宇宙刑事ギャバン全話解説

第6話 魔空塾の天才たち

脚本:上原正三
監督:小林義明
オオマダコモンスター登場


 冒頭、ドン・ホラーは能力の優れた地球人の子供に薬を与えることで通常より優れたダブルマンを生み出すことが出来るとして、優秀ダブルマンの大量生産を命じていた。
 それを受けてフルートを吹きながらダブルマン・ゾンビAが召喚された。待機室の様な場所で数体のモンスターが蠢く中、ダブルマン・ゾンビAが吹くフルートに召し出されるようにして巨大な蛸壺の中からオオマダコモンスターがその姿を見せたのだった。

 場面は替わってとある河川敷。そこでは下戸途中の少年・松村明の前に2人の同級生が立ちはだかった。2人は明に対して帰宅後ちゃんと勉強するように促した。というのも、明が同じ問題の試験を三回受けて尚50点しか取れないことで、(恐らく同じ班と思われる)級友達が迷惑しているとのことだが、当の明は先生でもないのに勉強を命じる2人に腹を立て、軽く小突かれたのに対して平手打ちを返し、御世辞にも素直で大人しいとは云えなかった。
 その様子を少し離れた車中から見ていたダブルマン・ゾンビAの人間体(うえだ駿)は明こそが格好のターゲット見ていたが、そこの烈が駆け付けたことで手出しを控えた。

 乱闘を烈に止められ、アバロン牧場で手当てを受ける明に対して豪介はその腕白振りが気に入ったものか、点数の低さなど気にせず、サッカーチームに入らないか?と誘い、烈も「鍛えてやるぞ。」と云ったが、明はそれに答えずその場を辞した。
 河原で答案を破り捨て、不貞腐れる明に一人の女が歩み寄り、「100点、取りたくない?」と云って、明を大天才塾に連れ込んだ。視聴者的には女が最前車中からダブルマン・ゾンビAととも明を見ていた者なのが分かるのだが、次のシーンではもう明は大天才塾にいた。
 ろくに返事しない明だが、どうも押しに弱いらしく、「3ヶ月通いなさい。そうすれば君は5年生はおろか、6年生の全教科をマスター出来る。」とするダブルマン・ゾンビA=塾長に「まさか?」と訝しがりつつも、あっさりとミラクル・ルームなる部屋に連れ込まれた。
 勉強は椅子に腰かけてヘッドホンを付けているだけで、遊園地で遊んでいるかのような夢見心地のまま進み、次に行われたテストをあっさり全問正解した明はすっかり警戒心を解き、脳の回転を良くするという食事を採る際に、調理師を務めるオオマダコモンスターの容姿にすら、塾長がチョット説明するだけで警戒心を解いてしまった。まあ、苦手だった問題をすらすら解けるようにされれば信頼する気持ちの方が勝るのは無理もない。
 実際、明は学校で行われた算数のテストもあっさり解いた。余りの変貌にカンニングを訝しがる担任(←失礼だが、そう訝しがること自体は自然だ)に対し、念動力で花瓶を砕き、黒板消しをその顔面にぶつけるという能力まで発揮した。

 この明の変貌に魅せられ、わかばと陽一も嬉々として大天才塾に入塾。コンピュータを用いての急激な学力向上はともかく、念動力まで使えるようになったという事に豪介が何も訝しがっていなかったのが凄かった(苦笑)。ただ、さすがに烈とミミーは訝しがった。
 早速大天才塾に潜入した烈だったが、そこで見掛けた少年少女達は『8時だよ全員集合』の少年少女合唱団の様な服装で無表情のまま行動・飲食し、烈の呼び掛けにも全く答えなかった。
 そんな烈の前に姿を現した塾長は何の説明もすることなく不敵に笑うとダブルマン・ゾンビAの姿を見せ、クラッシャー達に迎撃を下知した。

 すると何故か空間はだだっ広い暗黒の間にシフトし、オオマダコモンスターの腕の様な物に宙吊りにされたことでクラッシャー達を相手にしばし苦戦した烈だったが、一人のクラッシャーの斬撃で腕が斬られ、自由を取り戻した烈はギャバンに蒸着。すると、何故か背景は屋外に移った(苦笑)。
 しばし白兵戦が展開された後、ダブルマン・ゾンビAも、オオマダコモンスターも、クラッシャー達も、煙幕的な爆発を起こして撤収。するとそれが合図であったかのように、子供達は正気に戻った。

 ここでAパートが終わり、Bパートに入ると場面はアバロン牧場に移り、烈と通りかかった明がにこやかに挨拶を交わしていたことから、ギャバンはダブルマン・ゾンビA達が撤収した直後に明、わかば、陽一達を連れ戻したと思われる。
 だが、マクーの悪巧みは終わっていなかった。アジト内でダブルマン・ゾンビAが笛を吹くや、明は烈を無視して自転車で暴走し、バイクに乗る小次郎を撥ね飛ばし、トラックに正面衝突するかと思いきや、ジャンプ一番これを飛び越えるという丸で『E・T』のワンシーンの様なアクションを見せた。
 勿論これを目の当たりにした烈はジープを駆って、大天才塾に急行(←潰してなかったんかい!)。初っ端から次々と襲い来るクラッシャー達を蹴散らして中に入るとそこには最前同様、明達が無表情で黙々と食事をしていた。
 黙々と食事を続ける子供達は「そんなものを食べちゃダメだ!」と叫ぶ烈を無視していたが、食事を取り上げる烈に対して抵抗もせず、ほぼ意思がない状態だった。そしてそこへオオマダコモンスターの笑い声が響き、自分達の教育(←早い話洗脳)は骨の髄まで浸透していると告げた。特に明は子供達のリーダーにして、マクーの幹部候補生であるとしており、当の明は烈が軽く頬を張っただけで正気に戻ったのだが、帰宅したその夜、荒れ始めた。

