人造人間キカイダー全話解説

第24話 魔性の女?? モモイロアルマジロ

監督:永野靖忠
脚本:島津昇弌
モモイロアルマジロ登場
 とある山中の車道を走っていたトラックを一人の女(司美智子)が睥睨していた。
 上衣、ミニスカート、パンスト、ブーツのすべてがピンク色尽くしのその女は両腕を回して腰をくねらせていたかと思うとモモイロアルマジロの姿となって、体を球状に変化(←アルマジロ型怪人の黄金パターンやね)させると坂道を転がり落ちてトラックに体当たりし、放り出された運転手の額に「P-3」と刻印した。

 ダーク基地に拉致された運転手はチップの様な物を埋め込む手術を施され、マイク音声の命令に唯々諾々と従うロボット同然の存在に改造された。その動きは忠実だが、緩慢で、この程度ならアンドロイドマン達を量産した方が効率的にも見えるのだが、プロフェッサー・ギルは満足気で、その言によると改造対象が男であることと、彼等を社会に送り出し、人造人間が人間を支配する社会とすることと、それに起因する混乱に意義がある様だった。

 指令を受けたモモイロアルマジロは第16話の女ベニクラゲ以来の女性型破壊ロボットで、率いる戦闘員も第16話同様、女アンドロイドマン達だった。そして彼女(?)は、早速光明寺姉弟の拉致に掛かった。
 しかし、モモイロアルマジロに指令を降すプロフェッサー・ギルの言は変だった。光明寺博士を再度ダークに忠誠を誓う科学者としたい旨は前々から口にしていたが、姉弟を拉致すればそれが可能としていたのはどうもおかしい。
 光明寺博士が記憶を取り戻していて、ミツ子とマサルの身を案じていれば、或いは2人を人質にダークへの忠誠を強要することも可能かも知れないが、肝心の記憶が戻っていなければ忠誠強要への効果は疑わしい。
 2人を拉致すれば光明寺博士の行方が分かるともしていたが、姉弟が半年に渡って父の行方を追っている事実をプロフェッサー・ギルは把握していなかったのだろうか?

 ともあれ、モモイロアルマジロ配下の女アンドロイドマン達が吊り橋の上にて姉弟の拉致に掛かったのだが、そこに鳴り響くは例のギターの音色。
 2人を吊り橋から逃れさせたジローだったが、自身はモモイロアルマジロの堅い装甲に打撃が効かず、橋の下に叩き落された。
 キカイダー打倒よりも、光明寺姉弟の拉致の方の優先順位が高かったものか、モモイロアルマジロは遺体の確認に掛からず、女アンドロイドマン達に2人の追跡を命じた。
 一方、光明寺姉弟の方はマサルが体調不良を訴えて倒れ込み、そこに偶然童女を連れた男性(二瓶秀雄)が車で通りかかった。男は医師を名乗り、姉弟に自分の車に乗るよう促した。

 時と場面は替わって夜の歓楽街。
 そこに歩くモモイロアルマジロの人間体に鼻の下を延ばした服部半平がナンパに掛かったが、鏡に映ったモモイロアルマジロの正体を見て腰を抜かすというベタな展開が為された。
 半平もまた奴隷対象として拉致されそうになったが、何故か伊賀忍法縄抜けの術で触腕からの脱出に成功。しかしとある建物の中に閉じこもったのも空しく、壁を破壊されてモモイロアルマジロに捕まった。
 拉致される直前、人間体に戻ったモモイロアルマジロの豊満な胸部に顔を埋められ、額に刻印替わりの口付けを受けたのは、植田氏、役得だな(笑)。

 かくして半平はダーク基地内に拉致され、改造手術を施された。
 ただ、この改造手術、前述した様に被験者の緩慢な動きからもお世辞にもハイスペックな改造が為されているとは言い難く、犠牲者の多くはにやけ面で、半平に至っては女アンドロイドマンの肩や腕を揉む役を嬉々として取り組み、別の部位を触って女アンドロイドマンに打擲され、「もっとぶって!」と言っている始末だった。いいのか?子供番組でこんなシーン出して?

