キカイダー01全話解説
第10話 大首領ビッグシャドウの怪奇!?
脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦
冒頭、アジトにてイチローの様子をモニタリングしてほくそ笑んでいたハカイダーは、突然のモニターの乱れに愕然としている内に異様な空間に叩き落された。
煙が濛々と立ち込め、視界の利かぬ空間で悶絶するハカイダーの耳に聞こえて来たのはシャドゥの大首領・ビッグシャドゥで、自分達の組織に比べればハカイダー達など赤子同然としながらも、ハカイダー自身は殺すに惜しいと見て、自分に従うよう促した。
悶絶しながらも即座にこれを拒絶したハカイダーが気付くと、彼はアジトのモニター前でのたうち回っていた。そして気を取り直すと、自分を心配するシルバーハカイダーに対して、ビッグシャドゥもまたアキラを狙っていることを告げつつ、間もなく待ち伏せ地点を通るであろう01を襲うよう下知した。
下知を受けたシルバーハカイダーは単身イチロー待ち受けるとロッドを振るって、導火線を利用したと思しき火炎地獄(と云うほどの罠でもなかったが(苦笑))にイチローを叩き込んだ。
土俵状に炎を上げる輪の中でイチローと、シルバーハカイダー率いるアンドロボット達が白兵戦を繰り広げたが、そこにシャドゥナイトと赤面ガニが割って入らんとした。だがその前に暗雲・落雷とともに現れたハカイダーがまずは協力してイチローからアキラを奪い、その後のことはその後のことと提案し、シャドゥナイトはこれに応じた。
かくしてハカイダー部隊とシャドゥを同時に相手にすることになったイチロー。しかもハカイダーの呼んだ暗雲は太陽光線を遮断していた。だが、ここでシルバーハカイダーの振るった電子棒が暗雲を晴らしてしまい、晴れ間が覗くという自爆展開が為された(笑)。
当然イチローは01へのチェンジを可能とし、01は次々とアンドロボット達を蹴散らし、ゼロワンドライバーまで駆使された一味は壊乱した。そしてこの間隙を縫ってシャドゥナイトと赤面ガニはアキラを攫わんとしたが、それを察知したハカイダーはシルバーハカイダーに声を掛け、二人してシャドゥナイト&赤面ガニの前に立ちはだかった。
「死にたくなかったらアキラを渡せ!」と脅迫するハカイダーに、意外にもシャドゥナイトは「ふん!渡してやる!」としてアキラの包まった毛布を投げ捨てて寄越した。組織力的にハカイダー部隊を舐め切っている筈のシャドゥにしては不可解な対応だが、深慮遠謀があるのだろうか?
だが、投げ捨てられた毛布から転がり出たのはパンダのぬいぐるみで(笑)、アキラの身柄はリエコが連れて逃げていた。
勿論、ハカイダーもシャドゥナイトもそうはさせじ、と追うことになるのだが、車で逃げるリエコ達に追い付いたのは、何故か途中で01に投げ飛ばされて、頑太のカメラのレンズを巻き込んで気絶した筈のシルバーハカイダーと云うのが素敵(笑)。
息巻くシルバーハカイダーの言によると、アキラの秘密を解くまではリエコは殺さないことになっていたらしいが、彼女に度々邪魔されたことに怒り心頭のシルバーハカイダーは命令に反してその場でリエコを殺さんとした。
かくしてリエコはかつてない危機を迎えた。ロッドで殴られるという直接的な打撃を受け、あわやという状況に追い込まれたが、そこにいつものトランペットの音色が鳴り響いた。 いよいよ最終決戦が迫っているとあってか、督戦するシルバーハカイダーを焦らす様に長くトランペットを吹いたイチローは例の口上後、素顔でも長目に戦った果てに01にチェンジした。
当然の様にその間隙を縫ってアキラを連れて逃亡するリエコだったが、そこにはシャドゥナイトと赤面ガニが立ちはだかって二人を取り押さえた。かと思うと、追いかけてきた01と対峙する間にアンドロボット達が拉致する、と事態は二転三転した。直ちにこれを追わんとする01だったが、シャドゥナイトと赤面ガニが発した煙幕によって、文字通り煙に巻かれてしまったのだった。
