人造人間キカイダー全話解説

第28話 赤子を泣かすアカオニオコゼ!

監督:北村秀敏
脚本:長坂秀佳
アカオニオコゼ、カイメングリーン登場
 前話である第27話の続きである。
 1話完結が多い『人造人間キカイダー』において終盤でもないのに連チャンは稀有である。
 前話の終わりにあった様に、マサルはアカオニオコゼに追われていた。しかし、アカオニオコゼのアンドロイドマン達も数人で追っかけていたにもかかわらず、全くマサルを捕まえることが出来ず、逆に3体がマサルの反撃を食らって、坂道から転落する体たらくだった。まあ、マサルは後年、ドクターケイト戦闘員をぶちのめしていたぐらいだから大目に見るか………(←道場主「だから、何の話だ、それは?」)。

 しばらくして、ようやくにしてマサルを拘束するかに見えたアカオニオコゼとアンドロイドマン達だったが、そこにいつものギターの音色が鳴り響いた。
 いつものように戦闘開始となったのだが、結構長時間ジローのまま戦った果てに変身したキカイダーの前にアカオニオコゼは明らかに格闘で劣っていた。サブタイトルの様に、「赤ん坊ぐらいしか泣かせんのか?(笑)」と思い掛けたところで毒吹き矢を飛ばしてキカイダーに幾許かのダメージを残すことで優位に立つかと思われたが、ダブル・チョップ一発で片腕をもがれて撤収する体たらくだった。
 撤収する際に、「相打ちだな…キカイダー!」とこぼしていたアカオニオコゼだったが、それを言うなら「痛み分け」だろう?(笑)

 阿呆みたいな戦闘だったが、ジローが受けた傷は思いの外深刻だった。というのも、腐食バクテリアが塗ってあったらしく、体の自由を奪われたジローは待機を命じたマサルの元にも行けず、大家荘に戻るのが精一杯だった。
 そのジローにマサルを迎えに行くよう要請されたミツ子だったが、ミツ子はジローの分解掃除を優先し、ジローの服を脱がせに掛かった。そこへやって来た半平はラブシーンと勘違い(笑)。確かにそう見えなくはないが、「失礼……(苦笑)。」と言って去り、覗かなかっただけこの男、意外とまともか?(笑)
 ともあれ、前話のラストでこっそり体を復元し、ミツ子と半平の背後に迫っていたカイメングリーンは何だったのやら(苦笑)。

 だがその頃、ジローが懸念した様にマサルに危機が迫っていた。アンドロイドマン達に追われたマサルはジローに言われた場から逃げざるを得なかった。
 一方、ダークでもいまだ荒木博士の設計図を入手出来ていないことにやきもきしていた。アカオニオコゼは自分の攻撃がジローに少なからぬダメージを与えていることを訴え、ミツ子から設計図を奪うことを宣し、それに対してプロフェッサー・ギルは任務に失敗すれば死であることを条件に容認した。

 その頃、大家荘でのジローとミツ子のラブシーン………じゃなかった(苦笑)、修理は続いていたのだが、そこにはサボテンに擬態したカイメングリーンの目が光っていた。
 修理が終わるのとほぼ同時に大家荘の番頭から荒木博士の娘・タエ子が戻って来たことが伝えられた。ミツ子は既にタエ子とコンタクトを取っており、そのミツ子の言から大家荘はタエ子がオーナーで、タエ子はその仕事で東京に行っていたことが判明した。そうなると荒木博士が大家荘に潜伏していたのは大いに納得が出来るが、それならそれで父親を匿うのにもっと適した特別な部屋とかは無かったのだろうか?
 バイオレットサザエの動きを止めた装置を設置していた部屋が特別室と取れなくもないが、それならそれでカイメングリーンが簡単に潜入しているのも問題と言える。

 ともあれ、ジローとミツ子の、各々の良心回路に対する考えは変わっていなかった。繰り返しになるが、ミツ子はジローに苦しい戦いを避け、ダークに負けない最強の人造人間となるべく荒木博士による完全良心回路の組み込みを希望し、ジローはやはり「今のままでいい。」という考えと、タエ子を危険に曝さない目的からミツ子にタエ子に接触しないことを求めた。
 難しい問題だし、結果論だが、この話はカイメングリーンに筒抜けだったし、それを別にしてもダークがその組織力で荒木博士の娘であるタエ子の存在を知ったら、何某かの魔手が及んだことは想像がつく。

 結局、ジローの静止にもかかわらずミツ子は荒木タエ子(高毬子)に接触した。最初は父から何かを預かったことに思い当たる節がない様子のタエ子だったが、ミツ子に必死の懇願(←「一人の人造人間」と言い掛けて、「一人の男が助かる。」と言い直していた様が切なさを誘っていた)を前に、父が息子(つまり博士の孫)の為に渡したお守りがそうかも知れないと思いついたところで、アカオニオコゼが、次いでカイメングリーンが設計図を求めて襲い掛かった。
 タエ子は息子を救う為に設計図を渡そうとしたが、2体の破壊ロボットは設計図さえ手に入ればもう用はないとばかりにミツ子とタエ子を消しに掛からんとしたが、そこにジローが迎撃に入った。

