宇宙刑事ギャバン全話解説

第7話 怪物がひそむ花びらに少女は口づけした

脚本:上原正三
監督:小林義明
サムライアリモンスター登場


 冒頭、とあるバラ園に潜むベム怪獣サムライアリモンスターがその体を縮小させ、バラの花にその身を潜ませた。バラ園の持ち主の娘らしき少女・クミは一株だけ離れた場所にあったバラを怪しむでもなく、他の花と一緒にすると翌朝には花束を銀行に寄付した。
 守衛の話では「いつもありがとう。」とのことで、花は早速行員達によって花瓶に生けられたり、警備員の胸に刺されたりしたのだが、当然そこにサムライアリモンスターが潜んでおり、また銀行の外では一人の口髭を生やした男・ダブルマン・ゾンビA(黒部進)が煙草を燻らせながら車中にて張り込んでいた。
 この怪しい男を演じる黒部進という俳優………………………こういうサイトを見て下さる方々に説明の必要はないよな(笑)。

 場面は替わって藤家。学校から帰宅したわかばと陽一が豪介にすぐに食事を作ってくれと急かしていた(土曜だったのかな?)。孫に促されてハムエッグを作ろうとした豪介はわかばに冷蔵庫から材料を出してくれと告げたのだが、冷蔵庫の中には昨日買った筈のハムが無かった。
 サンドイッチを食っていた当山が盗み食いを疑われ、陽一にまで「お前」呼ばわりされていたのだが、真犯人は烈で、こっそり匿っていた捨て犬に給していたのだった。当山、哀れなり……。

 そしてそこに偶然クミが通り掛かった。烈は捨て犬を哀れに思うクミに子犬を託し、クミもこれを喜んだ。しばし交歓の後、クミと別れ、車に乗り込もうとした烈だったが、そこで偶然マクーの悪行と出くわした。
 少し時間を遡らせると、バラの花に身を潜めていたサムライアリモンスターが毒ガスを発して現金輸送中の銀行警備員を昏倒させ、それを尾行していたダブルマン・ゾンビAとダブルガールがガスマスクを装着して現金を奪おうとしていたのである。

 勿論これを座視している烈ではない。即座にダブルマン・ゾンビAに襲い掛かり、それをクラッシャー達が妨害してきた。更には花の中に身を潜めていたサムライアリモンスターも等身大に体を戻し、光線を放って抵抗したのだが、その爆発の中から蒸着済みのギャバンが現れた。

 サムライアリモンスター及びクラッシャー達を蹴散らし、ギャバン・ビームを線路に伝道させて勝負を有利に運ぶギャバンだったが、現金を積み終わったダブルマン・ゾンビAとダブルガールはその隙に逃げようとし、ギャバンはサイバリアンを召喚してこれを追った。
 簡単に追いついたギャバンだったが、ダブルマン・ゾンビAは時限爆弾を駆使して逃げ果せ、現場には唯一の手掛かりとして一輪のバラが残されていただけだった。

 烈はこれを手掛かりにバラ園を尋ねた。
 クミのバラ園で手元のバラと園のバラが同一であることを突き止めた烈。恐らくはクミを傷つけることになるのを恐れてこっそり調べに来たと思うが、やっていることは不法侵入である(苦笑)。そしてそこで一家と鉢合わせ、初見では烈を訝しんだ両親だったが、娘から烈が犬・タローをくれた人であると知るや打ち解けた。良い人達だ(笑)。

 だが、次の瞬間、烈はダブルマン・ゾンビAとダブルガールが覗いていることを気付き、場に緊張が走った。当然、烈は二人を追い、途中逃走車にぶつかりかけた小次郎が転倒するというアクシデントがあり(←何か、小次郎、こんな役多過ぎない?)、その隙に強奪金保管場所にしていた廃工場に辿り着いた二人だったが、ダブルマン・ゾンビAはすぐにギャバンが来ると見て、部下達に撤収を命じていた。
 案の定、程なくして烈は廃工場に到着。バイクに乗ったダブルガール達が烈を襲い、ダブルマン・ゾンビAも代わる代わる迎撃し、撤収には成功したが、現金強奪がマクーの仕業であることが完全に烈に知られてしまったのだった。