 恐らくは予後を心配して烈も松村邸に赴いたと思われるが、夕飯中、明はこんなまずいものは食えないといって茶碗を放り出し、卓袱台に対して星●徹を敢行し、マダコフードを食わせろ、と暴れまくった。
 何とか母親と共に取り押さえ、疲れ果てた明を寝かしつけると烈も同室に張り込んだのだが、ダブルマン・ゾンビAが笛を吹くと元の木阿弥で、「早朝特訓だ!」と云って寝床を飛び出す始末。そしてそれを止めようとした烈にはオオマダコモンスターが迎撃してきた。

 場面は替わってアスレチック場の様なところ。そこでは明の云っていたように早朝特訓(恐らくはレインジャー特訓)が行われていた。ダブルマン・ゾンビAは塾長として塾生達を指揮していたのだが、紳士然とした立ち居振る舞いは完全に失せ、鉢巻きを締め、市内を振り回して配下の教官達と共に大して落ち度があると思えない塾生に対しても「根性が入っておらん!」と云っては竹刀で滅多打ちにする折檻を展開していた。
 するとそこに烈が乱入。最前のオオマダコモンスターの迎撃がどうなったかの言及はない(苦笑)。白兵戦で不利を悟ったオオマダコモンスターが撤収するのを追跡して辿り着いたと思うことにしよう(笑)。

 乱入してきた烈に対し、塾長はダブルマン・ゾンビAの姿になると横笛を吹き出した。すると子供達は一斉に烈に襲い掛かってきた。勿論これに抵抗出来る烈ではない。数人が掛かりで投げ飛ばされた烈にオオマダコモンスター現れて触腕で締め上げて来た。
 一方的にいたぶられるかに見られた烈だったが、投げ飛ばされたことで触腕から逃れるとギャバンに蒸着。
 直後、ギャバンはスパイラルキックを放ち、ダブルマン・ゾンビAの横笛を弾き飛ばしたのだが、これで横笛が壊れると途端に明達は今度こそ、完全に正気を取り戻した。オ●ム■理教や統▲教会の信者に対するマインド・コントロールもこのように簡単に解ければ苦労は要らないのだが(嘆息)。

 ともあれ、クラッシャー達は当然の様に蹴散らされ、ギャバンとオオマダコモンスターとの一騎打ちとなったのだが、オオマダコモンスターは軟体動物らしく、打撃に対して多少打たれ強いようだったが、格闘ではギャバンに劣っている様で、ディメンションボンバー(空中から落下しながら両腕でジャンピングパンチを放ちつつ体当たりする技)を受けて怯んだ。
これを受けてドン・ホラーは早々に両者を魔空空間に引き摺り込んだ。
 例によってサイバリアンを召喚してアウェーである魔空空間内を疾走するギャバンに対して、ホームレンジサイドのオオマダコモンスターは3倍の戦闘能力を発揮した訳だが、その強化は技の多彩さに見られた。
 原理・効能不明の怪光線を放ち、触腕を地面に叩きつけると一直線に電流が走って、ギャバンの足元を襲った。丸で、仮面ライダーストロンガーのエレクトロ・ファイアだな(笑)。

 触腕を足に絡めての電撃も発し、一時はスパイラルキックに怯むも、次の瞬間には巨大化して襲い掛かるなど、実に多彩な動きを見せるオオマダコモンスターに対して、ギャバンは電子星獣ドルを召喚し、ドルレーザーでもってこれを討ち果たしたのだった。
 直後、今度はダブルマン・ゾンビAが襲撃してきた。ダブルマン・ゾンビAは再度横笛を吹いたのだが、どうやらこれは先ほど破壊されたものとは完全な別物の様で、もたらした効果はマインド・コントロールではなく、強烈な頭痛だった。プロフェッサー・ギ●かい、コイツ(笑)。
 もっとも、音撃は決定打にはなり得ないのか、時折、撃剣と遠撃を交えながら襲い来るダブルマン・ゾンビAだったが、しばしば音波で優位に立ちつつも、これまた剣撃で笛は壊され、体術で決着を付けんとするダブルマン・ゾンビAにギャバンはレーザーブレードを発動させた。勿論とどめはギャバン・ダイナミックで、ダブルマン・ゾンビAは真っ二つにされ、事件は解決した。

 そしてラストシーン。
 今度こそ正気を取り戻して学校に行く孫達を見守りながら、豪介は天才も0点も困る、程々が一番とのコメントを残して第6話は終結したのだった。


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令和六(2024)年四月二四日 最終更新