Bパートに入り、シャドゥ基地内におけるシャドゥナイト&赤面ガニと、ビッグシャドゥとの会話から、シャドゥナイト達が01と戦うことに積極的ではなかったのは、01とハカイダー達が潰し合うことによる漁夫の利を狙ったビッグシャドゥの命によるものであることが分ったが、コイツもまたアキラを狙っていることに変わりはなく、一方でハカイダーを懐柔しようともしていたから、大組織の首領らしくなかなか腹の内の読めない奴である。
そしてその頃、念願叶ってアキラを捕えたハカイダーは彼を拷問に掛け、その秘密をリエコに吐かせようとしていた。これまで謎にされていたアキラの秘密について、彼の体のどこかに「世界最強ロボットの設計図」が隠されているところまでは掴んでいることがハカイダーによって語られた。
そして、恐らくそれ自体をアキラ本人は知らないのだろう。ハカイダーはその事をリエコに吐かせようとした訳だから、彼女とアキラを共に拉致しようとしたこともここで納得がいった。
アキラとリエコの双方が痛めつけられ、シルバーハカイダーがアキラの殺害に躊躇いを見せない態度を示したり、アキラの腕を斬り落とさんとする姿勢を見せたりすることでリエコが白状するのも時間の問題と思われたが、そこに何の脈絡もなく01が乱入して来た。
そしてかかる状況下にあっても、やはりアキラ達を人質に取るという発想は見られなかった(苦笑)。
程なく戦いは屋外にシフトしたのだったが、シルバーハカイダーがアンドロボット達を率いて地上に出て来ると01は腹を押さえて蹲っていた。
自分の電子棒が01にダメージを与えていたのだと得意がるシルバーハカイダーだったが、これは01の擬態だった。そもそも01がハカイダー基地を突き止め得たのも日本に一つしかないテレビアンテナを手掛かりとしたもので、負傷擬態もシルバーハカイダーを誘き寄せる為のもので、01は今こそシルバーハカイダーとの決着を着けんとの意を宣した。
数に物を云わせて次々と群がるアンドロボット達を只蹴散らすだけでなく、丸でハカイダー部隊を一兵卒に至るまで全滅させるかのように次々と打倒していく01は途中で救出したアキラとリエコに松林で待つよう告げるとそのまま殲滅戦に身を投じ、終には基地内にある、「全国のハカイダー基地を爆破出来る。」という御都合極まりない自爆装置を発見し、これを発動せんとしたが、これにはそれを阻止せんとしたシルバーハカイダーが割って入って来た。
更にはハカイダーも加勢したが、格闘の間隙を縫って01は自爆スイッチの押下に成功。何とか基地爆発からは逃れたハカイダー&シルバーハカイダーだったが、三年掛かりで築いた基地をすべて失ったことに怒り心頭となっていた。それに対し01は、「3年掛かりで築こうと、悪は悪だ!」と斬り捨てた。
かくして悪の終焉を告げる01と、壊滅危機への怒りに燃えるハカイダー&シルバーハカイダーとによるハンディキャップマッチが敢行された。だが、全基地を失ったショックが響いたものか、ハカイダー達の動きは明らかに精彩を欠き、2対1でも優位に立てず、ゼロワンドライバーに翻弄された挙句、ブラストエンドを食らってシルバーハカイダーは戦死した。
そして到頭一人になったハカイダーも、直後こそ互角に渡り合っていたが、ハカイダーショットが敗れると劣勢に転じ、ブラストエンドを食らって敗れ去った。但し、爆発したかに見えたと同時に不気味な笑い声を残したので、そのまま死んだとは思えなかった。
ようやく勝利を収めた01は自分を待っていたアキラとリエコの元に駆け付けたが、イチローの元にアキラが駆け寄ったとき、またもリエコはその姿を消していた。
ともあれ、アキラの無事を確保して第10話は終結した訳だが、ナレーションはハカイダーに死に様(?)に懐疑的な旨と、ビッグシャドゥが本格始動しつつあるのを仄めかしていたのだった。
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最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日