 どうやら現金も持って逃げおおせたようだったが、ドン・ホラーは現金強奪の続行を命じた。「完遂せよ。」と云っていたことから、まだ目標金額に達していたなかったのだろう。御蔭でドルギラン内にてたまにはディスコにでも行こうとミミーにねだられていた烈は襲撃多発の方を受けて一度は応じたのを撤回しなければならなかった。
 程なくマクーのトラックを発見した烈はジープを並走させると荷台の上に飛び移り、運転席ドアに回り込むとこれをこじ開けて運転していたクラッシャーを放り出し、制御を失くしたトラックを止めるのに成功した。
 飛び移るシーンはともかく、実際に走行するトラックの荷台から片手でぶら下がってドアを開けるというアクションをスタントマンではなく本人が行ったのだから、大葉健二氏はさすがである。元々ジャパン・アクション・クラブ所属で数々のスタントをこなした経験があると云えば、それまでだが、掛かるアクションを主演者自身が展開した例がどれだけあることだろう?
 ともあれ、次々とクラッシャー達を蹴散らす烈だったが、その間隙を縫ってダブルマン・ゾンビA達はクミ一家を襲った。しばらくしてバラ園に駆け付けた烈は倒れた脚立を見て異変を感じたが、そこにバラを手にしたクミが無表情で立っていた。背後ではクミの両親がダブルマン・ゾンビA達に取り押さえられ、その喉元には剣が宛がわれていたから、クミが何がしかの脅迫を受けていることは明らかだった。

 訝しがりながら駆け寄る烈に「来ないで!」と連呼したクミは昏倒。クミに駆け寄り、介抱せんとして、彼女が手にしていたバラを怪しいと見た烈だったが、次の瞬間、花弁より毒液が噴出し、烈を失明状態に陥れた。
 そして花の中からはサムライアリモンスターが現れ、クラッシャー共々烈に襲い掛かった。

 失明状態の烈は、このまま戦うのは不利と見て撤収に掛かったが、執拗に追い、襲ってくるクラッシャー達に遅れこそ取らないものの、明らかに苦戦していた。そこにサムライアリモンスターまで加わっては、劣勢は否めず、ついに意を決し、烈は蒸着した。
 蒸着したギャバンは次々とクラッシャー達を蹴散らし、数人のクラッシャー相手に、エネルギーを腕に集中させ、脚部のブースターで加速しながら敵の集団に突進し、強烈な肘打ちを叩き込むと云う技、ギャラクティカクラッシュなる技まで敢行……………さっさと蒸着しとけばよかったやんけ0.05秒しか時間掛からんのやから(苦笑)

 ともあれ、業を煮やしたドン・ホラーは例によって魔空空間を発生させてギャバンとサムライアリモンスターをそこに引き摺り込んだ。これまたいつものようにサイバリアンを召喚したギャバンはこれを駆使して魔空城からの光線攻撃を躱すとサムライアリモンスターとの一騎打ちに臨んだ。
 通常、特撮番組に登場するアリ型の怪人は外骨格による体の固さと蟻酸の噴出を主武器とする傾向が強いが、このサムライアリモンスターは例外的に光線技が主体で、ギャバンもギャバン・フルパワーなる力の集中で光線技を撥ね返し、不利を悟って姿を消したサムライアリモンスターだったが、レーザースコープであっさり発見され、レーザーZビームを食らった。この前後におけるギャバンの立ち居振る舞いや台詞から、彼が蒸着によって失明状態を脱していたのは明らかだった。うん、やはりさっさと蒸着すべきだったな(笑)。

 レーザーZビームを食らったサムライアリモンスターは巨大化。ギャバンは電子星獣ドルを召喚してこれに当らせた。蟻酸を吐いて頭上のギャバンを攻撃するサムライアリモンスターに対してギャバンはドルにドルレーザードルファイヤーを連発させてこれを討ち果たしたのだった。
 直後、ダブルマン・ゾンビAが降り立ち、撃剣が展開された。撃剣はどちらが優勢ともつかなかったが、ギャバンがレーザーブレードを発動させると急展開。ギャバンは二太刀でダブルマン・ゾンビAの曲刀を弾き飛ばすとギャバン・ダイナミックでこれを一刀両断にした。尚、斬られてられて倒れ伏す際にダブルマン・ゾンビAは何故か弾き飛ばされた筈の曲刀を手にしていたことを付け加えておこう(笑)。

 戦いを終え、クミ一家の平和を取り戻したギャバンはクミからバラの花束を渡され、返礼に一輪のバラをクミの頭に差してその場を辞したのだった。


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令和六(2024)年四月二四日 最終更新