 さすがにこうあってはプロフェッサー・ギルの目にも改造は不充分と判断され(笑)、モモイロアルマジロは自らのプライドに掛けて修正を申し出た。
 だが、プロフェッサー・ギルは八木なる医師を適任者として挙げた。そしてその八木医師とは偶然、光明寺姉弟を自宅兼病院に搬送してくれた最前の男性だった。
 翌朝、モモイロアルマジロは八木医院を襲撃し、八木医師を取り押さえるとその身を案じて飛び出したミツ子をも一石二鳥とばかりにその身柄を拘束した。

 あわやミツ子と八木医師が車に連れ込まれんとしたところ、そこに吊り橋から転落した筈のジローのギターの音が鳴り響いた。
 ジローが生きていたことを悔しがるモモイロアルマジロだったが、視聴者にとっては吊り橋や滝壺を初めとして、水中に落ちた者が死なないのは常識で(笑)、ダークが滅びるまで死ねないと告げたジローは崖上から飛び降りると今度は即座にキカイダーに変身してモモイロアルマジロ一行に挑み掛かった。

 鈍重そうな体格が祟ってか、あっさりとミツ子と八木医師を両腕から奪還されたかに見えたモモイロアルマジロだったが、当の本人は余裕綽々。というのも、事前に別動隊の女アンドロイドマン達が買い物に出かけた八木医師の娘・ユリコを拘束し、人質としていたのだった。
 ユリコの命をたてにキカイダーを取り押さえ、半平に見せた5センチの鉄板をも引き裂く爪の力でキカイダーの電子頭脳をかきむしらんとしたモモイロアルマジロだったが、キカイダーは丸で人質などいないが如くこれに抵抗
 蹴り一発でもんどりうって倒れ、人間体に戻ったモモイロアルマジロ(←その際にパンツ丸見え!)は何故かユリコを連れて撤収した。

 一先ず戻った八木医院にてユリコを取り戻せなかったことを詫びるジローに対し、八木医師はなかなかの人格者らしく、状況的に仕方なかったこととしてジローを責めなかった。
 とはいえ、ユリコの安否は誰もが懸念し、何か手掛かりがないかを思案する中、ジローは八木医師が撮影した風景写真にかすかに写っていたモモイロアルマジロと女アンドロイドマン達の姿を手掛かりに湖畔に向かった。

 湖畔に向かうジローの姿を捉えたプロフェッサー・ギルモモイロアルマジロにキカイダー迎撃を命じた。
 モモイロアルマジロはユリコを吊り橋中央に縛り付け、やって来たジローにユリコを返して欲しければ八木を連れてこいと恫喝。一方でジローが強引に駆け寄って来たときには仕掛けた爆弾でユリコ諸共爆殺する罠まで仕掛けていた。
 例によって人質を見せられながら静止命令に従わないジローだったが(苦笑)、そこにプロフェッサー・ギルの悪魔の笛の音が襲った。
 悶絶するジローを見て、いよいよキカイダーの最期とほくそ笑み、起爆スイッチを入れたモモイロアルマジロだったが、次の瞬間‥‥…………はい、その通りです、皆様、大正解です。爆発音は当然の様に悪魔の笛の音を遮断し、変身を遂げたキカイダーは当然の様にユリコを救出しました(笑)。

 基地に戻ったモモイロアルマジロは半平を初め、改造を施した男達に爆弾を背負わせ、キカイダーへの特攻を命じたが、予測通り、不充分な改造による緩慢な動作では一向に成果は上がらず、結局一発の爆弾も起爆することなく、全員が当て身で気絶させられた。
 特攻が失敗するや、モモイロアルマジロが駆け付け(転がり付け?)、かくして最終決戦が行われた。一時は触腕でキカイダーを抑え込んだかに見えたが、結局鈍重な動きではキカイダーに敵し得ず、回転アタック大車輪投げを食らい、後はデンジ・エンドでとどめを刺されるだけと思われた。
 だが、プライドが高いらしいモモイロアルマジロは敵の手に掛かるのを良しとせず、ダーク基地内に逃げ込むと自爆装置を作動させることで自害し、それとともに改造を施された男達の洗脳も解けたのだった。



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 最終更新令和元(2019)年一二月四日