人造人間キカイダー全話解説

第41話 壮絶 ジロー空中分解!

監督:畠山豊彦
脚本:長坂秀佳
アカ地雷ガマ登場
 冒頭はとある採石場から始まった。
 作業員の一人が山上に道が出来ていると云い、周囲の人間は驚愕した。道路工事に取り掛かろうとしているのに道が出来ていると有れば確かに驚きだろう。
 報告を受けた作業員達が半信半疑で「道」に来てみると、完全な舗装道路が出来ており、驚愕する中、不気味な唸り声が聞こえてきた。

 声の主はダーク破壊ロボット・アカ地雷ガマ。最終回まであと2話の段階で、これまで「色+生き物」or「生き物+色」で名付けられていたのに「地雷」という要素が加わってこれまでとは一味違う感を醸し出さんとしていると思われるが…………はっきり言って、格好悪い(苦笑)………ま、素材がガマじゃしょうがないか……(苦笑)

 ともあれ、目撃者は消せとばかりに殺意満々のアカ地雷ガマ。それに対して、殺られて堪るかとばかりに工具を振りかざす勇敢な作業員達だったが、アカ地雷ガマが云う様に、これは相手が悪かった。
 アカ地雷ガマはどてっ腹から黒ガマ地雷という名のバスケットボールぐらいの玉っころを転げ出し、その玉は割れると十数個の黒いボールを拡散させた。名前から誰にでもわかるように、それ等は地雷(と言うより機雷だな)で、アカ地雷ガマに黒ガマ地雷の上に投げ落とされた作業員達は次々に哀れな爆死を遂げていった。
 作業員の中にはブルドーザーを駆ってアカ地雷ガマに対抗せんとした者もいたが、アカ地雷ガマが正面から受け止めるや、大爆発が起こり、ブルドーザーも作業員も木端微塵となったが、当然ながらアカ地雷ガマはピンピンし、名前の通り地雷そのものである自分に触れた者は皆こうなるとどや顔していた。
 悦に入っていたアカ地雷ガマだったが、そこにプロフェッサー・ギルからの緊急指令が入った。指令の内容はキカイダーとハカイダーを殺せと云うもの。暗殺指令自体は有り触れたものだが、プロフェッサー・ギルは最前のブルドーザーの様に、キカイダーがアカ地雷ガマに触れて五体バラバラになるという具体的な死に様を期待していた。

 場面は替わってとある公園。
 ダークは小型ロケットの様な物を使って、光明寺姉弟あての手紙を落とした。その手紙は2人に気付かれなかったが、半平が気付き、2人に渡された。
 手紙の内容は頭にヘルメットと数本の管に繋がれた光明寺博士の写真と、その所在地を示すと思われる地図だった。
 写真を見た光明寺姉弟は、最前昼食に誘おうとしていた半平を「足手まとい」等と酷評して相手にしていなかったのに、彼の車で地図の場所まで連れて行くよう求めた。
 だが、頼みの半平は行けばダーク破壊部隊が雁首揃えて待ち構えている状況を想像して言を左右にして応じない。そんな風に罠と勘繰る半平の考えは充分理解出来るものだが、ようやくにして得た手掛かりとなると罠と分かっていても行かずにいられない姉弟の想いもまた分かる。姉弟は渋る半平を臆病者呼ばわりして自分達が半平の愛車を駆って現場に向かわんとしたが、そこでジローが止めに入った。

 ジローもまた罠であることを告げ、ダークの狙いは自分だとして単身サイドマシーンを駆って地図の場へ向かった。
 ジローが去り、途方に暮れる三人だったが、そこに口笛が鳴り響いて来た。勿論口笛の主はサブロー。木の上に立つサブローはジローが現場に着くことはないから、自分達が行きたいところへ行けばいいと告げてハカイダーに変身するとバイクに乗ってその後を追った。

 サイドミラーで自分を追うハカイダーに気付いたジローはキカイダーに変身し、(例によって戦う訳にはいかないので)サイドマシーンを加速させ、空を飛んで振り切らんとするが、ハカイダーは執拗に追って来た。
 途中、空中でサイドマシーンから飛び降りたことでハカイダーを撒いたかと思われたが、すぐに追いつかれ、自分の制止を振り切って罠と思しき地図の場に行かんとするミツ子・マサル・半平を止めることも儘ならなかった。

 そのミツ子達だが、移動手段は半平の愛車でも、運転していたのはミツ子だった。罠である確率が濃厚な状況にあって、半平は乗り気ではなく、「日が悪い。」とまで口にするが、父の手掛かりに執着するミツ子は、嫌なら車から降りろと言う始末(←言うまでもないが、車の所有者は半平)。
 そしてそんな半平の呟きに応えるように「降りた方がいい。」と言いながらアカ地雷ガマが襲って来た。アカ地雷ガマはミツ子とマサルを拘束してダーク基地に拉致せんとした。その渦中に在って歯牙にも掛けられなかった半平(苦笑)は、それを幸いに我が身可愛さで逃げ出さんとしたが、それでもどこか自己中に徹せず、ダーク車輌のトランクに隠れてミツ子達の後を追った。

