく怪しい老人を見つけた。
老人を尾行する烈だったが、どうも相手は気付いているらしく、ホッピングを繰り返すだけで離れた地点までいく妙な移動法でその場を去り、廃車工場と思しき場所に到着するとそこに廃車や重機を利用したハンターキラーがクラッシャー達を率いて襲い掛かってきた。
勿論そんな攻撃に殺られる烈ではなく、爆炎の中からギャバンに蒸着した姿で現れ、次々とクラッシャー達を蹴散らしたが、最終的にコンドルモンスターが迎撃する間隙を縫ってハンターキラーは遁走。コンドルモンスターも眼光を発してそれを煙幕代わりに遁走し、後に残されたのは父・ボイザーが地獄に落ち、マクーに逆らう者は皆そうなるとするハンターキラーの捨て台詞だけだった。
場面は替わってドルギラン内。烈はミミーと共に通信にて何故にハンターキラーが宇宙刑事を裏切ったのかをコム長官に訊ねた。これに対し、コム長官は回答を渋る表情で、自分がハンターキラーを地球に派遣したこと、それがボイザーによる要請だったこと、そしてその時からハンターキラーは宇宙刑事を裏切り、ボイザーが行方不明となったことだけを告げた。
つまり、烈の質問にコム長官は答えておらず、ハンターキラーが何故に宇宙刑事を裏切ったのかは不明のままだったのだが、烈にとってはボイザーの死が確認されていないだけでも大きな希望材料だった様で、ミミーもボイザーは地球の何処かできっと生きているとした。そしてこれを受けて烈はハンターキラーへの怒りを新たにするのだった。
そのハンターキラーだが、トラックにてある隠れ家的な場所に着くとそこにいた黒星博士(石橋雅史)にベム計画の進捗を尋ねた。ナレーションによるとベム計画とは地球上の生物を空気の薄い異星環境でも生きられるように改造し、宇宙に転送するもので、云うなれば食糧確保計画と云ったところだろうか?
これに対して黒星博士は一言も発さず、妙な光線を当てて一頭の山羊がその場からかき消すようにいなくなるのだけを見せた。ハンターキラーの博士に対する態度は慇懃無礼で、恐らくマクーの公式な立場では博士はハンターキラーとは別の命令系統にあるのだろう。問いに対する答えに一言も発しないのはなかなかに興味深い反応だった。
一方、烈は父の行方を(あても手掛かりもなく)追っていた。そこで大山小次郎と遭遇した烈は「宇宙人の足跡」を追っているとする小次郎を当初小馬鹿にしていたが、小次郎の証言が自分の見失った怪老人と悉く一致していると知るや、小次郎が老人を見失ったとする未来宇宙食研究所に急行した。
研究所に「見学者」として潜入した烈。機密事項の塊である研究機関が見学者を受け入れるとは妙な話だが(苦笑)、そこで烈は案内役の女性から宇宙栄養ドリンクコスモハッスルを研究した黒星博士の名前を知り、通りがかった人物がその人であると知らされると、その人物が最前の怪老人であることを看破した。
その一方で烈はミミーにも黒星博士のことを調べさせており、博士がノーベル賞候補にも数えられる高名な研究者であることが分かったが、人物や目的やマクーとの絡みに関してはまだまだ謎だった。
Bパートに入ると、魔空城にハンターキラーと共にドン・ホラーに謁見した黒星博士は最前ハンターキラーの前ではろくに言葉を発しなかったのとは真逆に自らの計画が順調に進んでいると饒舌に自慢し、それに対してドン・ホラーは動物実験から人体実験に切り替え、その対象を生命力に溢れる子供とすることを命じた。
子供達をターゲットとする為、黒星博士は再度怪老人スタイルで地上に現れた。そこには下校中のわかば・陽一姉弟が他の級友達と共にペットが次々いなくなることを噂していた。
その中で陽一が怪老人に気付き、子供達は挙って尾行したのだが、果せるかなこれは子供を捉えんとする黒星博士の誘引だった。博士は子供達が自分を追ってバラバラに散ったタイミングを見計らってわかばを瓶の中に詰めて拉致したのだった。
陽一からわかばが怪老人とともに消えたことを知らされた烈はインコに化けたミミーを懐に未来宇宙食研究所に潜入。所内ではわかば以外にも三人の子供が瓶の中に捕らえられており、黒星はその中からわかばを選んで、ハンターキラーの前で山羊を消した機械に掛けようとしていた。
黒星は子供達が更なる研究結果を残すことに期待を寄せていたから、機械はわかばの命を奪うものではなかったようだったが、それでも訳の分からない機械に掛けられる方は気が気でない。わかばは必死に助けを求め、クラッシャー達を蹴散らしつつ乱入してきた烈は何とか実験阻止に成功し、ミミーを元の姿に戻すとわかばや他の子供達を連れて脱出するよう託した。
追い詰められた黒星はダブルマン・ゾンビとしての姿を現し、部下のクラッシャー達と共に烈を迎撃し、そこにコンドルモンスターも加わった。これを受けて烈は蒸着して宇宙刑事ギャバンとなり、大立回りが展開された。
クラッシャー達は当然の様に蹴散らされ、鞭ともヌンチャクともつかぬ武器を得物に抗戦するコンドルモンスターだったが、程なく不利を悟ったドン・ホラーは両者を魔空空間に引きずり込むことを命じ、ギャバンはサイバリアンを召喚した。
サイバリアンにて無事魔空空間に降り立ったギャバンにコンドルモンスターは三又鉾を得物に、地上の3倍のパワーを発揮できるホームレンジの有利さを活かして襲い掛かってきた。だが、そんなシチュエーションに在りながらもコンドルモンスターは戦闘能力において明らかにギャバンに劣っていた。得物だけでなく、周囲の岩石や、骨状の構造物まで駆使して戦うコンドルモンスターだったが、どの攻撃もギャバンには功を奏さず、レーザーZビームの前に倒れ、次いでダブルマン・ゾンビが襲い掛かった。
曲刀と盾で襲い掛かるダブルマン・ゾンビに対してギャバンも剣を抜いて応戦。撃剣は特にこれといった特徴もない展開後、ギャバンはレーザーブレードを発動し、ギャバン・ダイナミックでダブルマン・ゾンビを真っ二つにした。
コンドルモンスターとダブルマン・ゾンビの敗北でお約束のようにベム計画は瓦解。最後のナレーションにてベム計画の阻止と、ギャバンが父の行方・母の故郷を守ることに想いを馳せていることを語って第3話は足早に終結。もう少し、わかばの無事を豪介・陽一達が喜ぶ姿を描いても良かった気はした。
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令和六(2024)年四月一七日 最終更新