 勿論ジローはキカイダーに変身してアカオニオコゼカイメングリーンとの白兵戦に入ったのだが、その隙を突いてタエ子はその場から逃げたのだが、戦闘の裏の局面は少しずつ複雑化した。
 タエ子は万一を想定してか、赤ん坊のお守りの中にあった設計図を半平が取り落とした靴の中に隠してその場から逃げた。
 半平が靴を持って現れたのは、ジローが救出に現れずにアンドロイドマン達から逃げる途中で靴を失ったマサルの為に買ったものだった。靴を失いつつ、アンドロイドマン達から逃げてきたマサルの体は無傷だったが、心が傷ついていた。ジローもミツ子も助けに来てくれなかった上、その理由が、(半平の誤証言から)2人が自分をほっぽってイチャついていたためと思い込んだからだった。
 そんなマサルを元気づけようと半平は新しい靴をプレゼントしようとして買って来たのがその靴だったのだが、半平よ、何かをしてあげようという心根は悪くないが、思い込んだこと、言ったこと、解決の為に尽力していることが悉く間違っていたのには気付かんか?(苦笑)

 そしてその場を逃れたタエ子はタクシーに乗り込んだのだが、その運転手は光明寺博士。一応、前話でも半平を乗せて登場していた(←半平は降りる直前になって気付いていた)のだが、記憶喪失で2種免許を要する仕事が出来るのか?
 光明寺博士は途中で自分の車を尾行してくる車に気付き、自分が狙われていると思って、タエ子とその子を巻き添えにしない為、人気のない場所で母子を降ろした。だがこの推測と好意は裏目に出た。ダークの追跡者=アカオニオコゼはまさにタエ子を追っていた。
 そのタエ子は、偶然マサルを追っていたジローとミツ子(←誤解からマサルに嫌われ、逃げられていた)に助けられた。マサルの態度も気になるが、まずは目の前で襲われている人の安全の方が大事なのは妥当な考え方だろう。
 だがそこへプロフェッサー・ギルの悪魔の笛の音がジローを襲った。悶絶するジローを尻目に赤ん坊を強奪したアカオニオコゼ、そしてアカオニオコゼに襲われて号泣する赤子‥‥………次の瞬間、その赤子の鳴き声が悪魔の笛の音を遮断した………今まで、爆音や、猛火や滝など、様々な異音・騒音が笛の音を遮断してジローは危機を脱してきたが、「赤ん坊の泣き声」で悪魔の笛の音が遮断されたなんて、酷過ぎると思うのはシルバータイタンだけか?
 ともあれ、先週に続き1対2のハンディキャップマッチが展開されるかと思いきや、タエ子が設計図をお守り袋から赤い靴に隠したと告げたことで勝負は水入りとなった。
 愚かにもミツ子がその靴をマサルが履いていたことを口走ったものだから、アカオニオコゼカイメングリーンは矛先をマサルに転じた。

 その頃、マサルはジローもミツ子も嫌いだと独り言ち、自分一人で父を探さんとしたしていたところにアカオニオコゼカイメングリーンの追跡を受けるや、ジローに助けを求めた(苦笑)。
 するとそこにサイドマシーンに乗ってジローが現れたと思いきや、現れたのは西部劇の保安官に扮した服部半平。変装は忍者の十八番だが、半平の場合只のコスプレ好きにしか見えないから泣ける(苦笑)。
 そしてここから第28話屈指の阿呆な展開が為された。

 二丁拳銃を構え、「Hold up!」と叫ぶ半平に諸手を挙げ、その隙にマサルに逃げられるアカオニオコゼカイメングリーン………ダーク破壊ロボットが拳銃を突き付けられてビビっているだけでも充分情けなかったが、その拳銃の発射口に在ったのは糸の付いたコルク(爆笑)
 悦に入った半平がついつい引き金を言いてしまい、発射されたのがコルクであることに気付いたアカオニオコゼカイメングリーンはブチ切れ(笑)。
 どうもこの2体、破壊ロボットとしての出来はよろしくないようだ‥……。ともあれ逃走に掛かった半平とマサルを追うアカオニオコゼカイメングリーンだったが、そこに今度こそジローが助けに入った。

 キック一発でカイメングリーンはまたも体をバラバラにしてしまい、アカオニオコゼもさして善戦することもなく、回転アタックデンジ・エンドの2点セットの前におくたばりになった。
 かくしてアカオニオコゼは倒れたが、勿論事件は終わっていない。マサルの誤解は解けていないままで、マサルはトラックの荷台に乗ってその場を去った。
 一方、周囲に誰も居なくなったことを確認して体を復元したカイメングリーンは自分が不死身であることを嘯いて一人の怪しい男の姿となったのだが、それを演じるのは潮“地獄大使”健児(笑)。配役・風体共に怪しいを絵に描いた奴だ(笑)。
 そして怪しい男はタクシーに乗ってマサルの乗るトラックを追跡するのだが、勿論タクシーを駆るのは光明寺博士…………『人造人間キカイダー』初の三部作となった訳だが、果たしてこの後どうなるのやら。



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 最終更新令和元(2019)年一二月四日