 余談だが、ダーク基地に連行されるまでの間、マサルは始終、「放せ!放せ!」を連呼していた。マサル役の神谷政浩氏は当時の子役にあってかなりの演技力を既に有していたが、それでも悪の組織に取り押さえられた子役の定番台詞を連呼するのみだった。頼むから、拘束された子供には「放せ!放せ!」以外の台詞を発して欲しい(苦笑)

 その頃、ハカイダーと戦うに戦えないキカイダーは、ハカイダーの地獄五段返し、ギロチン落とし(←ギロチンドロップではなく、ルチャ殺法コルバタに近い)、ハカイダーショットを食らい、遂には堪りかねてハカイダーを崖下に投げ飛ばした。
 幸い、ハカイダー (=光明寺博士)が致命傷を負った様子はないと断じたキカイダーは、ジローに戻るとサイドマシーンを駆ってミツ子達を追った。

 ミツ子達が連行されたダークのアジトは、場所こそ人里離れた山中だったが、はげ山のいたる所に出入り口の穴ぼこを持ち、それぞれにダークの旗と歩哨のアンドロイドマン‥‥‥……これのどこが秘密基地だ?遠目にも目立ちまくるぞ(苦笑)
 ただ、デカいだけあって車はそのまま基地内に走り込み、ミツ子とマサルが投獄された土牢はかなりのスペースがあった。そして不安に怯える姉弟が肩を寄せる空間にプロフェッサー・ギルの不気味な笑い声が響いた。

 笑い声の意図は詳らかではなかったが、それが合図であるかのように牢屋の壁が開くと中から光明寺博士の横たわるベッドが滑り込んで来た。
 弾かれたように父の元に駆け寄り、必死にその名を叫ぶ姉弟だったが、頭に包帯を巻いて横たわる光明寺博士に応える様子はない。脳が抜かれているので答えられないことは理解出来るが、何故にそんな状態の父を寄越してプロフェッサー・ギルが何をさせたいのか?とミツ子が訝しがる一方で、マサルは牢獄内に脱出出来そうな窓があることに気付いた。
 その窓に嵌められた鉄格子の隙間は下手したら細身のミツ子でも通れそうなぐらい広いものだったが、出て降り立ったところは長大な縦穴の底で、上空は見えるが、とてもそこまで登れそうになかった。幸い、穴の上からはその穴を偶然見つけた半平がいた。半平自身、助けたい気持ちはあったのだが、アンドロイドマン達が迫って来るのを見て、逃げ出してしまった(苦笑)。
 ま、為す術なく一緒に捕まるよりは一時撤退した方が良いのは分かるのだがね。

 その頃、アジト近くまで来てミツ子達を探索していたジローだったが、その隙を伺ってアカ地雷ガマがつけ狙っていた。
 アカ地雷ガマは地雷をばら撒き、ジローがそれを踏まずに歩き続けると電磁鞭となっている舌を延ばして襲い掛かって来た。舌に首を絞め上げられたジローが苦悶するところに、更に火炎を走らせて追い打ちを掛けた。さすがに最終回間際に登場する敵役となると、見てくれはカッコ悪くても一味違うようだ(笑)。
 そして締め上げと5000度の炎だけでも苦しいのに、アカ地雷ガマはその足元に地雷を撒き、そこへ指してプロフェッサー・ギルの悪魔の笛の音までが襲い掛かって来た!単純に痛覚で言えばジローが一番苦しんだ瞬間ではなかったろうか?
 ただ、今回も笛の音は「アカ地雷ガマの放った炎」というしょーもない要因でカットされ、ジローはキカイダーにチェンジした。
 こうなるとアカ地雷ガマの撒いた地雷はサイドマシーンに乗ったキカイダーに効く筈もなく、逆に逃げ惑うアンドロイドマン達が踏みまくった (苦笑)。
 だが、そんな状況下にあっても、アカ地雷ガマプロフェッサー・ギルも余裕綽々でキカイダーが地雷でバラバラになることを確信していた。そして実際にキカイダーは回転アタックアカ地雷ガマに炸裂させて馬乗りになったところで地雷に抵触し、その五体はバラバラになってしまった!!

 唯一救いだったのは、頭部・胴体部・両腕・両脚が比較的きれいにバラバラとなり、それが半平の元に飛んで行ったことだった。キカイダーの変わり果てた姿にその頭部を抱いて滂沱に暮れる半平…………。
 まさに最終回間際のかつてない大危機感を残して第41話は終結したのだった………。



次話へ進む
前話に戻る
『人造人間キカイダー全話解説」冒頭へ戻る
特撮房『全話解説』の間へ戻る
特撮房へ戻る

 最終更新令和元(2019)年一二月四日